まあ後悔はない。リィエルの戦闘描写は後の展開に回すとしよう!
それではどうぞ!!
「こらー! 待ちなさい!」
「フハハハ! だが断る! 今日は劇を見に行くのでな!」
「仕事サボるんじゃありません! シドゥリさんが過労死しちゃうでしょうが!! エルー! あの馬鹿王様を止めて!!」
「なっ……! 我が友を使うのは狡いではないか!」
「知るかー! ならせめて仕事してから行きなさーい!」
ヴィマーナで逃げるギルガメッシュに音速を超えた速度で追いかけるエルキドゥと魔術によって
宮廷魔導師になってから半年が経った。
リィエルは殆どの書物を読み漁り、魔術の知識は今やウルクで一番と言った所だろう。読んだ魔術も殆ど会得して今では簡易的とはいえウルク全体に魔除けの結界を半永久的に張り続ける事も可能なくらいだ。
だが、宮廷魔導師になってからもギルガメッシュは自由奔放にエルキドゥとどっかに行ってしまうので、実戦的な魔術、『強化』『加速』『相乗』『飛行』と言ったものを覚えて
前までは空中散歩で興奮していたし、あまりの高さに恐怖もあったが空を飛べるエルキドゥに支えてもらいながらも今は時速500キロもお手の物だ。少し人間を止めた気がした。
その代わり月一で性能を競い合う約束をした。
今の所全部負けている。しかし、それでも神の兵器たるエルキドゥに善戦したリィエルも強さならウルクで2、3番目に強いだろう。
「ハァハァ……捕まえた!!」
「ぬぅ……! 貴様! いつの間に『束縛』の魔術を覚えた!?」
「王様が仕事サボってる時に決まってるでしょ! ほら戻るよ! 国の為にシドゥリさん達が働いてるんだから、王様がそれでどうするのよ!」
「ハハハ……!! もういつもの習慣になって来たね」
「貴様引き摺るではない! この美しい王の玉体に傷でもついたらどうするのだ戯け!! エルキドゥ、貴様も鎖で縛るではないわ!!」
ズルズルとエルキドゥの鎖で縛りながら魔力枷で四肢の動きを封じて地面を歩く。とりあえず帰り道にウルクの文官達に差し入れ物を買わないとと考えながら辺りを見渡す。
「とりあえず、バターケーキを20ください。勘定は王様持ちで」
「貴様何を勝手に……!」
「シドゥリさん達が働いてるんだから、民を愛しているならちゃんと形に表しなさい! シドゥリさん達王様のせいで睡眠時間削ってるんだよ?」
「……はっ、仕方のないやつよな」
「ギル、それ君が言う?」
空気の読めないエルキドゥがツッこむが、実際にリィエルの言っている事も確かだ。王の責務には王としての下賜はつきものだ。ギルガメッシュを縛る鎖や魔力枷を外し、ギルガメッシュは立ち上がり、宝石と交換した。
「買わせたのは私だから持つのは手伝うよ」
「はっ、当然だ。我に荷物持ちさせるなど不敬な事よ」
「ハァ……『風のさえずりよ』」
買ったバターケーキが風によって宙を舞い、浮いている。
魔術師としてのリィエルは最早天上の神に届くのではないかとギルガメッシュは遠目で思いつつも、城に帰ったら仕事以上にやらなければいけない事を思いついた。
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ウルクの城に帰り、リィエルがバターケーキを配ると文官達は泣きながらリィエルを抱きしめた。文官達にとって常識人たるリィエルはウルクの天使らしい。
流石に苦笑いしながらもシドゥリさん達に癒しの魔術をかけた後、ギルガメッシュはバターケーキを配り終えたリィエルの襟を掴みながら王の寝室に引っ張った。
「ちょっ、王様?」
「確か王たる者は王に仕える者へ下賜をやるのが道理だと言ったな?」
「ま、まあ特にシドゥリさん達には必要でしょ」
「ならば、貴様にも下賜を与えるとしよう」
「えっ?」
ギルガメッシュはリィエルを思いっきり宝物庫に投げ入れた。
咄嗟に物理保護の魔術をかけて受け身を取ろうとするとそこには既にエルキドゥがいてリィエルを受け止めていた。
「あ、ありがとうエル」
「どういたしまして」
リィエルが辺りを見渡す。
そこは寝室とはまた違った膨大な装飾が部屋を鮮やかに飾られている。
そしてそれだけの黄金があるのに狭いと感じないだだっ広い空間に居た。
リィエル、エルキドゥ、ギルガメッシュだけしか居ないし、部屋というより何か巨大な宝物庫を連想させる。広間の床には、無数の武器らしきものが突き刺さっていた。他にも弓、斧、槍、槌、鎌など、剣に至っては種類が多すぎて何本あるのか分かったものではない。
ただ、どれも一本で国が動くほどの価値があるのは素人目で見たリィエルでさえ理解した。
「王様? なんでこんな所に私を?」
「貴様は分かっておるだろう? 近々、我が何をするのか」
少しリィエルは悩み始める。
最近王様はサボってばっかだからやるつもりはないのかと思った。
「……木材や土地の確保……フンババの討伐……」
「分かっておるではないか。我とエルキドゥ、そして貴様を含めた3人でフンババを討伐する」
ウルクで最近起こっている問題は多いが1番の問題は木材の価格上昇である。木材の用途は建物や家具などでは需要は多い。だが、前回も言った通りウルクの人口は増えてから、現在の木材の量では供給が追いついていない。更には人口に伴った土地の確保もしなければならない。
となればフンババが守護する杉の森しかない。だが、フンババは声は洪水、口は火、息は死、と言われた厄災そのもの。神の一柱や二柱程度跳ね除ける最強の獣だろう。
へぇーいつかやると思って…………
「って私も!?」
「当然よ。貴様は我が友に何度も善戦したではないか」
「いや、まあ確かに善戦したかもしれないけど全敗してるし……」
「貴様が何を言おうがこれは決定事項だ。貴様には我が宝物庫から一つ好きな武器をくれてやる。それを一週間で使いこなしてみせよ。その後、フンババの討伐へ赴くぞ」
その言葉を聞いた瞬間、リィエルは叫びだす。
どんな鬼畜だ。私まだ半年しか経っていない街角の小娘にいきなり怪物退治に派遣させるとかどんな無理ゲーだ。
「嫌だ!!」
「戯け! 王命だ!! 何の為に貴様を宮廷魔導師にしたと思っている!!」
「手元に置いときたいだけでしょーが!!」
「その通りだ!! そして今こそ貴様に知識を与えた意味を存外なく発揮せよ!!」
「理不尽!!」
いやそもそも原初の王だ。理不尽なんて当たり前だ。
おのれ神様、何故ギルガメッシュをこんな性格にした(白目)。このままじゃ私の胃に穴が開き、ストレスで髪が抜けてしまいそうだ。
はっ、ここがローマか(錯乱)。
だがリィエルは諦めずに説得を続ける。まあ半分説得は諦めている。理不尽の塊たるギルガメッシュに説得など無理な話だ。
「いやだってフンババってアレでしょ!! 声は洪水、口は火、息は死、とか言うヤバい奴じゃん! 私死んじゃう! 16歳で死んじゃう!!」
「我は18で年齢も対して変わらんだろうが!!」
「仕事は!? シドゥリさん達が過労死しちゃうじゃん!!」
「戯け! その事もあって先の仕事など済ませておいたわ!!」
「嘘でしょ王様!? 頭でも打った!?」
「正常に決まっておろうが! どう足掻こうがエルキドゥと我が引き摺ってでも連れてくわ!!」
「ぐぬぅ……! この鬼畜、悪魔、金ピカ!」
「フハハハ! なんとでも言うが良い!」
リィエルの歪んだ顔を見て愉悦するギルガメッシュ。
とは言え宮廷魔導師となった今は民の事も考えなくては行けない。とは言え地獄の具現みたいな怪物に三人で勝てるか不安しかない。
だが、結局いつかはやらなければならない事だ。2人が死ねば国は終わり、ウルクの土地を他国に奪われてしまう。勝率を1%でもあげたければ王様の言う通りにするしかない。
「ハァ……ええいこうなったら早速選ぶよ!!」
正直言ってヤケクソになっている。
しかし王様は言い出すと曲げない性格だ。となれば武器を早急に選び、特訓するしかない。
「と言っても……私に合う武器なんてあるのかなぁ……」
早めに選ぼうと思ったその矢先、一つだけ一風変わった武器が刺さっているのに気がついた。
「ん? これは……?」
リィエルの目に止まったのは魔杖だ。
見た所、自分より身の丈が長い魔杖で装飾は白さが強調されていて、何より自分の瞳と同じラピスラズリの宝石が埋め込まれている。
魔術師において魔杖と言うものは魔力の増幅や、詠唱の省略など様々な効果をもたらすが、リィエルはこの魔杖がそれとは全く違う力を持つと直感で理解した。
「……これって、もしかして」
リィエルはその魔杖を掴むと、その魔杖から魔力が溢れ出た。
リィエルの中で魔杖は
これは……『
「むっ……その魔杖に認められるか」
「ギル、あの魔杖はどんなものなんだい?」
「さてな。我が触れた所で何も感じはしなかったが、リィエルの才か、はたまた魔杖が主を認めたと言う所か」
自分より大きいのに軽いし、魔力は増幅してさっきの数倍は魔力を感じる。自ずと、これしかないと言う直感があり、これ以上の代物はないと確信した。
「王様、これにする」
「その魔杖にはまだ名がない。貴様が名付けてみよ」
「無いの!? ……そうねぇ」
少女は真剣に考えてた。
ラピスラズリが目を惹き、
隣にいるエルキドゥを見る。エルキドゥは確か星の力を使う事が出来る神造兵器だ。
そして前に立つギルガメッシュを見た。ギルガメッシュは原初の地獄を再現する『乖離剣エア』を持つ原初の王だ。
なら、それに並び立つのにふさわしい名前は……
「『
「ほう……『
ギルガメッシュが『天』の力、エルキドゥが『地』の力であるならば、リィエルの持つそれは『人』の力を束ねるものだと考えた。
ギルガメッシュが目を細めながら口にするが、リィエルはため息を吐いた後に差も当然のように口にする。
「今更何言ってんの? 星を見定める王、ギルガメッシュの宮廷魔導師ならそれくらいの覚悟がなくちゃ、笑われるでしょ?」
あくまでリィエルは王の財にはならない。
けれど半年が経ってから、色々と背負う物が出来たらしい。
原初の王は星の裁定者であり、その友はエルキドゥ、そして『
だが、それも不思議と悪くないと思うのはギルガメッシュとエルキドゥという大切と思える存在が出来てしまったからだろう。
「フッ…………」
ギルガメッシュはそれに笑い、王命を下す。
「フハハハハハハハハハ!! よくぞ言ったリィエル!! ならばそれを使いこなして見せよ! 期限は一週間、それまでにその魔杖を使いこなし、フンババ討伐に行く! その命を曲げる事は赦さぬぞ」
「当たり前、私も死にたくないしね」
「なら、僕も手伝うとするよ」
「ありがとうエル」
エルキドゥが手伝ってくれる事にありがたみを感じながら笑うリィエル。因みにギルガメッシュにそれだけの見栄を張ったが実は内心、結構必死だった。死にたくないので全力で頑張るしかないと感じているリィエルだった。
その後、エルキドゥにズタボロにされながらもその魔杖を使いこなし、5日が経った頃、リィエルは初めてエルキドゥに勝ったのだ。その事に泣きながら喜び、その2日、フンババ討伐は苦もなく行われた。
「何というか……拍子抜けにも感じたのは私だけ?」
「いや、我もそう思うな」
「僕もそう思う。もっと苦戦するかと思った」
フンババの討伐はあまりにも早く討伐された。
その日、人類は初めて『森』という場所へ進出した。森の主人フンババは英雄王ギルガメッシュ、天の鎖エルキドゥ、星の巫女リィエルによって討伐され、人類が新たな一歩を踏み出したのだが……ギルガメッシュは後に粘土板にこう綴る。
『我、宮廷魔導師としてのリィエルがえげつないと思った』
この時、原初の王はリィエルの全力を垣間見た。
あの魔杖を手にしたリィエルに逆らったら死ぬかもと後に酒で酔ったギルガメッシュを介抱するエルキドゥが聞いていた。
こうして三人は互いに肩を並べる存在へとなり、『原初の王は国の心臓』、『天の鎖は国の手足』、『星の巫女は国の頭』と言う3人を称えられるようになった。
真名 リィエル
☆5(Lv90)HP14863 ATK11508
身長/体重:163cm・40kg
出典:ギルガメシュ叙事詩
地域:バビロニア、ウルク
属性:善・秩序 性別:女性
適正クラス:キャスター
宝具
『
* ランク:EX
* 種別:対界宝具
* レンジ:──
* 最大捕捉──
ギルガメッシュの宝物庫に持て余していた魔杖。
ギルガメッシュでさえ素材すら千里眼で見通す事が出来なかった魔杖であり、その力だけ言えばギルガメッシュの『乖離剣エア』に匹敵する。
詳しく詳細は未だハッキリしていないが、ギルガメッシュの持つ乖離剣が『全てを破壊するもの』ならリィエルの持つ魔杖は『全てと繋がるもの』だと言う。
だがその正体は……
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