「どわぁぁぁぁぁ遅刻遅刻ぅぅぅぅぅ!!」
現在俺と飛鳥は必死になって教室へと走っている。理由は簡単、昨日二人で修行をした後そのまま寝てしまって二人仲良く寝坊してしまったのである。
「飛鳥〜お前が久しぶりに山で修行しようなんて言わなければ〜!!」
「りゅーくんだってノリノリだったじゃん!!」
「なにを〜いやっ、とにかく急ぐぞ飛鳥!!」
「う、うん!!」
いや、今は喧嘩してる時間も惜しい!!このままでは霧夜先生のお説教+坐禅の刑を受けてしまう…!!早く向かわねば…
「柳生ちゃんのバカ!!」
「雲雀の分からず屋!!」
「「……………………え?」」
何が起こったのかと思って教室をみると、雲雀と柳生が喧嘩をしていた。
「えっと…斑鳩先輩…もしかして…『また』?」
「ええ、最近は無かったのに…」
柳生と雲雀、この二人は普段はとても仲が良いのだが時々今回のように突然喧嘩をしたりするのだ。こうなるとお互いに仲直りするまで絶対に譲らない。俺たちでも止められない。喧嘩の内容はその時によって違うのだが…
「それで?今回の喧嘩内容はなんですか?」
「それは…」
「よいしょ、よいしょ」
遡ること数分前、雲雀は大量の荷物を抱えて運んでいた。資料室へと運んでほしいと霧夜先生に頼まれたのである。
「オレが運ぶぞ」
「あ……」
突然柳生が雲雀の荷物の一部をとり運び出した。
「むう…そんなことをしなくても大丈夫だよ…」
「遠慮するな、オレに任せておけ。」
そう言って柳生は荷物を運び出した。
しかし、どこか信頼されてないような感覚、さらに自分が頼まれた仕事を取られたことに雲雀は少しイラッとしてしまった。
「もう!!そんなにしなくても雲雀大丈夫だもん!!」
「でもぶつかりそうになってたから…」
そしてとうとう堪忍袋の尾が切れた雲雀は柳生に怒り出した。
「なってないもん!!柳生ちゃんがお節介なだけだもん!!」
「んな!?なんでそこまで言われなきゃいけないんだ!?オレはただ雲雀が危なそうだったから…」
「ほらそうやって雲雀を馬鹿にする!!柳生ちゃんがいなくたって雲雀大丈夫だもん!!」
「なんだと!!オレがどんな思いで雲雀を…」
「それが余計なお世話だって言ってるんだよ!!」
柳生も雲雀の言葉にカチンときて怒鳴ってしまう。
「柳生ちゃんのバカ!!」
「雲雀の分からず屋!!」
そして今に至る。
「雲雀ちゃんも本気で怒ってる…」
「うーん、今回はかなり長引くやつだぞこれ…」
「だから今は様子を見るべきかと…」
「アタイもこれじゃあうかつに近づけねーよ…」
こうなったらもう止められない。前に俺たちが止めようとしてさらに拗らせてしまったことがあるからである。
「ふんだっ!!」
「…ふんっ」
二人は互いを見ようとせずそっぽ向いていた。
「あーお前ら…またか」
すると、煙玉と共に霧夜先生が現れた。俺たちの様子から大体のことは分かったらしい。
「とりあえず喧嘩はその辺にしておけ、お前達に任務だ。」
秘立蛇邪学園
「ん?炎佐のやつはどこに行った?」
蛇邪学園の選抜メンバーの一人、焔が仮面ライダーガリューもとい炎佐がいないことに気づいた。
「彼なら出かけていったわ。新しいキーを試してみたいんだって」
焔の問いに春花が笑いながら応えた。
「まったくあいつめ、私たちに何も言わずに勝手に行動するとは…」
「最近この街で何人も行方不明者が出ているってことだけど…」
現在俺たちは半蔵学院から少し離れた街に来ている。そこは複数の路線が乗り入れることから、数々の商業施設が構えられている。しかし、最近この街で行方不明者が多発していると言う報告が入ってきたのだ。行方不明になった人たちは若い女性だったりサラリーマンだったりと様々な人間であるそうですでに忍に調査を行わせたそうだが連絡がつかなくなってしまったらしい。そのことからスカルの事件の疑いも出てきたそうで俺たちに白羽の矢が立ったそうだ。
「とりあえず手分けして情報収集するのが良いと思うけど…」
「ふんだっ」
「……ふん」
「…しばらくこの二人は離した方がいいよな…」
街についても雲雀と柳生は喧嘩をやめず、今でもギスギスとした空気になっていた。
「それじゃあ俺と柳生、飛鳥と雲雀、斑鳩先輩とかつ姉の3チームに分かれて調査するのでどうかな?」
「うん、それがいいと思う」
結論が出たので俺たちはチームに分かれて調査を開始した。
「…雲雀のやつ…俺の気も知らないで」
みんなと別れた後も柳生は悲しそうに呟いていた。
「まぁ落ち着けって、柳生が雲雀を大切にしてるってことは俺も知ってるしさ」
俺はなんとか柳生を宥めようとする。
「俺は…ただ雲雀が心配なだけなのに…」
「柳生…」
柳生の雲雀を大切に思う気持ち、時々それが暴走してしまうことがあるが今回それにより雲雀と喧嘩をしてしまった。さてどうしたものか…
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「「っ!!」」
突然路地の方から女性の悲鳴が聞こえてきた。
「竜司!!」
「おうっ!!」
俺たちは切り替えて声の方へと走り出した。
「んーっんーっ!!」
声の方へとたどり着くとビルの隙間からタコ足のような触手が出てきており女性がひきずり込まれていた。
「この野郎…変身!!」
『武装!!ティラノ!!』
俺はカグラドライバーを装着して仮面ライダーリューマに変身するとファングクナイで触手を切り裂いた。触手はそのまま隙間へと引っ込むと逃げ出した。
「柳生!!忍狼煙で仲間に連絡を!!俺はこのタコをやっつける!!」
「わ、わかった!!」
俺は柳生に指示を出すと逃げ出した触手を追いかけた。
狭いビル路地を進んで俺は先程の触手を追いかけていた。この狭い路地ではシノビークルだと動きが制限されてかえって走った方が速い。
「逃げんな!!」
「ぐきゃっ!!」
俺はタコ足に追いつくと真上から蹴りをお見舞いして触手は地面へと叩きつけられた。
「こいつぅ…アタシの顔を…蹴ってんじゃないわよぉ!!」
するとらタコ足は形を変えて人型になりタコの様な姿をしたスカル、オクトパススカルへと変化した。
「そんなこと言ったってさっきの姿じゃどこが頭だかわかんねえよ。」
「うるさいわね!!アタシの狩りを邪魔しやがった報いは受けてもらうわよ!!」
オクトパススカルは激昂しながら身体中にある触手を伸ばして攻撃してきた。
「うわっこのぉ!!」
俺は慌ててタコ足を躱してファングクナイで触手を斬り裂くも斬られたそばから再生してくるのでキリがない。
「この…だったら…本体を攻撃する!!」
間合いを詰めれば厄介なタコ足も使えなくなる。そう考えた俺は間合いを詰めてファングクナイでオクトパススカルを何度も斬りつけた。
「ぐっこのぉ!!」
オクトパススカルは慌てて俺から離れると吸盤でビルの壁に張り付いた。
「だったら遠距離から攻撃してやるわヨォ!!」
すると、オクトパススカルは口から黒い炭を吐き出してきた。
何か危険だと感じた俺はその炭を躱すと炭は壁に当たって爆発した。
「あっぶね!!」
「どんどんいくわよぉぉぉぉ」
すると、オクトパススカルはさらに炭を連射し、俺は慌てて躱し続けた。
「舐めんなよ…遠距離攻撃ならこっちも出来るぜ!!」
『武装!!ステゴ!!』
ステゴキーを取り出して仮面ライダーリューマ・ステゴ武装へと変身した。
「おりゃぁ!!」
「ぐぎゃっ!!」
俺はステゴスライサーをオクトパススカルへと投げるとオクトパススカルは地面へと落ちる。
「この…これならぁ!!」
オクトパススカルは今度は身体中から触手を出して攻撃するがステゴスライサーでそれを斬り裂いた。どうやら予想通り、このスカルにはステゴ武装での攻撃が有効な様だ。
「よっしゃ、このままいくぜ!!」
「ぐっ…このぉ…」
ピンチを悟ったのかオクトパススカルは慌てて再び身構えだした。
「随分腕をあげたな、この前とはえらい違いだ」
すると、突然声が聞こえてそちらを向くと、紅い髪の学ランを纏った少年が歩いてきた。
「誰だお前?」
「俺の名前は炎佐、と言ったってわかんねえよな。でも、こっちなら覚えてるだろ?」
すると、炎佐と名乗った少年は懐から自身のものとは少しデザインの違うカグラドライバーを取り出した。
「そのドライバーはまさか!?」
『スピノ!!』
俺が驚くと同時に炎佐はカグラドライバーを腰に装着し、スピノサウルスが描かれた紅い鍵、スピノキーを起動させるとカグラドライバーに差し込んだ。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
ベルトから音楽が流れ出す。
「変身!!」
『武装!!スピノ!!』
炎佐は掛け声と共に鍵を回し、ドライバーの音声と共にスピノサウルスの幻影が炎佐を包み、スピノサウルスのような装甲を纏った仮面ライダーガリューへと変身した。
「仮面ライダー…ガリュー…」
「へへっ、三つ巴ってわけだ!!」
炎佐は紅い片手斧スピノアクスを具現化し手に持つと俺たちに斬りかかってきた。
「うわっ!?」
俺は慌ててステゴスライサーでガードする。
「じょ、冗談じゃないわよ!!喧嘩ならあんた達2人でやって頂戴!!」
オクトパススカルはそう叫ぶと壁の隙間に身体を潜り込ませて逃げ出した。
「あのタコ…お前のせいで逃げちゃっただろ!!」
「悪いな、久しぶりにお前の実力を見てみたくなってよ」
「だったら見せてやる!!」
『必殺の術!!』
俺がカグラドライバーの恐竜を叩くとステゴスライサーが空中で高速回転して手裏剣状のエネルギーを纏う。
「必殺忍法!!激竜斬撃乱舞!!」
そして俺はステゴスライサーをガリューへと投げつけた。
「ぐっ…この…!!」
ガリューはスピノアクスでステゴスライサーをガードするもその威力に押し負け壁に激突した。
「ははっ…やるじゃねえか。でもな、複数の恐竜の力を使えるのはお前だけじゃないぞ」
すると、ガリューはアンキロサウルスが描かれた茶色の鍵を取り出した。
『アンキロ!!』
ガリューはアンキロキーを起動するとカグラドライバーの鍵穴に差し込む。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
ベルトから音楽が流れ出す。
「変身!!」
『武装!!アンキロ!!』
ガリューが鍵を回すとアンキロサウルスの幻影が現れガリューを包み込み茶色の装甲を纏い手にはアンキロサウルスの尻尾を模した鉄球、アンキロアイアンを持った仮面ライダーガリュー・アンキロ武装へと変身した。
「仮面ライダーガリュー・アンキロ武装…いざ、舞い殉じる!!」
ガリューはそのままアンキロアイアンを振り回して俺に攻撃してきた。アンキロアイアンの一撃は遠心力もあって凄まじい破壊力となりステゴ武装では防戦一方となってしまった。
「くそっ、だったら…パワーにはパワーだ!!」
『パキケファ!!』
俺はパキケファキーを起動してカグラドライバーの鍵穴に差し込む。
「変身!!」
『武装!!パキケファ!!』
鍵を回し、灰色の装甲を纏い両手に巨大ナックルと両足に具足を装着した仮面ライダーリューマ・パキケファ武装へと変身する。
「いくぜ!!」
俺はパッキーナックルでガリューへと殴りかかる。対するガリューもアンキロアイアンを叩きつけて応戦する。鉄球とナックルが互いに炸裂し両者互角の闘いを見せた。
「ふっ、やっぱりやるじゃねえか。だが、これならどうだ?」
『必殺の術!!』
ガリューはカグラドライバーの恐竜を叩きアンキロアイアンの鎖を振り回す。すると、アンキロアイアンの鉄球がどんどんエネルギーを纏って巨大化する。
「だったら…」
『必殺の術!!』
対する俺もカグラドライバーの恐竜を叩いて地面を踏み込み拳を構えた。すると、拳にエネルギーが纏わり付き拳が輝く。
「必殺忍法!!煉獄豪速球!!」
ガリューが高速回転するアンキロアイアンを俺に向かってなげつける。
「必殺忍法!!激竜空烈拳!!」
俺は地面を蹴りアンキロアイアンを全力で殴りつけ、その衝撃で両者は吹き飛んだ。
「ははは、やっぱりやるじゃねえか。この前戦った時よりさらに強くなってる。」
ガリューは嬉しそうに笑いながら起き上がった。
「やっぱりお前は面白い。闘うたびにワクワクが止まらなくなる。こいつを試させてもらおうか」
そう言うとガリューはプレシオサウルスが描かれた水色の鍵を取り出し起動しようとした。
その時、
「ん?」
突然何かの臭いと空気が漏れる様な音がすることに気づき、周りを見ると地面にガスボンベが転がっていた。
「オーホッホッホ!!アタシが逃げたと思った!?残念!!これを持ってきたのよ!!大人しく死んじゃいなさーい!!」
「しまっ…」
突然真上からオクトパススカルが現れ俺たちに向けて炭を撃ち込み、ガスに引火して大爆発した。
「オーホッホッホ!!リューマだけでなくガリューまで…手柄も手柄…大手柄よぉぉぉ!!!」
爆炎が立ち込める中、オクトパススカルの笑い声が響きわたっていた。
爆発に巻き込まれたリューマとガリュー…2人の運命はいかに!!