「ギャオォォォォォォォォォォ!!」
ワイルドリューマとなった竜司は鋭い爪を掲げながら雄叫びを上げる。
「りゅーくん…いったいどうしちゃったの?」
飛鳥は竜司の突然の変貌に驚きを隠せずにいた。
「グルルルルル…!!」
「あ、やべぇ」
するとワイルドリューマは壁に寄りかかる満月を見つけて唸り声を上げながらジリジリと近づいていった。
「グルァァァァァァァァァ!!」
次の瞬間、ワイルドリューマは雄叫びを上げながら鋭い爪を振り翳して満月へと飛びかかった。
「満月!!」
瞬間、雪泉は慌てて満月を守る様にワイルドリューマの前に立つと氷の盾でワイルドリューマの攻撃を防いだ。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
ワイルドリューマは突如現れた氷の盾に怒りながら鋭い爪による連撃を繰り出す。
「ぐっ…これは…」
その攻撃は凄まじく徐々に氷にヒビが入っていく。そして、ワイルドリューマから巨大なティラノサウルスの尾が現れる。
「ガルルルルル…ギャオォォォォォォォォォォン!!」
ワイルドリューマはその尾を思いっきり叩きつけて氷の盾は粉々に砕け散った。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「「雪泉!!」」
「雪泉ちん!!」
「雪泉ちゃん!!」
その衝撃で雪泉は思わず吹き飛んでしまい、それを見た他の月閃メンバーが慌てて二人の元へと駆け寄った。
「ギャァァァァァ!!」
『必殺の術!!ワイルド!!』
その時を見計らったかの様にワイルドリューマは雄叫びを上げながらカグラドライバーを叩き、両手にエネルギーを纏って巨大な爪を具現化する。
「ギャオォォォォォォォォォォン!!」
ワイルドリューマが両腕を振り上げて下ろすと巨大な斬撃となって月閃メンバーへと放たれた。
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
ワイルドリューマの必殺忍法で彼女たちは吹き飛び壁に激突した。致命傷では無いにせよ彼女たちの傷は大きかった。
「りゅー…くん…」
自分達があれだけ苦戦した月閃の忍をたった一人で蹴散らす。ありえないほどの力を発揮したワイルドリューマに飛鳥は驚きと動揺を隠さずにいた。しかし、彼女が感じたのはそれだけじゃなかった、
「りゅーくん…なの…?」
目の前にあるワイルドリューマは今までの竜司とは違う、そもそも戦い方が忍としての、仮面ライダーとしての彼とも違う…まるで猛獣…否、恐竜の様に思えた。
「グルルルルル…」
「あっ…!!」
ふと気づくとワイルドリューマは未だ起き上がれずにいる雪泉へゆっくりと近づいていた。
「まってりゅーくん!!それ以上はダメ!!」
彼が何をしようとしているのか気づいた飛鳥は慌ててワイルドリューマにしがみつき止めようとした。
「グルァァァァァ!!」
「きゃあ!?」
しかしワイルドリューマは唸り声を上げながら飛鳥を振り解きその勢いで飛鳥は倒れてしまう。
「ガルルルルル…グルァァァァァ!!」
ワイルドリューマは自分を邪魔した飛鳥を標的にし鋭い爪を飛鳥へと振り下ろした。迫ってくる恐怖に飛鳥は目を閉じる。
「はぁぁぁっ!!」
瞬間、満月が飛鳥の前に立ちワイルドリューマの攻撃を転身剣トプスパーダ・大剣モードで防いだ。
「グルゥ!?」
「え…?」
突然の事に二人は驚愕する。
「なるほどなぁ…そういう仕様かよ……」
ワイルドリューマを見て何かに気づいた満月は彼を睨みつける。
「おいテメェ…俺が倒したいのは『半蔵の弟子』なんだよ」
「ギャオォォォォォォォォォォ!!」
ワイルドリューマは爪を振り翳して満月へと振り下ろした。
「邪魔すんじゃねぇ!!!」
しかし満月はそれを上回る速さで転身剣トプスパーダを振りワイルドリューマの胴を斬り裂いた。
「ガ……ッッ!!」
思わぬ反撃に遭いワイルドリューマはゆっくり倒れながら変身が解け、カグラドライバーからティラノキーとワイルドギアが落ちる。
「りゅーくん!!」
飛鳥は慌てて倒れた竜司の元へと駆け寄り彼を抱き抱えた。
「竜司さん!!」
「竜司!!」
すると、斑鳩達も現れて竜司へと駆け寄った。竜司は意識を失っているが呼吸はしっかりとあるので飛鳥達はホッとする。
「早く竜司さんを医務室に…」
斑鳩の指示で飛鳥は竜司を抱えるとみんなで撤退を始めた。
「雪泉…どうする?」
そんな彼らを見て満月は雪泉に声をかける。
「…向こうが撤退してくれるならそうさせましょう…今の傷で彼女達と戦うのはリスクがありすぎます。」
雪泉の言葉に満月や他の月閃メンバーも頷いた。
「やっぱり…これはワイルドギア…」
霧夜は地面に落ちていたワイルドギアを拾うと顔をこわばらせる。
「あの頃よりさらに性能が上がってる…これを開発している奴らがいるってことか…!!」
視線の先には意識を失った竜司が飛鳥に運ばれてる。
「誰があいつにこれを与えたんだ…!!」
その目には確かに怒りがこもっていた。
そして、そんな霧夜を物陰からネズミが見ていた。
「ふむ…まぁ初めての使用としてはまずまずと言ったところか」
鉄心は部下がネズミの視界を通して見たワイルドリューマの映像を確認しながら呟いた。
「後はあの力を完璧に使いこなせる様にするだけだ。そっちの方は…お前に任せるぞ」
「あぁ、任せろ」
鉄心が後ろに声をかけると暗闇の中から真剣な顔をした竜舌が現れた。
「ワイルドギアがこれからの戦いに必要になるのは間違いない。全てはお前にかかってる。頼んだぞ、竜舌」
「覚悟は出来てるさ、それに…俺はあいつを信じている」
竜舌は映像の中の竜司を静かに見つめていた。
「ん……ここは……」
俺がふと目を覚ますとそこは医務室のベットの上だった。
「あ…りゅーくん!!」
「竜司さぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
俺が目を覚ましたことに気づいた飛鳥と斑鳩先輩がものすごい勢いで俺に抱きついてきた。
「よかった〜りゅーくんが元のりゅーくんにもどって〜」
「竜司さんが…!!竜司さんがいなくなっちゃったらって思ったらわたくし…!!わたくしぃ…!!」
2人が俺を抱きしめると体に2人のたわわな胸が目一杯押しつけられる
「ふ…2人とも…////お願いだから…離れて…」
「「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」」
2人が俺を離してくれたのはそれから1時間後の事だった。
「お…落ち着いた?」
「ゔん……」
「す…すみません」
時間が経ちようやく落ち着いた2人を俺はなんとか慰めた。
「それよりりゅーくん…あの力ってなに?」
「そうです、あんなリューマ…わたくしも初めて見ました…!!一体あれは…?」
「あの力?あっ…!!」
思い出した、俺はワイルドギアを使って、そうしたら意識が無くなって…
「あれはワイルドギア、22年前に開発された禁断のシステムだ」
すると険しい顔をした霧夜先生が俺たちの前に現れた。その手にはティラノキーとワイルドギアが握られていた。
(霧夜先生…怒ってる?)
その鋭い目に俺は思わずたじろいてしまう。
「竜司、こいつは誰から貰った?知ってることを全て話せ」
「まさか…神門様と同じ最高幹部の1人が…」
「そんな…」
「…………っ」
俺が鉄心様からワイルドギアを受け取ったことを話すとみんなは驚き霧夜先生は顔をこわばらせた。
「最高幹部…!!」
「霧夜先生、ワイルドギアって一体…」
俺が質問すると霧夜先生は口を開いた。
「22年前、カグラドライバーとは別のドライバー開発が行われていた。」
「そうなんですか!?」
衝撃の事実に俺は驚きを隠せずにいた。
「だが、当時の技術ではカグラドライバーの仕組みを完璧に解析することは出来ず、ようやく完成したドライバーも満足のいく性能は出なかった。そんな欠点を補うために開発されたのがワイルドギアだ」
霧夜先生は目を閉じて静かに語り出した。
「ワイルドギアは恐竜の力を無理やり目覚めさせリミッターを解除することにより通常を遥かに凌ぐ力を宿す。それを当時開発していたドライバーに組み込むことで強力な仮面ライダーを生み出そうとしたんだ」
「でもそれは結局行われなかった…それはなぜですか…?」
こんな力があるならリューマの鎧が復元される前にスカルに対抗する力になれたはずなのに…斑鳩先輩が質問すると霧夜先生は静かに口を開いた。
「あまりに危険なリスクがあったからだ」
「危険なリスク?」
「恐竜の力は人間のそれを遥かに凌駕する。そんな力を無理やり体に取り込めば体が耐えきれなくなりいずれ崩壊する。何より…使用者は恐竜の獰猛性までもが宿り自我を失ってしまうからだ。竜司…お前がそうなった様に」
「あっ……」
俺は月閃でのことを思い出す。
(そうだ、俺はあの時満月だけじゃない…下手をすれば飛鳥まで手にかけるところだったんだ…)
俺は自分がやろうとしたことを思い出し胸が痛くなった。
「とにかくこいつは俺が預かる。竜司、もうこんな力は絶対に使うな」
そういうと霧夜先生は俺にティラノキーだけを返すとワイルドギアを懐にしまって部屋を出ていった。
「…………………」
しかし、俺は霧夜先生から、正確にはその懐にしまわれたワイルドギアから目が離せなかった。
「最高幹部が…一体何を企んでるんだ…」
霧夜はワイルドギアを見つめながら神門にワイルドギアについて報告した時のことを思い出した。
『なるほど…ワイルドギアですか』
『はい』
霧夜の報告に神門は紅茶を一口含んだ。
『わかりました、この件は私が預かりましょう。霧夜殿はこのまま学炎祭に集中してください』
『え?』
あまりにあっさりとした回答に霧夜は呆気にとられる。
『そ、それだけですか!?他には…』
『この話はこれで終わりです』
結局それ以上彼女は何も話してくれなかった。
「善忍同士の学炎祭にワイルドギア、一体何が起こっているんだ…」
「りゅーくんも数日後には傷が完治できそうでよかったよ」
「あ…うん」
一通りの治療が終わった帰り道、俺は頭のモヤモヤが取れずにいた。
「このままで…月閃に勝てるのか…?」
ワイルドギア…あれが危険な力であることに変わりはないのだろう…でもあの力のおかげで仮面ライダーオルグに対抗できたのは紛れもない事実だ。それを失った今の俺で…果たしてオルグに勝てるのだろうか…
「竜司さん、霧夜先生の判断は間違ってなかったと思います」
すると、俺の様子を見て察したのか斑鳩先輩が俺に声をかけてきた。
「確かにあの力は月閃の仮面ライダーにも勝てるほどの力があるんでしょう、でもあの力が竜司さんにとって危険な力だと言うなら…わたくしは使ってほしくないです」
「斑鳩先輩…」
「そうだよりゅーくん」
飛鳥も心配そうに頷いた。
「あの時のりゅーくん、とても苦しそうだった。もうあんなりゅーくんを見たくないよ」
「………………。」
2人の言葉に俺は何も言えなかった。そうだ…俺が無茶をしたせいでみんながこんなにも心配したんだ…でもこのままじゃみんなを守れない…仲間のために力を求めるか否か…どうしたら良いんだ…
「まぁ、あまり1人で考えるな。そのために俺たちがいるんだ」
「え…?」
柳生の言葉に俺はポカンとした。まさか柳生がそんなことを言うとは…
「なんだ、文句があるのか?」
「あ…いや〜ちょっと意外で…」
「…ふん」
俺の反応に少し恥ずかしかったのか柳生はプイッと顔をそらした。
しかし、そんな空気はすぐに変わった。
「なっ…!!これは忍結界!!」
突然ここら一帯に忍結界が張られた。まさか月閃か…と一瞬思ったが
「この結界…月閃の忍結界じゃない…」
学炎祭で張られた忍結界とは根本から違う。初めて見る忍結界が5…いや6、と言うことは
「新しい敵の襲撃…!!」
月閃との学炎祭が終わってないのにまだ別の敵が現れるとは…俺は周囲に警戒しながらカグラドライバーを手に握り締めた。
「貴様らが半蔵の生徒か……こんな連中にあいつらは負けたと思うと、私がいない間に蛇邪もずいぶんと貧弱になったものだ」
ふと声が聞こえそちらを見た、そこには白い短髪の女性、眼鏡をかけた鋭い目つきの女性、緑と青のオッドアイの茶髪の少女、彼女と目の色が左右逆の金髪の少女、空色の髪に黒いジャケットにネクタイをつけた青年、そして…
「紫…!!」
「竜司…くん…」
忘れもしない、以前理吉と一緒に出会って仲良くなった少女、紫がそこにいた。
「なんだ紫、知り合いか?」
俺たちの様子を見て白い短髪の女性は紫に声をかける
「う、うん雅緋さん…この間話した…理吉くんと同じ私の恩人…」
その言葉に眼鏡の女性と雅緋も呼ばれた女性はため息を吐く
「紫、悪いがこいつは敵だ。始末させてもらうぞ」
「え………そんな………」
「紫!!」
「う……お姉ちゃん……」
雅緋の決定に紫は何かを言おうとするが眼鏡をかけた女性はピシャリとそれを止める。
「お前たち…蛇邪の新しい選抜メンバーか!!」
さっきの会話からこいつらが蛇邪の関係者であるのは間違いない、それに…この前理吉が言ってた。
『最近善忍の学校からうちに編入してきた姉妹と休学していた先輩が強いって聞きますね』
おそらく左右逆のオッドアイをしているあの2人が善忍の学校から編入してきた姉妹、そして少し年上と思われる雅緋と眼鏡をかけた女性と空色の髪をした青年が休学していた先輩って奴だ!!
「ほお、少しは頭の回る奴もいるみたいだね。いかにも、僕たちが新しい蛇邪の選抜メンバーだ」
すると空色の髪をした青年が感心した様に笑う
「蒼良(そら)、余計なことは話さなくて良い。さっさと話を進めるぞ」
「おっと、すまない雅緋」
雅緋に鎖と笑いながら謝ると蒼良と呼ばれた青年は一歩退がった。
「奪われた誇りを取り戻すために、私たちは半蔵に……学炎祭を申し込む!!」
「はぁっ!?」
俺はあまりのことに驚き声を出してしまった。月閃と戦ってるこの状況にさらに蛇邪まで入ってくるのか…!!
「月閃だけじゃなくて…蛇邪まで半蔵に攻めてくるの…?」
雲雀も怯えたようすで確かめる
「あぁそうだ、元々学炎祭はバトルロイヤルみたいなものだ。こう言うこともあるんだよ」
雲雀の言葉に雅緋は余裕を見せて答える。
「そうかいそうかい、こうなったら一校でも二校でもおなじだ!!」
「いくらでも相手になってやろう」
そんな雅緋に葛城と柳生は覚悟を決めて身構える。
すると、蒼良が俺たちの前に立った。
「そっちもやる気みたいだし…そうだ、7日間の猶予なんて言わずにここで余興として僕1人で相手をしてあげるよ、良いよね雅緋?」
「ああ、我々の力を見せつける良い機会だ」
蒼良の言葉に雅緋は頷くと蒼良はクスリと笑って臨戦態勢をとる。
「わたくしたち全員を1人で?」
「馬鹿にしやがって…!!」
「馬鹿になんてしてないさ、言ったろ?余興だって」
怒りを見せる斑鳩と葛城に微笑むと
「ただ僕は、この中だと一番強いよ」
『転身弓プテラアロー!!』
紫色のプテラノドンの様な弓矢を出して左手に握りしめた。
『プテラ!!』
そして右手にプテラノドンが描かれたキョウリュウキーを持ち起動する。
「まさか…!!」
俺が気づくよりも早く蒼良は転身弓プテラアローにプテラキーを挿し込む
『♪〜〜♪♪〜♪〜♪♪♪〜!!』
すると、転身弓プテラアローからエレキギターのような音色が響き渡る。
「変身」
『竜装!!プテラ!!』
そして転身弓プテラアローの引き金を引くと鍵が回り蒼良の周囲をプテラノドンのような装甲が取り囲み蒼良の体に装着されプテラノドンのような仮面ライダー、仮面ライダーガルーダへと変身した。
「仮面ライダーガルーダ、悪の誇りを…舞い掲げよう」
「そんな…まさか…」
「4人目の仮面ライダー…」
目の前で変身した仮面ライダーガルーダに俺たちは驚きを隠せなかった。まさか悪忍側も新たなライダーシステムを開発してたなんて…
「やるしか…ねぇ!!」
『メガロ!!サイクロン!!』
「変身!!」
「サイクロン武装!!メガロ!!」
俺はカグラドライバーを装着しサイクロンメガロキーで仮面ライダーリューマサイクロンへと変身した。
「さ、かかってくるといい」
「うおおおおおっ!!」
俺は竜巻を纏った拳で仮面ライダーガルーダへと殴りかかる。しかし仮面ライダーガルーダはその拳をいとも簡単に見切っていく。
「りゅーくん!!」
「わたくしたちも!!」
飛鳥たちも忍転身してガルーダへと攻撃を仕掛ける。しかしガルーダはそれさえも容易く見切る。
「そろそろ反撃させてもらうよ」
するとガルーダは転身弓プテラアローの弦を弾き、光の矢を生み出した。
「はあっ!!」
ガルーダが射ると光の矢は正確に雲雀へと炸裂する。
「きゃあぁぁぁっ!?」
「雲雀!!貴様ぁぁ!!」
雲雀を攻撃され柳生は怒りながらガルーダへと突っ込む。
「攻撃が単調だね」
「ぐぅっ!!」
ガルーダは柳生の番傘を転身弓プテラアローでガードすると回し蹴りを繰り出し柳生を吹き飛ばす。
「この…!!」
「なめんじゃねぇ!!」
左右から斑鳩先輩とかつ姉が居合と飛び蹴りを繰り出す。
「なかなかいい連携…だけど甘い!!」
ガルーダは空高く飛び上がり2人の攻撃を躱すと光の矢を2本生み出しそれぞれに同時に放つ
「きゃあっ!!」
「うわぁっ!!」
光の矢は2人に炸裂し2人は吹き飛ばされてしまう
「そんな…!!」
「みんなぁ!!」
「余所見はダメだよ」
先輩たちに気を取られた一瞬をついてガルーダは飛鳥の懐に入り込む。
「しまっ…!!」
反応した頃にはもう遅くガルーダの転身弓プテラアローの弦の刃による斬撃が飛鳥に炸裂した。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「飛鳥ぁ!!」
斬撃をモロに喰らった飛鳥はそのまま壁に激突して倒れてしまった。
わずかな時間に俺以外の全員がやられてしまった。まだ傷が癒えていないことを踏まえても目の前のガルーダの戦闘力の高さはかなりのものだった。
「くそぉぉぉ!!」
俺は全身に竜巻を纏ってガルーダに突撃するがガルーダは軽々と俺の攻撃を躱していく。
「そんな単調な攻撃じゃ掠りもしないよ」
ガルーダは躱しながら光の矢を連射して俺に当てていく
「だったら…!」
『必殺の術!!サイクロン!!』
「必殺忍法!!激竜マキシマムサイクロン!!」
俺はカグラドライバーを叩いて必殺忍法を放つ
「そっちがその気なら…」
『必殺の術!!』
ガルーダは転身弓プテラアローの引き金を引き弓を引く。すると先ほどとは比べもののならないほどのエネルギーを秘めた矢が現れた。
「必殺忍法!!竜射法・超新星!!」
放たれた巨大な矢は俺の必殺忍法と衝突する。すると矢は大爆発を起こしその勢いで俺は吹き飛んでしまった。
「ぐ…あ…っ!!」
その勢いでサイクロンメガロキーは外れて俺は変身を解除してしまった。
「悪いけど、怪我してるからって加減するほど僕たちは甘くないんだ」
ガルーダはゆっくりと倒れる俺たちに近づいてくる。
「余興という名の前夜祭で終わるのは癪だけど、まぁ観念してもらおうか」
そう言ってガルーダは弓を構えてトドメを刺そうとしてくる。
「させない…絶対に…!!」
このままじゃ、みんなやられてしまう…俺が傷だらけだったばっかりに…俺が、弱いばっかりに…
「みんなは…俺が…」
力がいる…!!みんなを守れる力が…こいつを倒す力が!!
「守るんだァァァァァァァァ!!」
「ぐっ…!?これは…!!」
突然懐にしまっていたワイルドギアが熱くなり霧夜の元を離れどこかに飛び去っていく
「まさか!!」
霧夜は慌ててワイルドギアが飛んでいった方向へと駆け出した。
「ワイルドギア…!!」
『ワイルドオン!!』
どこからかワイルドギアが飛んできて自然に起動するとカグラドライバーへと装着された。
「あ……っ!!ダメだよりゅーくん!!それを使ったら今度こそ…!!」
意識を取り戻した飛鳥がワイルドギアに気づいて慌てて止めようとする。
「飛鳥…ごめん」
でも俺の覚悟はもう決まっていた。このままじゃみんなやられてしまう、そうならないためにも、こいつに勝つためにも、この力が必要なんだ
『ティラノ!!』
俺はティラノキーを起動して鍵穴に挿し込む
『ガルルルルルグオーン!!ガルルルルルグオーン!!ガルルルルルグオーン!!ガルルルルルグオーン!!』
ベルトから恐竜の様な唸り声が聞こえ竜司の背後に鎖で全身を拘束されたティラノサウルスが現れる。そして竜司の目は再び恐竜の様な鋭い目に変わる
「へん……しん……!!」
『武装!!ワイルド!!Break the Chain!!WILD DINOSAUR!!』
「ギャオォォォォォォォォォォ!!」
竜司がティラノキーを回すとティラノサウルスの鎖が千切れ巨大なティラノサウルスの大顎が竜司を飲み込む、するとティラノサウルスの体が弾け中から鱗のような鎧に覆われて鋭い爪を持つ姿のリューマ、仮面ライダーワイルドリューマへと変身し雄叫びを上げた。
「その力…まさかワイルドギア…!」
仮面ライダーガルーダはワイルドリューマの姿に驚き身構える。
「どうやら、さっきみたいには行かないらしいね」
「グルァァァァァ!!」
ガルーダが矢を構えるとワイルドリューマは彼を睨みつけ鋭い爪を振るいながら飛びかかった。
「速い…!!」
想像以上の速さにガルーダは驚きながらそれでも見切り矢を放った。しかしワイルドリューマはその矢を軽々と掴むと握りつぶした。
「ちっ…だったら…!!」
ガルーダは舌打ちすると光の矢を複数本生み出す
「竜射法・流星群!!」
ガルーダの放った複数の矢はさらに分裂してワイルドリューマに襲いかかった。
「グルァ!?」
無数の矢を躱しきれず矢はワイルドリューマに炸裂して爆発した。
「……やったか?」
ガルーダは爆煙を見ながら呟く
「グルァァァァァ!!」
「なっ…!!ぐわぁぁぁぁ!?」
瞬間、爆煙の中からワイルドリューマが現れガルーダを殴り飛ばした。
「馬鹿な!?あれだけの矢をどうやって…!!」
ガルーダがワイルドリューマを見ると手足には無数の矢が突き刺さっていた。ワイルドリューマは自身に矢が刺さるのをお構いなしに自身へと突っ込んできたのだ。
「なるほど…これがワイルドギアの本来の力、確かに狂っているな」
『必殺の術!!』
ガルーダは立ち上がると転身弓プテラアローの引き金を引き弓を引く
『必殺忍法!!竜射法・超新星!!』
「ガァァァァァァァ!!」
『必殺の術!!ワイルド!!』
ワイルドリューマもカグラドライバーを叩いて両手の爪から巨大な斬撃を放ち2つの必殺忍法はぶつかり巨大な爆発が起きた。
「はぁ…はぁ…これでどうだ…」
煙が晴れると全身傷だらけのガルーダが立っていた。押さえている腕からは血が流れており傷は小さくなかった。
「グルルルルル…ガゥゥゥゥゥ…!!」
さらにワイルドリューマは装甲にヒビが入り全身からも血が流れてる。それでもその目はガルーダを睨みつけてなお戦闘態勢をとっていた。
「なるほど…君はもはや忍とは呼べない、ただの獣だ」
ガルーダはそう言って再び弓を構えた。
「りゅーくん!!」
「竜司さん!!」
「竜司!!」
「竜司!!」
「竜司くん!!」
「なっ……!!」
その時、飛鳥たちがワイルドリューマにしがみついた。
「ぐ…あぁぁぁぁぁぁ!!」
ワイルドリューマになった俺を嵐のような力が飲み込み体が言うことを聞かない。ワイルドギアの力によって強化されたティラノの力がどんどん俺を侵食していく。
(このまま…俺は…喰われるのか…?)
ダメだ そんなの ああ でも いしき が の ま れ
『りゅーくん!!』
『竜司さん!!』
『竜司!!』
『竜司!!』
『竜司くん!!』
「え………?」
どこからか声が聞こえる、誰の声?いや、俺はこの声を知ってる
『りゅーくん!!目を覚まして!!力に飲まれちゃダメ!!』
『負けないで…わたくしたちの前からいなくならないで!!』
『しっかりしろ竜司!!そんな力に負けるようなタマじゃないだろお前は!!』
『諦めるな!!気をしっかり持て!!』
『竜司くん!!負けちゃダメ!!しっかりして!!』
そうだ、みんなだ、みんなが俺のことを…
「こんなところで…諦めちゃダメだ…」
「グルァァァァァ!!」
ワイルドリューマの鋭い爪が飛鳥たちに振り下ろされようとしてる。迫り来る死を前にしても彼女たちは竜司から離れない
「グルゥ!?」
ワイルドリューマの爪はあと少しのところで止まった。
「や…めろ…!!」
「りゅーくん!!」
ワイルドリューマの手がワイルドギアをつかむ
「俺の…仲間に…」
その手は何かに抗うようにワイルドギアを握りしめ
「手を出すなぁぁぁぁぁ!!」
力いっぱいワイルドギアを引き剥がした。
「はぁ…はぁ…」
ワイルドギアを外した竜司の変身が解けそのまま崩れ落ちた。
「りゅーくん!!」
飛鳥たちは倒れる竜司を抱き抱える。息はしており彼女たちはほっとした。
「ワイルドギア。予想以上に厄介な力だな…」
一部始終を見ていたガルーダは転身弓プテラアローを構える
「やるなら…今だ…!!」
ガルーダの放った矢が竜司へと向かっていく
「させねえよ」
しかし放たれた矢は竜司の目の前で弾かれた。
「誰だ!!」
突然の事にガルーダは驚きながら周囲を見渡す。すると、
「まさかあんたが蛇邪の選抜メンバーになるとはな…」
すると、暗がりから1人の男が現れた。
「お前は…!!」
それは、道元との戦いの後行方をくらました男。あの日互いの信念のもと竜司とぶつかり合い、共闘した悪忍
「炎佐!!」
仮面ライダーガリュー、炎佐であった。
炎佐再び登場!!
少し長くなってしまいましたが後悔はしてません!!