・・・ここはどこだ?
ぼんやり意識が戻ってきたが、疲労感のあまり思考がまとまらない。
でも・・・、頭に柔らかく暖かい感触を感じる。
昔お姉ちゃんにされたことがあるからわかる、これは膝枕だ。
随分久しぶりな気がするけど、やっぱり安心感がある・・・。
こんなに気持ちがいいのにどうして最近は膝枕をしてもらってなかったんだろうか?
久しぶりついでだ、もっと甘えよう・・・。
寝返りを打ち、お姉ちゃんのお腹に顔をうずめてみる。
はあぁ~、この柔らかさがいいんだよな・・・って、ん?
やわらかく・・・ない?
なんだこれ? ごりごりしてる・・・。
ここにきて、意識もはっきり戻ってきて、視界が戻ってくる。
目の前には、少し汗ばんだ布地のもが・・・Tシャツだろうか?が見えた。
視線を上に向けてみる、そこには・・・
果南さんが、いた。
「おはよう、やっと目覚めたね、かいと!」
果南さんは、爽やかな笑顔でそう僕に言ってくる。
・・・・・え? どういう状況?
辺りを見渡してみると、どうやらここは浜辺らしい。
そこで、僕は果南さんに膝枕をされている・・・?
・・・って、
「うわああっ// すみません! すぐどきますっ!」
今自分が置かれている状況を理解してすぐ果南さんの膝から頭をどけるべく素早く立ち上がろうとするが、
・・・あれっ? 足に力が入らない?? なぜだ??
「ほら、だめだよっ! かいとはここで倒れてたんだから安静にしておかないとっ!」
足に力が入らない上に果南さんにぐいっと膝に押し付けられてしまい、結局膝枕の形で落ち着く形になってしまう。
凄く恥ずかしいんだが・・・。
「で、どうしてこんなところで倒れてたの?」
果南さんが上から僕の顔を覗き込みながらそう質問を投げかけてくる。
・・・しかし、下から見ると果南さんのあれのサイズが大きいことがよくわかるな。
と、いけない、こんなことを考えているのがばれたら何をされるか分かったもんじゃない。
でも確かになぜ僕はこんなところで倒れてたんだ??
・・・・・。
そうだ・・・、昨日千歌さんに禁断の技を使ったんだ。
寝起き後の朦朧とした状態から完全に抜け出し、昨日の思い出したくもない記憶が鮮明に脳によみがえる。
うおぉぉ、そうだった・・・あれのせいで恥ずかしさのあまり、意味もなく走り続けたんだった。それで力尽きて倒れてのか・・・どうりで足が動かないわけだ。
「・・・まあ、色々あって倒れるまでランニングをしてました。」
嘘ではない・・・よな?
「はぁ~なにそれ? どういうこと??」
しかし、当然そんなことを言われても納得してくれる果南さんではなかった。
でも本当のことを言うとか絶対無理っ!
僕が、それ以上特に話すつもりはないとの姿勢を見せていると果南さんは
「ふ~ん、まあ話したくないならいいけどさ。あんまり無理しちゃだめだからね?」
と、なぜか頭を撫でながらそんな風に優しい物言いでそう注意をしてくれる。こういうところは、流石高校三年生って思う。
でも、頭を撫でるのは、凄く恥ずかしいので今すぐやめてほしい。
と、若干の羞恥芯を感じつつも、油断していると突然果南さんの口から爆弾発言が
「・・・でも、かいともお姉ちゃんっこだね。さっきも「・・・お姉ちゃん」って言いながら私のお腹に抱き着いてきたもんね~。」
なん・・・だ・・・と?
僕が「・・・お姉ちゃん」って言いながら果南さんのお腹に抱き着いた??
「・・・・・まじですか??」
僕がワナワナと震えながら果南さんにそう確認をとる。
頼むから冗談だと言ってくれ・・・。
「うん、まじだよ。いや~梨子ちゃんに嫉妬しちゃうな~、私もちょっときゅんと来ちゃったな~。」
と、果南さんは手をほっぺに当てて、体をくねくねしながらもう一度やってよ、なんて言ってくる。
終わった・・・。
果南さんに抱き着いたのもそうだが、お姉ちゃんと言いながら抱き着いていたことを見られたのが一番キツイ。
昨日からこんなのばっかりじゃないか。
しかも今は足が動かないから逃げられないし・・・。
・・・あぁ~、死にたい。
僕が昨日から続く羞恥のあまり、メンタルブレイクしていると
「まあここにいてもあれだから家に送っていくよ。自分の足では、無理そうだよね?」
と、果南さんが僕にそう確認してくる。
頑張って足に力をいれようとするが、まったく思うように力が伝わらなかった。
どれだけ走ったんだ、昨日の僕は・・・。
「・・・すみません、無理そうです。」
なんだろう、今の僕は世界で一番情けないんじゃないだろうか・・・。
「了解! じゃあおぶってくよ!」
果南さんの汚れのない笑顔が眩しい・・・。
本当、踏んだり蹴ったりだ・・・。
とうわけで、高校一年生にもなって、高校三年生の女性におぶられて家に送られるという人生の中で消し去りたい出来事ランキング上位に間違いなく食い込む経験を朝一からすることになった。
「よしっ、着いたよ!」
不幸中の幸いか、僕が倒れていた場所は、家からすぐのところだったのですぐに家に着くことができた。
でも、おぶられているときに思ったけど果南さんも凄くいい匂いしたな・・・。
女性の匂いというのは反則だと思う、あれは男を惑わす魔法か何かに間違いない。
「あ、そうだ、一つ気になったんだけどさ!」
僕がくだらないことを考えていると果南さんが思い出したように元気よく僕に口を開き、こんなことを聞いてきた。
「私に膝枕をされてどうだった?」
にししと笑いながらそう聞いてくる果南さんに対し、僕は正直に思ったことを口にした。
「腹筋硬いですね、岩石かと思いました。」
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「かいと! どうしたの!!」
インターホンで呼び出しをすると、家の中からお姉ちゃんが血相を変えて出てきた。
僕の姿を見るなり、凄い勢いで抱き着いてきて
「はぁ~、一日ぶりのかいと・・・っは! そうじゃないわ! どうしたのかいと、そんなにぐったりして! それにその大きなたんこぶ! 何があったの!?」
お姉ちゃんは、一瞬我を忘れているように見えたがすぐに僕の異変に気付くと僕に矢継ぎ早に質問をしてくる。
「まあ色々あって・・・後、たんこぶに関しては気にしないで。完全に僕が悪いから。」
「・・・そうなの?? まあ無事そうならいいけれど。」
「梨子ちゃん、おはよう。かいとなら多分大丈夫だと思うけど、ひどく体力を消耗してるみたいだから休息は必要だと思うよ。後、デリカシーについての教育もね。」
果南さんは、最後に僕をジーと見ながらそう付け加えた。
・・・知らなかったんだ、女性が腹筋硬いって言われてあんなに怒るなんて。
腹筋硬いのは、体引き締まってるってことだから誉め言葉なんじゃと思ってたんだよ・・・。
それにしても、グーで頭を殴られるとは思わなかったけど、痛い、本当に・・・。
「果南さん、おはようございます。弟を連れてきてくれてありがとうございます。・・・、よく分からないけれど、かいとが無事そうでよかったわ・・・。」
お姉ちゃんは、僕と果南さんの様子から何かあったことを察したようだがこの場では特に追及することなく、その場はそれでお開きとなった。
果南さんは再度ランニングに向かったらしく、僕は歩けない為、お姉ちゃんに肩を借りながら自室へと向かった。
「もう・・・、浜辺で倒れてたなんて何してたか分からないけどあまりお姉ちゃんを心配させたらだめじゃないっ! 聞いたとき、心臓がとまるかと思ったじゃない!」
と、割と真剣な説教を受けてしまった。
こんなに怒られたのは久しぶりだった、心配かけたのは本当に申し訳なく思う。
羞恥が極限に達したら走る癖を直さないといけないな・・・。
お姉ちゃんはひとしきり怒った後、最後に抱き着いてきて
「まあ、結果的に無事だったから今回はこれくらいにするけど、もう二度とたおれるような真似しないでね?」
と、言い僕の部屋から出ていった。
学校に休みの連絡を入れるのと、千歌さんにも弟になる件は中止にする旨を伝えてくれるらしい。
こうして僕の怒涛の一日は終わった。
つづく
第6話読んで頂きありがとうございます!
今回は果南ちゃんが出てきました。
腹筋が硬い・・・ということにしてしまいましたが、僕はありだと思います、まじで!
・・・はい、というわけで相変わらずこんな感じで続ていきます(笑)
では、次話でまた会いましょう!