──高校の入学式の日。
中学からの知り合いも結構いたし、新しい友達もそれなりにできたと思う。
明日からの生活を楽しみにしつつ、担任の話を流し半分で聞き、気がつけばHRも終わり帰るのにも丁度いい時間になっていた。
「じゃあな。
「ああ、また明日」
クラスメイトに挨拶をし、教室の出口へ向かう。
同じく帰路へ着こうとする者、教室に残って雑談やまさかの勉強をする者などがいる中を通り抜けて、開いたままの出口へ着いた。
「なあ、隣のクラスにめっちゃ可愛い子居るんだってよ」
「聞いた聞いた!確か
「彼氏居るのかな〜」
クラスメイト達の雑談が聞こえてくる。
(……木原、か)
昔よく遊んだ友達もそんな名前だったな。最近は会ってもいないけど。
しかしもう隣のクラスなのに関わらず噂になってるのか。相当可愛いんだろうな。
そんなことを考えているともう昇降口に着いた。
自分の靴箱の位置を思い出しつつ学校指定の上靴を脱ぎ─
「ねえ……未崎
「えっ、うん」
脱ごうとしたところで声をかけられた。
振り向くと、そこには一人の女の子が立っていた。
肩までかかった艶のある黒髪、輝く大きな瞳。全体的に小柄で細身の体
可愛い。
それが真っ先に出てきた感想だった。
「えっと…」
しかし、誰だか思い出せない。
普通こんな可愛い子忘れるはずがないんだが…
「私だよ、私──木原
「あっ…」
名前を聞いてすぐに思い出した。
木原琴美。小学校に入ってすぐの頃から仲良くなった女の子だ。
所謂幼馴染と言うやつで、小学校を卒業するまではずっと一緒だった。
別々の中学に入ってからは疎遠になり、連絡すら取ってなかったけど…
「久しぶりだね、洸希」
「うん、久しぶり」
「また洸希に会えるなんて思ってもなかったよ」
「俺もだよ」
「この後暇?一緒に帰ろ?」
「う、うん、いいよ」
「ふふっ。そんな緊張しなくてもいいのに」
笑いながら言う琴美。
3年ぶりに会った幼馴染はすごく可愛くなってて、どう接していいのか戸惑うほどドキドキした。
「ほら、いこ」
「あ、ああ」
靴を履き替え、二人並んで昇降口を出る
まるで、あの頃に戻ったような気分だった。
───帰り道
「琴美はA組なんだ。俺はB組」
「そっか、隣だね。よかった。教科書忘れてもすぐ借りにいける」
「いや、忘れるなよ」
「毎日忘れても大丈夫!」
「貸さないぞ」
「ええ〜」
けちー。と抗議してくる琴美。
最初はドギマギしたけど、自然と昔みたいな距離感になっていた。
「そういえば琴美、俺のクラスでも噂になってたぞ」
「えっ、本当?可愛い女の子が隣のクラスにいるって?」
「……よくわかったな」
「へー、本当なんだ。ふふふ」
そう言って、嬉しそうに笑う。
やっぱり女の子は容姿を褒められるのは嬉しいのか。
「えへへー。私がそんなに……」
「いつまで笑ってんだ」
そうやって笑ってる顔は特に可愛いな……
「…ねえねえ、洸希」
琴美がこっちをじっと見てきた。
「なんだ?」
「洸希はさ、気になってる子とか、いるの?」
突然そんなことを聞いてくる。
「俺が?」
気になってる子、か。
……正直、すぐ隣のこいつが気になって仕方ない。
こんな美少女になってるなんて聞いてないぞ。
「……いや、いない」
口に出せるわけもなく、無難な答えを言う。
「そっか」
「お前はどうなんだよ。気になってるやつとか、いるのか?」
恥ずかしくなってきたので話題を逸らす。
「私は……いるよ」
微笑みながらそう答えた。
「い、意外だな」
「うん、結構前から」
視線が強まってきてる気がする
「小学校の頃からの知り合いなんだけどね、その人とは中学で別々になっちゃって。それで、高校でまた会えたの」
「そっか……」
こいつの口からそんな話が出るとは意外だ。
ずっと友達感覚だっただけにそんな話するなんて考えてもいなかった。
「同じクラスなのか?」
「ううん、隣のクラス」
「そっか、今度どんなやつか教えてくれよ」
「……」
半目でこっちを見てくる琴美。
「どうした?」
「…………バカ」
そっぽを向かれた。
「えっ?」
「何でもない、洸希は昔から変わらないね」
「どういう意味だよ」
「さあね」
なんで不機嫌になるんだ。
それに…なにか引っかかるような。
その後もいろいろ──お互いの中学でのことや新しくできた友達のことなどを話した。
「じゃ、私こっちだから」
「ああ、じゃあな」
「……洸希!明日も一緒に帰ろうね!」
「ああ」
そう言って、琴美と別かれる。
そしてほんの数分で自宅へ着いた。
「ただいまー」
一応そうは言ったが、家には誰もいない。
我が家は両親共働きなので、留守の時間が長いのだ。
「……」
2階の自分の部屋に行き、鞄を置いてベッドに寝転がる
(琴美、可愛くなってたな)
再開してからずっと、本当にそれしか頭にない。
同時に、二人で遊んだ思い出が蘇ってくる。
ヒーローごっこしたり、サッカーしたり、ゲームで対戦したり。
1秒でも長く一緒にいたくて、毎日門限ギリギリまで遊んでいた。
その日はずっとこんな調子で、夜も眠れなかった。
なるべく早めに後編も投稿します