お姉ちゃんがブラコン過ぎてやばい   作:naonakki

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第12話 思わぬ展開

リビング

 

そこは普段、家族団欒の場である。

桜内家でもそれは例外ではなく、お父さん、お母さん、そしてお姉ちゃんと適度に談笑したり、ふざけ合ったりと、日常の何気ない、しかし温かく優しい思い出がたくさん詰まった場所である。

 

しかし

 

今、そのリビングは、いつもの雰囲気とは一転し、息が詰まるような重圧、肌がピリつくような空気に支配されている。

そして、その雰囲気を作り出しているのが、一人用のチェアに腰をどっしりと下ろし、腕を組み、僕を睨む桜内家の大黒柱であるお父さんだ。

整えられた髭と丸眼鏡が特徴的であり、いつもの温厚な父からは想像もできない気迫がひしひしと伝わってくる。

悲痛な表情を浮かべるお母さんは、その父さんに控える様に立っている。

鼻にティッシュを詰めたお姉ちゃんは、僕とお父さんのちょうど間に立ち、不安そうな表情を浮かべ僕とお父さんを交互に見比べている。

 

ちなみに僕は、お父さんの前で正座である。

 

「・・・かいと」

 

長い沈黙を破ったのは、やはりお父さんであり、リビング内の緊張が最高潮に達する。

横に立つお母さん、そしてお姉ちゃんは、ごくりと息をのむ。

俯いていた僕もゆっくりと、お父さんに視線を向ける。

 

それを確認したお父さんは、再び口を開き

 

「・・・近親相姦はだめだろう」

 

「ち・が・うぅぅっ!!」

 

この重苦しい空気をすべて消し飛べとばかりに、腹から声をだし、思い切り叫ぶ。

僕が正座をさせられている理由が一ミリも理解できない!?

ていうか足、痛いしっ!

 

「でも、かいと!! あんた、お姉ちゃんに壁ドンをして、顎クイまで決めて、お姉ちゃんを落としていたじゃない!!」

 

お母さんが間に割り込んできて、そう叫び、僕の異議を否定してくる。

 

「だから!! 何度も言ってるけど、あれは僕の意思でしたんじゃないって!!」

 

だが僕だって、実の姉に『壁クイ』をする変態やろうと思われるわけにはいかない。

徹底抗戦だ。

 

「そうよ! お父さん、お母さん! あれは、かいとが悪いんじゃないの!!」

 

と、意外にもここでお姉ちゃんが僕の援護射撃をするように、お父さんとお母さんに食って掛かってくれる。

・・・ごめんよ、お姉ちゃん。

てっきり変なことを言って邪魔をしてくるもんだと思ってたよ。

いや・・・今までの経験則的にね?

 

僕の想いを受け取ったかのように、さらにお姉ちゃんは前に乗り出し、勢いをつける!

あまりの勢いに、鼻に詰めたティッシュもポンッと飛んでいく・・・っ。

さあお姉ちゃん、僕にかけられた冤罪を解いてくれ!

 

「私のことが大好き過ぎるかいとの暴走を止めることをできなかった私が悪いのよ!」

 

「お姉ちゃん。もういいから黙ってくれない?」

 

・・・ああ、分かっていたよ。

どうせ変なこと言ってくるって。

ちょっとでも期待した僕が悪かったよ。

 

「かいと!! 何も誤解じゃないじゃないか!!」

 

「・・・かいと、うぅ。」

 

「だから、お姉ちゃんじゃなくて僕の意見を聞いてくれ!!」

 

鬼のような表情と化したお父さんと、とうとう泣いてしまったお母さんにそう言うが

 

「やめて!! ・・・私はいいの、もう身も心もかいとに捧げる覚悟はできてます・・・。」

 

悲しそうに目を伏せ、口に片手を添え、フルフルと震えながら、まるで何度も迷い苦しみ抜いた先に辿り着いた結論であるかのように、そう呟くお姉ちゃん。

 

・・・お父さん側からは見えないんだろうけど、こっちから見ると、ニヤリと笑っているのが丸見えなんだよね!!??

確信犯じゃないか!!

 

しかし、そのことが分からないお父さんは、顔を怒りで真っ赤にし、お母さんはどれだけ歪むんだよって位さらに顔を悲痛の表情で歪める。

 

「かいと!! お姉ちゃんに何をしたんだ!?」

 

「かいと・・・せめて正直に話して??」

 

・・・・・。

 

もう打つ手なしだ

 

話は聞いてくれない

 

お姉ちゃんは敵

 

八方ふさがりだ

 

 

 

だから

 

「うわああああ!!!???」

 

 

 

叫ぶくらいしかできなかったんだよ

 

僕が突然、絶叫にも近い、心からの叫び声をあげたことで、三人とも驚愕し、目を見開き僕を見つめてくる。

全員、一種のフリーズ状態である。

 

これはチャンスだ!

 

意図せぬことだったが

今なら三人とも僕の言葉に耳を傾けるだろう

この機会を逃せば、この家に僕の居場所がなくなる

 

ここは、勢いをさらにつけるため、立ち上がり、そして改めて説得を試みる

―そんなことを考えて僕は足に力を込め、立ち上がった

 

だが

 

足がまだ完治していないこと、さらに長時間正座していたこともあり、

 

立ち上がった瞬間

バランスを崩した

 

「あ」

 

そんな、情けない声を上げ、僕は倒れてしまう

 

 

 

お姉ちゃんの方へ・・・

 

 

 

「・・・え?」

 

お姉ちゃんは僕が叫び声をあげたことにより、呆然としていた。

当然、急に倒れてくる僕に反応できるわけなく、僕はお姉ちゃんを巻き込んで、倒れてしまう。

 

 

 

ドドシーンッ!!

 

 

 

リビングに二人が倒れる凄まじい音が、響き渡る。

 

足がまだ完治していないのを忘れていた。

急なことで、思わず目を瞑ってしまった。

 

・・・しかし、これはいけない。

右手首に鈍い痛みを感じる。

とっさのことで、右手を床につける形で転んでしまったらしい。

しかし同じように手を着いたはずの左手は、なぜか無事だ。

しかもフニョンとした心地の良い感触さえあるぞ?

・・・この感触、覚えがある。

・・・嫌だ、確かめたくない!?

この感触の正体を確かめたくない!!

だが、もしかしたら僕が想像しているものではないかもしれない・・・。

そんな、淡い希望を信じてゆっくり閉じていた目を開けていく。

 

まず目に入ったのは、僕の下敷きになる形になってしまったお姉ちゃんの姿だ。

ここまでは、いい。

問題はそこから先だ。

 

左手の感触は、よりにもよってお姉ちゃんの胸を思い切り掴んでいたものだった・・・やっぱりか。

悪い予想は見事に的中だ、いや、もう分かっていたけど。

そして右手は予想通り、床に手をついていた・・・お姉ちゃんの顔の真横の床に。

 

・・・あー

これは客観的に見たら、お姉ちゃんに馬乗りになり、胸をもみながら床ドンをしているヤバイ構図に見えなくもないこともないかもしれないなー、ハハハ。

 

僕が遠い目をしながら、現実逃避的な思考をしていると

 

顔を真っ赤にし、再び鼻血をだしているお姉ちゃんは、恥ずかしそうに目を伏せ

 

「そ、そんな・・・// 親の前でこんな大胆なことをするようになったのね// いいわよ? お姉ちゃんは、いつでもウェルカムよ//?」

 

と、何か言ってる。

だがお姉ちゃんが言っている事なんてもう、どうでもよかった。

 

僕は、冷や汗をダラダラとかきながら、お父さんとお母さんがいる方へ、ゆっくりと向き直る。

 

そこには、顔面を蒼白とさせたお父さんとお母さんが・・・

だが、それも一瞬

すぐに、怒りボルテージMAXになったお父さんが、勢いよく立ち上がり

 

「かいとぉおおお!!!」

 

生まれて初めて、こんなに叫ぶお父さんを見た。

ある意味貴重な経験をしたとも言えるね。

 

 

 

「何か言い残すことはあるか?」

 

再び正座となった僕にお父さんが、明確な怒りを言葉に乗せ、僕にそう確認をとってくる。

 

「ございません。」

 

顔を項垂れさせたまま、力なくそう答える。

最早、弁明する気も起らない、余計に事態が悪化するだけの気がするからだ。

・・・一体僕はどうなるのだろうか?

実の姉に手を出した息子にどのような処分を下すのか、気になるのはそこだけだった。

ちなみにお姉ちゃんは、再度鼻にティッシュを詰め込み、嬉しそうににこにことしている。

お母さんは頭が痛くなったと言って、自室に戻ってしまった。

 

「かいと・・・、お前をお姉ちゃんと一緒にしておくのは危険と判断した。だから、来週の長期休暇中、お前にはお姉ちゃんとの接触の一切を禁じる!!」

 

・・・ん?

来週は、ゴールデンウイークだから、確かに学校は休みだが・・・。

お姉ちゃんとの接触を禁止?

・・・んん?

僕は、お父さんに続きを、と、促すように顔を上げ父さんを見る。

父さんはそんな僕の目をしっかりとらえ、こう、続けた。

 

「お前に5万円をやる。それで来週は家から出ていくんだ! その間、お姉ちゃんとの接触を禁じる、電話もラインも含めてな!! これで、自分のした罪の重さを自覚するんだ!!」

 

・・・・・え

5万円をもらって、お姉ちゃんとの接触禁止だって・・・?

 

 

 

・・・凄くいいんじゃないか!?

 

 

 

え? え?

お姉ちゃんと一週間会えないくらい何の問題もないんだが??

何なら、楽しい旅行ができるだけじゃないのか??

突然訪れた幸運に実感が湧かないものの、ようやく僕に運が回ってきたんじゃないか??

 

お父さんの意図としては、大好きなお姉ちゃんと離れることで、反省しろということなんだろうが・・・僕には効果ゼロだ。

・・・勿論、お姉ちゃんは好きだ。

だが、それは家族として。

一週間くらい会えないことなんて何の苦でもない!

・・・まあ、僕はよくてもお姉ちゃんには効果大ありだろうけど。

そう思い、お父さんからお姉ちゃんに視線を移すと

 

「・・・え、え、え? 一週間、かいとと会えない・・・? え?」

 

と、目と口をあんぐりと開き、絶望の表情を浮かべていた。

あまりに耐えがたい苦痛なのか、細かく震えており、現実を受け入れたくないといった状態だ。

ちょうどさっきの僕みたいに・・・。

だが、これはお姉ちゃんにとってもいい薬になるかもしれない。

元々、身から出た錆だしね。

 

「ちょちょちょちょ、お父さん! 何もそこまでしなくてもいいんじゃない!?」

 

お姉ちゃんは、お父さんの服を掴んでまでそう説得するが

 

「だめだ! これは決定だ!」

 

お父さんのこの一声ですべてが決した。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

そんなわけで、待ちに待ったゴールデンウイークが来たわけだ

 

出かける直前、お姉ちゃんが最後まで抵抗しようとしていたが、父さんによって部屋に閉じ込められていた為、最後にお姉ちゃんを見ることは叶わなかった。

まあ、問題ないけど。

 

僕は、着替えや、生活用品の諸々を詰め込んだキャリーケースを転がし、家から出た。

 

・・・いい天気だ。

青い空、白い雲、心地よい潮風。

そのすべてが僕の休日を歓迎してくれているようだ。

 

これで、楽しい旅行の始まりだ

 

・・・そのはずだったんだ。

 

まさか

 

まったく宿が取れないなんて・・・

 

そう、当然一週間も家を空けるわけだから、どこかに寝泊まりをする必要があるわけだが、その宿がまったく予約できなかったのだ。

この旅行が決まった時には、ゴールデンウイーク直前だということもあり、宿が大変混雑していたのだ。

空いているところもあったが、どこも高級なホテルやら旅館であり、そんなところに泊まっては、予算オーバーだ。

安い民宿などはすべて埋まっていたというわけだ。

 

・・・どどど、どうしよう!?

まさかの一週間、ネットカフェ・・・?

嫌だ!! そんなの絶対に嫌だ!!

 

とりあえず、じっとしているのもあれだったので、最寄りの駅まで来たもののそこで行き詰ってしまった。

僕は、お姉ちゃんの連絡先が抹消されたスマホを必死に操作し、何か手はないか考える。

 

そんな時だった

 

「あれ?? かいと君じゃ~ん!!」

 

「・・・曜さん?」

 

僕に救世主が現れたのだった

 

つづく

 




第12話読んで頂いてありがとうございます!

アンケート回答いただいた方ありがとうございました!
結果は、果南ちゃんと曜ちゃんに決まりました!

というわけで、次話では早速、曜ちゃん回となります!

引き続き読んで頂ければ嬉しいです!
では、また次話でお会いしましょう!
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