今回たえの病みが覚醒します。
あと、文字加工初挑戦です。
「とー君は今日、私の家泊まっていくよね?」
現実なんて本当に小説よりも『奇』なのかもしれない、俺は今目の前にいる者の発言を聞いてそう思った。
「まず一つ、もしも俺がその提案を受け入れてみろ。お前の親には何て言うつもりだ?」
「恋人?彼氏かな?」
こいつの頭の中は一体どうなってやがる…、花園ランドといい俺よりも頭の中がヤバイんじゃないか……。
「次に、俺とお前は付き合っていない」
「でもとー君は今誰とも付き合ってないでしょ。アノ女も居ないわけだし……」
「居ない……、あぁ居ないよ……。だけどな普通に考えて付き合っていない男を泊めるか?」
「何で?私はとー君が好き、大好きなんだよ?付き合って無くても、普通の友達っていう関係よりはもっと良いはずだよ?」
花園の瞳にはもう光は無く、虚ろな瞳で一点、ただ一点に俺の瞳を見つめてきた。
「約束だってしたでしょ。別れたら、私だけのモノになるって……」
「あの言葉が私の支えだった……。とー君がアノ女と楽しく笑っているのを、私がどんな気持ちで見ていたと思う?近くにいた君が、あっという間に遠くに行っちゃうんだよ……。寂しかった、ずっと寂しかったんだよ……。だけどとー君が裏切った、私を裏切ったこの痛みを体験させる為に、私は更に待ち続けたんだよ……」
「私、とー君が別れたのを知ってすっごく嬉しかった。何時もね、何時も胸の中で引っかかって、苦しかったのが、嘘みたいに消えたんだよ。その時は本当に感謝した、『神様、私の願いを聞いてくれてありがとう』って。
毎日、毎日、とー君が私を置いていった、見捨てたあの日から、神様に『私のモノになりますように』そう願って…。
ねぇ、とー君……。うんん、灯夜……」
語ることを止めた花園がゆっくりと近づいてくる。離れようと、身体を動かそうとした……したのに……動けなかった……。
だってそうだろ……、俺がこうなることを望んでいた……。あの日が何時かは明確には判らないが、俺の運命はもう既に花園と出会っていた時に決まっていたんだと……。
頭の中でその事実としか言えない考えが他の思考を止めて、俺を絶望の、暗闇の中へと突き落としていった……。
頬を伝うコレは何だろう…、一つ、また一つと溢れ出れる。コレは何だ……。
「灯夜、泣いてるの?」
俺が泣いてるだと……、何で俺が無くはずが……。慌てて目元を擦る制服の袖は、確かに濡れていた。
「もしかして悲しいの?」
悲しいか……。何がだよ…何が悲しいんだよ……。
「灯夜は私と結ばれる運命だったんだよ……」
俺の運命が決まって……、違う……違う違う違う、違う!
「俺の運命はアイツだけだ……、俺が本当に好きで、俺が愛していたのはアイツだけなんだ……」
どうせこれも花園の妄想か何かだろう、きっとうそうだろう。確かにアイツとは別れた、けど俺がそうなることが運命なんかのはずが無いんだ。そんな簡単な物じゃないんだ、俺とアイツの仲は、そんな簡単に壊れる物じゃ……。
でも、壊れないはずなら……何で壊れたんだ……?
アイツが笑顔で居られるように生活態度も改めた、アイツが笑顔で居てくれるように勉強も頑張って教えられるように努力した、アイツが笑顔で居てくれるように洋服やマナーにも気をつけた……、アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが笑顔で居てくれるように……アイツが……アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが…アイツが……。
「やっぱり何処で間違えたんだ……俺の何がいけなかったんだ……」
一体何度目だろう……、こうして苦しむのは。一体何度目だろう……、こうして嘆くのは……。
「灯夜は悪くないよ?灯夜は何一つ悪くないんだよ?だって一生懸命に頑張っていたの、私が見てたから」
俺が悪くないだと……、なら何で俺の前からアイツは……。
「俺の前からアイツは消えって行ったんだよ……。見てたんだろ、知っているんだろ、アイツは俺に言ったよな、『居なくならない』ってそう言ってたよな!」
思わず花園肩を掴む、驚いたようで花園の目に光が再び宿る。
「見てたよ、聞いてたよ……。アノ女は灯夜に確かに言ったよ、『居なくならない』って。でも結局は居なくなったよね……」
けれどその光はまたたく間に消えてしまい、
「でも私なら……裏切らない……」
鞄から何か光る物を取り出して、
「だから私だけを見て」
そう言い残して、俺を深い闇の中へと堕としていくのだった。
『ねぇ灯夜、今度の休みに二人で出かけようよ』
『良いよ、どこに行く?』
これは何だ……。何で俺は笑ってるんだ……、隣にいる人のは顔の部分だけがモザイクが掛かって見えない。
だけど、見えないのに声は、声だけは鮮明に聞こえてくる。紛れもない、アイツの声が。
『あのさ……私たちさ……もう別れようよ……』
あぁ、電話だったけ。何日か前に喧嘩して、それでお互いにギクシャクして……。何度かメールを送ったけど返ってこなくて、耐えきれなくて電話したんだ。
予想はしていた、ネットで似たような記事を見つけたから。そんな事なる筈無いって言い聞かせて、見ないようにしてたんだっけ。
『何で……俺が何かしたの……』
泣きながら理由を聞いたんだった。何度も何度も問いかけて、でも返ってくる答えに納得できなくて……。
「ヤンデレなら……、決して裏切らない。ずっと側にいてくれるんだ……」
そう願ってしまったんだ……。
叶って欲しい、そう願った願いは酷く醜く、穢らわしくて、だけど……縋るしか無かっただ……。
あの日願った願いは、自分の思いとは違う形で実現してしまった。
暗闇の中から意識を取り戻したと、身体は目が開いたことでそう認識している。けれど、視界に入ってくる景色は真っ暗闇で先程と変わらない。
ギイィィィっと、金属の擦れるような耳障りな高い音が耳に聞こえてくる。それ同時に暗闇に光が差し込んでくる事から扉か何かが開いたのだろう。
「とー君、目覚めた?」
光の差し込む方へ、慣れない目を動かして行くと。
「目が覚めたって……、お前俺の身体に何した……」
「何をしたって言われても……ちょっと薬打っただけだよ?」
目に光を灯さず狂気的な笑みを口元に浮かべながら、長く細い針から液体が滴る注射器を持った、
「花園、お前……」
「ふ、ふふふ……。アハハはハハハは……、どう、どうかな?ねぇ、とー君の望みの一つが叶った感想は」
部屋の明かりを付けて、改めて見えた花園を一点に睨む。
「感想も何も……」
近づく花園に抵抗しようと身体を動かそうとしたのだが、ピクリとも、手、足、頭、その他の関節という関節を曲げることすら出来ない。唯一動かせるのは、目と口。
「これね、筋肉が一定時間動かなくなるお薬なんだって……」
抵抗しようにも意識と身体がリンクしていない、まるでゲームでコントローラーを動かしているはずなのに画面のキャラは動いてくれない様な感覚。
「よいしょっと……、あぁ……とー君の匂いだ……」
抵抗することの出来ない仰向けの体制の俺に跨がり、すっと首筋辺りに顔を近づける。花園の身体と、俺の身体は重なり合うようで、花園の……吐息が……胸が……俺に当たる……。
「……っ!」
何かをする訳でもなく、ただ抱きつくようにしていた花園だったが、今度はゆっくりと俺の首筋を舌で舐めてきた。一回だけでは足りないようで、舐め取るようにザラザラと舌、その唾液のぬるっとした感覚と微熱が何度も行き来する。
「ねぇ……何で声だしてくれないの……」
何度目か行き来した時に、花園は首筋を舐めるのを止めて、腹の上で馬乗り状態で尋ねてきた。
「…………」
「黙ってたら理解らないよ……」
「…………」
「コタエテクレナインダ……じゃあ……ワタシカラコタエラレナイヨウニシテアゲル……」
「何をっつ……」
答えることはせずにただ黙って居たけれど、花園のその言葉にうっすらとした恐怖を憶えた。その迫り来る恐怖を尋ねようとすると……、
「…………」
「…………、っぱ。ねぇ、マダダシテクレナイノ」
その口を花園の口が塞いできたのだ。言うなれば〘キス〙だ。
〘キス〙と言ってもただ唇を重ねるだけではなく、俺の唇を割って入るように舌をねじ込ませて来た。息を付く暇を与えず、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も……、花園の舌が俺の舌に絡みつくように動かしてくるのだ。
互いの唾液が混ざり合うように、卑猥で、粘着するような音が部屋に響き渡る。ようやくの事で開放された時には、俺と花園の唇からつーっと一本の銀色に輝く唾液が伸びていた。
愛おしそうに花園はそれを見つめて、俺は息を吸い始めた次の時には、もう花園の唇で塞がれていた。息が出来なくて苦しい……、だけどそれ同時に頭を駆け巡る強い快感……。
「……っは、はぁはぁ。や、やめ……やめろ……」
時間なんて解らない、ただ一方的に貪られるように攻め続けられていたんだから。
「ヤットコエダシテクレタ……」
花園の執拗な攻めに耐えきれなくなって、開放されたその一瞬を狙って声を絞り上げたのだ。
「ねぇ、どうだった?私との〘キス〙……」
満足したような声、だけど目は未だに求めている様な表情で尋ねられて……、
「……い、……息が……出来ない」
必死に息を吸い込んで、今まで必要な時に取れなかった分必死に吸い込む。
「そんなに息荒くしてたら、これから保たないよ?」
「また……、まだ続けるのか……」
正直これ以上〘キス〙で口の中を貪り続けられるのは、気持ち悪い……。
「そうしたいけど、とー君が疲れてきたみたいだから」
俺から跨るの止めて、花園が出てきた扉らしき所に向かって歩いていく。
「少し休憩しようか。とー君の夕飯作っておいたんだ〜」
扉に手を掛けて、満面の笑みを浮かべてそう言ってくる。
一瞬、今花園が居ない間にこの場から逃げることを考えたが、
「あ、そうそう。とー君の身体ね、筋肉が動かないのと実は拘束してあるから。ベッドの足に繋がれた鎖で連結してある手錠と足枷、少しは動ける様に長く鎖を出してるけど……」
扉から此方へゆっくりと歩み寄る花園、その一歩近づく度に、また一歩近づく度に、頭の中で鳴り止まない警告音が響き始める。
「扉には届かない距離だからね……、それにね……。
ワタシノ許可無く外にでタラ……、とー君の〜大事な、大事な、白金燐子先輩の事……。
コロシチャウカラね……」
「っつ!」
「だから〜、この部屋から逃げようダナンて考えちゃ駄目だよ?
『花園ランドは来る者拒まず、花園ランドは去る者許さず』だから……。イイコニマッテテネ……」
耳元で最後の希望を踏みにじる事実と脅迫を残し、今度こそ花園は部屋から出ていった……。
「っく……」
自由に動かすことの出来ない身体で、絶望に歪んでいく心、恐怖に怯える心、先輩が殺されてしまう状況を作った後悔の心、ぐちゃぐちゃに混ざって、このままジッとして何か居られないのに……。
しかし、今の俺の身体にはまだ薬の効果が残っていて、切れたとしても拘束されている、八方塞がりの状況で心の中にただ黒い感情が溜まっていく一方だった。
「お待たせ〜…、って薬まだ効いてるの?」
暫くして花園は再びこの場に帰ってきた。その手には料理を載せたおぼんを持って居た。
「…………」
「ふ〜ん……またなんだ……」
答える気力は有るには有った、けれど今は……。
おぼんを一旦扉付近に置いて、花園だけがゆっくりと近づいてくる……。手に何かを持っている様子は無く、
「……俺を、俺を開放しろ……」
再び花園が俺の顔を覗き込もうとした瞬間に、力今出せる力を振り絞って花園を押し倒した。
「とー君……、嘘ツイタの……」
突然の事で驚いているようで、押し倒された花園は目を丸くしていた。
「あぁ……、嘘ついたよ……」
此処から出たい、一刻も早く……。だから少し前に薬が切れたのを好機と思い、手足に神経を集中させて無理矢理に動かして押し倒したのだ。俺だって男子高校生で、それなりには筋肉はある。だからそう簡単に俺を押しのけることは出来ないはず……。
「なぁ……、早くこの手錠を取ってくれ……」
花園の手首を掴みながら、そう言葉を続ける。
「嫌だよ?だって言ったでしょ、『花園ランドは来る者拒まず、花園ランドは去る者許さず』って。それに私に反抗していいの?」
目を丸くしていたのも一度で瞬きを終えた頃には、もう光のない真っ暗闇の瞳を持って笑顔でいた。
「私ね、とー君を手に入れるためなら何だって出来るよ?白金先輩だって殺せるし、ポピパの皆だって」
「お前…、自分のバンドメンバーまで……」
「だってとー君に、話しかけて良いのも、話して良いのも、触れられて良いのも、触れて良いのも、見られて良いのも、見て良いのも、一緒に歩いて良いのも、側に居て良いのも、ご飯を作って食べさせて良いのも、身の回りの事を管理して良いのも、とー君の全てを監視して良いのも……、とー君の名前を呼んで良いのも……。
私だけ、そうわたしだけ、他の誰でもない、花園ランドの盟主であるワタシダケダヨ?」
その笑みは酷く奇怪で、焦点のない瞳には俺の怯えた表情が映っていた。
「私は本気だよ?だって、とー君と私の花園ランドに他の雌は要らないでしょ?だって害悪だもん?」
「とー君ってね、何処までも、何処までも、真っ黒な瞳でさ、何にも無いんだよね。ただ一つの黒。でもさ、そんな綺麗な黒の瞳に、他の雌が映ったらどうなると思う?真っ黒な瞳がくすんで汚くなっちゃうんだよ……。
誰も信用していない、誰にも心を許さない、一点の黒。アノ女の所為で、汚れてしまったけど……。
今はその汚れすら見えない程に、私がとー君を好きに成ったあの時の目を、瞳で私を見てくれてるんだよ。
だから……ネ……。私がこのまま、『良いよ』って『逃がす』とオモッテタ……?」
その言葉に一瞬背筋に悪寒が走り、何がある、と部屋を見渡している空きに……、
「とー君、私『イイコニマッテテネ……』ってイッタヨネ⁉」
片方の腕の拘束を解いて、ポケットから有るものを取り出して俺から離れた。
「お前……」
近付こうと焦って立ち上がって手を伸ばしかけた。
「とー君、『ようこそ、花園ランドに』」
俺が見た中で花園は一番の笑顔を見せて、手に持った何かのスイッチらしきものを押したのだ。
この時、最初から抵抗しなければ、そう考えたのも時既に遅かった……。
「うっ、うわあぁっぁぁぁ……!!!!!!っふ、ふ……、ぐわあぁぁぁぁぁぁ」
「ね?言ったでしょ?『去る者許さず』、だから悪い、わるいとー君にオ・シ・オ・キ・ネ⁉」
眩む視界にとまった花園の笑顔は、猟奇的で、恐ろしいと本能が告げている中で、心の何処かではその笑顔が綺麗だと思えてしまう壊れた自分がいた。
「あれ?とー君もうダウン?」
手に持ったスイッチをポケットにしまって、膝から崩れ落ちた灯夜に声を掛けてみる。
「やっぱり威力強かったかな?ちょっとスタンガンの倍の威力流しただけなのに…」
金属製の手錠は確かにベッドの足に繋げられていて、切ることは用意ではない頑丈さを誇っている。それと同時に、この鎖とても伝導が早いのだ。何の為に伝導の早いのを使っているのかは、勿論灯夜を逃さない為である。
花園とて、自分が灯夜に反撃されてしまっては意味がないし勝ち目もない。実際に暴力を振るわないのは理解ってるけど。だけど、今回の様に動ける範囲で反撃をされてしまっては怖いので、電気を流せるようにしておいたのだ。
「薬の効果が切れて、少しは身体を休めなきゃいけないのにね……。とー君が無駄な事するから」
気絶したとー君をベッドに運んで、もう一度寝かせる。折角作ってきたご飯、冷めちゃうな……。
「でも……」
愛情たっぷりのご飯を食べてもらえないのは、本当に悲しいけど……。
「とー君はこれからずっと……花園ランドの住人だね」
今まだ慣れないかもしれないけど、これから時間はたっぷりある。逃さない、もう何処にもね。
だから……、
「……、大好き」
あの日動いた時間はね、灯夜がアノ女と付き合ったせいで止まってたんだ。でも、もう時計の針は止まらない。
「やっと……やっと……私だけの、ワタシダケノ灯夜だ……」
兎は女王様の命令で時間を気にして走っていたけど、もう時間なんてどうでも良いよね……。
私の家の小さな地下室は今日から私の
前回は200人突破記念と出したのに、まさか急に減るだなんて……。
ちょっと苦しかったです……。
まぁ、その後徐々に増えているので、改めまして、
200人突破の祝福会です(病みしかない)。
評価、お気に入り登録等で、作者は元気を貰って執筆を続けています。
これからたえの病み、それに燐子の行動にも注目の程お願い申し上げます。
今回もご閲覧していただきありがとうございました。
感想、評価お待ちしています。