ヤンデレに愛されたいと思う今日この頃……   作:龍宮院奏

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お気に入り登録100人突破ありがとうございます。
少し遅くなりましたが、100人突破記念話を書きます。
今回は割と長めです。


Sixth,ヤンデレ

「何でこうなったんだろう……」

心の呟きが思わず言葉に出てしまう。

「りんりん、ごめんね……」

私の不安げな顔を見て、責任を感じてしまったのかあこちゃんが謝ってきた。

「ち、違うよ…、あこちゃんは悪くないよ……」

そう、悪いのは私なの……。私があの時にちゃんと断っていれば……。

 

「それで貴方は一体燐子とどういう関係で?」

 

「それでうちの燐子とはどう一体関係なのかな?」

 

「それで白金さんとはどういうご関係でなのですか?」

 

 谷崎君が皆から、質問攻めに合わなくて済んだのに……。

 

 事の発端は昨日の練習終わりに遡ります。

「今日はここまでにするは…」

私が所属するバンド・Roseliaの練習が終わり、湊さんが宣言する。

「今日も疲れた〜……」

「お疲れ様、あこちゃん」

「ありがとう、りんりん」

ドラムセットの椅子で背中を仰け反らして倒れそうになる。そんなあこちゃんに、タオルとドリンクを渡して倒れないようにフォローしておく。

 あこちゃんが水分補給をしている間に機材を片付けていると、

「白金さん、今日も調子良かったですよ」

「あ、ありがとうございます」

紗夜さんに演奏を褒められた。

「あれ?紗夜が褒めるなんて珍しいね」

今井さんが紗夜さんの言葉を聞いて、口角を上げて口元を手で押さえて見つめる。

「べ、別に私だって褒めることだってあります」

からかいに頬を赤く染めて反論する。

「でも、最近燐子の演奏が格段に上手くなってるよね」

「今井さんまで…」

「あこもそう思う!ここ最近りんりんのキーボードの音がいつにもまして綺麗だよ」

「あこちゃん…」

そんな急に褒めないで…。

「あ〜、燐子顔真っ赤だよ」

私の顔を覗き込んで笑う今井さん。

「リサとあこが言うように、最近演奏が素晴らしいわ」

まさかの湊までに褒められてしまった。

 

「友希那が褒めた…」

 

「友希那さんが褒めた…」

 

「ちょっと、何よその反応?紗夜と同じじゃない」

今井さんとあこちゃんの反応に不服だったようで、拗ねるて顔を背ける友希那さん。

「でも、友希那が褒めるってことは、やっぱりそれだけ調子良いんだ」

何故か先程から笑みが絶えない今井さんだが。

 

「ねぇ燐子?最近何かあったの?」

 

「え、えっと…。な、何も無いですよ…」

やましい理由も無いのだが、ふと目線を下に向ける。

 

 この僅かな動きを見逃さなかったのが、

 

「りんりん、何か隠してない?」

 

「そ、そんな事無いよ」

ずっと側にいるあこちゃんだった。もう、気づくのが早すぎだよ。

 

「リサ姉、絶対何か隠してる」

 

「うん、絶対何か隠してる」

どうしよう…、今井さんの顔が笑顔だけど、今はその笑顔が怖い…。

 

「ねぇ、燐子。知ってる?」

ゆっくりと詰めるように近づき、

 

「急に女の子が変わるのって〜、好きな人が出来た時が多いんだって〜」

 

「なっ…」

 

「「「えっ!!!」」」

 

「もしかして好きな人でも出来たの?」

 

「「「嘘!!!」」」

予想を裏切らない、今井さんらしい質問がやって来た。

 

「りんりん…、す、好きな、ひ、人が、い、居るの?」

 

「し、白金さん…、あ、貴女…」

 

「燐子が……」

何か盛大な誤解が生まれて居るんですけど…。

 

「ち、違います…。す、好きな人なんて…」

誤解を解くためにしっかりと否定をする。続けて、

 

「調子が良いのは……、最近お友達が出来たので……」

ちゃんと理由を話す。

 

「りんりんにお友達!」

 

「人見知りの燐子が友達!」

 

「白金さんが友達を!」

 

「貴女が私達の知り合い以外の友達を!」

あの…皆さんは私にどういったイメージを……。確かに人見知りで、皆さん以外には他のバンドの皆さん以外に居ませんけど……。

 

「これはお祝いすべき?」

あれ?

 

「そうだよ、りんりんの人見知りの克服に一歩前進したんだから」

あれあれ?

 

「そうですね、白金さんの苦手克服は素晴らしいことです」

あれあれあれ?

 

「仲間の成長を祝うのは必要ね」

あれあれあれあれ?

 

「それじゃ、明日は『燐子、人見知りの克服を一歩前進のお祝い』をしよう」

 

「「「お〜!」」」

 

「えっと、あの〜……」

 

「それと折角だから、ショッピンモールに行こうよ。あそこに美味しいケーキのお店あるから」

 

「あこ、ショッピンモールで見たいお店があるんだけど」

 

「じゃあ、それも見ようか」

 

「では、明日はモールに集合ですね」

 

「みんな、明日は絶対時間に遅れないように」

 

「「「はい!」」」

何でか、私のお祝いに成っているんですが……。それと、私のお祝うなら私の意見を聞いて下さいよ……。

 結局、今井さんの独断に乗ってしまったあこちゃん、紗夜さん、友希那さんの勢いに押し切られ行くことになりました。

 

 翌日、待ち合わせ場所のショッピンモールに行くのに、あこちゃんと待ち合わせをして行きました。一人で行くのには、人混みが多くて……。

 時間には余裕を持って着いたつもりだったのですが、

「おはようございます、白金さん、宇田川さん」

すでに紗夜さんが待っていました。

「おはようございます…」

「おはようございます、紗夜さん」

私もあこちゃんも挨拶をしていると、

「あ、みんな来てるじゃん」

「待たせてしまったかしら」

今井さんと湊さんがやって来た。

「私達も今来たところです」

紗夜さんが颯爽と答えると、

 

「それじゃあ、今日は燐子の苦手克服一歩前進&お友達ができた記念のお祝いを開催します〜!」

 

「「「お〜(ぱちぱち)」」」

あの地味に拍手するのやめて下さい……、何か恥ずかしいです……。

 

 今井さんの先導の元、まずやって来たのは……、

「今井さん……」

お店の中を見て思わず尋ねてしまう。

「どうしたの燐子?」

「何でここなんですか……」

「え、せっかくみんなで来たから、色々見たいし。それに衣装のレパートリーも増えるかなって?」

「だとしても……」

「とりあえず、ほら行くよ」

少し強引ですけど、腕を引かれてお店の中に入っていきました……。そうです…、洋服屋さんです…。

 別に洋服を見ることに興味が無いということは無いんですが……、店員さんがグイグイ来るのが苦手で……。今井さんとあこちゃんが楽しいそうに洋服を眺めて、紗夜さんは店員さんと何かを話していた。

 

「あの燐子……」

 

「は、はい…」

友希那さんは今井さんと洋服を見に行くかと思ったのけど、

 

「私、あまりこういうお店に来たことが無くて……」

やっぱり友希那さんも緊張して、

 

「店員さんに勧められて試着して見たのだけれど……」

予想を斜めにいく行動をしていました。まさか、すでに試着してそのまま来たという。えっと……、感想を言えば良いのかな?

 

「とっても似合ってますよ…」

 

「そう…、燐子が言うなら…。リサ達にも見せてくるわ」

 

「あ、友希那さん」

引き留めようとしたけれど、聞こえてないのか行ってしまった……。

 その後、今井さん達に褒められに褒めれ、『友希那、値札が見えてるよ!』と着ていた服から値札が徐に見えてしまっていた事で焦っていました。だから引き止めようとしたのに……。

 

 洋服を今井さんと友希那さんが買ったところで、今度はあこちゃんが行きたいと行っていたお店にやって来ました。

「あこちゃん、もしかして……」

再びやって来たお店の前で立ち尽くしてしまいましたが、今度は驚きでまじまじと見てしまいました。

「そうだよ、今日ここでNFOのコラボイベントがあるってサイトであったから、本当はあこが誘って行こうとしたんだけど……」

そう言えば、運営のサイトに『コラボイベント開催中、限定グッズ発売!』って書いてあった。

「ほら、りんりん行こう!」

「う、うん」

NFOが大好きな二人だからこそ、こういうお店に来るのは凄く楽しい。それにしても、自分の身の周りのお店でやってるところがあるだなんて。

 中を見てみると、モンスターの縫いぐるみやキーホルダー。各職業をイメージしたデザインのアパレルグッズが販売されいた。私の《魔法使い・ウィザード》は水晶のアクセサリー、あこちゃんの《死霊術使い・ネクロマンサー》は骸骨の指輪とコウモリのヘアーアクセサリーだった。

 

「あれ?あこちゃん?」

色んなコラボ商品に目移りしていて、一緒に居たはずのあこちゃんを見失ってしまった。店内はそこまで広くないので、ゆっくりと歩きながら探していると、

 

「あ、あこちゃん…」

少し高い棚にある《死霊術使い・ネクロマンサー》のコラボ商品のコウモリの縫いぐるみを取ろうと背伸びしていた。中々取れずに居るので、取ってあげようと近づいていくと、

 

「これで良いのか?」

黒いパーカーの男の人が棚から一つ縫いぐるみを取ってあこちゃんに渡しました。

 

「あ、ありがとう」

突然のことで驚いているのか、あこちゃんも何時もより落ちつた様子でお礼を言う。

 

「おう……」

お礼を聞くとその場からこちらへ歩いて来たので、どんな人なのかふと気になって横切る時に顔を伺う。

 

「た、谷崎君?」

 

「え……、し、白金先輩……」

思わず声が出てしまい、ふいに名前を呼んでしまった。そして彼も名前を呼ばれて、驚いた様子で振り返る。

 

「な……、何で……」

すごい驚かれているんだけど、でも私もすごいビックリしているんだけど……。

 

「あ、りんりん」

固まる私と谷崎くんの元にあこちゃんが縫いぐるみを抱えてやって来た。

 

「あれ?さっき縫いぐるみを取ってくれた人だ」

やって来たあこちゃんを見ると、

「白金先輩の知り合いですか?」

「えっと…うん、同じバンドの子……」

関係を聞いてきたのでざっくりと答える。

「先輩、バンドやってるんですね……」

「うん……」

お互いにこんな所で合うだなんて思っても居なかったので、会話に詰まる。

「ぼ、僕は買い物済んだので……」

詰まる空気に終止符を打ったの谷崎君だったけど、もう帰ってしまうのか……。せっかく会えたのに……、心で密かに思いながら谷崎君を見送ろうとすると。

 

「燐子とあこ、ここに居たか〜」

 

「い、今井さん……」

私達を探し回っていたのか、少し息が荒くなっていた。

 

「もう、二人共どんどん先に行っちゃうから……」

私とあこちゃんに向けられていた視線が少しづつ動いて居る気がし……!

 

「ねぇねぇ?この子は一体何かな〜?」

口元を緩めながら、谷崎君を指さして聞いてきた。

 

「えっと…、その…」

解答するのに戸惑っていると、

 

「あこが欲しかった縫いぐるみを取ってくれた、りんりんの知り合いだよ!」

あこちゃんが私よりも先に答えてしまった。別に答えても良かったのだけど、

 

「へぇ〜……、燐子の……」

今井さんの目が次第に細くなっていく。谷崎君も今井さんに見つめられて、緊張しているのか直立不動で動こうとしません。

 

「あ、リサ達ここに居たのね」

 

「ようやく見つけました……」

手に商品購入の目印の袋を下げた、友希那さんと、紗夜さんがやって来てしまった……。二人も私とあこちゃん、それに今井さん以外にいる、彼に視線が自然と向かい。

 

「「貴方(は)、何者(ですか)?」」

即座に質問をしていた。

 

「えっと……」

谷崎君が口を開こうとすると、

 

「何かこの子、燐子知り合いだって…」

 

「「嘘!」」

今井さんが封じ込めるように情報を伝え、聞いた直後に私と谷崎君を目で行ったり来たりを始める。

 

「じゃあ白金先輩また……」

想定外の事態に固まっていた谷崎君だったが、ようやく動き出し店を出ようとする。それを今井さんが、

 

「ねぇ?」

 

「はっ、はい…」

 

「折角だから、私達とお茶しない?」

 

「え?」

今井さんの突然の提案に驚いているが、間髪入れずに。

 

「燐子もこの子が居るほうが良いよね?」

 

「えっと……、その……」

 

私に質問してくるので、思わず。

 

「はい」

ときっぱり言ってしまったのだ。

 

 そして今現在に至るわけなんだけど……。

 

「同じ学校の先輩と後輩という関係なだけですけど……」

突然先輩の知り合いからお茶に誘われて、カフェでこうやって話(事情聴取)を聞かれているわけだけど……。目の前の三人の視線がどうにも怖い、隣に座る先輩は固まってるし、もう片方の隣に座る先輩?は見つめてくるだけだし……。

 

「ねぇ燐子?本当に?」

初対面で信用無いのは分かるけど、ここまで無いのは辛い……。

 

「ほ、本当です」

白金先輩が僕の身の潔白を証明しようと頑張っているが……、どうにも上手くいきそうにない。

 重い空気に耐えきれず、自分で頼んだアイスコーヒを飲む。そのままでは苦いので、ガムシロップとミルクを入れて、氷がカラカラと音を立てながらかき混ぜる。コーヒーと飲んで少し落ち着いた所で、

 

「そう言えば、名前聞いていなかったけど。何て言うの?」

名字しか聞いていなかったのを思い出したのか、名前を聞いてきた。

 

「灯夜です、谷崎灯夜。灯籠の灯に、月夜の夜です」

 

「灯夜って言うんだ」

 

名前を聞くと、もう一つ思い出したようで。

 

「私も自己紹介してなかったね、私は今井リサ。燐子と同い年だから、気軽にリサ先輩って呼んでね」

 

「は、はぁ……」

最初から思っていたけど、このリサ先輩見た目はギャルなのに凄い優しい……。

 

「それでこっちが」

 

「湊友希那よ、私も燐子とは同い年よ」

 

「あ、はい……」

湊先輩は何と言うか、綺麗だけど近寄りがたいタイプだな。

 

「そして」

 

「氷川紗夜です、貴方とは一応同じ学校なのだけれど」

 

「え、そ、そうなんですか……」

氷川先輩が同じ学校の先輩なんだ、でも見たこと無い……。

 

「すみません、見たことないです……」

 

「あの門の前に居る風紀委員なんですけど……」

なんか徐にがっかりされているんだけど、でも本当に見たこと無いし。

 

「そして最後に」

 

「りんりんの大親友、大魔王宇田川あこなり!」

盛大な自己紹介をする宇田川先輩?みんなよりも言い方失礼だけど、背は低い……。

 

「あこちゃんは、高校一年生だから谷崎君の後輩だよ」

心を呼んだのか、白金先輩からの的確な情報がやって来た。

 

「わかりました……」

自分より年下が居て、先輩ばかりじゃなくて安心はしたけれど……。

「あのあこさんだっけ……」

「あこで良いよ、灯兄のほうが歳上なんだから」

「あ、うん……」

早速のあだ名?灯兄?俺の名前が灯夜だからなのか……。それはそれとしてだ。

「何でそんな見つめてくるの……」

連れてこられてからずっと、ずっとあこからの視線が飛んできているのだ。

「だって、人見知りのりんりんのお友達って言うから気になって」

何だ、そうい事か。それもそうか、あこや他の先輩方は同じバンドのメンバーで白金先輩の事をよく知っているのだから、こうして驚くのも無理もないのだろう。

「灯兄もさっきあのお店に居たけど、NFOってやってるの?」

視線が持っていた袋の方へと向かっていく。

「まぁ、多少は……」

「谷崎君、かなりNFOをやりこんでるんだよ」

「ちょ、白金先輩……」

楽しそうに笑みを浮かべながら、人のNFO歴をばらそうとしてきた。さっきまであんまり喋ろうとしなかったのに、

「そうなの!何の職業!レベルは!」

白金先輩の言葉に火を付けられてしまったようで、さらに見つめる視線が輝いている。

 

「えっと……『死霊術使い・ネクロマンサー』」

 

「あこと同じ職業だ!」

 

「レベルはカンストしてます……」

 

「「「「え?」」」」

この事実を知っている白金先輩はクスっと笑みを浮かべ、知らないあこと先輩方からは驚きの声が上がる。

 

「ちなみに今の職業は『フェイカー』です……」

 

「嘘!」

あこから盛大に驚きの声と共に、座っていた席を立ち始める。

 

「灯兄……、本当なの? だって、『フェイカー』って……」

「そうだよ、何か一つの職業のレベルをカンストさせなくちゃいけない」

「凄すぎ……、凄すぎだよ!あこだってもう少しでレベルはカンストするけど、灯兄凄い!」

同じ職業でプレイしていることもあり、共感してくれながら凄いって言ってくれるのが嬉しい……。

「今度、一緒にNFOの中で遊ぼうよ」

あこからのお誘いが来たところで、白金先輩がとんでもない爆弾を投下してきた。

 

「あこちゃん、あこちゃんと谷崎君は一回一緒に遊んでるよ?」

 

「「嘘(ですよね)!?」」

 

「谷崎君、あこちゃんの名前に聞き覚えない?」

あこの名前?名前……、名前……。

 

「あ、最近先輩と一緒に遊んだ時の『聖堕天使あこ』って人と名前がいっ……」

まさか、あの人と名前が似ているだけでは……。そう願いながら、あこの方に視線を向けると……。

 

「それ、あこのアバターの名前……」

同一人物でした。

 

「それじゃあ、もしかして……『狼牙』さん?」

俺が『聖堕天使あこ』の事を思い出したように、あこも俺のアバター『狼牙』を覚えていた。

「あの金髪で紅い瞳の幼女の『狼牙』さんが、灯兄……」

俺がネトゲでネカマしてることがバレました。何で俺のキャラの設定バラしちゃうのさ!無言で先輩方から冷たい視線が飛んでくるんだけど。

 そうですよ、リアル世界では黒髪に、真っ黒な瞳の身長割と高めの高校生だけど、ゲームの世界では金髪で紅い瞳の幼女ですよ。悪いですか!

 

「そうです……、谷崎灯夜こと『狼牙』です……」

バレてしまったことは仕方がないので、コーヒーを飲み干し声たからかに名乗り出る。

 

「良いじゃないですか……、ネトゲくらい好きなキャラクターにして……」

半ば逆ギレ状態で、けどそこまで言い切れる気力もなく段々と声が小さくなる。

 

「別に何も言ってないじゃないですか」

氷川先輩だっけ?先輩、言葉で言わなくても目が語ってくれてますから。

 

「でも、灯兄のアバター凄く可愛いよ」

あこが横からフォーローをしてくれる。

 

「どんな感じなの?谷崎君のアバター」

今井先輩が興味津々に聞いてきたので、カバンからスマホを取り出しアバターだけの写真を見せる。

 

「これが僕のアバターです、少し前のイベントの時の」

期間限定イベントで一人でやるのが大変だったので、傭兵として参加した時の衣装だが。

 

「こ、これが谷崎君のアバター……」

そうですよね、普通の反応ですよ。そりゃひき、

 

「可愛いじゃん!というか、本当にこれ君のアバター!」

引かれて無い?

 

「あら、案外綺麗なものじゃない」

 

「本当に、これを貴方が?」

今井先輩の後に続き、湊先輩と氷川先輩が写真を見て感想を述べてくれた。

 

「えっとまぁ、はい。一人でコツコツとアイテムを買い集めて……」

「これだけ集めるなら、そりゃレベルもカンストしそうだね……」

写真の中の『狼牙』を改めて見ながら、うんうんと頷く今井先輩。でも何故か、心の何処かが痛むような気がしたが気にしないでいこう……。

 話をしていると、何時の間にか時間も進んでお昼時に成っていた。これを好機に、帰らせて貰おうかな……。

 

「あ、そういえばお昼まだだったよね?」

今井先輩が、心を読んだのか時計を見ながら言うと、

 

「そう言えば、そうですね……」

氷川先輩もスマホを取り出して確認し始めた。

 

「このままお昼にしてもいいんじゃないの?」

湊先輩!ちょっ、俺の退路を塞がないで!

 

「あこもお腹空いてきた〜」

ねぇ、あこもなの?君も僕の退路を塞ぐのかい?

 

「じゃあ、今からお昼にしよっか」

今井先輩が、完全に俺の退路を塞いだのでいわば『GAME OVER』状態だ。

 項垂れたり、あからさまな嫌悪は示さないようにするが、やっぱり帰りた。

 

「あ、あの…、大丈夫ですか?さっきから反応が良くないので…」

白金先輩が、上着の裾の所をくいくいと引っ張りながら小さくか細い声で尋ねてきた。卑怯なのはこの上ないのだけど、追い打ちをかけるように上目遣いを……。

 

「先輩……」

今日は何処までも、何処までも上手くいかないようだ……。慣れないことはしない、自分らしくないことはしない、今日俺が学んだ教訓だ。

 

「はぁ……、何食べますか?先輩は?」

中々返事の帰ってこない事を心配していたようで、返事をした時白金先輩が……。

 

「一緒に選びませんか?」

と笑顔が輝いていたのは黙っておこう。




今回の話は燐子メイン回です、本当はヤンデレ濃密で書きたかった……。
もうしばらくしたら、燐子がヤンデレの片鱗を見せるでしょう。
ですので、もう少しだけ燐子と谷崎君の平和な日常をお楽しみにしててください。
今回もご閲覧していただきありがとうございました。
感想など、お待ちしております。

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