【完結】リージョン漫遊記   作:飛沫

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サガのソシャゲは一切手をつけてないのでそっちとキャラの口調が違ったら許して下さい。
ヒューズの口調ってこんな感じでいいのかしらん。


滞在リージョン・トリニティ

 突然言われた内容を、ジーナたちは理解することができなかった。何も返せずに、立ち尽くしたまま目の前の二人を見つめていると、ヒューズが叫ぶ。

 

「誘拐だと!? 逮捕だ、突っ込んでやる!」

 

 その叫びを聞いて、ようやくジーナも事態が飲み込めてきた。慌ててアニーの肩に両手を置き、揺さぶりながら詳細を訊ねる。

 二人の見たという出来事はこうだ。怒って外へ飛び出したエミリアを、二人はこっそりとつけていた。ある程度彼女の気分が落ち着いたら愚痴を聞くと何処かの店に入り、飲み物に薬を入れて眠らせて例のハーレムに送り込むつもりだったらしい。

 

「え、本人に無断でそんなことをやるつもりだったんですか?」

 

「まぁ、私たちも最低な事をする自覚はあるけれど、中途半端な娘をヤルートのハーレムに連れていくと、気分を害したって殺される可能性が高いんだ。結局、エミリアの容姿が一番安全で確実なんだよ」

 

 だが声を描けようとした時、追いかけてきたアセルスがエミリアと合流し、そのまま二人で話し始めてしまった。先程も言った通り、ヤルートのハーレムに送るのはエミリア一人。仕方がないので、別れるまで様子を窺っていたら、離れた場所から放たれた術が二人に直撃した。

想像もしていなかった攻撃だった為、直撃を受けたエミリアたちは気を失いその場に倒れこむ。

 そして、此方が驚いて動けない間にトリニティの役人たちが現れて、拐っていったのだという。

 

「お主らの言葉が正しければ、エミリアは以前からそのヤルートとやらに目をつけられていたと言うことか?」

 

「私たちも初めはそう思ったわ。ルーファス、組織のリーダーがとっとと話をつけていたんだって。けれど、役人たちの話だと……狙っていたのは緑の髪の娘の方だったみたいで」

 

「アセルスを?」

 

「その……あの娘、半妖なんだろ? 珍しいからどうのこうの言ってたのが聞こえたから」

 

「馬鹿な。アセルスが半妖ということは、ファシナトゥールでしか知られていない事だぞ。城の誰かが漏らしたというのか」

 

 顔をしかめるイルドゥンに、ヒューズが答える。

 

「いや、おそらくはトリニティの力で調べあげたんだろう。俺は威張り散らすあの連中が大嫌いだが、デカイ面するだけの能力があることは確かだからな」

 

「そんな……アセルス様……」

 

 ジーナは今にも泣きそうだ。心の底から慕っている相手が、ハーレム要員にされそうなのだ、動揺もするだろう。

 メンバー全員が落ち着かない中「とにかくだ」とヒューズが再び口を開く。

 

「まずは、元スーパースターと嬢ちゃんの救出を最優先で考えるぞ。そこの二人の様子からすれば、拐われて三十分も経っちゃいないだろうから、今すぐ助けに行けば最悪の事態にゃならないだろ」

 

「おい、そんなに早く令状が出せんのか?」

 

「んなもん、無しで突入に決まってるだろ。いい子に令状出されるの待ってからじゃ、とんでもないことになってるぞ。その場で証拠掴んで現行犯逮捕でいいんだよ」

 

 呆れた様子のゲンだが、否定はしない。確かに事態は一刻を争うし、相手はあのトリニティだ。まともに手続きを行ったところで、握りつぶされる可能性は充分にある。しかしそこまで言いながらもヒューズは渋い表情で「だがなぁ」と続けた。

 

「問題はどうやって例のハーレムがある場所に行くか、だ。トリニティには一般開放してるシップ発着所が存在しねぇ。個人のシップに頼んだとしても、リスクを考えて首を縦に降ってくれる奴がいるかどうか」

 

「私たちをファシナトゥールから連れ出してくれたシップ屋さんなら、お金さえ出せば連れていってくれるかもしれません。けれど、このクーロンにいてくれるか……」

 

「そういえば、妖魔の瞬間移動みたいのはどうなんだ?」

 

「アレの対象は自分だけだ。貴様らを連れて移動はできん」

 

「なれば発着所に張り込んで、個人のシップ持ちに片っ端から声をかけるしかないか。直ぐに見つかってくれればいいが」

 

 済王の言葉に全員が頷き、発着所へ向かおうとすると、ブルーが「待て」と声を上げる。

 

「私が使う魔術の中に『ゲート』というものがある。今まではシップで往き来出ていたので必要がなかったが、使えば一般に解放されていないシップリージョンや、発着所がないリージョンにも行くことが出来る。当然、人数の制限もない。ここにいる全員、トリニティに連れていくことが可能だ」

 

「ブ、ブルーさん! ありがとうございます」

 

 ジーナの声が感動で震える。

 

「やるなぁ、術師! 冷たいばかりの人間かと思っていたが、見直したぜ!」

 

「お前らは私を何だと思っているんだ。それなりの期間共にいるんだ、多少なりとも情は沸く」

 

「だったら、とっとと向かおうぜ。この際だ、ワカツの恨みをはらしてやる」

 

「私たちにも手伝わせて。元々エミリアをハーレムに送り込んだら、救出に向かう手筈だったんだ」

 

「アジトには、ヤルートがいるラムダ基地のマップもあるわ。案内するからそこで、詳細な計画を経てましょう」

 

 こうして、ジーナたちはアセルスとエミリア救出の作戦を練るために、クーロン内にある飲食店へと向かった。

 

*  *  *

 

「アセルス、アセルス! しっかりして」

 

「う、うーん」

 

 肩を叩かれながら名前を呼ばれ、アセルスは閉じていた目蓋をゆっくりと持ち上げる。視界に入ってきたのは心配した表情のエミリアと、見たことのない部屋の壁。

 

「あ、あれ、ここ何処? クーロンにこんな場所あったっけ?」

 

 身体を起こして室内を見渡す。ざっと見た感じ小さな部屋だが、必要なものは全て揃っていそうで機能的。あのごみごみしたクーロンとは正反対だ。

 

「私も今起きたばっかりで解らないけれど、クーロンじゃないことはたしかみたい。後、ここに閉じ込めた奴は、私たちを暴れさせてくれる気はないみたいよ」

 

「え……あ!?」

 

 言われてから、腰に佩いていた幻魔と月下美人が無いことに気がつく。どうやら連れ去られる途中で奪われてしまったらしい。

 

「ど、どうしよう。私、術なんて殆ど使ってなかったから剣とられたら何にもできないよ」

 

「大丈夫よ、いざとなれば体術があるわ。私のスープレックスお見舞いしてやるんだから」

 

 コソコソと話をしていたら、乱暴にドアが叩かれた。会話を止めて無言でドアの方を眺めれば、姿を見せたのは役人といった服装の二人組だ。深めに帽子を被り、顔が見えない状態で一人が命令する。

「ヤルート様がお呼びだ。来い、半妖」と。

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