椎名さんと過ごす日々   作:ニアランテ・オルタ

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椎名さんと事件前

 「…今日は早めに帰りましょうか」

 

そういって帰り支度をする椎名さん。何故、今日は早く帰るのかはわからないが椎名さんが言うなら。そう思い、俺も帰り支度を始める。

 

「昨日、先生に頼まれたプリントを出しにいかなければなりませんから」

 

そうだ、忘れていた。昨日急に先生に

『このプリントを明日渡してくれないか?』と頼まれていた。

 

「…もしかして、忘れてましたか?」

 

椎名さんはそう言って俺の方を疑う様な目で見てくる。もし、忘れていたなんて言ったらどんな目に合うかわからないので黙っておこう。そう思い、椎名さんに忘れてない。と伝える。

 

「…怪しいですが、まあいいです。それより早くいきましょう」

 

支度を済ませた椎名さんはそう言って図書館を出ていく。勿論、俺も付いていくが。

 

「多分、あの先生のことですから特別棟の方にいると思います」

 

特別棟。それは家庭科室や、理科室。視聴覚室と言った何時もはあまり使われない場所が多くある場所だ。これくらいの時間になると人も少ないし、光もあまり当たらないので、正直言って不気味だ。

 

「確かに少し不気味ですが、あなたが付いてきてくれるなら大丈夫です」

 

椎名さんは安心した声でそう言ってくる。そんな風に言われると頑張らなくちゃならなくなる。全く、椎名さんには敵わない。

 

「ふふ、頼りにしてますよ?」

 

そんなくだらない話をしながら、特別棟に入っていく。

 

「そう言えば、彼がクラスを仕切るようになってからまだ何も起きてませんね…」

 

特別棟の階段をのぼっていると椎名さんがそんなことを聞いてきた。椎名さんの言う彼とは多分、龍園君さんのことだろう。確かに彼は何起こすと言っていたから何も起きていないのは不思議だ。

 

「でも、何も起きないのが一番良いと思いますけどね」

 

椎名さんがそう言うが俺はその言葉にフラグを感じた。そしてそのフラグは直ぐに回収されることになる。

 

「あれ?あれは…」

 

椎名さんが見つめる視線の先、そこには一人の赤髪の生徒が三人の生徒を倒しているように見える状況が広がっていた。倒れている生徒は何処かで見た感じがするので多分、Cクラスの生徒だろう。もう一人の生徒はやっぱりと言うべきかあの時コンビニで怒鳴っていた不良の奴だ。

 

「…なかなか、酷い光景を目にしましたね…」

 

椎名さんの言葉に頷きつつ、携帯で写真を一枚撮っておく。録画もした方が良いだろうか…。

 

「しなくて良いと思いますよ?どうせ彼の作戦です。あまり気にしないようにしましょう」

 

椎名さんにそう言われ、携帯を仕舞う。それと同時に赤髪の生徒が三人に向かって何か言っているように見えたが、俺達がいる場所からだと遠くてきこえなかった。赤髪の生徒はそのまま階段を降りて去っていった。

 

「あれは、どっちが悪いのでしょうね?」

 

視界の端で電話をする三人を見つつ、椎名さんの疑問にこたえる。先に手を出した方が悪い。と

 

「この場合だとわかっていないので裁判にでもなりそうですね」

 

椎名さんは苦笑いをしつつ、本来の目的であるプリントの提出に向かう。俺も後を追うようについていく。これから起きるであろう面倒事に巻き込まれないことを祈りながら。

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