「そろったなお前たち、では今回の任務を説明する。」
俺たちが集まると霧夜先生が任務の説明を始めた。
「まず今回の任務には同行する方がいる。いいか、決して粗相があってはいかんぞ」
霧夜先生は冷や汗を流しながら俺たちに注意を促すと、扉から真っ白な衣装に、輝く銀髪が特徴の少女が大勢の護衛を連れて現れた。
「皆さま初めまして。私は神門(みかど)と申します。この度はよろしくお願いいたします。」
その言葉に俺たちは驚愕した。なぜなら彼女は忍び達を束ねる最高幹部の一人であるのだからだ。あらゆる事象を見通すとも言われる『未来視』の力と膨大な知識と見聞きした情報から適切な作戦を瞬時に立案する優れた指揮能力を持って現在の地位を得た天才である。
(おいおい、こんな大物が出てくるなんていったいどんな任務なんだ?)
あまりの大物の登場に俺は驚きを隠さずにいた。
「皆さま、本日は急な任務で誠に申し訳ありませんでした。情報漏洩を防ぐためにも直前まで伝えることが出来ませんでした。」
神門様は申し訳なさそうに頭を下げた。
「今回皆様に頼みたいのは私の護衛と警護、そして『ある力』の防衛です。」
神門様は改めて俺たちに任務を説明を始めた。
「まず最初に近年起こっている『スカル』による怪事件についてです。」
『スカル』……それは近年目撃されるようになった異形の怪物達である。其の正体は特殊な力を秘めた『鍵』を使った人間であるとされ、それぞれがさまざまな生物の力を宿していることがわかっている。そして、奴らは厄介なことに通常兵器の攻撃はほとんど効かず忍びの術も決定打にはならないところである。
「300年前…異国より現れた『スカル』によってこの国は大きな被害を受けました…。そして、近代になって再び『スカル』の脅威が現れ今なおあちこちで人々に恐怖を与えています。故に我々も奴らに対抗する力として、300年前、『スカル』による脅威からこの国を救った力を復活させることにしたのです。」
そう言うと神門様は俺たちに向き合い言葉を続けました。
「結果、その力を復活させることに成功したのですが本日その研究施設が襲撃されその力が破壊されてしまうと言う未来が見えました。私はその未来を変えなければならないのです。どうか、私に力を貸していただけないでしょうか?」
そう言うと神門様は頭を下げて俺たちに再び頼み込んだ。
「「「「「「りょ、了解しました!!」」」」」」
俺たちは一時呆然としたがすぐに返事をした。
「神門様…」
竜司達に気づかれない様に霧夜は神門に声をかけた。その理由は忍学生に過ぎない彼らにこの任務を任せるのは危険すぎる為である。
「霧夜殿…あなたの心配はもっともです…ですが…これは必要なことなのです…彼らの存在が…運命を変えるのに必要なことなのですから…」
「あいつらが…!?」
神門の言葉に霧夜は驚愕した。
「私の『未来視』は全てを見通せるわけではありません…ですがわかるのです…彼らによって運命が大きく動きだすのが…どうか私を信じてもらえますでしょうか…」
「わかりました…あなた様を信じます」
神門の言葉に霧夜は頭を下げた。
「では頼んだぞ」
暗い倉庫で二つの影が対峙していた。一つは燕尾服を着た無表情の女性、しかしもう一つは人の影をしていなかった。その姿は辛うじて人の様であったが肥大化した両手、まるで鎧の様な筋肉、さらに頭には二本の角が生えておりまるでバイソンを彷彿させた。
「『アレ』の使い手がこれ以上増えれば我々の脅威となる。ようやくありかを突き止めたのだ。『適合者』が現れる前に必ず破壊しろ。」
「お任せください、必ずや例の『力』を破壊してみせますよ」
怪物は燕尾服の女性の言葉を聞き、余裕の表情で答えた。
「念のためだ、これを渡しておく」
そう言うと燕尾服の女性は骨の装飾があるおぞましい白色の鍵を渡した。
「へへへっ、忍びなんて雑魚どもにここまでするこたぁないと思うけど、まぁもらっておきますよ」
怪物は鍵を受け取るとそのまま歩き出した。
「全ては我らが『陛下』の野望の為に…」
それを見つめながら燕尾服の女性は呟いた。
「まさか地元にこんなところがあるなんてな……」
「私も全然気がつかなかったよ…」
俺と飛鳥は現在、『スカル』に対抗するための『力』が保管されていると言う研究施設の廊下を歩いていた。そこは一見小さな不動産屋の様に見えたがエレベーターを降りた地下には巨大な空間がありそこに研究施設があるのだった。現在斑鳩先輩、かつ姉、柳生、雲雀は周囲の警備についていた。
「ここの存在を知るのは忍び達の中でも幹部を含んだ一部の人間だけですからね。今まで誰にも知られずに研究を行い先日ようやく復元に成功したのですよ」
俺と飛鳥の何気ない呟きに神門様はクスリと微笑みながら答えた。
「神門様、そろそろ…」
そんな神門様に護衛の男の一人が声をかけた。
「すみません、では皆さん行きましょうか」
神門さまは俺たちを連れて目的の部屋へと向かった。
そこには白衣を着た人々が集まっており手にはアタッシュケースが握られていた。
「神門様、お待ちしておりました。此方が例のものでございます。」
そう言って白衣の人たちの代表と思われる男はアタッシュケースを神門様に渡した。
「よくここまでやってくれました。あとは…」
「はい、『適合者』を見つけるだけですね」
スーツケースを受け取ると神門様は感謝の言葉を述べた。
そのとき、
ドカァァァァン
「______っなんだ!?」
突然大きな爆発音がしてあたりが震えた。
「…来ましたか」
神門様は顔を強張らせながら呟いた。
「皆さん落ち着いてください、まずは『これ』を安全な場所へ…」
そう言うと神門様はアタッシュケースを手にして俺たちを連れて移動しようとした。
バァンッ
「みぃ〜つけたぁ〜」
しかしその時、スキンヘッドに大きな傷痕がある大男が凶暴な笑みを浮かべながら扉を突き破って現れた。それを見て神門様は体を強張らせた。
「…っ、もうここまで…」
「へへへっ随分護衛を集めた様だが全員今頃伸びてるぜ。忍なんて偉大なる『陛下』に『力』を与えられた俺様の敵じゃねえんだよ」
そう言うと男は懐から骨の装飾がある黒い鍵を取り出した。
『バイソン!!』
男が鍵を起動すると低い音で音声が鳴り響き男の胸元に鍵穴が現れた。
そのまま男はバイソンキーを鍵穴に差し込み回すと鍵穴からどす黒い泥の様なものが吹き出して男を包み込んだ。そのまま泥は男を包み込み肥大化した両手、まるで鎧の様な筋肉、さらに頭には二本の角が生えておりまるでバイソンを彷彿させる怪物、バイソンスカルへと変貌した。
「あれが…『スカル』…」
初めて見た『スカル』に俺は体が震えた。
「おのれぇ!!」
神門様の護衛の男は部下達と共に武器を手にバイソンスカルへと向かい合った。
「お前達は神門様を連れて安全な場所に…急げぇ!!」
護衛の男は俺と飛鳥に向かって叫んだ。
「は、はい!!」
「こっちです!!」
俺と飛鳥は慌てて神門様を連れて隠し通路へと向かった。
「ちっ…面倒くさいな。こいつを使うか」
バイソンスカルは少しイラつくと今度は白色の鍵を取り出し起動した。
『アント!!』
鍵が起動すると地面に鍵穴が現れバイソンスカルが白色の鍵を投げると鍵は鍵穴に吸い込まれ鍵穴に刺さると鍵が回り鍵穴からどす黒い泥が吹き出して蟻を彷彿させる怪物、アントスカルが複数出現した。
「行け」
バイソンスカルが命じるとアントスカル達は忍達へと襲いかかった。
「神門様!!こっちです!!」
俺と飛鳥は隠し通路を使って外へと向かっていた。一刻も早く神門様とアタッシュケースの中身を守る為に
「なんとしても…これだけは…」
神門様はアタッシュケースを大切そうに抱き抱えながら呟いた。
「っ!!危ない!!」
すると、何かに気づいた飛鳥が俺たちを突き飛ばした。
ドカァァァァン
すると突然目の前の地面が爆発した。
「飛鳥!!」
「う、うう…」
爆発に巻き込まれた飛鳥は傷だらけになって意識を失っていた。
「おっといたいた。見つけたぜ。」
土煙が晴れると複数のアントスカルと共にバイソンスカルが現れた。
バイソンスカルは天井を突き破って無理やり地上へと戻ってきたのだ。
「ほら、さっさとそいつを渡しな。痛い目に会いたくなければな」
バイソンスカルの言葉に神門様はケースをがっしりと抱き抱えバイソンスカルを睨みつけた。
「させるかぁぁぁぁ!!」
俺は怒りに身をまかせながら忍転身して殴りかかった。しかし、バイソンスカルの体はまるで鎧のように硬く手応えがまるでなかった。
「鬱陶しいなぁ…とっとと寝てろ!!!」
「ぐはぁ!!」
バイソンスカルの一撃が俺の腹に叩きつけられ俺はそのまま吹っ飛んで壁にぶつかった。
「ふんっ他愛ないな」
バイソンスカルは竜司を吹き飛ばすとそのまま神門の方へと歩き出した。神門は体を強張らせアタッシュケースを強く抱きしめた。いかに忍びの最高幹部の一人であっても神門には闘う力はあまりない。元々彼女は部隊の統率や作戦を練ると言った後方支援による功績で今の地位を得たからである。
「おい…どこ見てんだよ…てめぇの相手は俺だぞ…」
バイソンスカルがふと後ろを見ると先程吹き飛ばしたはずの竜司がふらつきながらもそこに立っていた。
「てめぇ…まだ死んでなかったのかよ…」
バイソンスカルは俺を見ながら鬱陶しそうに此方に近づいてきた。
「さっさとくたばれよ!!」
バイソンスカルの拳が俺に目掛けて繰り出されるが、俺はなんとかそれを躱してバイソンスカルの胴へと拳を再び放った。
「だから…効かねえって言ってんだろうが!!」
「ぐはっ」
しかし、ダメージを負った体で放った拳は弱くバイソンスカルには効かず再び殴り飛ばされた。
「はぁ…はぁ…まだまだぁ…」
俺は再びバイソンスカルから神門様と倒れている飛鳥を守る為に立ち上がった。
「てめぇ…何度やっても無駄なんだよ…いい加減諦めろ!!」
バイソンスカルは鬱陶しそうに此方を睨みつけ怒鳴った。
「うるせえよ…無駄とか関係無いんだよ…」
そうだ…そんなの関係ない…なぜなら…
「勝ち目がないからって諦めるなんてよ…そんなの…カッコよくねえだろ…」
「はぁ?」
「俺は…『世界一カッコイイ忍者』になるんだ…お前みたいなやつに…尻尾巻いて逃げるわけにはいかねえんだよ!!」
『世界一カッコイイ忍者』にどうやったらなれるのかはまだわからない…だが少なくともこんな奴に恐れて諦めるなんてのは…絶対にカッコ悪い、そんなの絶対に嫌だ!!
「だったらとっととくたばれよクソがぁ!」
バイソンスカルは俺に向かって拳を振り上げようとした。
その時、
「っ!?なんだこりゃぁ!?」
突然無数の鳩がバイソンスカルへと襲いかかった。
「竜司さん!!」
声の方を向くと神門様が此方へ近寄ってきた。
「あの鳩は…」
「私の幻術です…時間稼ぎ程度ですが…それよりもこれを…!!」
そう言うと神門様はアタッシュケースの蓋を開けた。その中には恐竜が巻物を咥えた様な形をしたバックルとオレンジ色の鍵が入っていた。
「これを使えばあのスカルに対抗できます。」
「で、でもこれ俺が使って…」
「今はこれしか方法がありません!!責任は私が取ります!!」
そう言って俺にバックルと鍵を渡した。
「てめぇら…なめやがってぇぇぇぇぇぇ!!」
すると、バイソンスカルが鳩の幻術を薙ぎ払って現れた。
「…やるしかないか」
俺は覚悟を決めてバックルを腰に当てた。
『カグラドライバー!!』
すると、バックルから帯がでて、それが俺に巻きつきベルト『カグラドライバー』になった。瞬間、俺の頭の中に使い方が入ってきた。
『ティラノ!!』
そして鍵を起動すると鍵から音声が鳴り響いた。そして俺はその鍵、ティラノキーをカグラドライバーの巻物の右側にある鍵穴に差し込んだ。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
ベルトから音楽が流れ出す。
「変身!!」
俺は掛け声と共にティラノキーを回した。
『武装!!ティラノ!!』
ドライバーの音声と共にティラノサウルスの幻影が現れ俺を包み込んだ。
すると、俺の姿はオレンジ色のティラノサウルスを思わせる装甲を纏った仮面の忍へと姿を変えていた。
「すげえ…」
自分でも体から力が漲ってくるのがわかった。
「くそっ…変身しやがった… まぁ良い…てめぇを倒しちまえば済む話だ」
バイソンスカルは苛立ちながら此方を睨みつけていた。
「この力なら…」
俺は改めてバイソンスカルへと向き合った。
「殺せぇ!!」
「ギギィッ!!」
バイソンスカルはアントスカルに指示するとアントスカルは俺へと襲いかかった。
しかし、
「せいやぁっ!!」
「ギギィッ!!」
俺が拳を振るうとアントスカルの一体が吹き飛ばされ爆散した。
「すげぇな…どんどんいくぜ!!」
俺はその勢いでアントスカル達を殴り、蹴り、次々と倒していった。
「クソが…だったら俺がやってやる!!」
バイソンスカルは怒りながら俺へと殴りかかってきた。しかし、先ほどと違ってその動きは容易く躱せる動きであった。
「ふんっ!!」
「ぐはぁ!!」
俺はその拳を躱すとお返しにバイソンスカルの胴に渾身のパンチを打ち込んだ。すると、バイソンスカルは吹き飛ばされ壁へと激突した。
「よっしゃ効いてる。どんどんいくぜ!!」
俺はバイソンスカルへと走ると飛び蹴りを喰らわし続け様に連続パンチを打ち込んだ。
「馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁ!!この俺が…こんなクソガキにぃ!!」
バイソンスカルは激昂すると、二本の角を俺へ向けて突進しだした。俺はその角を掴み、突進を止め、
「オリャァっ!!」
ボキンッ!!
力任せに角をへし折り蹴り飛ばした。
「グワァぁぁぁぁぁ!!お、俺の角がぁ!!」
角を折られたバイソンスカルは叫びながら吹き飛んだ。
その時、俺は思い出した。カグラドライバーを身につけたときに頭の中に入ってきたこの『力』の名前を、そして、昔じいちゃんに聞いた、その身を異形に変え悪と闘う仮面の戦士の名を…そして俺は名乗る
「仮面ライダーリューマ…いざ、舞い忍ぶぜ!!」
『恐竜』と『忍』、2つの力を纏う戦士の名を。
「ふざけやがって…ぶっ殺してヤルゥゥゥゥ!!」
ふらつきながらも立ち上がったバイソンスカルは怒りながら此方へと向かってくる。俺はすぐにカグラドライバーの恐竜を叩いた。
『必殺の術!!』
音声と共に足にエネルギーが込められていく。俺は飛び上がるとティラノサウルスのオーラを全身に纏い渾身のキックが繰り出された。
「必殺忍法!!激竜無双キック!!」
「グワァぁぁぁぁぁ!!」
俺の蹴りはバイソンスカルへと叩き込まれバイソンスカルは吹き飛ばされ爆発した。
「ぐ…うう…」
煙が晴れると男が気を失っており近くに粉々に砕けた鍵が落ちていた。
俺はカグラドライバーから鍵を抜くと変身は解け元の姿へと戻っていた。
「これが…人類の希望…」
それを見ながら神門は静かに呟いた。
そして竜司は知ることになる。これが…いずれ世界を救う闘いの始まりであることを
長くなりましたけどようやく変身させることが出来ました!!
不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!!