其の三十五 突然の再会!?の巻
深夜の市街地
「はぁ…はぁ…!!」
1人の青年が手にバックを持ったまま路地裏を全速力で走り続ける。
半開きのバックからは大量の宝石が溢れていた。
「そこまでだ」
すると、青年の目の前に1人の少年が現れる。短く切った茶髪の少年、竜司である。
「もう逃げ場は無いぞ、宝石泥棒め」
「くっ…」
竜司の言葉に青年は歯軋りした。そう、この男は宝石泥棒である。この近くにある宝石店に忍び込み宝石を盗み出していたのだ。
「こんなところで…捕まってたまるかぁっ!」
『コックローチ!!』
すると、青年が懐から黒いスカルキーを取り出すと額に鍵穴があらわれる。そこへスカルキーを挿しこみ回すと鍵穴から黒い泥が噴き出して青年の全身を包むとゴキブリの力を宿したスカル、コックローチスカルへと変身した。
「まさかスカルが宝石泥棒とはな…まぁ倒すことに変わり無いんだけどな」
『ティラノ!!』
俺はカグラドライバーを装着しティラノキーを起動して鍵穴に挿し込む
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
「変身!!」
『武装!!ティラノ!!』
ティラノキーを回すとドライバーの音声と共にティラノサウルスの幻影が現れ俺を包み仮面ライダーリューマへと変身した。
「仮面ライダーリューマ…いざ、舞い忍ぶぜ!!」
「くそがぁ…俺はこの力でもっと金を集めて好き放題遊ぶんだ。邪魔すんなぁっ!!」
コックローチスカルは叫びながら鋭い爪で斬りかかってきた
俺はそれをファングクナイでガードする。
「随分身勝手な動機だな。葉月先生の想いに比べたら同情の余地もない!!」
俺はコックローチスカルの身勝手な動機に怒りを覚えながら反撃を始める。
ファングクナイを使いコックローチを連続で斬りつける
「ぐっ…このぉっ!!」
コックローチスカルは爪を使って抵抗するが俺はそれを躱してボディにパンチをお見舞いするとコックローチスカルは吹き飛ぶ
「ちくしょぉぉぉぉ!!こんな奴にィィィィ!!」
するとコックローチスカルが口から火球を放ってきた。俺がそれを躱すと火球は近くの壁に炸裂して壁を焦がす
「火…いや、可燃性の油を放ってるのか」
驚きはしたけど大した威力じゃない、このタイミングで使ったってことはおそらく奥の手だろうが問題なさそうだ。
『必殺の術!!』
俺はカグラドライバーを叩いて跳び上がる。
「必殺忍法!!激竜無双キック!!」
「ち…チクショォォォォォォォォォォ!!」
俺の必殺忍法が炸裂してコックローチスカルは爆散する。爆発の跡地には宝石泥棒の青年と粉々に砕けたスカルキーが落ちていた。
「よし、帰るか」
俺は宝石泥棒を合流した神門様の部下に引き渡して半蔵学院へと帰った。
「これが回収したスカルキーの破片です」
コックローチスカルとの戦闘の翌日、俺は定期報告の為に神門様のいる本部へと足を運んでいた。
「ご苦労様。これで対スカルの研究はさらに進むよ」
初めてリューマに変身した時に俺と一緒に神門様の護衛をした忍の隊長が俺にお礼を言いながら砕けたスカルキーを受け取る。
「竜司くん、君のおかげでスカルの犯罪を幾つも検挙出来ている。それに君の送ってくれるリューマのデータのおかげで新たな対スカル武器、その名も『ライダーシステム』を開発する事も出来た。」
「本当ですか!?」
隊長の言葉に俺は驚いた。もしそれが本当なら今より更にスカル達から人々を守ることが出来る。
「全て君のおかげだ、ありがとう」
隊長のお礼に俺は少し恥ずかしくなった。
「そういえば神門様は?」
神門様の姿が見えない事に気づいて俺はそう聞いてみる。
「ん?あぁ、神門様なら今幹部達の定例会議に参加している。」
「幹部達ってまさか…」
「そうだ、この国の善忍達を束ねる最高幹部達による会議だ」
善忍最高幹部
それはその名の通り国に属し国家や国民の為に働く善忍達を纏める最高幹部達である。
彼らは単純な実力ではなくその功績や忍達を束ねる指揮能力等から選ばれ、善忍達を指揮している。
彼らは国を守る為に善忍達をまとめ上げ国を守る重鎮達なのである。
「こうして私達が集まるのは久しぶりですね」
その1人である神門が出されたお茶を飲みながらそう呟く
「犯罪者の対策、悪忍との戦闘、妖魔からの防衛、スカルだけがこの国の危機ではないからな。もっとも、スカルの対策はどこぞの誰かが独占してしまっておるがな」
神門に陰口を含みながらそう答えるのは立派な口髭と顎髭を生やしたがっしりとした体格の強面の男性、鉄心(てっしん)である。犯罪者検挙や悪忍達の取り締まり、妖魔の討伐と言った主に国防を任されている最高幹部である。
「それは…どういう事でしょうか?」
「最近貴方は勝手が過ぎるという事ですよ神門殿?」
鉄心の言葉に反応した神門にそう返すのは落ち着いた色の着物を着た初老の女性、朧(おぼろ)。この国の地脈や妖魔対策用の結界の管理を任されている最高幹部だ。
「『リューマの鎧』の資格者を勝手に決めただけならまだしも悪忍養成機関、秘立蛇邪学園への潜入を独断で許可、更には風神村で管理されていた最大機密の一つ…破壊竜の力を一個人に渡す、よくまぁここまで勝手が出来ましたね」
「それだけではない」
朧に続くように白髪に鋭い目をした老人、富嶽(ふがく)が呟いた。
彼は最高幹部の中では一番の古株であり、最も大きな勢力の派閥を束ねる重鎮であった。
「貴様、新たに開発された対スカル武器『ライダーシステム』の資格者を既に決めたそうじゃないか」
「そうだ!!それに関しては俺も一言言わせてもらうぞ!!」
富嶽が持ちかけた議題に鉄心も反応して神門を問い詰める。
「元々『リューマの鎧』は我々善忍がスカルに立ち向かう為に代々守り続けていた切り札…例の竜司とか言う忍学生がやむを得ない状況だったとはいえその力を受け継いでしまった以上!!新たに開発された力こそ、我々最高幹部が選考した優秀な忍に使わせるべきだろう!?それを無視して勝手に資格者を決めるとは何事だ!!」
「…スカル関連の問題は私に一任されているはずでは?」
「それ自体が問題だと言ってるんだ!!手柄を自分のものにするつもりか!?」
国から国防を任されている立場だからこそ、鉄心にとってスカル関連の問題を神門に一任されているのは面白くないのだろう。鉄心は神門に声を荒げて怒鳴った。
「鉄心殿の言う通りじゃ、少し勝手が過ぎるのではないか?」
富嶽は鉄心の言葉に頷きながら神門を睨みつける。
「……確かに、事前に報告するべきでしたね。それに関しては謝罪します」
神門はそう呟いて頭を下げた。
「ですが、私は決して手柄を得る為などと言った浅ましい目的で資格者を決めたのではありません。彼以上の適任はいない、そう判断した上で選んだということを理解してください」
「…まぁ良い、だがもしこれ以上秩序を乱すようなら…わかっておるな?」
富嶽の言葉に神門は体が強張る。目の前の重鎮に萎縮しそうになる。
「心得ております」
「…ふん」
しかし、動じた素振りを見せず神門は頷いた。そんな神門を鉄心は面白くなさそうに睨みながら茶を飲んだ。
「では早速今回の議題に移っても良いかしら?たしか…スカルの活性化についてでしたっけ?」
「それについては俺から話そう」
鉄心はそう言うと部下に指示を出して資料を他の3人に渡す。
「ここ数年になってスカルの力が増してきている。能力も多彩なものになりより強力になっている。」
「…地脈の流れもかなり不安定になってますね。スカルが何かしらの影響を与えている可能性があります。その影響で妖魔の動きも活発化しているようです。」
鉄心の出した資料を読みながら朧も自分達が得た情報を開示する。
「それについて私からも」
すると、神門が突然喋り出す。
「…未来視か」
「はい」
鉄心の問いに神門は頷く。神門の未来視はこれまであらゆる事件を解決に導いた。故に他の最高幹部も彼女に視線を向ける。
「燃える学園、無数の妖魔、黒い巨鳥、4人の忍…以上の四つが見えました」
「燃える学園に無数の妖魔か…忍学園同士の抗争か?」
「黒い巨鳥というのも気になるのぉ」
神門の未来視の内容に最高幹部達はどのような事が起こるかを考察していく
「その件に関しては俺も調べてみよう、妖魔が関わってるなら俺達が動かないわけにはいかん」
「私も地脈の流れや結界の歪みがないか調べてみましょう」
「儂も同様に」
「…ありがとうございます」
彼らの言葉に神門はお礼を言った。
「では次の議題に移ろうか」
こうして会議は進む
「ライダーシステムか……」
報告が終わった俺は霧夜先生の迎えの車で半蔵学院に向かっていた。
「その力があれば…もっと多くの人をスカルから守れる」
俺1人の力だけでは守れる数に限りがある。だがスカルと戦える人がもっと増えればさらに多くの人が守れるのだ
「ん?」
すると、俺のガマ吉(スマホモード)が鳴り出した。よく見るとメールが来ている。
「え!?」
「どうした竜司?」
メールの差出人の名前に驚いた俺に霧夜先生が心配する。
「霧夜先生!!はやく半蔵学院へ!!」
「りゅーくん遅いね」
所変わって半蔵学院では飛鳥達が教室で自習をしていた。
「もうそろそろ帰ってくると思いますよ」
「しっかしあいつもすげーよな本部から直々によびだられるし、何より神門様からも信頼されてる。間違いなくアタイらの中じゃ一番出世してるよな〜」
「いや〜そう言ってもらえると俺も鼻が高いな」
「いやいや、アタイも本当のことを……え?」
いつの間にか会話に入ってきた声に気付き皆んなでその方向を向くと、整った顔に茶髪を肩まで伸ばした40代の男が立っていた。
「だ…だれだ?」
「ふっ…」
「いや「ふっ…」じゃなくて」
しかし男は葛城の問いを無視して彼女の手を握る
「君可愛いね…もしよかったらこの後食事でもどうだ?この近くに知り合いがやってる美味い寿司屋があるんだ」
「ちょっと!?わたくし達の話を」
「お、君も行きたいのかい?良いとも良いともなんだったら君達全員連れてってあげるよ。可愛い女の子達と食事出来てお兄さん幸せだ」
男はこちらの問いかけを無視して白い歯を見せながら笑顔でそう言ってくる。
『『『『『何、このチャラ男?』』』』』
その瞬間、5人の思いが一致した。
「まぁ冗談はさておいて、君達に聞きたいことがあるんだった」
男の言葉に飛鳥達は身構える。すると、男は真剣な顔で口を開く
「君達のスリーサイズを是非教えてくれ!!あと出来ればブラのサイズも!!」
「「「「「……………………」」」」」
決めポーズをしながらのアホらしい質問に飛鳥達はドン引きした。
「嘘嘘冗談冗談!!やめてガチでドン引きするのは!!」
飛鳥達の反応が傷ついたのか男は慌てて撤回する。
「えーこほん、竜司って奴がここに通ってると思うんだけど…君達心当たりない?」
「りゅ、りゅーくん?りゅーくんに何の用?」
「いや用って程じゃ無いんだけど……あれ?」
すると男は、飛鳥の顔を見た途端何かに気付く
「君ひょっとして飛鳥ちゃん?」
「え?あ、はい」
「やっぱり!!いや〜すごい美人になったね〜驚いちゃったよ!!」
「え?あ、あの?え?」
突然の事に飛鳥は戸惑うがお構いなしに男は親しげに話す。
「あー…覚えてないか、まぁまだあの頃は飛鳥ちゃん小さかったし無理ねえか、俺は…」
「おりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぶへぇぇぇぇぇぇぇ!!」
瞬間、竜司が現れて男に飛び蹴りを繰り出した。竜司の蹴りを腰にモロに喰らって男は近くの壁に激突する。
「りゅーくん!?」
「飛鳥大丈夫!?みんな無事!?どこも純潔!?こいつに何かされてない!?」
竜司は明らかに取り乱した状態で男の吹き飛んだ方向を睨みつけながら飛鳥達の心配をしていた。
「う、うん…私達は大丈夫だけど…りゅーくんこの人って…」
「あ、ああ…こいつは…認めたくは無いんだけど…」
「りゅ…竜司…いきなり蹴り入れることはねえだろ…しかも腰って…俺もう40過ぎなんだぞ」
すると、腰に手を当てながらふらふらと男が立ち上がる。
「うるせえ何しに来たんだよ親父!!」
「息子に会いに来ただけなんだけど!!」
「「「「「ゑ?」」」」」
衝撃の一言に飛鳥達は驚愕する。
「りゅりゅりゅ竜司……お前……今なんて……」
「お、親父って……まさかその人……」
「いや、だけど…まさかそんな…」
「でも言われてみれば似てる気が……」
「……まぁみんなが思ってる通りだよ。正直認めたく無いんだけど」
竜司は溜息を吐きながら答える。その後ろでは霧夜が頭を抱えながら溜息をついていた。
「こいつは、俺の実の父親だよ」
「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」
教室の飛鳥達の驚きの声が響き渡った。
新章スタートです!!