「これは、どういう事だ?」
事態を進めたのはメルドの一言だった。押し倒されたマリアを見ながら困惑気味にそう言った。それに合わせる様にクラスメイト達も口々にマリアやその周囲の人物について話し始めた。
「静かにしてくださ~い!……あの、マリア君。彼女たちとは一体どういった関係なんですか?」
騒然とした場を取り仕切ったのは意外にも(失礼だが)愛子先生だった。普段のポアポアした雰囲気ではなく、れっきとした教師としての威厳を感じる。ただ、マリア達の存在感の方が強く、影が薄く感じる感はになめない。
そんな愛子先生の質問に、押し倒した少女をどかしてマリアは立ち上がりなあら微笑を浮かべ、答えた。
「では、改めて。騎空団グランサイファー副団長のマリアです。こっちは団長のジータ。改めて宜しく。まぁ、恐らく君たちとは別行動だろうけどね」
「別行動ってどういうことだ。俺達は仲間だろう?」
マリアが言った言葉にすぐさま反論したのは光輝だった。その顔は困惑気味で同時に少しばかりの嫉妬を宿していた。それが、何に対する嫉妬なのかはマリアにも当の本人にも分からないだろう。
光輝の言葉にマリアは困ったように笑う。それは、出来の悪い子どもにしかりつけるかのようだった。
「流石に同じクラスに居たからと言って仲間と言われるのはちょっとどうかと思うよ。天之河君。それに、私達もそれなりの規模だが、同時に守るべき人たちも多い。戦いを知らない君たちを守れるほどの余裕も無いのさ」
「マリア、それは流石に言い過ぎだろう」
肩を竦めてそう言ったマリアにカタリナが苦言を呈した。カタリナも状況は良く分かっていないが、彼らの動きから戦いを知らない人間であることは察したようで、そんな相手から『仲間』と言われているということは何かしらにマリアが巻き込まれていると考えたからだ。流石に、素人を見捨てては後味が悪いというのもある。
「彼らは、素人だろう?戦闘になったら真っ先に死んでしまうかもしれない」
「分かるよ。しかし、彼らは
マリアはそう言いながらカタリナの傍に立つヴィーラや騎空挺に乗っている仲間たちの方向を見やった。そんなマリアの姿にカタリナは苦笑いをした。どうやら、説得するつもりはないらしい。彼らだけで話が終わり、若干解散ムードになったその時、空気になりかけていたメルドが声を上げた。
「あー、マリア…副団長。すまないが、それは許可できない。少なくとも、私の一存ではどうしようもない」
「メルド騎士団長?…ここで何故とは言いません。しかし、ならば私の仲間の滞在の許可も頂きたい。何かあってからでは遅いのでね」
「それは勿論だ。しかし、先程要人と言っていたが、それは?」
メルドの言葉にマリアは納得したようで、その代わりの条件として団員の滞在許可を申し出た。彼らは空から来たので関所を通っていない。つまり、不法入国に近い。それを盾になにか無理難題を吹っ掛けられてはたまったものではない。そうマリアは考えたからだ。カタリナとヴィーラもそれには異論はない様で、静かにその場に立っていた。
「メルド騎士団長の質問には後程と言うことで。どこか落ち着ける場所で話すとしましょう」
「それもそうだな。………あぁ、その騎空挺?ってヤツは王城内にある庭にでも止めておいてくれ」
「分かりました」
そう言ってその場は一時的にお開きになった。話に入ることが出来なかったクラスメイト達は置いてけぼりを喰らっていたが、時期に動き出しぞろぞろとメルドの後を追った。一部の男子生徒はマリア達の騎空挺に興味を持ち、近くで見ていた。
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場所が変わって王城内にある会議室。そこには、王女のリリアーナ。側仕えのヘリーナ。騎士団長メルド。クラスメイトとなり、対面に騎空団の面々となっていた。メンツは団長のジータ、副団長のマリア、ルリア、カタリナ、ヴィーラ、ロミオ、カリオストロと言った年長者や交渉に長けている面々となっている。騎空団の面々は武装解除しておらず、マリアに関しては全身甲冑でヘルムだけ取っているだけだ。因みに、この場で丸腰なのは召喚組のみでそれ以外は帯剣している。
「それで、もう一度聞くが。君は何者だ、マリア」
「先ほども言ったとおりです、メルド騎士団長。グランサイファー副団長マリア。それ以上でもそれ以下でもありません」
緊張した面持ちで問いかけるメルドに対していたって平然にそう返すマリア。落ち着いた様子でテーブルに置かれた紅茶に口を付けるその姿は、メルドの頭にマリアの身分が貴族ではないかという予測をたたせる。しかし、どう切り出せばいいのか分からず押し黙ってしまう。暫く沈黙が続いた中、マリアが思いついたかのように提案してきた。
「先ほどは、紹介していませんでしたね。今回、この場に出てもらった仲間の紹介をしましょう」
「あ、あぁ、それはありがたい」
マリアの申し出にそう返す事しかできないメルド。既に空気になりつつあるリリアーナ王女は「アレ、王女なのに影薄い…」とボソッと呟き、背後に控えていたヘリーナに慰められていた。クラスメイト達は、マリアと並ぶ美形たちに男女共に魅了されており、その中心にいるマリアに嫉妬していた。特に男子。
「では、まず団長で姉のジータ。次に、ルリア。元帝国中尉のカタリナ、元アルビオン領主のヴィーラ、騎士のロミオ、錬金術師のカリオストロが今回の会談のメンバーです」
「う、うぅむ…」
マリアが並べた言葉にメルドは唸るので精いっぱいだった。帝国?隣国とは違うだろう…。領主?その若さで?どれ程の才を持っているのだろうか。騎士にしては貫禄が凄いな…王と言っても違和感はないな。錬金術師?錬成師と何が違うんだ?と、見事にキャパを超えてしまい、理解が追い付いていなかった。それは、騎空団の面々以外全員に言えた事であり、当の騎空団はと言うと、最後に紹介された錬金術師カリオストロが「美少女を付けろ!美少女を!」とマリアに対して抗議し、ジータがそれをなだめていた。
「ま、まぁ、分かった。では、こちらの事情を…」
そう言ってメルドは現状を説明した。魔人族との戦争、亜人差別、マリア含め此処に居る学生たちは神エヒトが召喚した神の使徒であること、光輝が筆頭にこの戦いに協力してくれること、出来れば協力して欲しい事等、様々な事を説明した。時々、同席したリリアーナが補足を入れ順調に説明し、終わった。
それに対して、マリア達は小声で話しながら何かを決めた様だった。ルリアは何度も何かを言っていたが、マリアが頑なに首を振らず、ジータも特に何も言っていなかった。
相談が終わったのか、全員が元の位置に戻り、佇まいを直した。そして、団長であるジータが全員で決めた結論を述べる。
「結論から言います。私達は、貴方達に全面協力することは出来ません」
「………理由をお尋ねしても宜しいですか?」
ジータが言った言葉にクラスメイトはざわつき、リリアーナはその結論に至った理由を問うた。ジータの出した結論に光輝が何か言おうとしたが、近くに居た龍太郎と雫によってそれは阻止された。流石の脳筋も空気は読むのである。
「理由としては、恐らくあなた方は私達を受け入れる事が出来ないからです。私達の騎空団にはエルーンやドラフ…こちらで言う亜人族に似た仲間も居ます。先程の話の内容から亜人は差別対象の様なので、似ている仲間も迫害されるかもしれません。そのような危険は、団長として犯したくない。別に、敵対したい訳ではありません。完全な協力は、無理というだけです。何より、私達の目的は副団長です。この際、この世界がどうなろうと極論どうでもいいんです」
「お仲間に対しての特別処置をする…と、してもですか?」
「えぇ、それは国民全体に伝わる事は無いでしょうし、なにより大本の教会は差別を推奨しているようでは無いですか。どれだけ王国が何を言おうと、教会が是とすれば通る。違いますか?」
そう言ったジータにリリアーナは苦虫をかみつぶした様な顔をした。確かに、教会の影響力のある王国では亜人奴隷こそ存在はしないものの、亜人への差別は奴隷が存在する国家以上であり、いくら王族が差別させない様に心がけると言ってもそれが確実に実行される確証は無いのだ。
会話が区切られた瞬間に、隙を窺っていたのか、光輝が前へ出てきて言い募り始めた。脳筋とオカンは突破されたらしい。
「なんでそんな事が言えるんだ!?この世界の人が苦しんでいる!力があるなら、助けるのが当たり前じゃないか!」
「力があるなら…ね。私達は、慈善団体でも無ければそんな後に禍根を残すようなその場だけの善意なんてやるつもりは無いの。なにより、宗教関連での戦争なんて介入したくも無いわ」
光輝の言葉もバッサリと切って捨てたジータにあり得ない者を見るような目をする光輝。彼は、自分の中の世界でしか生きていないが故に理解できなかったのだろう。彼の中では、世界を救ってハッピーエンドなのだろう。その後を考えない。シンデレラが王子と幸せになりましたのその後を誰も考えない様に。ゲームの主人公の様に万事上手くいくと考えていた。
「それと、副団長が言っていた要人って言うのは、公爵家の次期当主とその婚約者や騎士団団長、王族等高い身分の方が多いからです。何より、その中にもエルーンやドラフも居る。彼らの身の安全を確保するのも私達の役目です」
その後、リリアーナとメルドによってクラスメイト達は退出を余儀なくされた。その際、光輝が激しく抵抗したがまだ力も弱いため、他のクラスメイト達に引きずられながら部屋を出ていった。これも、話を余計に拗らせない為の処置だった。
王国側と騎空団側のみになり、話し合い。ある程度の譲歩と協力を取り付け、騎空団が訓練中は王国側は近くにトータス人を近づけない事やその他エルーンとドラフに関する幾つかの条件を設け約束し、騎空団は可能な限り協力するが原則技術協力はしないといった方向で話はまとまった。
しかし、騎空団と召喚組の溝は以前存在した。そして、その後の問題も起こるべくして起こったと言っても過言では無かった。
基本は私が所持しているキャラが多く出ます。なんか、リクエストがあればそのキャラも調べて出します。出番は多分結構あると思う。
マリアの着ている鎧:エルステ帝国小隊長の黒い騎士甲冑。何故それを持っており、着ているのかはこれから明かされる。
ジータ:実は結構な現実主義。弟大好きなヤベー奴。実は大きな秘密がある。
マリア:同じく現実主義のヤベー奴。仲間の為なら手段を択ばない。
騎空団の仲間たち:一人一人の個性が凄すぎる集団。一騎当千。団長と副団長の特異性に関しては慣れた。