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「竜司、なぜ俺が怒っているか…わかるな?」
「…はい」
ウォートホッグとの戦闘後、俺は霧夜先生に呼び出されていた。
理由は簡単、それは…
「外部の人間と関わったばかりが…スカルの襲撃に巻き込んでしまったことです…」
「そうだ」
霧夜先生は静かに、俺を見つめながら答えた。
「竜司、お前はたしかにリューマとして選ばれて…多くのスカルと闘ってきて…それを誇ることは決して悪いことではない…しかし…」
お前は忍だ。
その言葉に俺は自分の浅はかさを悔いた。
「お前は自分の勝手な解釈で外部と接触し、関係のない一般市民を危険に晒した…忍としてあるまじき行為だ。」
「う……」
霧夜先生の言葉に俺は何も言えなかった。
「襲撃したスカルを確実に倒せ…あくまで忍として…以上だ」
そういうと霧夜先生は静かにその場を去っていった。
「はぁ…」
俺はスカルの情報を探るために情報収集を行なっていた。その中でわかったことなのだが最近この辺りでスポーツ選手や画家、格闘家などの若者が何者かに襲撃される事件が多発しているらしい。そのほとんどが再起不能になっているらしく彼らが愛用していた道具が奪われているとのことだそうだ。
しかし、同時に俺は…
「何…やってんだろうな…俺」
改めて自分の行いを俺は悔いていた。今回の情報も入念に調査していればもっと早めに気づくことであった。仮面ライダーであることにこだわるばかりに忍であることを疎かにしてしまった…自分が本当に目指していた『世界一かっこいい忍者』の夢を見失っていた。
「竜司、無事だったんだな!!」
ふと声が聞こえて振り向くと、野球のユニフォームを着た鈴木がこちらへと駆け寄ってきた。
「鈴木…どうしてここに?」
「この前の場所が立ち入り禁止になっていたからさ、ここで練習してたんだ。」
「そっか…」
俺は言ってるそばから鈴木に気づかないばかりかつい喋ってしまったことに不甲斐なさを感じてしまった。
「どうしたんだ竜司?なんか元気ないけど?」
鈴木は俺の様子に気づいたのか心配そうに聞いてきた。
「え、ええと…ちょっと…いろいろ失敗しちゃって怒られちゃって…」
「そっか…」
鈴木は俺があまり聞かれたくないことを感じたのかそれ以上は聞いてこなかった。
「なぁ竜司、ちょっといいか?」
「ん?」
突然、鈴木が俺に話しかけた。
「ふふふ…楽しみですね…」
美術館の隠し部屋、ウォートホッグの男はそこで鈴木が落としたボールを見つめながら不敵な笑みを浮かべていた。
「何をしている?」
ふと声がした方を振り向くと、燕尾服を着た女性、メドューサが苛立った表情で睨み付けていた。
「いつになったらリューマを倒しに行く?あれからずっとそのボールを見つめているだけではないか」
「…これは失礼、久しぶりに素晴らしい夢の香りを見つけてしまったので…」
メドューサの怒りの顔にも動じずウォートホッグは笑みを浮かべて頭を下げた。
「これだけの夢が…誰かに壊されたとき、あの少年はどんな絶望の顔を浮かべてくれますかねぇ…」
「…相変わらず、悪趣味な男だな」
ウォートホッグの言葉にメドューサは嫌悪の表情を見せた。
「ん〜心外ですね…良い趣味と言って欲しいのですが…あの未来を信じてまっすぐな希望に満ち溢れた顔が絶望に変わる瞬間、その素晴らしさがわからないなんて…」
ウォートホッグは悪意に染まった笑みで嗤い歩き出した。
「まぁ見ていてください、頼まれた仕事はきちんと熟すのが私のポリシーなので」
「で……何で俺、ランニングしてんだろ?」
今俺は河原でランニングをしていた。
「悩んだ時とか行き詰まった時ってこうやってリフレッシュすると良いよ、俺もスランプの時とかこうやってスッキリしてるんだ」
「そ、そっか…」
外部の人間と極力関わるなとあれだけ言われておきながら関わってる自分がまた少し情けなくなってしまった。しかし、たしかに走っていると風を切る音や陽の光が気持ち良くて少し気が楽になっていた。
「ふう、少しは良い顔になったな」
「あ、あぁ。ありがとな鈴木」
少しスッキリした俺たちは河原の草むらに腰掛けていた。
「…なぁ鈴木、ひとつ聞いていいか?」
「どうした竜司?」
「もし…さ、自分の夢を追いかけているつもりが…いつのまにかその夢の本質を見失ってしまったらさ…どうしたらいいかな?」
『世界一かっこいい忍者』になる、その夢に向かってまっすぐ走ってたはずなのに…仮面ライダーの力にこだわりすぎて…忍としての本質を見失ってしまった…そんな自分が情けなくてつい相談してしまった。
「それなら簡単だよ、自分が何でその夢を目指したのかを思い出してみたらいい」
鈴木は、俺の質問に何の迷いもなく答えた。
「俺もさ、あるんだよ。今の竜司とおんなじことになった時がさ、試合に勝つことばかり考えて、何で野球をやってるのか分からなくなっちゃったことがあるんだ。それを監督に見抜かれてしばらく試合に出してもらえなくなってさ、試合ができなくなって気づいたんだ。何で野球をやってたのか」
「なんで?」
「野球が大好きだからだよ。俺は野球が大好きなんだ。多分世界で一番」
まっすぐと笑顔で鈴木は答えた。
「竜司、お前もなんでその夢を持っていたのか一度振り返ってみるといいよ。結構簡単なことだったりするしさ」
「鈴木…」
鈴木の言葉に俺は、少し考えた。
(なんで…俺が『世界一かっこいい忍者』を目指したのか…)
そして、それは本当にあっさりとわかってしまった。
「理由なんてない、ただなりたいから目指したんだ」
仮面ライダーになったのも…自分の目指す『世界一かっこいい忍者』になりたいから、その夢を叶えるために必要だったから…
「ありがとな鈴木、おかげでスッキリした。」
「お、もう大丈夫なのか?」
「おかげさまでな、サンキュー」
鈴木にお礼を言うと俺はそのままその場を離れた。
少し歩くと煙玉とともに霧夜先生が現れた。
「…まったく、外部の人間と接触したことを注意したそばから…」
「ごめんなさい!」
俺が頭を下げると霧夜先生は少しポカンとした顔になり、安心した顔をした。
「…どうやら、吹っ切れたようだな」
「はいっ!!」
「なら、引き継ぎスカルの捜索を進めろ!!お前の目指す、忍としてな」
そう言うと霧夜先生はそのまま立ち去っていった。
「やれやれ、あいつのことになると心配でほっとけなくなってしまうな」
霧夜先生は走り出した竜司を見ながら笑ってそう呟いた。
「なぁ凛、あいつを見てるとな…お前のことを思い出すよ。『スーパーニンジャ』を目指したお前のことをな…」
かつて自分が救えなかった教え子のことを再び思い出していた。
次の日、この日は鈴木の試合前日であった。鈴木はユニフォームを着てバットを背負って学校のグラウンドへと向かっている。本当は今日は体を万全にするために練習は無いのだが最後のアップをするためやりすぎないことを条件に一人練習をするためグラウンドを使うことを許してもらったのだ。
そんな彼を離れた場所から初老の男、ウォートホッグが見つめていた。ウォートホッグは邪悪な笑みを浮かべ懐から藍色のスカルキーを取り出し、起動させる
『ウォートホッグ!!』
すると、右肩に鍵穴が現れそこへ鍵を挿しこみ回すとどす黒い泥が溢れ出て全身を覆い、両肩に車輪が付いたイボイノシシの怪物、ウォートホッグスカルへと変身した。
ウォートホッグスカルはそのまま静かに、ゆっくりと鈴木へと近寄っていく。そのまま襲い掛かろうとしたその時、竜司が割り込んできた。
「なっ…」
竜司の登場にウォートホッグスカルは思わず立ち止まる。竜司がチラリと鈴木の方を見ると鈴木はウォートホッグスカルに気づくことなくその場を去っていった。竜司は安心する。気づかなくて幸運だ。これからはあいつにはまったく関係ない戦いが始まる。平和な世界で生きているあいつは、できれば関わって欲しくない。
「なぜ…私があの少年を襲うとわかったのですか?」
突然現れた俺にウォートホッグスカルは驚きを隠せずにいるようだ。
「最近この辺りで学生が襲われている事件が多発している…それも全員が何かの分野で注目されている…現場の破壊痕からお前だと分かった…そんな奴が、俺と一緒にいた野球少年の鈴木に狙いをつけないわけがないだろ?」
(万が一当てが外れた場合に備えて他のみんなにまだ襲われてない人たちの監視を任せたけど、どうやら当たりだったようだな)
「ふう…仕方がありませんね…あなたを倒さないとメドューサ様がうるさいですからね…あの少年はあなたを倒した後にゆっくりいたぶるとしましょう」
ウォートホッグスカルは身構えて臨戦態勢に入った。
「させねえよ…お前みたいなやつに…人の夢は壊させねえ!!」
『ティラノ!!』
俺はカグラドライバーを装着してティラノキーを鍵穴に差し込んだ。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
ベルトから音楽が流れ出す。
「変身!!」
俺は掛け声と共にティラノキーを回した。
『武装!!ティラノ!!』
ドライバーの音声と共にティラノサウルスの幻影が現れ俺を包み仮面ライダーリューマへと変身した。
「仮面ライダーリューマ…いざ、舞い忍ぶぜ!!」
「いい気になるなよ小僧!!」
ウォートホッグスカルはそのまま突進を繰り出してきて、俺はそれを躱した。
「おりゃぁ!!」
「なっ…!?」
そのまま蹴りを繰り出すとウォートホッグスカルは吹き飛ばされ壁に激突した。
「ぐっ…このぉ!!」
ウォートホッグスカルは叫びながら俺に殴りかかるのでそれを躱して連続でパンチを繰り出す。
「ぐわぁぁぁぁ!?こ、このパワーは一体…!?」
俺のパンチにウォートホッグスカルはフラフラになりながらも立ち上がった。
「ぐぐ…少しはやりますね…ですが、これならどうです?」
すると、ウォートホッグスカルは両肩の車輪を回転させ背中のブースターにエネルギーが集中し、ブースターの噴出とともに強力な突進が繰り出された。
『必殺の術!!』
「必殺忍法!!激竜無双キック!!」
俺はカグラドライバーを叩くと音声と共に足にエネルギーが込められていく。俺は飛び上がるとティラノサウルスのオーラを全身に纏い渾身のキックが繰り出された。そして、その蹴りは相手の突進に打ち勝ちウォートホッグスカルを吹き飛ばした。
「ぐっ…ぐわぁぁぁぁ!?」
俺の必殺忍法によって吹き飛ばされたウォートホッグスカルはなんとか立ち上がる。しかし、もはや心は折れ、満身創痍になっていた。
「そ、そんな…あの時とは比べものにならないくらい強くなっている…この短い間に…一体何が…」
「俺は、もっと強くなる…忍としても、仮面ライダーとしても…俺の目指す夢のためにな…お前みたいな、人の夢を踏みにじるやつに負けてる暇はないんだよ!!」
「ウォートホッグ……なんてザマだ」
その様子をメドューサは憤りながら見ていた。
自身が命じた部下、それが命令を遂行するどころか勝手な行動をした結果、リューマに返り討ちに遭う…失態も良いところである。
「こんなところでコレを使うことになるなんて…」
怒りながらメドューサは懐からあるものを取り出した。それはまるで毒蛇の牙を思わせるダガーであった。よく見ると中には血のように紅い液体が入っていた。
「貴様程度には過ぎた代物だか…せいぜい役に立て」
そしてメドューサはダガーをウォートホッグスカルへと投げつけた。
「さて、そろそろトドメといこうか」
「ひぃっ!!」
俺が近づくとウォートホッグスカルは悲鳴をあげ後ろに退がった。もはや戦意喪失しているのは明白だった。俺が再び必殺忍法を放とうとしたその時、
「ぐぁっ!?」
突然、ウォートホッグスカルの体に毒蛇の牙の様なダガーが刺さり中の液体が注入された。
「な、なんだ…!?」
「ぐぐぐ…ぐぁぁぁぁぁ!!」
すると、ウォートホッグスカルは苦しみ出したかと思えば突然軀が肥大し脚が二つの車輪になった巨大なイボイノシシの姿になった。
「ブヒィィィィィィン!!」
突如変貌したウォートホッグスカル・巨獣態は巨大な雄叫びとともに無茶苦茶に走り出した。
「あの暴れ方…暴走してる!?」
突然暴走し出したウォートホッグスカル・巨獣態の攻撃を躱して反撃すると先ほどよりも耐久力が上がっているのかすぐに立ち直って攻撃してきた。
「くっそ…厄介だな…」
『ゲコゲコ!!ゲコゲコ!!』
突然声が聞こえてそちらを見るとカラクリガマのガマ吉がこちらへやってきた。そして俺にら咥えていたオレンジ色小さな巻物とカードキーを渡すとスマホモードになった。着信があったので出ると相手は霧夜先生だった。
『竜司!!神門様からお前に新しいアイテムだ!!』
「おおっ!!新アイテムですか!!」
「本当はもう少し時間がかかるそうだったが斑鳩の実家の協力のもとどうにか完成した。巻物のボタンを押せ!!」
よく見ると巻物の方に小さなボタンが付いている。俺がそれを押すと
『シノビークル!!』
突然巻物が巨大化、変形するとオレンジ色のバイク、シノビークル大地に変形した。
「おおっ!!専用のバイク!!ありがとうございます!!」
俺は早速シノビークル大地に乗ると発進させウォートホッグスカル巨獣態へと突進した。バイクはスピードはもちろんのこと自分の思った通りに自在に動き、まるで自分の体の様であった。
「すげぇ…これなら!!」
俺はシノビークル・大地で暴れるウォートホッグスカル巨獣態の攻撃を躱してファングクナイで斬りつけた。
「ブヒィィィィィィン!!」
ウォートホッグスカル巨獣態はがむしゃらに攻撃を繰り出すが俺にはかすりもしない。
『竜司、そうしたら一緒にあったカードキーをバイクに差し込め!!』
「カードキー…これか!!」
俺はカードキーをシノビークル大地の差し込み口に入れた。
『ハヤウマモード!!』
すると突然シノビークル大地をオレンジ色のオーラが包み形を作り巨大なブースターが装着されシノビークル大地・ハヤウマモードに変わった。
「おりゃぁ!!」
すると、ブースターの推進力によって先程を遥かに上回るスピードが出てその突進によってウォートホッグスカル巨獣態は吹き飛ばされた。
「ブォォォォォォ!!」
ウォートホッグスカル巨獣態は起き上がると激昂してこちらへ突進してくる。
「トドメだ!!」
『必殺の術!!』
俺がカグラドライバーを叩くと巨大なティラノサウルスの顔がバイクを包みティラノサウルスが口を開き凄まじい突進が繰り出された。
「必殺忍法!!激竜大顎!!」
巨大なティラノサウルスの牙がウォートホッグスカル巨獣態を飲み込み爆発した。
「ばっ…化物……悪…夢だ……」
煙が晴れると粉々に砕けたスカルキーとともに初老の男が倒れていた。
「人の夢を壊した報い…骨の髄まで思い知れ」
「ふんふんふーん♪新型バイク、新型バイク、新型バイク、らんらんるーん♪」
次の日、念願のバイクを手に入れた俺は嬉しさのあまり鼻歌を歌っていた。
「よかったですね竜司さん」
「あ、斑鳩先輩聞きましたよ。このバイク、鳳凰財閥の協力があったおかげで開発できたってありがとうございます」
「い、いえいえ!!竜司さんのお役に立てたならなによりです!!」
斑鳩先輩は顔を赤く染め嬉しそうに答えた。
「そういえば飛鳥さんは?」
「あ…あいつなら今頃…」
「りゅーくんおはよー!!」
すると、飛鳥がやってきた。あれ!?
「あ、飛鳥…どうしてここに!?今日って鈴木の試合があったんじゃ…」
「え?なんでりゅーくんがそれを?」
「行かないことにしたぁ!?なんで!?」
なんと飛鳥は鈴木の試合には行かないとのことだそうだ
「うーん、私、まだ恋愛は早いかなって。私には自分の夢のためにやらなきゃいけないことがたくさんあるから」
「そ…そっか…」
どうやら飛鳥も色々と考えた末にそう決めた様だ。しかし…
「鈴木…ガッカリしてなきゃ良いけどな…」
「…来て…ないか」
スタジアムの観客席に鈴木は目をやるが彼女は来ていなかった。どうやらふられてしまった様だ。
「…よしっ、気持ちを切り替えよう!!」
しかし、彼の目は後悔のない清々しい顔であった。たとえ失恋したとしても、自分があの時告白したことは間違っていない。あそこで思いを伝えず迷い続けるよりも思いを伝えてスッキリしたからこそ練習にも集中できた。だから自分は後悔はしない
「よしっ、いくか!!」
そして彼は気持ちを切り替えて仲間の元へと向かっていった。
しばらくして、竜司は新聞のスポーツ欄を見た。
そこには小さい記事だが鈴木の活躍が書いてあった。投手としては18奪三振で相手を完封し打者としても5打席3安打の2ホームランまさに昔じいちゃんから教わった忍びのあり方、チームの刀と盾であった、
「頑張れよ、鈴木」
道に迷った俺を助けてくれた恩人に俺は人知れず感謝の言葉を述べた。