ヒューズ編の追加と、アセルスの没イベント実装でどんな感じになるのか今から楽しみです!
後は、リマスター発売によってサガフロの小説がもっと増えるんじゃないかと密かに期待しています。
皆!サガフロは面白いからやろう!
「集中しろ。影を目で追うな、音をよく聞くんだ」
「うう。これ難しいよ」
一定の感覚でキン、キンと金属音が響く城内で、アセルスは目を閉じた状態で顔をしかめる。杯・金貨・盾と順調にカードを集めてきた彼女たちは、遂に最後である剣のカードを手に入れる為に、ワカツと呼ばれていたリージョンに来ていた。
ワカツ。トリニティによって滅ぼされたというこのリージョンは、一方的に断罪された為か怨霊と亡者の巣窟となっていて、最低でもワカツの生き残りを一名連れてこないとシップを飛ばすことは出来ないとクーロンの受付で忠告されていた。なのでカードを探す事と平行して、ワカツ出身の人間を探していたのだがトリニティによる攻撃は凄惨を極めたのか、色々なリージョンで話を聞いても、見つけることはできず。遂に三枚のカードが揃っても、それらしい話すら聞くことができなかった。
ヒューズが「国家権力使って探してやろうか?」と訊ねてきたが、流石に私的な理由でそれをやってもらうほど、アセルスたちは図々しくはなれない。仕方がなしに人の往来が激しいクーロンに戻り、片っ端から歩く人に声をかけていた時奇跡が起こる。話しかけたモンスターの一体が、ワカツ出身らしき人物を見たというのだ。
詳しく話を聞きたかったが相手も直接知っているわけではないのか、教えてもらえたのは例の人物が相当な剣の使い手らしいという事と、スクラップというリージョンにある酒場にいるということ。期待半分でそこに行けば、頭にハチマキを巻いた中年男性がテーブルで酒を楽しんでいた。酔っている挙げ句にアセルスを男子と間違える(可愛らしい服を着ていたのに!)男に、まともな応対は出来るのかと不安になったが、ワカツという単語が飛び出すと途端に真面目な顔になり共に行くと行い、道案内までしてくれたのだ。
そしてアセルスたちは、何故受付嬢があれだけ条件をつけてきたのかを知る。死者たちの集団が、此方に気付いた途端に襲いかかってくるのだ。しかも恨みや怒りの感情が力になるのか、強い。ワカツに詳しいゲンの案内がなければ、死にはしないものの戦闘の多さでかなり苦労しただろう。
ゲンの案内で最小限の戦闘をこなしながら、城の天守閣にまでやってくると、そこには障子に写る三つの影があった。モンスターと剣、兎らしきものだ。ゲン曰く、この音と共に変化する影を全て剣に揃えれば、剣のカードが手に入るのだとか。それで、先程から挑戦しているのだが。
「アセルス様、頑張って下さい!」
「あー、惜しい! もうちょっとよ!」
「寧ろ私が変わった方がいいんじゃないか?」
「皆静かにしてー! よく聞こえないよ!」
応援のつもりなのか、ジーナたちの声が大きくて音に集中出来ないでいた。幸いにも失敗してモンスターを呼び出すことはないが、成功もしていない。段々集中力も途切れかけている、早く成功させなくては。
その後、目をつむる事によって多少の集中力を取り戻したことにより、なんとか剣の影を揃えることが出来、無事に秘術の資質を得ることが出来た。
「やったー! 二つの資質を手に入れたよ!」
「これで麒麟さんの所に行ける条件が整いましたね、アセルス様!」
「麒麟……か。会うのが楽しみだ」
「でも、あんまり変わらないものなのね。もっとこう、パワーが溢れるような感覚があるのかと思ってたわ」
それぞれ好き勝手な事を口にするが、ともかくアセルスたちの目的は達成だ。後は、ドゥヴァンの神社にいた零姫に条件を満たした事を報告し、麒麟の元へ連れていってもらうだけなのどが、クーロンに戻ったところでエミリアが「ごめん」と手を合わせてきた。
「ちょっとルーファスの所に行ってくるわ。なんか新しい任務があるらしいから、話を聞いてこないと。アセルスたちはどうする。その麒麟ってモンスターに会いに行ってくる?」
「いや、折角だから皆で会いに行こう。話を聞くだけなんでしょ? だったら、そんなに時間もかからないだろうし。ジーナもいいかな?」
「アセルス様がそうおっしゃるなら、私は構いません!」
「ブルーもいいよね?」
「仕方がない。出来るだけ早めに頼む」
「ジーナもブルーもありがとう。だったら急いで行ってくるから、その辺でもブラブラしていて」
エミリアと一旦別れてから、アセルスたちはクーロンの町中を散策する。折角だからと、ヒューズの装備を整えていたらエミリアが戻ってきた。
「ふざっけんじゃないわよ!」
何故か怒り爆発モードで。
「エミリア、どうかしたの?」
「新しい任務がね、ハーレムの潜入捜査だっての! しかも、こっちが恥ずかしくなるような服見せて、着替えろって!」
「元スーパーモデルのアンタにゃぴったりの仕事じゃねーか」
「うるさいわよ冤罪刑事! とにかく、直ぐに着替えて行くのが当たり前のように言ってきて、頭にくる。少しは覚悟を決める時間を寄越しなさいっての。あー、吐き出したら少しは気が晴れてきた。けれど、まだムシャクシャするから、落ち着くまで辺りをブラついてくるわ」
エミリアはそう言うと、一人で裏路地の方へと歩いていく。すると、アセルスが後を追おうとついていこうとするのでイルドゥンが声をかける。
「おい、アセルス」
「だってあれだけイライラしてるんだもの、下手にカツアゲしようとして、返り討ちにされるゴロツキが可哀想だよ」
どうやら、ゴロツキを心配しているようだ。済王が「エミリアを頼んだぞ」と口にすれば、アセルスは笑みを浮かべて頷いてみせた。
「うん、まかせて済王様!」
それが一時間前のこと。
「アセルス様たち……遅いですね。そろそろ戻ってきてもよい筈なのに。もしかして、何かあったのでしょうか?」
「でもよ、あの嬢ちゃんと元スーパーモデルの二人なら、大抵の事はなんとか出来ると思うぜ」
「だが、二人とも術はからきしだ。遠くから術を放たれては手が出せない可能性がある」
「……単に道に迷ったんじゃないのか?」
「お主ら、アセルスたちは小さな子供ではないのだ。もう少し、待ってみたらどうだ」
「でも……」
ジーナが不安がっていると。若い二人組の女性が焦った様子で此方に向かって走ってきた。
「ね、ねぇ! あんたたちがエミリアが言ってた資質集めの仲間かい!?」
「は、はい。そうだと思いますけれど……あの、貴女がたは?」
どことなくエミリアに似た格好の女性に身体を揺すぶられ、驚きながらもなんとか受け答えするジーナ。すると、もう一人の女性が謝りながら返事をする。
「ごめんなさいね、私はライザ、こっちはアニー。エミリアのいるグラディウスに所属している、いわば同僚よ。問題が起きてね、手を貸して欲しいの」
「どういう意味だ?」
ブルーの問いに、アニーと呼ばれた女性が叫ぶ。
「エミリアとあんたたちの緑の髪の子が、拐われちゃったんだよ! ヤルートって変態に!!」