ヤンデレに愛されたいと思う今日この頃……   作:龍宮院奏

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ヤンデレ回というより、ゲーム回です。


Third,ヤンデレ

 NFOをやり始めたきっかけは、『ゲームが好きだから』、『仲間と冒険がしたい』みたいなものじゃない。単純に『キャラメイク機能が充実してた』から、それだけの理由だ。NFOが配信された時が、俺がヤンデレを好きになる要因の一つがあった時だったのだ。

 

 自分自信が嫌い、

 だから『自分じゃない誰かを作れば……作れば救われる』と思ったからだ。

 

 現在NFOを楽しんでいる人からしたら、大変無礼極まりない理由だ。

 

RinRin:「あの、狼牙《ろうが》さんですよね?」

 

聖堕天使あこ:「RinRin?この人なの、今日話してくれた『すごい人』なの?」

 

 パソコンの画面には、長い黒髪を持ち、絵本などで描かれる悪い魔女が被っていそうな帽子を身に着けた、ウィザード・RinRinさん、ツインテールで、骸骨などの装飾をしたネクロマンサー・聖堕天使あこさん、金髪で紅い瞳の持ち、紅いドレスに黒のフリルのゴシックドレスを着た幼女がいた。

 身長的には、上からRinRin、聖堕天使あこ、狼牙の順番。 

 

狼牙:「はじめまして、狼牙です!よろしくです!」

お辞儀のモーションを取る。

 

 すると携帯が着信を受け、小刻みに動き出す。

『谷崎くんのアバターの名前、《狼牙》であってますよね?』

余程心配だったのか……。白金先輩、リアルの方に確認してくるとは。

 

 パソコンの画面を写真に撮り、

『”男性”のアバターを使っていなくてすみません……』

写真と共に”男性”というキーワードを強調した、少しだけ意地悪なメッセージを添えて返した。

 

『す、すみません』

『何かイメージと違ったので』

返信のメッセージを送ると同時に既読が付き、すぐさま謝罪の返事がやって来た。

 

『まぁ、それが普通の反応ですよね』

携帯で白金先輩とやり取りをしていると、あこさん?が、

 

聖堕天使あこ:「二人共、さっきから固まってるけど?」

チャットで話しかけてきていた。

 

狼牙:「あ、すみません。少しばかり、お花を摘みに行ってました」

 

聖堕天使あこ:「そうなの?良かった……。あこが失礼なこと言って、怒っちゃったのかと

        思った」

悲しそうな顔のモーションを取る。

 

狼牙:「そんな失礼だなんて。私は『弱小ロリ野郎』とか『痛ロリ』と言われない限り失礼

    とは思わないので」

すかさず、簡単なフォローを入れる。

 

RinRin:「狼牙さん、それはどうなんですか……」

頭のこめかみを押えて頭を横に振るモーションをする。

 

狼牙:「冗談ですよ、それで今日は何をするんですか?」

立ち話をしているのも良いのだけれど、せっかく先輩が誘ってくれたのだから遊んでみたい。

 

RinRin:「今回はイベントボスの討伐をしたいと思います」

RinRinさんが誘ってくれた訳を話す。

 

聖堕天使あこ:「あこ達だけだと、倒せるか不安だったの」

 

狼牙:「イベントボスですか……」

 

 今回のイベントボスは確か莫大な金貨の報酬と、通常のイベントボスの三倍の経験値が貰えるという。

 

狼牙:「構いませんよ。どこかの大きなパーティに傭兵で参加する気でいましたから」

倒したパーティに居て、生きていれば経験値が貰えるのだから。今回は楽に《聖職者》のレベルを上げられると思っていたが……、まさか自分で戦うことになるだなんて……。

 

聖堕天使あこ:「そうなんだ。じゃあ、狼牙さんは傭兵で戦うこと多いの?」

 

狼牙:「多いですよ?この見た目なので、割と皆さん頼めばイチコロです」

親指を立ててるモーションを取る。

 

RinRin:「そ、そうなんですね……」

 

聖堕天使あこ:「狼牙さん……、だいたん……」

思い切り二人に引かれた。

 

狼牙:「まぁ……本当にイベントの時だけで……後はソロで戦ってますけど……」

引かれっぱなしも辛いので、弁解を試みる。

 

聖堕天使あこ:「やっぱり強いんだ!狼牙さん!」

 

狼牙:「強くないですよ、私なんか全然ですよ……」

褒めなれていないので、あこさんの言葉を素直に受け止められない。

 

狼牙:「でも、呼んでくれたからには仕事は果たしますよ」

 

RinRin:「よろしくお願いします、狼牙さん」

微笑むRinRinさん。

 

 こうしてメンバーの自己紹介が終わり、イベントボスの居るフィールドに移動し戦闘が始まった。RinRinさんとあこさんがメインで攻撃を担当し、後方で俺が《聖職者》に変身して回復を担当した。

 最初は中々ダメージが入らないと苦戦していたが、二人は長年パートナーでこのゲームを遊んでいたようで、抜群のコンビネーションでボスにダメージを与えていた。途中で二人のライフゲージが半分に近づく頃合いを見て、適宜回復をしていった。

 

「本当に、この二人のコンビネーション息ぴったりだな……」

画面に映る二人のアバターを見ながら、頬杖をついて傍観者気取りで眺めていた。

 眺めていたが……、

 

RinRin:「あこちゃん、危ない!」

 

 RinRinさんが防げなかったボスの特殊攻撃が、あこさんに向かっていたのだ。しかしあこさんは、それに気づくのが遅れ防御をするも間に合うかギリギリの状態であった。

 

狼牙:「はぁ……、今回はこのまま可愛くいたかったな……」

狼牙さんがチャットでそう呟くと、あこちゃんのアバターはボスの攻撃の光に飲まれてしまった。

 

RinRin:「あ、あこちゃん!」

思わずアバターでも、リアルでも叫んでしまった。私のせいで……、あこちゃんが……。後悔が心にどっと押し寄せる中、チャットに一言ぽつんと書かれていた。

 

?:「この姿にさせたのだ……、報酬は高く貰うぞ……」

 

 誰のメッセージなのか、一瞬解らなかったけど……。

 

聖堕天使あこ:「ろ、狼牙さん……」

あこちゃんがメッセージを呟いていたのだ。

 

 一先ずあこちゃんが無事だったことに安堵したが、あこちゃんと同じく、

RinRin:「ろ、狼牙さん……」

その姿に驚き、ただ名前で呼ぶことしか出来なかった。

 

 何故なら……、あこちゃんのアバターの前に全身鎧のアバターが立っていたのだから。

 

 面倒なことをしてしまった、そう後悔をするも時既に遅く体は動いていた。

?:「このクソボスが……、我の出番は無かったはずなんだ……」

あこさんを守るために《聖職者》では防御力が足りなかった。だから、変身したのだ……。

 

             セイバー

狼牙・剣:「我が名は狼牙・ 剣 。クソボス、それがお前を討ち取る戦士の名だ」

 

 

 全身を包む紅の鎧、そして紅の剣を携えた『大剣使い・セイバー』に。

 紅の剣を鞘から引き抜き、高速でコマンドを打ち込む。『大剣使い・セイバー』のみに使える最大奥義、

「喰らえ!〘エクスカリバー〙!」

目標とする相手一体に向けて『回避不可』『防御不可』『魔法回避不可』『魔法防御不可』『特殊性質防御不可』を持つ、巨大な光の剣のひと振りを浴びせた。四方八方に伸びてゆく光が、ボスの体を斬り裂き、光の中へと飲み込んだ。

 

狼牙:「……ふぅ。終わりましたよ〜!報酬早く回収しましょう!」

変身が切れ、元の姿に戻りドロップアイテムを回収する。

 

狼牙:「あれ?どうかしました?そんな所で固まって?」

二人が先程から動かないのだけれど……、もしかして失敗した……。俺がさっき『大剣使い・セイバー』になって、ボスを一撃で倒したせいで……。

 失敗した……、失敗した……、失敗した……。出しゃばったせいで、二人の活躍の場を奪ったんだ……。白金先輩に誘って貰えて、何とかやっていたけれど……。どうしよう……、急速に後悔念が頭を駆け巡り、二人の反応が怖くなり徐々に呼吸が早くなる。キーボードを叩く手が指から震えだし、手全体に震えが広がっていく。

 震える手で、「ごめんなさい」と打ち込んでいると、

 

聖堕天使あこ:「狼牙さん、さっきは助けてくれてありがとうございます!」

満面の笑顔で、あこさんがお礼のコメントがやって来た。

 

RinRin:「さっきはあこちゃんを助けてくれてありがとう。狼牙さん、カッコ良かったですよ」

優しく微笑むRinRinさん。

 

「怒ってなかった……」

二人が怒ってないことに気づき、安心して大きく背伸びをする。

 

RinRin:「あれが『フェイカー』の力なんですね」

 

狼牙:「本物の『大剣使い・セイバー』さんの〘エクスカリバー〙に比べたら全然ですよ」

本物はボスを討ち滅ぼし、周りのフィールドを消し飛ばすんだから……。流石我らの飯お……、ごめんなさい……。

 

聖堕天使あこ:「え!狼牙さんって、『フェイカー』なんですか!?」

 

狼牙:「そうですよ?RinRinさんから聞いてませんか?」

 

聖堕天使あこ:「聞いてないよ、ただ『すごい人』としか言われなかったから。

        今、ものすごくビックリしてる!」

 

狼牙:「へぇ……、聞いてないんですか……。私はてっきり話してくれているものだと……」

無言の圧をかもし出して、一歩一歩RinRinさんに詰め寄る。『暗殺者・アサシン』の職業レベルもカンストしているのだ、だから例え『死霊術師・ネクロマンサー』の状態でも幾らかは動きに自身があるんですよ……。

 

『あこちゃんには、言わないほうが盛り上がるかなって……』

『ごめんね、谷崎くん』

チャットではなく、携帯の方に着信がすぐさま送られてきた。テヘって……、くまのスタンプ……。可愛い……。

 思わず、先輩の『テヘっ』カウンターに少しばかり心を揺さぶられ、キーボードを叩けなくなってしまった。

 

狼牙:「知らないでいたのなら、それで良いですよ」

   

 

狼牙:「だって、『フェイカー』のこと好きじゃないですよね……」

 

 

聖堕天使あこ:「えっ?」

RinRin:「えっ?」

 

狼牙:「いえ、今までの傭兵プレイの際に、『フェイカー』を名乗るとあまり良い顔はされなかったので……」

 

聖堕天使あこ:「あこは嫌いじゃないよ?」

 

 初めて言われた……、『フェイカー』を嫌いじゃないって……。

 

聖堕天使あこ:「あこには、何で狼牙さんを嫌いになるのかがわからない。

        だって、こんなにかっこよくて良い人なのに」

 

狼牙:「……良い人」

何を言ってるんだ、この言葉が頭の中でまず浮かんできた。

 

聖堕天使あこ:「だって、自分の身を挺してあこを助けてくれたんだもん。

        自分のアバターを犠牲にしてまでそんな風にしてくれたの、

        RinRin以外に狼牙さんだけだよ」

 

狼牙:「……」

 

聖堕天使あこ:「だから狼牙さんはとっても良い人だと思うよ」

 

 いつ以来だろう……、誰かにこんな言葉を言われたのは……。

 

狼牙:「すみません、今日はもう落ちます」

どうしたら良いのか、どう言葉を返せば良いのか……。今の俺には、はっきりとした答えが見当たらず、その場から逃げてしまった。

 

「俺が良い人か……」

ベッドに横になり、あこさんの言葉を思い返す。空をきるように、手を何もない天井に伸ばす。

 

「俺は……」

 

 

聖堕天使あこ:「狼牙さん……」

あこちゃんが〘狼牙〙・〘谷崎くん〙に言葉を投げかけた途端に、彼はゲームをログアウトしてしまった。

 フィールドに二人残された私とあこちゃんは、ただ立ち尽くしていた。

 

聖堕天使あこ:「ねぇ、RinRin……。狼牙さんどうしたのかな……」

沈黙を破るように、突然ログアウトしてしまった〘狼牙〙・〘谷崎くん〙の事について話す。

 

RinRin:「分からないけど……、あこちゃんは悪くないよ」

 

聖堕天使あこ:「でも、あこがさっき『良い人』って言った直後に……」

 

RinRin:「きっと言われなれてない言葉で、どう答えて良いのか解らなかったんだと思う」

気休めにもならないかもしれないけど、あこちゃんは悪くない事を話す。

 

RinRin:「『フェイカー』ってさ、このゲームでは異質な職業扱いでしょ」

 

聖堕天使あこ:「うん……、ネットの掲示板でもあんまり良いコメントが無かった……」

 

RinRin:「そのせいできっと、今まで傭兵としたパーティーで色んなことを言われ続けたん

     だと思うの……」

 

聖堕天使あこ:「いい顔されないって言ってた……」

 

RinRin:「だから狼牙さんの中では、ビックリしちゃったんだよ」

 

聖堕天使あこ:「ビックリ……?」

 

RinRin:「そう、ビックリ。だから、あこちゃんが悪いことを言って、狼牙さんを傷つけた訳じゃないと思うから」

 

聖堕天使あこ:「なら……、また一緒に遊んでくれるかな……?」

 

RinRin:「きっと一緒に遊んでくれると思うよ、だって『良い人』なんでしょ?」

諭すように、あこちゃんに同じ言葉を投げかける。

 

聖堕天使あこ:「そうだよね……、そうだよね!」

元気を取り戻す、あこちゃん。

 

聖堕天使あこ:「狼牙さん、またあこ達と遊んでくれるよね?」

 

RinRin:「きっと遊んでくれるよ。だって、《良い人》でしょ」

 

聖堕天使あこ:「うん!狼牙さんは、強くて、優しくてカッコいい人!」

 

RinRin:「あこちゃん、きっと今の狼牙さんに言ったら、顔真っ赤にしてるよ」

あこちゃんの《狼牙》への不安を拭い去り、二人で残されたアイテムを回収して解散となった。

 解散の時に、『また三人で遊びたい』と言っていたので、また明日お昼ご飯の時に聞いてみよう。谷崎くんとの初の共同プレイ、あんまり二人でペアらしい事は出来なかったけど……。

 

「ゆっくり……時間を掛けてね……」

どんなボス戦でも、時間が掛かろうと攻略した時の達成感はライブの達成感と同じ位に気持ちい。それと同じで、時間を掛けて自分の物したほうが……より一層……。




お久しぶりです。
久しぶりに原稿を書いていたので、すこし変な感じがしてしまいました……。
実は私、オンラインのゲーム?ネットのRPGとか?やったことが無いので、
もしこの小説を読んでいる人で、『実際のネトゲ(言い方あってます?)と違う!』
と思いましたら、ごめんなさい……。
また次回をお楽しみにしててください。
今回もご閲覧ありがとうございました。
感想などお待ちしております。
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