仮面ライダーリューマ   作:クロバット一世

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其の三十八 禍根の少女と熱き炎!!の巻

『禍根の力ですか?』

 

ある日、理吉は炎佐からその名前を聞いていた。

 

『そうだ、悪忍の中のとある一族に伝わるとされる特殊な力だ。怒りなどの負の感情を爆発させることで身体能力が数十倍になるって力らしい』

 

『数十倍!?』

 

禍根の力の凄さに理吉は驚愕する。下手をすれば格上の相手をも倒しうる力…そして、その力による最悪の事態に気付いてしまった

 

『ちょ、ちょっと待ってください。もし、もしもですよ?もしそんな力の持ち主がスカルになったりしたら…』

 

願望と負の感情を引き金に人間を異形の怪物へと姿を変えるスカルの力、もし禍根の力の持ち主がそれを使ったりなんかしたら…

 

『とんでもなくやべー事になるな』

 

理吉の問いに炎佐は静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

「あれが…禍根の力…!!」

 

理吉は紫の変貌に驚愕する。目の前の紫は髪を逆立て体中から禍々しいオーラを放っていた。

 

「あ……ああ……」

 

力が収まると紫は崩れ落ちて気を失う

 

「紫さん!!」

 

理吉は慌てて彼女に駆け寄ると体を支えた。外傷はなく気を失ってるだけのようだ。

 

「ははっ、なるほど確かにありゃ見事な力だ。あいつをロードスカルにすれば間違いなく陛下の良い駒になるってもんだ!!」

 

それを見たグリフォンスカルは嬉しそうに笑いながら2人の方へと銃を向けて風の弾丸を放った。

 

「させるかよ!!」

 

しかしそれに気づいたリューマが立ちはだかり弾丸を撃ち落とした。

 

「退くぞ理吉!!」

 

リューマは理吉達の元へ駆け寄ると煙玉を取り出す。

 

「くらえ!!霧夜先生直伝煙玉メガロバージョン!!」

 

煙玉を叩きつけると勢いよく煙が噴き出し風によって凄まじい速さで辺りを包み込んだ。

 

「うおっ!?こ、これは…」

 

「なんてくだらない小細工を!!」

 

「今だ!!」

 

煙玉に動揺してグリフォンスカルとラビットスカルの動きが止まった隙をついてリューマは2人を抱えてその場を離れた。

 

「逃げられましたね」

 

「くそっ…まぁ良い、すぐに追うぞ」

 

「はっ」

 

グリフォンスカルは苛立ちながらもリューマ達を追い始めた。

 

 

 

 

 

「ふう…なんとか逃げきれたみたいだな」

 

グリフォンスカルとラビットスカルの2体から逃げのびた俺達は街の人々への被害を避けるために路地裏に逃げ込んだ。

 

「これからどうしたものか…」

 

「奴は紫さんを狙っているのは明らかです。なんとか彼女を安全な場所へ…」

 

理吉の視線の先には気を失った紫が壁に寄りかかっていた。

 

「一体なんなんだ?紫のあの力は…」

 

ラビットスカルの操る女性達を余波だけで吹き飛ばすあの規格外の力。間違いなくただの女性どころか並みの忍が出せる力じゃない。

 

「あれはおそらく……禍根の力だと思います」

 

「禍根の力?そういえばあのグリフォンスカルもそんな事言ってたような…」

 

理吉が口にした初めて聞くワードに俺は首を傾げた。

理吉は静かに頷くと俺に話し始めた。

 

「悪忍のとある一族に伝わるとされる力です。怒りといった負の感情をトリガーに身体能力を数十倍にする事ができるとされています。」

 

「悪忍の一族の力!?ってことは紫は…」

 

「はい、その一族で間違い無いでしょう。そういった力はその血統でなければ目覚めないそうなので…」

 

まさか紫が悪忍の一族だったとは思わなかった。

 

「てかその情報俺に話して大丈夫なのか?」

 

「本当は不味いですけど緊急事態です。だから竜司さんもどうかこの事は…」

 

 

「う……うう……」

 

俺らが話していると紫が目を覚ました。

 

「大丈夫ですか紫さん?」

 

「どこか怪我とかしてない?」

 

「竜司くん……理吉くん……あ…わ、わたし……ああ……」

 

紫は辺りを見渡した後、先程のことを思い出したのか震え出した。

 

「落ち着いて紫さん、貴方は何も悪くありません」

 

「そうだ、全部スカル共が悪い」

 

俺達は震える紫に優しくそう言い聞かせた。

 

 

そんな竜司達の近くで風が渦巻いた。

 

 

 

 

 

「見つけた。とっとと奴らを仕留めてあの女にスカルキーを使うぞラビット」

 

「仰せのままに」

 

ビルの屋上からグリフォンスカルは竜司達を見つめながらニヤリと笑った。

 

「風を操っての索敵…相変わらずすごい能力ですね」

 

「は、よく言うよ。お前の能力が一番エグい癖によ」

 

「……ふふふ、褒め言葉として受け取りますよ」

 

グリフォンスカルの言葉にラビットスカルは自身が操る女性達を見つめながらニヤリと笑った

 

 

 

 

 

「わたしのお父さんは……悪人の中でも五本指の入るほどの人だったの…」

 

紫が言うには彼女の家は代々続く悪忍の家系であるとの事だそうだ。そのため、必然的に紫と彼女の姉は幼い頃から厳しい修行を強いられていた。

 

「でも……真面目な性格で厳しい修行についていけるお姉ちゃんと違ってわたしは忍に向いていなかった。」

 

どんなにそれを両親に訴えても『お前には忍の才能がある』って聞き入れてもらえなかったそうだ

 

「『才能』…もしかしてそれが…」

 

「うん……わたしの禍根の力……」

 

 

 

あれは……紫が小学生の頃、修行をサボって土蔵でべべたんとおままごとをしていた時、それを父に見つかって訓練所に連れていかれた。それを見た紫の姉は彼女からべべたんを取り上げた。

 

『そんなんで立派な忍になれるか!!こんなものがあるからいつまでも甘えが抜けないんだ!!』

 

自分が必死に修行をしている中、いつまでもやる気を見せない彼女が気に入らなかったのだろう…彼女はべべたんの首を掴むと引きちぎろうとしたらしい

 

「そのときだったの……わたしの頭の中ぎ爆発したように熱くなって……意識を失ったのは」

 

我に返った紫が見たのは……目を見開いて驚愕する父と、傷だらけで倒れた姉だったそうだ。紫の父はそんな紫を見て歓喜した。まさか紫にそんな才能があったとはと…その後、父は成長した紫を秘立蛇邪学園へと入学させた。

 

 

 

「わたしは……大好きなお姉ちゃんを傷つけた!!それ以来お姉ちゃんは……わたしから距離を置くようになっちゃった!!こんな……こんな力があったせいで……!!」

 

目にいっぱいの涙を溢れさせ紫は泣き出した。

 

「紫……」

 

「紫さん……」

 

彼女の抱えた過去を知り俺達は胸が苦しくなった。

望まない力に目覚めてしまったばかりに大切な人を傷つけてしまった…その罪悪感が紫の心に突き刺さっているのだ。

その時、理吉が意を決したように口を開いた。

 

「紫さん、紫さんが今どれだけ苦しんでいるのか…その気持ちを完璧に理解する事は出来ない。でも、それでも言える事がある」

 

「え?」

 

理吉の言葉に紫は顔をあげキョトンとする。

 

「紫さん、あなたは……」

 

 

 

 

 

「あぶねえ理吉!!」

 

その時、俺は気配に気付き理吉の首根っこを引っ張る。すると、首があった場所に風の弾丸が撃ち込まれていた。

 

「くそっ…もう追いついてきたのか…!!」

 

「竜司さん、紫さん、こっちです!!」

 

理吉の案内で俺達はさらに路地の奥へと逃げ込む。

 

「なんでバレたんだ…?後はつけられてなかったのに…」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃない!!とにかく安全な場所へ…」

 

「させねーよ」

 

背後から声が聞こえて振り向くとラビットスカルが操る女性達を引き連れたグリフォンスカルが立ち塞がっていた。

 

「あんまり手をかけさせないでくださいよ」

 

いつの間にか前方にもラビットスカルが別の女性達を引き連れ取り囲んでいた。

 

「さぁ、いきなさい!!」

 

「アァァァァァァ!!」

 

ラビットスカルが命じると一斉に女性達が襲ってきた。

 

「理吉は紫と一緒に離れてろ!!」

 

俺は理吉にそう指示をすると襲ってくる女性達を迎え撃った。

 

(相手は操られてるだけの一般人……なるべく傷つけずに制圧する!!)

 

俺はそう決心すると女性達の首の後ろを手刀で叩いて意識を奪っていく。

 

「なるほど…忍としての技量は中々ですね…でも、こいつらはどうでしょう?」

 

「なっ!?」

 

突然ガタイのいい1人の女性が凄まじい拳の連撃を繰り出してきた。

俺は咄嗟にガードするが一撃一撃が速く強力で腕が痺れる。それを見ながらラビットスカルが楽しそうに喋り出す。

 

「そいつはプロの女子ボクサーでな強力なジャブが自慢なんですよ」

 

すると、今度は別の女性が俺に向けてダーツを飛ばしてくる。

 

「そいつはダーツの元世界大会チャンピオンで投擲に関しちゃ下手な忍よりも遥かに上手い」

 

さらに日本刀を構えた女性が現れて俺に斬りかかってくる。

 

「そしてそいつは長い歴史を持つ剣術道場の免許皆伝、私のとっておきなんです」

 

「この人達に…何をしたんだ」

 

「なに、私のコレクションになってもらったんですよ」

 

俺の質問にラビットスカルは得意げに話し出す。

 

「私が生気を吸い取った女性はみんな従順な僕になってくれるんですよ。この力があればどんな女も思いまま、素晴らしい能力でしょ?」

 

「ふざけんじゃねぇ!!」

 

女性を操って挙げ句の果てにコレクションなんていうラビットスカルに俺は激しい怒りを覚えた。

 

「お前だけは……俺が必ず倒してやる!!」

 

「そういうのは私に辿り着いてから言ってくれませんかねぇ…いけえっ!!」

 

ラビットスカルが女性達に命じると彼女達が再び襲いかかってくる

 

「くっ……」

 

奴を倒すと言ったがどうしたものか…操られてる女性達の意識を奪っていっても数が多くてキリがない。なんとかラビットスカルの元に行ければいいのだが…

 

「そうだ…あの方法なら…」

 

その時、俺は一つの作戦を思いついた。もしそれが出来るなら女性達を傷つけることなくラビットスカルを倒せる。

 

「俺のこと忘れてねーか!!」

 

「うわっ!?」

 

そこへグリフォンスカルの弾丸が俺の体に当たりそうになった。ラビットスカルの数の暴力に集中しすぎて油断していた。

 

「ほらほらほらぁ!!避けねーとやられちゃうぞ!!」

 

グリフォンスカルはさらに追い討ちをかけるように2丁拳銃で俺へと撃ち続ける。変身したくてもこうも攻撃され続けるとその隙もない。

 

「隙ありぃ!!」

 

「がっ…!!」

 

そしてとうとう弾丸が俺の脇腹を掠めて倒れてしまう。

 

「竜司さん!!」

 

「竜司くん!!」

 

「よそ見していていいんですか?」

 

理吉と紫は慌てて駆け寄るがラビットの操る女性達に取り押さえられてしまう。

 

「くそぉっ!!紫さんを放せぇ!!」

 

「黙っててください」

 

「がっ!?」

 

理吉はなんとか紫を助けようともがくがラビットスカルに殴られて気を失ってしまう。

 

「さて、後は貴方の禍根の力を引き出すだけですが…」

 

「ラビット、そのぬいぐるみを奪え。さっきからその女…それだけは絶対離さないようにしてた。」

 

グリフォンスカルの指示に従いラビットスカルは紫からべべたんをひったくる。

 

「やめて!!べべたんに触らないで!!」

 

べべたんを奪われた紫は必死な顔でべべたんに手を伸ばそうとする。

 

「おいラビット、それこっち投げろ」

 

「はいどうぞ」

 

ラビットスカルはグリフォンスカルの方へとべべたんを投げた。

 

「はいバキューン」

 

瞬間、グリフォンスカルの弾丸がべべたんの腕を撃ち抜いた。

 

「テメェ……なに汚ねぇ攻撃してんだぁ!!」

 

俺は怒りのままにグリフォンスカルを殴ろうとするがグリフォンスカルはそれを躱す。

 

「まぁ見てなって面白いもんがみれるからよ」

 

 

 

「あ……うそ……べへたん……!!」

 

紫は絶望の顔で腕が千切れてしまったべべたんを抱き上げる

 

「さーて、これでどうなるかな〜♪」

 

グリフォンスカルはそれを面白そうにしながら見つめていた。

 

 

 

「………くも……よくも……べべたんを……」

 

瞬間、紫から禍々しいオーラが溢れてくる。

 

「よくも…よくもよくもよくもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

彼女の禍根の力が解き放たれ辺りを破壊した。

 

「ははっ、こりゃすげえや。後はこいつを…ほいっと!!」

 

グリフォンスカルは禍根の力の凄まじさに歓喜すると一つのスカルキーを紫へと投げつけた。すると、スカルキーは紫に突き刺さって凄まじい力を放ち始める。

 

「さあこれで計画は成功だ!!あの女の禍根の力とスカルキーの力が共鳴して互いの力を増強する!!そうすればあの女はロードスカルへと進化する。そうなったら奴を操って俺達の忠実な手駒にするのさ!!ははっ……はははははは!!」

 

 

 

 

 

「まずい…このままじゃ紫が……」

 

禍根の力を暴走させる紫を見て俺はふらつきながら立ち上がった。

 

「竜司さん…あれって…」

 

意識を取り戻した理吉が紫の様子を見て驚愕する。

 

「あのままじゃ紫が……なんとかあのスカルキーを紫から引き離さないと…」

 

だが、それをやろうとすれば間違いなくスカルの妨害を受ける…一体どうすれば……

 

「竜司さん…紫さんは俺に任せてください。竜司さんはスカルをお願いします」

 

「えっ!?」

 

理吉の提案に俺は思わず叫んでしまう

 

「理吉…何を…」

 

「俺も忍なんです!!」

 

理吉は拳を握りしめながら大声で叫ぶ。

 

「俺はスカルと戦う力がありません…忍としての能力も平均以下です…でも、俺だって忍なんです!!あんな奴らに…誰かが苦しめられているのを黙って見てなんていられません!!少なくとも…俺の憧れる…炎佐さんならそう言う!!」

 

「理吉……」

 

俺は一瞬、理吉の目に炎佐と同じものが見えた。

 

「理吉、これ」

 

「え?」

 

俺は理吉の手にティラノキーを渡す。

 

「お前に貸す。大事なもんだから後で返せよ。」

 

「竜司さん……」

 

「任せた」

 

「はい!!」

 

理吉は俺からティラノキーを受け取ると力強く頷いた。

 

「何こそこそ話してんだお前らぁ!!」

 

俺らに気づいたグリフォンスカルが2丁拳銃で俺達に風の弾丸を放ってきた。

 

「させるか!!」

 

『サイクロン武装!!メガロ!!』

 

俺はカグラドライバーを装着して仮面ライダーリューマ・サイクロンへと変身した。

 

「またその形態か、そいつは俺には通じない。それに、こいつらをお前は倒せるかな?」

 

グリフォンスカルが手を振り上げるとラビットスカルが自身が操る女性達を引き連れて俺を取り囲む。

 

「倒す必要はない。こうすればな!!」

 

俺は襲ってくる女性達を操った風で拘束した。

 

「何ぃ!?」

 

ラビットスカルは女性達を封じ込められて驚愕した。

これは、以前グリフォンスカルがケルベロススカルを拘束したときに使っていた技である。風を操るグリフォンスカルの技ならリューマ・サイクロンで再現できるのではと思ったがその予想が当たってよかった。

 

「これでもう思う存分お前らを殴れるってわけだ…罪もない女性達を盾に使いやがって…お前らは絶対に許さねえ!!」

 

 

 

 

 

「よし、俺だって…」

 

竜司に紫の救出を任された理吉は今なお暴走している紫を見つめた。

 

「あぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

紫の胸元にはスカルキーが刺さっており禍根の力と共鳴して禍々しいオーラを放っていた。さらに表面が所々剥がれておりそこから金色の光が怪しく輝いていた。このまま放っておけば彼女がロードスカルになってしまう

 

「そんなこと…絶対させない…」

 

理吉は意を決すると紫の元へと歩き出した。

 

「アァァァァァァ!!」

 

すると、紫は長い髪を操り巻きついた巨大手裏剣で理吉へと斬りかかってきた。

 

「ぐ…っ」

 

手裏剣は理吉の体を掠めそこから血が滲むが、理吉は歩みを止めず一歩一歩彼女に近づいていく。

 

「紫さん、今助けます!!」

 

理吉はそう叫ぶと紫へと駆け出した。

 

「アァァァァァァァァァ!!」

 

紫の髪がまるで生き物のように理吉へと襲いかかる。

 

「ぐっ…くそっ…」

 

理吉の体は徐々に傷ついていき血が地面に流れていく。しかし理吉は諦めない。目の前で苦しむ1人の少女を救うために

 

「あき…らめるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

理吉は叫びながら紫へと手を伸ばした。

 

「アァァァァァァァァァ!!」

 

理吉が紫の目の前にたどり着いた瞬間、紫の刃が理吉の体を貫いた。

 

「ぐっ……」

 

理吉は口から血を吐くが構わず紫の顔に優しく触れる。

 

「紫さん…さっき俺が言おうとしたこと何ですが…どうか……俺の話を…聞いて…ください」

 

理吉はふらつきながらも紫に語り出した。

 

 

 

 

「紫さん、貴方は……とても優しい人です。」

 

瞬間、紫の動きが止まる。

 

「お姉さんを傷つけてしまったことを今までずっと悔やみ続けるのも…べべたんを傷つけられて禍根の力が暴走するのも…貴方が『誰かのために傷つく事が出来る人』だからです。」

 

理吉は優しく紫に話しかける。それに反応するように彼女から溢れる禍根の力は徐々に弱まっていった。

 

「だから紫さん、あんな奴らに貴方を好きにはさせない。貴方は…僕が守ります!!」

 

「り…きち…くん」

 

瞬間、紫の目に光が戻り禍根の力が鎮まった。

 

「紫さん…よかったぁ…」

 

正気を取り戻した紫に理吉は安心して笑顔を見せる。

 

「理吉くん……わたし……あぁっ!!」

 

その時、紫の胸元のスカルキーの光が更に禍々しく輝く。

 

「理吉くん……このままじゃ……逃げて……!!」

 

「大丈夫です…必ず貴方を助けます」

 

『ティラノ!!』

 

理吉は優しい笑顔で微笑むとティラノキーを手に握りしめ起動しティラノキーを握りしめた拳でスカルキーを殴りつけた。その瞬間、辺りが衝撃で震える。

 

「これ以上……紫さんを……弄ぶなァァァァァァ!!」

 

理吉の叫びとともにスカルキーにヒビが入り遂に粉々に砕け散った。

理吉の一撃は紫を傷つける事なくスカルキーのみを破壊した。

 

「理吉くん……ありがとう……」

 

紫は理吉にお礼を言って意識を失った。

 

「はぁ…はぁ…やった…俺でも…戦うことが…誰かを守ることが出来るんだ…」

 

理吉は安心したように膝をつく。その体は傷だらけで立つのも困難なのが目に見えた。

 

「このガキ余計なことをしやがってぇぇぇぇぇぇ!!テメェのせいで全部台無しじゃねえかァァァ!!」

 

それを見たグリフォンスカルが激昂して理吉へと弾丸を放つ。

しかし、それを俺は拳で撃ち落とした。

 

「理吉…お前カッコイイじゃねーか。後は任せろ!!」

 

「竜司さん…へへ、後は頼みます」

 

理吉は俺を見ると安心したように壁に寄りかかった。

 

「いくぞラビット!!こいつら全員皆殺しだ!!」

 

「は、はい!!」

 

怒り狂うグリフォンスカルにビビりながらもラビットスカルは二股の槍を振りかざして俺達に斬りかかる。

それを迎え撃つように俺は2人に突撃する。

 

「だからテメェの風は俺には効かねえって…」

 

「それはどうかな!?」

 

俺の拳に合わせてグリフォンスカルは手を前に出して風を相殺しようとする。

 

しかし、

 

「ぐわぁぁぁぁ!?」

 

風は相殺出来ずグリフォンスカルは後ろへと吹き飛ばされる。

 

「な…なんでだ…!?相殺できねぇぇぇ!!」

 

「俺の手をよく見てみな」

 

グリフォンスカルが俺の手を見ると目に見えない程の速さで風が回転している。

 

これが俺が考えたグリフォンスカルの攻略法、相殺出来ない程速く回転する風で殴る。シンプルだがその効果は絶大、奴が風で防ごうとしてもそれを上回る威力であれば防ぐことは出来ない。そもそもメガロサウルスの力はかつてこの国を滅ぼすとまで言われた力…このように工夫すればそれを防ぐのは難しいだろう。

 

「このガキぃ…俺を舐めやがってぇぇぇぇぇぇ!!」

 

頭に血が上ったグリフォンスカルの銃弾とラビットスカルの槍を躱して蹴りを、拳を、手刀を次々と彼らに喰らわせる事で戦況は完全に俺が支配していた。

 

「これでトドメだ!!」

 

『必殺の術!!サイクロン!!』

 

俺はカグラドライバーを叩いて全身に竜巻を纏って空中へ飛ぶとグリフォンスカルとラビットスカルに目掛けて高速回転しながらの蹴りを繰り出す。

 

「必殺忍法!!激竜マキシマムサイクロン・スパイラル!!」

 

グリフォンスカルは咄嗟に風の盾を展開するが俺の一撃はそれを突き破り2人へと炸裂した。

 

「そんな…こんなところで…この僕がぁぁぁぁぁ!!」

 

ラビットスカルは断末魔と共に爆発すると粉々に砕けたスカルキーと太った小柄の男が気を失って倒れていた。

 

「ぐ……これで勝ったと思うなよ…次こそは、絶対テメェらをぶち殺してやるからな…!!」

 

辛うじて無事だったグリフォンスカルは俺にそう捨て台詞を吐くと黒いゲートを出して撤退した。

 

 

 

 

 

「これでよしっと」

 

グリフォンスカル達を退けた後、操られていた女性達の安否を確認した後、ティラノキーを俺に返した理吉がべべたんの千切れた腕を直していた。

 

「べべたん……良かったぁ……」

 

「お前凄いな、まさか裁縫がこんなに上手いなんて」

 

「よく炎佐さんや選抜メンバーの衣類とか直してましたからね。これぐらいならお茶の子さいさいって奴ですよ」

 

そう言うと理吉は紫にべべたんを渡した。

 

「紫さんは僕が送っていきます。ここからは同じ悪忍の俺が紫さんを連れてったほうがいいと思うので」

 

「それもそうだな」

 

仲良くなったとはいえ俺達は敵同士なんだ。ただでさえ今蛇邪が大変な状態なのにこのまま俺といたら理吉達にも迷惑がかかる。

 

「あばよ理吉、今日は楽しかった」

 

「竜司さんもお元気で」

 

「竜司くん……ありがとう」

 

2人はお礼を言うと街中へと消えていった。

 

「さて…今日のこと霧夜先生になんて言おう……」

 

 

 

 

 

その後、悪忍と深く関わった事で霧夜先生にこっぴどく叱られたのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

理吉は紫を家に送るために街を歩いていた。

 

「さて…紫さんの家ってどこにあるんですか?」

 

「えっと……この先を曲がって……」

 

「ここにいたのか紫」

 

すると、鋭い目をした眼鏡の女性が2人の目の前に立ち塞がった。

 

「えっと…貴方は?」

 

「お、お姉ちゃん……」

 

「お姉ちゃん?じゃあこの人が……」

 

紫の言葉に理吉は驚いた。まさかこんなところで紫の姉に遭遇するとは思ってなかったからだ。

 

「お前にやってもらう事があって来た。まさかお前が外に出るなんて思ってなかったからな…探すのに苦労した」

 

「ちょっと待ってください…紫さんは今…」

 

「まぁ待て忌夢、2人の様子を見た感じ何かあったようだ」

 

するとそこへ白髪の凛とした女性が現れる。

 

「えっと…貴方は?」

 

「はじめまして…私は雅緋、新たに選抜メンバーに選ばれたものだ」

 

 

 

 

 

 

 

「…綺麗な夕日だな」

 

とあるビルの上、空色の髪の青年が空を見上げていた。

 

『カァッカァッ!!カァッカァッ!!』

 

すると、べべたんを攫ったロボカラスが青年の元へと近づいた。

 

「ん?カゲバネ、また何か変なものでも集めに行ってたのか?」

 

青年がそう言うとロボカラスことカラクリカラスのカゲバネはトランシーバーへと変形して青年の手に収まる。

 

「収集癖も大概にしろよ、もうすぐ戦いが始まるんだから」

 

青年はそう言うと再び夕陽を見つめる。

 

 

 

 

「そして、僕達の復讐もな」

 

 

その目は鋭く、強い憎しみを宿していた。




設定更新しましたのでそちらもどうぞ。
ラビットスカルの項目を追加しました。
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