「6人目の月閃メンバーですか…」
「しかも新しい仮面ライダーなんて…」
学院に戻った俺は他のみんなに6人目の月閃メンバーにして仮面ライダーオルグこと満月のことを話した。
「すごい強いやつだった…襲撃してきた手練れの忍が全く歯が立たなかった…」
もし戦うことになったら、おそらく俺でないと敵わない。
「ですが相手がどんな実力者だろうとわたくしたちは必ず勝利しなければなりません」
「うん!!絶対に勝とうよ」
「よっしゃ!!そうと決まれば特訓だぜ!!」
「同感だ」
「うん!!雲雀も頑張るよ!!」
斑鳩先輩の言葉に飛鳥、かつ姉、柳生、雲雀も頷いた。
(あとは…あの言葉だよな…)
俺はふと満月の言葉を思い出す。
『やっぱりお前は所詮半蔵の弟子だな』
『いいぜ、だったらこの学炎祭で証明してやるよ。俺達の先生が……黒影が目指した理想こそが正しいってことをな』
満月達の師匠だと言う黒影という忍、じいちゃんと因縁があるようだったが一体何があったのか…
特訓を終えた俺は学炎祭に備えて体を休めるために寮に帰るために街を歩いていた。
「ん?おお、竜司じゃないか」
ふと声が聞こえてそちらを向くとじいちゃんが目の前に現れた。
「じいちゃん…」
「聞いたぞ竜司、学炎祭をすることになったそうじゃが…お前さん達ならきっと大丈夫じゃ、がんばれ」
「……………。」
俺は応援するじいちゃんから目が離せない。そして聞かずにはいられなかった、
「じいちゃん…黒影って知ってる?」
「ほれ、竜司も食べなさい」
俺の質問を聞いたじいちゃんに連れられて俺は飛鳥の実家の寿司屋のカウンターに座っていた。今日は定休日なので店には俺とじいちゃんしかいない。
「じいちゃん、それでさっきのことなんだけど…」
俺はじいちゃんが作った太巻きを食べながら黒影について改めてじいちゃんに聞いた。
「…そうじゃのう、お前には全てを話すとするか」
そう言うとじいちゃんは静かに話し始めた
「かつてわしにも親友と言える忍がいた。優秀で純粋で誰よりも平和を愛した善忍がいた。しかし平和を愛するが故にあやつは徐々に偏った道へと歩み始めていった」
「偏った道?」
「竜司、光と影があるからこそ世界は成り立っている。わしはそう考えておる。」
じいちゃんの言葉に俺は頷く。その通りだ、俺達善忍だけが忍じゃない。炎佐達の様な悪忍も忍の世界を作っている。それを彼らとの戦いで俺は学んだ。
「ところがあやつは世の中から一切の影を駆逐しようとした。影も悪も存在すべきではないと、偏った袋小路に迷い込んでいったのじゃ」
「そんな!!」
思わず俺は叫んでしまった。そんなものは極論だ。僅かな悪さえも否定してしまったらその先は悲惨なことになってしまう
「わしにはそんなあやつが時折、悪にさえおもうことがあった。過ぎたるは及ばざるがごとし、いき過ぎた正義は時として悪にもなる。笑えぬ話よ」
「…その人とじいちゃんは、その後どうなったの?」
俺が聞くとじいちゃんは寂しそうに上を見上げた。
『半蔵!!貴様は、俺が悪だと言うのか!!親を殺され、仲間を殺され、それで黙っているのが正しいと言うのか!!』
『人間なんて言うのは多かれ少なかれ悪の部分を持っている!!それを全て否定しても始まらんって事を言っているんだ!!!』
『だったら………俺は悪など無い、善だけの世界を作ってみせる!!』
『そんなものは作れない!!賭けてもいい!!』
「…袂を分かつ他なかった。」
その目には涙が溢れていた。
「竜司…お前はどう思う?」
「俺は……じいちゃんの言う通りだと思う」
俺はじいちゃんの問いに少し考えて自分の答えを伝えた。
「炎佐達は悪忍…悪の世界の存在だった。でもあいつはすごい仲間思いで、良い奴だった。悪だからって一括りにして全部滅ぼしちゃえば良いなんて間違ってる」
「竜司…」
「けど俺は同じくらいに知りたい、どうして黒影さんが…満月達がその道を選んだのかを…何も知らずに戦うなんて俺は嫌だ。どうせ戦うなら、きちんと知りたい」
「……竜司らしい答えじゃのう」
その答えにじいちゃんは嬉しそうに笑い俺の頭を撫でた。
翌日、いよいよ学炎祭の開幕の日となった。
俺は腰にカグラドライバーを装着して月閃メンバーが来るのを待ち構えている。
「負けられない、半蔵学院を守って…あいつらともちゃんと腹を割って話をするんだ…」
半蔵学院を燃やされるわけにはいかない…かと言ってただ歪み合うのも間違ってる。言葉で語り合い、拳でぶつかり合い、黒影さんのことを…満月のことを知りたい。そうすれば何か良い答えを見つけられるかもしれない
「お、やっぱりここにいたか。会いたかったぜ竜司」
すると、転身剣トプスパーダを手に持った満月が俺の目の前に現れた。
「満月……」
「ん?どうした竜司?何難しい顔して…」
「俺は…じいちゃんと黒影さんって人の因縁を聞いた」
その言葉に満月は顔をこわばらせて俺を睨みつける
「……………」
「善だけの世界…その世界がどんなものかはわからない。でも、どんな人間だって悪は存在する、その全てを否定したら生きていけない!!その世界は…お前達がこんなことをしてまで作らなくちゃいけないのか!?」
「…………黙れよ」
瞬間、怒りの形相を浮かべた満月が言葉を発した。
「黙って聞いてりゃごちゃごちゃ煩いんだよ。俺たちのことが気に入らないんなら迷わず挑んでこいよ」
「それでも…俺達は戦う相手のことをちゃんと知りたいんだ。」
満月の逆鱗に触れてしまったがこれは紛うことなき俺の本心だ。
「本当に手ぬるいな、やっぱり半蔵の弟子ってだけあって甘さの塊だ。半蔵みたいなのが善忍の象徴みたいに扱われるからあいつらの様な悲劇が起きるんだよ」
「あいつら?」
「御託はいい、来ないならこっちから行くぞ」
すると満月は転身剣トプスパーダを手に臨戦態勢に入った。
「戦うしか…ないんだな」
「そう言ってんだろ」
臨戦態勢の満月に俺は覚悟を決めた。
『ティラノ!!』
『トリケラ!!』
俺と満月はティラノキーとトリケラキーを起動する。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
『♪〜♪〜〜♪〜〜!!♪〜♪〜〜♪〜〜!!』
カグラドライバーから音楽が、転身剣トプスパーダから三味線の音色が流れ出す。
「「変身!!」」
『武装!!ティラノ!!』
『竜装!!トリケラ!!』
そして俺は仮面ライダーリューマに、満月は仮面ライダーオルグへと変身し互いに身構える。
「はぁぁぁ!!」
「うぉぉぉ!!」
俺はファングクナイを、オルグは転身剣トプスパーダを手に互いに斬りかかった。オルグの一撃は凄まじく真正面から受けては力負けする。なので俺は転身剣トプスパーダの攻撃をファングクナイで受け流しつつカウンターを狙う戦法を使った。オルグもそれに気づいておりファングクナイのカウンターを盾で防ぎつつ剣で追撃を繰り出した。両者共に譲らず接戦が続く。
「やるじゃねえか、伊達に俺より長く仮面ライダーやってるわけじゃないってわけか」
「くっ…」
しかしオルグの装甲が硬く、ダメージに関しては俺の方が大きかった。
(このまま持久戦になるのはまずい…一気に決めないと)
『メガロ!!サイクロン!!』
俺は現状で最も高い能力を持つサイクロンメガロキーを起動した。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
「変身!!」
『サイクロン武装!!メガロ!!』
鍵を回し、周囲を竜巻が包みこみ、仮面ライダーリューマ・サイクロンへと変身した。
「はぁぁぁぁぁ!!」
俺は竜巻を纏った拳でオルグの装甲を連続で殴る。しかしそれでも装甲は硬く決定打にはならない。
「悪いな、性能が違うんだよ!!」
「ぐあぁぁっ!!」
俺の攻撃が止んだのを見計らったオルグは転身剣トプスパーダの剣で俺を斬りつける。その攻撃に思わず俺は吹き飛ばされてしまう。
「こいつはお前のカグラドライバーのデータをもとに、それを超える様設計された最新型だ。お前と違って使える恐竜の力はトリケラだけだけど、その分出力は桁違いだ。」
『大剣モード!!』
そう言いながらオルグは転身剣トプスパーダの剣の柄を盾と合体させた。すると盾部分から長い柄が伸び、刀身か更に長くなった大剣モードへと変わった。
「終わりだリューマ」
『必殺の術!!』
オルグは大剣になった転身剣トプスパーダの柄部分にあるボタンを押すと長くなった刀身から銀色のオーラが溢れて刃の形に変わる。
「必殺忍法!!セイクリッドインパクト!!」
オルグが転身剣トプスパーダ(大剣モード)を振り下ろすと銀色の光が更に眩い光を放って俺に向かってくる。
「くそっ!!」
『必殺の術!!サイクロン!!』
俺もカグラドライバーを叩いて必殺忍法を放つ
『必殺忍法!!激竜マキシマムサイクロン!!』
竜巻を纏った俺のキックが銀色に輝くオルグの斬撃とぶつかる。
銀色の光と紺色の竜巻は激しくぶつかり合うが徐々に光の方が竜巻を押していく。
「これで…とどめだぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ついに俺は押し負けてオルグの必殺忍法が炸裂し変身を解除してしまった。
「ぐ……うう」
「勝負あったな」
オルグは刃を俺に向けながらゆっくりと近づいてくる。
「これが俺達の…黒影先生が目指した忍の力だ。俺達はこの力で先生が目指した善だけの世界を作ってみせる。」
「その世界で…生きられない奴らはどうなるんだ…」
ふらつきながら俺はオルグを問い詰める。
「滅びるだろうな。だが、それがあるべき形だ」
「………っ!!」
その言葉に俺は震える。
「ふざけんな…!!」
炎佐も、理吉も、蛇邪のみんなも…悪忍だけどみんな自分の信念を持った良い奴らだ。道は違うし争うこともある。だけど、
「だからといって滅びていいなんてことはない!!」
『武装!!ティラノ!!』
「はぁぁぁ!!」
俺は再びティラノ武装になり命駆モードへと変身した。
(俺のありったけの力を全部、奴にぶち込む!!)
『必殺の術!!必殺の術!!』
覚悟を決めた俺はドライバーを連続で叩いて飛び上がる
「必殺忍法!!激竜無双大大大大大キィッッッック!!」
俺の全パワーを込めた渾身の必殺忍法をオルグへと放つ
「まだそんな力を…!!」
『必殺の術!!』
オルグは慌てて刀身に銀色の光を纏わせる。
「必殺忍法!!セイクリッドインパクト!!」
銀色の光とオレンジ色の光が衝突して辺りを巻き込んで大爆発を起こした。
「はぁ…はぁ…」
瓦礫の中で竜司はふらふらになりながら変身を解除する。自分の文字通りの全力を放ちもはや変身を維持することも出来なかった。そしてそのまま糸が切れたかの様に倒れ込んでしまった。
「……………。」
倒れる竜司の目の前には仮面ライダーオルグが立っていた。しかし、
「ぐっ…がはっ!!」
瞬間、オルグの装甲に巨大なヒビが入りその場に座り込んだ。
「マジかよ…最後の最後であんな一撃を放つなんて…」
先程の技のぶつかり合い、最終的にリューマの一撃は自身の必殺忍法を破り装甲にこれだけのダメージを与えた。結果的には満月の勝ちだろうが技のぶつかり合いではリューマの勝ちであった。
(最後の一撃…メガロの時よりも遥かに強かった。適合率の違いか?)
ティラノの凄まじい一撃にオルグは驚きを隠さずにいた。
「今回はここまでにしてやる。じゃあな」
そして変身を解除すると満月は少しふらつきながら立ち去っていった。
「やはりリューマではオルグには勝てなかったか」
忍最高幹部の1人である鉄心は学炎祭を監視させていた部下からの報告を聞いていた。
「車を用意しろ、リューマのところへ向かう」
「はっ!!」
鉄心は部下に指示を出すと立ち上がり歩き出した。
「我らの研究の集大成を見せてもらうぞ、仮面ライダーリューマ」
そう言って鉄心は己の手にある恐竜の牙を思わせる装置、ワイルドギアを見つめた