「かいと君、いつうちに来てたの?」
「・・・ちょっと前です。」
「かいと君、お菓子とか色々買ってきたけど食べる?」
「晩御飯食べてきたんで・・・。」
美渡さんと志満さんに両サイドを固められて逃げられない僕は二人のおもちゃと化していた。
引っ越した当初から変に高海家の3姉妹に気に入られ、今までも会うたびにからかわれてきた。しかしそれはあくまで会うたび・・・、今回はこれが三日間ずっと・・・。
お姉ちゃん、なぜこんな仕打ちを・・・。
僕がこの先に待ち構える三日間を憂い、打ちひしがれていると、
「もうっ!二人ともっ、かいとくんは千歌の弟なんだよっ!!邪魔しないでよっ!」
と、千歌さんが憤慨しながら美渡さんと志満さんに食いついている。。
ちなみに千歌さん、もとい千歌お姉ちゃんは美渡さんと志満さんの二人によって、あえなく隅に追いやられていた。
きょうだい間では一番下が一番権力がないことはどこも共通なのかもしれない。
だが僕と違って千歌さんがその程度で諦めるはずもなく僕達が座っているソファの後ろに回り込み、僕の頭を抱きかかえる形で抱き着いてきて、「二人はどこかに行ってよ!」と、強引に割り込んできた。
「いいじゃん。千歌の弟なら私たちの弟でもあるわけじゃん?」
「ふふ、そうよね♪」
二人はそうわざとらしく言って、僕の左右のそれぞれの腕に抱き着いてきた、千歌さんに見せつけるように。
いやいや、千歌さんをからかうのはいいけどそのために僕に抱き着くのはやめてくれっ!?
後ろからに加えて左右から抱き着かれた僕は、まさに天にも昇るような気持ち・・・になるわけもなく頭が真っ白になる。
・・・特に志満さんのどことは言わないがボリュームが凄い、これが大人のぼでぃなのか・・・。
千歌さんも出るとこは出てるが志満さんとは比較にならない。
・・・美渡さんについてはノーコンメントでお願いします。
いや、ほんと女性って不平等だよ・・・。
自分の抗議が一蹴されたうえにからかわれた千歌さんは「うぐぐ」と、悔しそうにしているがそれ以上何か言ってくることはなかった。だがその悔しさをぶつけるように抱き着いて来る腕に力を込めてきた。
・・・ちょっと痛いんだが。
「そういえば、かいと君は誰と寝るのかしら?」
ここまでで既にいっぱいいっぱいだった僕の頭を思い切り殴りつけるような発言が志満さんから飛び出した。
というか待て・・・。
・・・どうして誰かと寝ることが確定しているんだ? 僕を小学生かなにかと勘違いしていないか?
「千歌、絶対千歌が一緒に寝るっ!! これだけは譲れない!」
ちょっ!? 首が絞まってるよ千歌お姉ちゃん!!
今日一番の声でそう主張する千歌さんは、僕を自分のものだと示すように僕を絞殺する勢いで腕に力を込めてくる。
ていうか一緒に寝るという点について突っ込んでくれよ!?
「・・・じゃあ、ここはじゃんけんだな。」
・・・美渡さん、あんたもか。
ここに高校一年生の男子と一緒に寝ることをおかしいと思う人間はいないらしい。高海家はみんな痴女なのか??
「絶対負けないっ!!」
千歌さんは何の意味があるのか手首をプラプラと準備運動させながらぎらぎらした目でやる気だ。志満さんも美渡さんも同様に獲物を狩る目つきでじゃんけんに臨もうとしている。
「じゃあいくわよ♪ じゃんけん・・・」
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「よろしくね♪ かいと君♪」
「あちゃあ・・・負けたか。」
「う~、梨子ちゃんにかいと君を貸してもらったは千歌なのに・・・。」
じゃんけんの結果は志満さんに軍配が上がった。美渡さんは、しょうがないと言った感じだが、千歌さんは、なにがそんな悔しいのか分からないがうっすら涙目になりながら、恨めしそうに志満さんを見ている。
「じゃあ今日はよろしくね、かいと君♪」
「・・・あの、僕健康的な高校一年生の男子ですよ?」
「それがどうしたの??」
「・・・いや、その、僕もね? 性欲とかその、あれがね? やっぱりね?」
恥ずかしかったので、途切れ途切れにそして言葉を曖昧にしながら、一緒に寝ることに否定的な態度を見せるが、その態度がこのドS姉妹には良くなかったらしい。
「んぅ~? もっと具体的に言ってくれいないとお姉さんたち分からないわよ~?」
「そうだよかいと君、もっとはっきり言ってくれないと?」
「・・・せ、性欲//」
志満さんと美渡さんは、にやにやしながら僕にもっとはっきり言えと問い詰めてくる。
くそっ、この二人完全に遊んでる!!
唯一千歌さんはこの手の話が苦手なのか顔を赤くしてもじもじしている。
千歌さん、お願いだから上の二人みたいにならずにそのまま純情であり続けてください。
やっぱり恥じらう女の子が一番可愛いと僕は思う。
「・・・やっぱりいいです。」
一緒に寝ることの何がだめなのか、恥ずかしくて言える訳もなく結局僕が折れてしまった。
「ふふ、じゃあ今日は一緒に寝ましょうね♡ 私も一度弟と一緒に寝てみたかったの!」
「・・・お手柔らかにお願いします。」
・・・果たして僕はちゃんと寝られるだろうか?
だが、待てよ。志満さんは千歌さんをからかうために、こう言っているだけかもしれない。
・・・そうだよ、本当に恋人同士でもない男女が一緒に寝る訳ないじゃないか。
それに最悪一緒に寝ると言っても実は、同じ部屋で別々の布団で寝るとかかもしれない。
きっと、そうに違いない。
きっと・・・。
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そして、その日の晩。
僕の淡い希望は何一つ叶うことはなかった。
同じ部屋で、一緒の布団で、抱き着かれたままで寝るという三連コンボが見事にきまった。完全にスリーアウトだ。
当然僕は・・・
ね、寝れないぃぃぃ!!??
豊満なスタイルを持つ志満さんに抱き着かれたまま寝れるわけもなく、目はギンギン状態だ。
もうね・・・色々柔らかい、圧倒的に!
加えて千歌さんもそうだったが、凄くいい匂いがするんですよ・・・。
後、時々志満さんから発せられる「うぅん」という声も僕の精神上大変よろしくない。
聴覚に嗅覚、感触が刺激されている状況で寝るとか、健全な男子高校生には無理な話だ。これで寝れたらその人は完全に男じゃないに違いない、それかホモだ。
・・・だめだっ、間違いなく寝不足になる!?
どう考えても寝れるビジョンが見えてこない僕は、何とか抱き着かれている腕を振りほどいて、外の空気に当たることにした。
・・・一度体を冷やして落ち着こう。爆音を奏でている胸に手を当て、そう決心し、音を立てないように静かに志満さんの部屋を後にした。
美渡さんも千歌さんの部屋もそれぞれ別だが、部屋の電気が消えていることからもう寝ているだろう。なるべく足音がでないよう抜き足差し足で廊下を進み、庭へと歩を進める。
「・・・ふぅ~、夜風が気持ちいい。」
特にトラブルもなく庭へと来た僕は心地よい夜風を感じながら庭に置いてあったベンチに腰をかける。
・・・流石旅館だな、こんな庭があるって。
ただの個人宅ではまずない立派な庭を見ながらしばらくそこで夜風に当たっていたが、その時後ろから物音がした。
「・・・っ!?」
静かな空間にいきなり物音がしたので、びっくりして後ろを振り返ると、
「・・・え、かいと君?」
「・・・千歌さん?」
そこには、寝間着に身を包み、驚いた表情を浮かべる千歌さんがいた。
「何してるのかいと君?」
まず千歌さんが不思議そうに僕にそう問いかけてくる。
「いや、ちょっと寝れなくて・・・。千歌さんは?」
「・・・まあ、私も似たような感じ、かな。」
僕も同じ質問をするが、その問いに答える千歌さんは少し元気がないように見えた。
「どうしたんですか? 何か悩みですか?」
気になったので続けてそう質問を重ねるが、その回答は少し意外だった。
「・・・私って末っ子じゃない? だからかいと君が弟として来てくれるってなった時凄く嬉しかったんだ。でもさ・・・」
と、真剣な表情で静かにそう語っていく千歌さん。
あ、これは長いやつだ。
本当、高海家は僕に退屈な時間を与えてくれないぜ・・・。
つづく
第4話読んで頂きありがとうございます!
今回は高海家の3姉妹が登場しました。
志満(巨乳)、美渡(貧乳)で勝手に設定しました。
間違ってたらすみません(笑)
最後にお気に入り登録してくれた方、誤字報告して頂いた方ありがとうございました!
では、次話でまた会いましょう!