「………っ!!」
「陛下?どうされましたか?」
突如顔を顰め胸元を押さえつけた弥勒に華蛇は慌てて駆け寄る。
「大丈夫……気にしなくて良いよ、昔の傷が疼いただけだから」
弥勒の乱れたシャツをよく見ると大きな傷痕が隙間から見えた。
「この傷を見るために思い出すよ、君のことを…」
弥勒は思い出す。10年前袂を分かつ事になった親友の事を、その親友と全力で殺し合ったあの日の事を
「改めて、竜司の父親の竜舌(りゅうぜつ)でーす♪」
突如現れた整った顔をした茶髪の残念なイケメンはなんと竜司の父親だった。目の前でピースサインをする竜舌に飛鳥達は驚きから目を離せなかった。
「りゅ…りゅーくんのお父…さん?」
「か、顔は似てますが…」
「キャラが全然違うぞ」
「性格もなんていうか…」
「…チャラそう」
「ぐはっ!!」
雲雀の直球発言に竜舌は吐血して倒れた。
「は…はは、可愛い顔して中々強力な攻撃を仕掛けるじゃねえか…」
「いやお前が勝手に倒れただけだろ」
そんな竜舌に霧夜が溜息を吐きながらツッコむ。
「なんだよ霧夜…お前昔に比べて随分冷たくなったじゃねえか」
そんな霧夜の様子が気に入らなかったのか竜舌は絡んできた。
「竜舌さんは霧夜先生と知り合いなんですか?」
「知り合いも何もこいつは俺が学生時代の時の同級生だよ」
「「「「「え!?」」」」」
衝撃の事実に飛鳥達は驚愕する
「思い出すなぁ〜あの日のお前は俺の事を『竜舌の兄貴』って呼んでくれて俺が頼んだらジュースやお菓子、なんでも5秒で買ってきてくれて…」
「そんな風に呼んでないしそれただのパシリだろ!?過去を捏造するな!!」
過去を捏造する竜舌に霧夜は慌てて否定する。
「なんだよ冷たいな〜親の敷いたレールの上を走る事しか出来なかったお前に秘密基地の作り方教えてやったのだって俺なんだぞ」
「はぁ…それとこれとは話が違う」
溜息を吐きながら反論する霧夜だったがその顔は少し懐かしそうな笑っていた。それを見て飛鳥達も思わず笑ってしまう
「………………………………。」
しかしそんな中で竜司だけが不機嫌そうな顔をしていた。
「ん?なんだよ竜司、久しぶりに俺が会いに来たってのにリアクション薄いぞ〜」
「……別に」
竜舌が話しかけても竜司は仏頂面で目を逸らしている。
「しっかしお前どんどん俺に似てきたな〜」
「……似てないし」
「学校では上手くやってるか?」
「…普通だけど」
「彼女とか出来たか?」
「…いないし」
「あの中のどの娘と良い感じなんだ?飛鳥ちゃん?それともあの黒髪ロングの…」
「あーもうしつこいな!!アンタには関係ないだろ!?」
竜舌はどんどん話しかけるがその度に竜司はどんどん不機嫌になっていきとうとう我慢の限界がきて叫んだ。
「そんな〜良いだろ別に〜親子なんだから学校で何があったかとかの会話くらいしようぜ〜」
「何が親子だよ!!ずっといなかったくせに…母さんの命日に墓参りにも来ない奴が今更父親ヅラするなよ!!」
竜司は突然大声で立ち上がりながら怒鳴った。
「竜司……………」
すると竜舌は先程までの陽気な顔から哀しそうな顔になり竜司を見つめた。
「竜司さん!!いくらなんでも言って良い事と悪い事が……!!」
「ああ良いから良いから、本当の事なんだ……悪かった、すまん」
斑鳩は竜司の発言に慌てて怒るが竜舌はそれを止めて竜司に謝った。
「……霧夜先生、今日は確か授業無かったですよね?」
「あ、ああ…」
「俺、もう帰ります」
「…わかった、気をつけてな」
竜司はそれだけ言うと竜舌から目を背けて教室を出ていった。
「やれやれ、やっぱり嫌われてるな俺……」
立ち去っていく竜司を見ながら竜舌は哀しそうに呟いた。
「おっちゃんおかわり、あと…大根と餅巾着も」
「はいよ」
その日の晩、とあるおでん屋の屋台で竜舌は1人呑んでいた。その顔は昼間とは打って変わって笑顔のない寂しそうな顔をしていた。
「やっぱりここで呑んでたか」
するとそこへ霧夜が暖簾を開けて顔を出す。
「霧夜……よくわかったな」
「お前、普段は派手なところで大勢と飲むくせに…本当に落ち込んでる時は一人で呑む…わかるよ、それくらい」
霧夜はそう言うと竜舌の隣に座り自分も注文する。
「…まぁ自業自得なんだけどさ、やっぱり堪えるわ。ああもはっきり言われると」
竜舌はそう呟きながら酒を一気に呑み干す。霧夜はその後、何も言わずに空いたお猪口に酒を注いだ。
「ありがとな」
「…言わないのか?お前の任務のこと?」
その言葉に竜舌はピクリと反応する。
「お前の事情は知っている。それを話せば竜司もきっと…」
「言ってどうする?だから許せって言うのか?あいつを10年もほったらかしにしてたくせに?」
霧夜の言葉に竜舌は鋭く言う
「良いんだよ、今の俺は嫌われ者くらいが丁度いい」
「竜舌…」
「頼む、カッコつけさせてくれ」
そう言って竜舌は再び酒を勢いよく呑み干した
「竜舌…この前君の息子に会ったよ。君に似て真っ直ぐな男だったよ…熱いところは、叶に似たのかな」
弥勒は椅子に座りながら懐かしそうにグラスに注がれたワインを見つめる。
「君には悪いけど…彼には是非こっちに来てほしいな。僕の目指す、夢の為に……」
「陛下、ちょっと良いか?」
すると、そこへグリフォンスカルが少し深刻そうな様子でやって来た。
「ケルベロスの奴がどっか行っちまった」
「…やれやれ、最近大人しかったから油断してたよ」
ケルベロス…最近仲間になったロードスカル。元々は相手の血を『色』と呼んで快楽に浸る狂人だったこともあり時々こうやって勝手に抜け出して暴れているのだ。
「仕方ない…グリフォン、見つけ次第連れて帰ってくれ」
「りょーかい」
グリフォンはそう返事するとそのまま部屋を出ていった。
「はぁ…」
あの後霧夜と別れた竜舌は夜の路地裏を一人歩いている。
その足取りは重く一人寂しそうに俯いていた。
「さっきからなんだ?殺気がダダ漏れだぞ」
竜舌がそう言うと建物の後ろから高校生くらいの少女、朱音が手に包丁を持って現れた。
「あれぇ?竜司くんかと思ったら違う…もしかして…竜司くんのお父さん?」
「…まぁ戸籍上はそうなるかな?」
「………あはっ❤︎」
『ケルベロス!!』
竜舌の答えを聞いた途端、朱音は狂気の笑みを浮かべてスカルドライバーを腰にはめるとケルベロススカルキーを起動して鍵穴に挿しこみ回した。すると、スカルドライバーから黒い泥が噴き出し全身を包み込むと灰色の体毛と血のように鋭い爪を持つケルベロスのようなロードスカル、ケルベロススカルへと変身した。
「竜司くんの…竜司くんのお父さん!!じゃあ貴方を殺せば…貴方を斬り刻めば竜司くんは傷つく…きっと壊れてくれる!!そしたらきっともっと良い血の色を見せてくれるわ!!ふふ…あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」
狂気の笑みで笑い続けるケルベロススカルに竜舌は険しい顔をする。
「お前の好きには……させねえよ!!」
その手にいつの間にかクナイを握りしめながら竜舌はケルベロススカルへと駆け出した。
「………ふん」
ベットの上で俺は物思いに耽っていた。思い出すのは久しぶりに顔を出してきた親父のことである
「今更何しにきたんだよ…」
子供の頃の俺をじいちゃんに押し付けて今まで連絡一つ寄越さなかったくせに…今更父親ヅラで来られたって…飲み込めるわけがない。それなのに…
『悪かった、すまん』
「あんな顔しやがって…これじゃあ俺が悪いみたいじゃん」
『ゲコゲコ!!ゲコゲコ!!』
突然ガマ吉が鳴き出して俺に体当たりを繰り出してくる。
「ちょ…何すんだよガマ吉…」
『ゲコゲコ!!ゲコ!!』
すると、ガマ吉は突然窓から外へと飛び出していった。
「ちょ…おいガマ吉!!」
慌てて俺はガマ吉を追いかけ夜の街へと駆け出した。
「あはっ❤︎貴方凄い!!ただの忍なのにこんなに強いなんて!!」
「忍舐めんなよ小娘!!」
人の居ない路地裏でケルベロススカルの鋭い爪と竜舌のクナイの打ち合いが続く。互いの一撃一撃が必殺となる強力なものだが未だどちらも傷一つ負っていなかった。
「凄い凄い!!やっぱり竜司くんのお父さんなだけある!!そんな貴方の肉を血を臓物を!!ズタズタに斬り裂いてみたい!!貴方の色をもっと見たい!!あはっ❤︎あはははははは!!」
「レディのお誘いは嬉しいけど…アンタのはノーサンキューだ!!」
狂気の笑みで笑うケルベロススカルの間合いに入った竜舌はクナイを手に斬りつけようとした
「うわぁっ!?な、何!?」
その時、突然声が聞こえる。そちらを見ると塾帰りと思われる高校生くらいの少年がこちらを見ていた。
「なっ!?」
「…あはっ❤︎」
竜舌が動揺した一瞬をついてケルベロススカルの鋭い爪が襲い鮮血が舞う
『ゲコゲコ!!ゲコゲコ!!』
「待てってガマ吉!!おーい!!」
俺の呼び掛けを無視してガマ吉はピョコピョコ夜の街を跳ね続ける。まるで俺を何処かに連れて行こうとするみたいに時々俺を振り返りながら
「ん?この音……」
すると何処からかまるで金属同士がぶつかり合うような音が聞こえてきた。
「…まさか!!」
俺は何か嫌な予感がして音の方へと走り出した。
「はぁ…はぁ…」
不意をつかれた竜舌の腕はケルベロススカルの鋭い爪で深く斬り裂かれてそこから血が流れていた。その後ろには先程の少年がショックで気を失った状態で倒れていた。
「あはっ❤︎素敵な色…やっぱり私の睨んだ通りだわ♪」
爪についた竜舌の血を眺めながらケルベロススカルは満足そうに笑う
「次は何処を斬り裂こうかな?顔?喉?お腹?それとも…」
ケルベロススカルは笑いながら爪を振り上げ
「やっぱり全部にしてあげる!!」
凄まじい速さで襲い掛かってきた。
「ヤッベ…こりゃ死んだな俺…」
竜舌は死を覚悟して目を瞑る。そしてケルベロススカルの無慈悲か鉤爪の一撃が彼の命を捉えようと振り下ろされ
「おりゃぁ!!」
その時、竜司が現れケルベロススカルを蹴り飛ばした。
「お前…朱音か…!!わかってたけどまた会うなんて……」
「あはっ❤︎竜司くん…!!会いたかったわ!!もう一度会って…貴方を引き裂きたかった!!あはっ❤︎あはははははは!!」
俺の顔を見たケルベロススカルは嬉しそうに笑いながら鋭い爪を光らせる。
「竜司…」
「アンタも何やってんだよ!!さっき応援を呼んだからその人を連れて早くいけ!!」
俺はケルベロススカルを見つめながら親父にそう言う
「……まさか、お前に助けてもらえるとはな。てっきり嫌われてるのかと…」
「…嫌いに決まってるだろ」
当たり前だ、今までずっと俺をほったらかしにしていた癖に父親ヅラされたって割り切れない。でも…
「それでもアンタは、俺を産んでくれた父親だからな」
こんな奴でも、死なれたら夢見が悪い。
「何より、嫌いだから死んでも良いなんて……そんなダサいことしたくねえんだよ!!」
そんなことができる奴が…『世界一カッコイイ忍者』になれるわけがない!!
「…そっか、ありがとな竜司」
俺の言葉に親父は嬉しそうに笑うと気を失った学生を連れて立ち去った。
「あはっ❤︎あははは…ねえもう良い?もう殺して良いよねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
すると待ちきれなくなったのかケルベロススカルが鋭い爪を振りかざして飛び掛かってきた。
「誰が殺されるか!!」
『武装!!ティラノ!!』
俺はカグラドライバーを装着すると仮面ライダーリューマへと変身してケルベロススカルの爪をファングクナイでガードする。しかしその力は凄まじく俺は後ろに下がりそうになる。
「あはっ❤︎凄い凄い!!今のを止めるなんて…やっぱり貴方って最高!!そんな貴方を…もっと私の愛する血の色で染め上げたい!!もっと壊してあげたい!!」
するとケルベロススカルは嬉しそうに笑いながら更に爪で俺を連続で斬り裂こうと仕掛けてくる。
「く…っ!!」
俺はファングクナイでなんとか凌ぐがケルベロススカルの爪は徐々に身体に当たっていく。
「この…それなら!!」
俺はすぐさま命駆モードへと変身してケルベロススカルの攻撃を躱す。
「凄い凄い!!貴方の力…もっと見せてえ!!」
すると、ケルベロススカルの爪が怪しく光り輝き、振り下ろされると巨大な斬撃となり周囲を斬り刻んだ。
「うわあっ!!」
周囲を巻き込むその技を躱しきれず、俺は吹き飛ばされてしまった。
「さぁ楽しみましょう!!もっと斬り刻んであげるから…貴方ももっと力を見せて…ふふっあはははははは!!」
「斬り刻まれて…たまるかよ!!」
『メガロ!!サイクロン!!』
俺はサイクロンメガロキーを起動するとカグラドライバーに挿し込む
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
「変身!!」
『サイクロン武装!!メガロ!!』
鍵を回すと俺の全身を竜巻が包み込み装甲を形成すると仮面ライダーリューマ・サイクロンへと変身した。
「仮面ライダーリューマ・サイクロン…いざ、舞い忍ぶぜ!!」
「あはっ❤︎新しい力…良い!!凄く良いわ!!」
ケルベロススカルは嬉しそうに笑うと凄まじい速さで俺に飛び掛かってきた。しかし俺は竜巻を足に纏って空中へ飛び躱す。
「あはっ❤︎!!」
ケルベロススカルもそれを追いかけ跳び上がるが俺は風を纏った蹴りを空中で繰り出してケルベロススカルを吹き飛ばす。
「ぐっ…このおっ!!」
ケルベロススカルも負けじと爪による斬撃を飛ばしてくるが俺は風をバリアのように前に生み出してガードする。
「そんな力も手に入れてるなんて…素敵❤︎素敵素敵素敵ィィィィ!!」
ケルベロススカルは邪悪な笑い声と共に両手の爪に力を溜め込むと巨大な斬撃を繰り出した。
『必殺の術!!サイクロン!!』
俺はカグラドライバーを叩いて全身に竜巻を纏って空中へ飛んだ
「必殺忍法!!激竜マキシマムサイクロン!!」
俺の放った必殺忍法が斬撃と衝突し斬撃を打ち破るとケルベロススカルを吹き飛ばした。
「あはっ❤︎こんなに強くなるなんて…素敵…もっと…もっとぉ!!」
ケルベロススカルは嬉しそうに俺へ飛び掛かろうとするが突然風が彼女を拘束するとグリフォンスカルが現れた。
「やっと見つけた…あんまり俺達を困らせるんじゃねえよ」
「この…はなせぇっ!!折角楽しくなったんだ…邪魔すんなぁっ!!」
ケルベロススカルは暴れるが風の拘束は解けずグリフォンスカルは黒いゲートを作るとその中へ入ろうとする。
「待ちやがれ!!」
俺は風の弾丸を放つがグリフォンスカルは自分も風を放って相殺した。
「安心しろ、お前らとの決着はつけてやるからよ」
そう言うとグリフォンスカルはケルベロススカルと共にゲートの中へと消えていった。
「いや〜助かったよ竜司、今回マジで危なかった」
「あっそ」
戦いが終わり、応援の忍が事後処理の為に来たのを見ながら俺と親父は会話をする。
「あの学生も気を失ってるだけだって」
「そっか、なら良かった」
学生の無事に親父は安心してホッと息を吐く。
「ところで、本当に何しに俺のとこに来たんだよ」
正直なところ、俺はそれが分からない。今になって一体何の用で…
「だから言ってるだろ?お前に会いに来ただけだよ」
親父はそう言って俺の頭を撫でる。
「大きくなったな」
その言葉は心の底から俺を想っての言葉だと、親父の目を見てすぐにわかった。
「まぁこれから時間が出来たらちょくちょく会いにくるから、また今度な」
「あ、おい!!」
親父はそれだけ言って俺に背を向けて立ち去っていった。
「まったくなんだって…ん?」
俺はふと、ポケットに何か入ってるのに気付く
「おはよう飛鳥」
「おはようりゅーくん」
次の日、俺は飛鳥と一緒に学校へと向かう
「そういえばりゅーくん、お父さんの事だけど…」
「あぁ、悪かった。親父が迷惑かけて…」
「ううん、私は別に…あれ?」
飛鳥が俺を見てあることに気付いた。
「りゅーくんそのネックレス…」
「…買った」
「でも昨日までそんなの…まさか!!」
「買ったんだって」
「竜司さん、おはようございます」
そこへ斑鳩先輩達もやって来た。
「あれ?竜司さんそんなネックレスつけてましたっけ?」
「実はそれりゅーくんのお父さんが…」
「あーもう!!だから買ったんだってば!!」
必死に否定する竜司のポケットには、
『お土産』
と書かれたメモが入っていた。