文章力に拙い部分もありますが、ご容赦下さい、、、
ピピピ・・・
朝、設定しておいたアラームの音が鳴り響き、僕の意識を夢から現実へと誘う。それにしても眠い・・・。布団の中は温かく、抱き心地のよいふよふよしたクッションも布団から出ることを邪魔してくるわけで・・・ん? クッション? 寝るときにクッションを持ち込まない僕はそのことが気になり目をうっすら開ける。そこには、
「・・・すぅ。」
寝息が当たるか当たらないかといった超至近距離に気持ちよさそうに眠るお姉ちゃんの顔があった。しかも両手両足で僕にしがみつくように抱き着くような姿勢で眠っている。・・・あ~、いつ見ても整った顔してるな、顔は小さいし、まつげは長いし、肌も綺麗・・・って!?
「ちょっとお姉ちゃん!!何してるんだよっ!?」
状況をようやく理解できた僕は、お姉ちゃんの整った顔に自分の両の手のひらを思い切り押し付けて引きはがそうとする。
「うぅ~ん・・・。」
顔が歪むレベルで手を押し付けられても僕を離す気はないらしく、苦しそうに唸りながらも逆に抱き着いてきている腕に力を込めてくる、どれだけ諦めが悪いんだ!?
「・・・いい加減にしろぉっ!」
埒があかないと判断し、バチンッと、思い切りデコピンをお見舞いしてやった。
「痛いっ!?」
これには流石のお姉ちゃんもたまらず目をばちりと開いて、痛いよぉ~と涙目になり、おでこに手を当て、悶絶している。よし、今のうちに起きてしまおう。今のうちにと、布団から抜け出て、さっさと起きようとするが。
ガシッ
「・・・お姉ちゃん、もう朝だよ。だからいつまでも寝ぼけてないでその手を離せ~っ!」
布団から抜け出ようとする僕を見逃さなかったお姉ちゃんは、もうすぐで布団から脱出できるというところで再度抱き着いてきたのだ。当然いつまでもこんな馬鹿なことをしていては、学校に遅刻してしまうので、僕は全力でお姉ちゃんを振りほどこうとする。
「うぅ~、かいと~、おでこが痛いよ~、おはようのキスをしてくれないとお姉ちゃん絶対起きれないよ~。」
と、お姉ちゃんはわざとらしく、そんなことを言いながら決して抱き着く腕の力を緩めようとしない。・・・こうなったら、絶対譲らないのは今までの経験からわかる。・・・・・はぁ。
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「おはよう、お母さん・・・。」
「おはよう、お母さん♪」
その後、無事お姉ちゃんは起きてくれて、リビングに行くことができた。リビングには既に朝食が用意されておりお母さんは既に朝食を摂っていた。
「おはよう、毎日思うんだけど、どうしてかいとは毎朝やけにぐったりしてるの? 逆に梨子は上機嫌だし。」
「お願いだから聞かないで・・・。」
僕は力なく答え、朝食の席につく。毎朝毎朝、起床後にこんなに疲れるのは僕くらいじゃないだろうか?
「ふふ、聞いてよお母さん。朝からかいとにおはようのキスをされちゃった♪」
「うぉおおいっ!? お姉ちゃんがキスしないと、起きれないとか言うからだよっ!! 僕から嬉々としてキスしたみたいな言い方はやめてよっ!」
朝の出来事を思いだしているのだろうか、恍惚とした表情のお姉ちゃんに、冗談じゃないと猛抗議するが、我が母上はというと。
「二人ともねぇ・・・仲がいいのはいいことだけど一線を超えたらだめよ? 特にかいと?」
「なんで僕なんだよっ!? 注意する人が完全に間違ってるよ!」
お母さんは全然事態を飲み込んでくれていなかった。これって僕がシスコンやろーと思われてるってこと??
「そうよかいと? お姉ちゃんがいくら綺麗でも私たちは姉弟なんだから。まあどうしてもっていうなら考えなくもないけれど//」
「いやいやいや、自分で綺麗とかいうなよ!? 後、何受け入れようとしてるんだよ、滅茶苦茶乗り気じゃないか!」
やばい、朝から僕の体力がごりごり削られていく・・・。相手にしていたら体力が持たないと判断し、そこからは無言で朝食をとり、静かに朝の支度を進めるのだった。
「・・・じゃあ行ってきます。」
「行ってきます!」
「いってらっしゃい。」
お母さんに見送られ、僕とお姉ちゃんはようやく学校に向かうことになった。ちなみにお姉ちゃんが通う学校は、女子高であり僕とは違う高校だ。これは正直大変ありがたい。学校にお姉ちゃんがいたらと思うと・・・。
「かいと、道は危ないから手を繋ぐわよ?」
だってこれだよ?
「・・・お姉ちゃん、僕もう高校一年生なんだけど?」
「ええ、勿論知ってるわよ? それがどうしたの?」
お姉ちゃんは、急にどうしたの的な表情でおどけたようにそう質問を返してくる。普通、高1の弟高2の姉が手を繋いで登校しないという常識がこのお姉ちゃんにはないのだ。
「とにかく絶対嫌だ。手を繋がなくても大丈夫だし、ていうか恥ずかしいし。」
僕が完全拒否の姿勢を見せると、
「・・・あんまりわがまま言うと腕を組むわよ?」
「・・・・・。」
――――――――――――――――――
「うわ~、あのカップル朝から手を繋いでるぜ~」「バカップルだ~」「ラブラブだ~」などと、小学生に思い切りからかわれ続けて5分、僕の精神は既にぼろぼろです。お姉ちゃんはお姉ちゃんで、「そんなカップルだなんて//」などと照れている始末である。僕がメンタルブレイクしていると後方から、
「遅刻だ遅刻~っ!!」
落ち着きのない慌ただしい声をあげながら走ってきたのは、隣の家に住んでいる千歌さんだ。お姉ちゃんと同じ高校の二年生であり、お隣さんということで引っ越した当初から仲良くしてもらっている。普段も一緒に登校しているのだが、このように遅刻癖があり、しばしば集合時間に遅れるのだ。今日も集合時間までに来なかったので先に出発したのだが、何とか追いついたようだ。
「はぁはぁ、何とか間に合った・・・。ぎりぎりセーフ。」
「もう千歌ちゃん! ちゃんと朝起きないとだめじゃない!」
いや、お姉ちゃんも全然起きないじゃないかっ!というのは、心の声にとどめておいた。一方千歌さんは、怒られてしまって「うぅ~だって~」と頭を抱えている。しかし、急にくわっとこちらに向き直ったかと思うと
「大体梨子ちゃんはずるいよっ!! 毎日かいと君に起こしてもらってるんでしょ!? 私もそんな弟がほしいっ!ほしいほしいっ!」
うわぁ・・・、子供みたいに駄々こねだしたよ。しかし千歌さんはひとつ勘違いをしている、僕がお姉ちゃんを起こしているのは、起こさないとこっちが起きれないからだ。決して起こしたくて起こしているわけではない。起こさなくてもいいなら、起こさずそのまま一人で登校するだろう。
「落ち着いて千歌ちゃん。確かに私は毎朝かいとにおはようのキス付きで起こしてもらっているわ。でも実は私はとっくに起きているのよ? 寝ぼけたふりをしてかいとに無茶苦茶しているだけなのよ。」
「・・・え、姉弟でキスしてるの?」
「誤解だ、いやキスしてるけど僕の意思じゃないから!お願いだからドン引きしないでください、ほっぺにキスしてるだけだから! ていうかお姉ちゃん軽く言ってたけど、いつも起きてるのかよっ!! ツッコミどころが多すぎるわっ!」
とんでもないことをさらりと言ったお姉ちゃんの言葉に千歌さんは僕たち二人から少し距離をとりやがった。頼むから話を聞いてくれ。後、お姉ちゃんにも狸寝入りしていた件については、後でたっぷりと問い詰めなければな・・・。
「う~ん、キスはあれだけど、とにかく私も起こしてくれる弟がほしいっ!お姉ちゃん達は全然起こしてくれないもんっ!」
「ふふ、千歌ちゃんがうちの弟を羨むのも仕方がないわ? じゃあ千歌ちゃんもかいとのお姉ちゃんになってみる?」
「え?」
「は?」
この訳の分からないお姉ちゃんの発言によって僕の生活は一変することになる。
つづく
というわけで第1話でした!
読んで頂きありがとうございます!
お姉ちゃんという存在に憧れすぎてこのような作品を書き始めました(笑)
また更新していきますので、次話も呼んで頂ければ幸いです、では!