・・・まずい。
最初は、学校をさぼれてラッキーなんて思い、のんびりとベッドで寝ていたのだが、今、僕は緊急事態に陥っていた。
・・・トイレに、行きたい!
そう、僕は少し前から猛烈な尿意に襲われていた。
しかし足が棒のような状態になっており、自力で歩くことが出来ない為、トイレに行くことができないのだ・・・。
親は仕事でお姉ちゃんは部活に出かけている、つまり僕をトイレに連れて行ってくれる人はいないわけだ。
・・・大ピンチだ。
くっ、そろそろお姉ちゃんが部活から帰ってくると思うけど、もう我慢の限界だ・・・。
この年になってお漏らしするのか・・・?
嫌だっ、絶対に嫌だっ!?
お漏らしをしてしまった自分の未来を想像し、冗談じゃないとそんな想像を捨て去る。
どうする、どうする・・・あ、あれは!?
もうリミットもないことから、何とかできないか辺りを見渡すが、そこであるものが目に入る。
・・・ペットボトル。
それは、僕が動けないことを心配したお姉ちゃんが僕用に買ってくれたスポーツドリンクだ。中身は既に飲みつくしており、ペットボトルの中身は空になっている。
・・・・・。
数瞬の迷いの後、空になったペットボトルを手に取る。
・・・こんなこと、不本意だが。
これに用をたすかないっ!!
そう心の中で呟き、僕はズボンに手をかけた。
その瞬間だった。
部屋の扉がガチャリと開き
「お見舞いに来たずらよ~」
部活帰りなのか、上下のジャージに身を包んだ花丸が僕の部屋にやってきていた。
「「・・・・・。」」
寝た態勢でズボンに手をかけ、今まさにそれを脱ごうとしてた僕は花丸の姿を確認し、固まる。
同じくそんな僕の姿を見て固まる花丸。
なぜここにいるのか、ノックして入って来いよ、なんて思考が僕の脳内をぐるぐると回るが、結局この状況に対してどうしていいのか分からず固まり続けてしまう。
二人の間に流れる気まず~い沈黙。
「・・・何してるずら?」
静けさを破ったのは、花丸の冷たく凍てつくようなセリフだった。
ごみを見るような目は是非やめて頂きたい。ぞくりとするじゃないか、漏れたらどうする気だ。
「・・・違うんだよ、これには深い理由があるんだよ。」
「何ずら、理由って。」
「トイレに行けないから、止むを得ずね? 本当に仕方がなく、ここで用を足そうと・・・。」
「・・・・・。」
「その目はやめいっ!!」
ごみを見るような目から、性犯罪者を見るような目つきに変わった為、必死に弁解をしようと試みるが
「・・・まさか、ここまで変態だとは思わなかったずら。」
と、取り付く島もない状態。
「足が動かないんだよ! トイレに行きたくてもいけないのっ! ていうか元々ちょっと変態だったみたいな言い方もやめいっ!」
変態のレッテルを貼られてるわけにもいかないので引き続き食い下がるが、花丸は急にけろりと変態を見るような目つきから普通の表情に戻したかと思うと
「冗談ずら、足が動かないのは梨子ちゃんから聞いてたずら。」
と、ふざけたことを述べながら部屋にずかずかと入り込んできた。
さっきまでの態度は演技だったらしい。本当に勘弁してほしい、心臓に悪い。
「というか、本当にやばいっ! 花丸、早く部屋から出ていってくれ! 今からするからっ!」
そう、今、花丸はどうでもいい。
それより今は僕の尿事情が重要なのだ。
僕が花丸にそう叫び、再びズボンに手をかけようとすると
「ちょ// 何してるずら! 馬鹿ずらかっ!」
花丸は僕の行動に、顔を赤くしそう言い放ってくる。
「だから、もう尿意の限界なんだよ! 早く出ていってくれよ!」
僕はそう言い、ズボンをおろそうとするが
「やめるずら! ちゃんとトイレに行ってするずら!」
花丸が、そんな僕を取り押さえ、トイレに行けと主張してくる。
危ない、取り押さえられた衝撃で漏れるかと思った・・・。
「だから、何度も言ってるけど歩けないんだよ!!」
「まるがおぶっていくずら!」
花丸が・・・僕を、おぶる??
花丸は小柄だ、力だってあまりないはずだ。
そんな花丸が大柄ではないとはいえ、同い年の男の僕を背負う??
いやいや無理だろw と思い、花丸を見るがその目は真剣であり冗談を言っているわけでないことが分かる。
・・・嘘だろ?
―――――――――――――――――――
―――――――――
「・・・くっ、ふっ・・・うぅ」
花丸が歩を進めるたびに、苦しそうにうめき声をあげる。
結局、花丸が僕を背負っていくと譲らなかったため、こうして今、花丸に背おられているわけだが・・・
まずいまずいまずいまずい、花丸が歩くたびにその衝撃が僕の全身に襲い掛かり、漏れそうになる。
・・・持ってくれ、僕の膀胱!
同級生に背負われながら漏らすとか、自殺ものだっ!?
しかし、こんな超緊急事態時だというのに実は今、尿意の他に悩まされていることが一つある。
それは、
花丸の胸が、もとい、おっぱいが思い切り僕の腕に当たってるっ、というか最早食い込んでるっ!!
おんぶをされるため、僕の腕で花丸にしがみつく必要があるのだが、いかんせん花丸は相当無理をしているようで、態勢が安定せずフラフラしているのだ、気を抜けば落ちるほどに。
ちなみに今、落ちればその衝撃で100%漏らす、間違いない。
というわけで、僕も必死にしがみつくわけだが、その際、謝って腕に花丸の胸があたる箇所にしがみついてしまったのだ。
しがみつく場所を変えたくても、この不安定な状態でそんなことしたら落ちる確率が非常に高い。
だから仕方ない、仕方ないのだ・・・。
僕が、この態勢のままでトイレに運ばれることを甘んじて受け入れなければいけないのだ。
決して、この柔らかく、尊いこの夢のような感触を楽しんではいけないのだ、それは必死に僕をトイレに送り届けようとする花丸に失礼だ!
幸いにも、必死すぎて花丸もこの事態には気付いていないようだし・・・。
懸念点は、この感触の心地で気が緩んで漏らさないかだが、そこは僕の不屈の精神力で乗り切るしかない、大丈夫、毎日お姉ちゃんと過ごしている僕になら可能だ。
しかし、この一歩進むのに5秒かかっている状況では、シンプルに僕が時間切れで漏らす可能性もある。ここは話でもして気を紛らわそう。
「そういえば、花丸。今日はどうして一人でうちに来たの? お姉ちゃんは?」
僕が、普通に気になっていたことを花丸に質問するが
「い、今・・・話しかけるな・・・ずら。気を抜いたらこけるずら。」
「失礼しました、集中して歩いてください。」
転ばれたら、たまってものではないので、言う通りに口を閉じる僕。でもいいぞ、トイレまでもう少しだ、かなりきついがこのままいけば何とか間に合いそうだ!
花丸もそれが分かっているのか、
「あ、あとちょっとずら・・・。」
と、汗を滴らせながらも着実に歩を進めていく。
全ては順調だった、うまくいくと思った。
しかし、ここで事件が起こった。
カサカサカサカサ
「ふ・・・くっ・・・ん?」
突如、花丸の動きがピタリと止まり、静止してしまった。
この緊急時にどうしたの言うのだろう?
このまま漏らせば、お互いとんでもないことになるというのに。
「なあ、花丸どうしt「いやあああぁぁ、ゴキブリずらぁああ!!??」」
花丸の聞いたこともないような大絶叫と共に、後ろに飛ぶように仰け反った花丸の動きに合わせ、僕は後ろにぴょ~んと放り出されてしまう。
嘘・・・だろ? ゴキブリって・・・。
そんな僕の虚しい心の中のツッコミをしたところで全身に強い衝撃が襲い掛かる。床にたたきつけられたのだ。そしてその衝撃と共に、僕の中で何かがポキリと折れた。
「あ・・・あぁ。」
床に叩きつけられた鈍い痛みとともに、それに匹敵する快感が襲ってきた。
桜内かいと 15歳。
同級生の前で漏らした瞬間だった。
つづく
第7話読んで頂きありがとうございます!
今回は花丸ちゃん登場でした!
今回はお姉ちゃん要素はなしで、ただトイレに行くだけのお話でしたw
(行けなかったけど・・・)
花丸ちゃん回は、次話がメインですので今回はその前座ということで!
では次話でまた会いましょう!