仮面ライダーリューマ   作:クロバット一世

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其の五十二 復讐と悪の矜持!!の巻

『蒼良、私は大きくなったら一流の悪忍になってみせる!!』

 

自信を込めてそう宣言する雅緋を幼い僕は見つめていた。身寄りのなかった僕は雅緋の父に拾われて彼のもとで引取先が見つかるまで育てられた。

 

『凄いね雅緋、僕は…そんな夢無いから…』

 

『蒼良…?』

 

『僕…見つけられるかな?自分の夢を…』

 

『きっと見つけられるよ!!だって蒼良だもん!!』

 

『雅緋……ありがとう……!!』

 

必死に励ます雅緋に僕は嬉しくなって笑った。

 

 

 

それからしばらくして、僕は『灰色』の忍へと引きとられ『灰色』の忍となり善忍側への潜入が決まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『禁術…?』

 

『ああ、深淵血塊と言う禁術だ、調べたところこの女だそうだ。どうやら蛇邪の悪忍らしい…』

 

僕の『灰色』としての上官から両姫の死因を聞いた僕は上官から悪忍の写真をもらう

 

『雅緋…』

 

間違いない、成長しており髪も白くなってたが間違えるはずがない、僕の幼馴染の雅緋だ…

 

『そうか…そう言うことだったのか…』

 

全て理解した、何故両姫が死んだのか…何故あの2人が悲しむことになったのか…

 

『全て…■■の所為だったのか…』

 

ならば…僕のするべきことが決まった

 

『僕の手で…復讐を遂げる』

 

それから僕は『灰色』を抜け蛇邪の門を叩いた

 

 

 

 

 

「なっ……!!」

 

目の前で起こった衝撃の光景に焔は驚きを隠さずにいた。仮面ライダーガルーダが突如現れたかと思ったら仲間であるはずの雅緋へと矢を放ったのだ。矢を撃ち込まれた雅緋は崩れ落ちてしまった。

 

「そ……蒼良……?な……んで……?」

 

「両姫の…………仇だ雅緋」

 

雅緋は立ちあがろうとするが矢に痺れ薬が塗られているのか立ち上がることが出来ずに這いつくばっていた。

 

「………かた…き…?」

 

「両姫……その名前を知ってるだろ?」

 

「っ!!」

 

その名前に雅緋は驚く

 

「何故…蒼良が彼女の名前を…」

 

「知っているさ、僕の……愛した人なんだから」

 

「なっ!?」

 

衝撃の事実に雅緋は驚いた。まさか、彼女が蒼良の恋人だったなんて

 

「そう、君に殺された両姫の復讐、僕はそのためだけに蛇邪にやってきたんだ」

 

そう言ってガルーダは雅緋を睨んで転身弓プテラアローを雅緋へと向けた。

 

「君が殺した両姫は…2人の妹をずっと1人で世話していたんだ…亡くなった両親のような一流の忍になって…妹達を守れるようにって…けど、その夢も叶えられなくなってしまった…そう………殺されてしまったことによってね…!!」

 

その目は鋭く雅緋を睨みつけ隠しきれない怒りが溢れていた。

 

「僕は許さない!!彼女を殺した存在を…!!だからこの手で復讐すると誓ったんだ!!」

 

「そ…蒼良…」

 

「命乞いを聞く気はない、彼女の命を奪い…両備と両奈を悲しませた罪を悔いながら…消えろ」

 

ガルーダは冷たくそう言うと雅緋に向かって矢を放った。

 

「させるか!!」

 

しかしその矢を焔が刀で払う

 

「君は…なんの真似だい?」

 

予想外の行動に蒼良は少し驚いた様子で訊ねる。

 

「……お前達の間に一体どんな因縁があるかは知らないが…気に入らない」

 

蒼良を睨みつける焔の目には怒りが宿っていた。

 

「くだらない?」

 

「私も以前は仲間なんてどうでも良いと思っていた…だけど、あのバカと一緒にいるうちに…どうやら影響されていたみたいだな、仲間を背後から撃つ貴様にこれほど怒っているとは自分でも思わなかったぞ!!」

 

「焔……!!」

 

自分を庇ってガルーダに立ちはだかる焔を見て雅緋は驚きを隠さずにいた。

 

「そうか…邪魔をするなら…まずは君からだ!!」

 

そう言ってガルーダは転身弓プテラアローを手に焔へと斬りかかった。

 

「ふっ…!!」

 

「へぇ…」

 

刀で攻撃を防いだ焔にガルーダは関心を示す。

 

「舐めるなよ!!私はずっとあいつの…炎佐の背中を追ってきたんだ、この程度で倒せると思うな!!」

 

 

 

 

「あっちこっちで闘いがもう始まってる…一体どっちが優勢なんだろう…」

 

あちこちで起こる乱闘の中、他の仲間とはぐれてしまった理吉は学園の周囲から聞こえる戦闘音や煙を見て闘いの激しさを痛感した。

 

「炎佐さんは大丈夫として…ここに1人でいたら他の反炎佐連合の奴らにやられちゃうからな…なんとか他のみんなと合流できれば良いんだけど…」

 

「ん?」

 

「え?」

 

ふと声が聞こえてそちらを向くと月閃から編入してきた新たな選抜メンバーの2人、両備と両奈がこちらを見ていた。

 

「あんた確か…炎佐組の…」

 

「あ、えと…」

 

思わぬ遭遇に理吉は固まりながらもなんとか声を出そうとした時、

 

「はぅぅ~ん!わんわんわん♪わぉ〜ん♪」

 

なにやらこの場にそぐわぬ嬌声が聞こえてそちらを見るとなぜか亀甲縛りにされて悶えている両奈がいた

 

「…………………………(え?なにこれ?なんてコメントすれば良いの?ってかいつ縛られたの!?ってかなんで嬉しそうなの!?)」

 

「ちょっと両奈!!あんた何馬鹿な事やってんのよ!!」

 

「はぅぅ〜ん♪だってだって〜我慢できなかったんだも〜ん♪」

 

「気持ち悪い声出すな!!」

 

「きゃんきゃんきゃ〜ん♪」

 

両備が両奈を何度も蹴りつけるが蹴られている両奈はなぜか嬉しそうにしていた。

 

「……………………(あ…ダメだこりゃ、絶対関わったらダメなやつだ…)」

 

「あ、なんか取り込み中の様ですね!!じゃあ俺はこれで…」

 

この場を離れるべきと認識した理吉はすぐさまその場を離れようとする。

 

「ちょっと待ちなさい」

 

「ぐびゃ!?」

 

しかし両備に足払いされてその場へ倒れ込んでしまう

 

「な…なんですか?」

 

「私達、兄さん探してるのよ。でもこの辺入り組んでて最近来た私達じゃ道わかんないのよね。だからあんたも探すの手伝いなさいよ」

 

「ねえねえお願〜い♪教えてくれたら両奈ちゃんのこと、いっぱいお仕置きして良いから〜♪絶対約束するから手伝って〜♪」

 

「あんたは黙ってなさい馬鹿犬!!そのまま口閉じて息とめて窒息してなさい!!」

 

「はぅぅ〜ん♪」

 

自分への罵倒に嬉しそうに悶える両奈を無視しながら両備は理吉をぐりぐりと踏みにじる。

 

「いいから手伝いなさい、嫌だって言うなら「手伝います」って言うまでこうしてやろうかしら?」

 

「痛でででで!!ちょっ…ちょっと待ってください!!許して…」

 

痛がる理吉を見て両備はさらにニヤリと笑う

 

「良い顔するわねあんた、もうちょっと強めにやっても良いかも♪」

 

理吉が痛がれば痛がるほど両備は嬉しそうにする。両奈がドMならこっちはドSの様だ。どんどん楽しそうに踏んでくる両備に理吉は恐怖を抱く

 

「ひぃぃぃぃ!!誰か助けてぇぇぇ!!」

 

そしてついに恐怖で理吉は全力で叫んだ。

 

「理吉くん!!」

 

その時、先端に大きな手裏剣をつけた髪の毛が両備と両奈へと向かっていった。

 

「っ!!これは…」

 

「わんわ〜ん♪」

 

2人は咄嗟に躱しそちらを向くと、理吉を庇う様に立つ紫がいた。

 

「紫さん…」

 

「理吉くん…大丈夫?」

 

心配そうにこちらを見つめる紫を見て理吉は安心した。

 

「ありがとう紫さん、おかげで助かりました」

 

「うん…だって…理吉くんは私の…友達だから…」

 

理吉の無事を確認してホッとした紫は頬を少し赤くしながら目の前の両備と両奈の方を向いた。

 

「あんたなんの真似?私はそいつに用があるんだけど、渡してくれない?」

 

「だめ…理吉くんは私の友達だから…貴方達には渡さない」

 

理吉に近づく両備の前に立ちながら紫は臨戦態勢になる。

 

「ふうん…あんたそんな顔するのね?少し意外だったわ」

 

「貴方達は…初めて会った時から何か企んでる様な匂いがした。いったい何をしようとしてるの?」   

 

「…っ!?匂い…?」

 

紫の問いに両備は少し驚いた様な反応をする。

 

「…悪いけど、あんたには少し痛い目にあって大人しくしてもらったほうが良さそうね…両奈!!」

 

「はいはーい!!」

 

忍転身する両備に言われて両奈も忍転身をして武器を構える。

 

「…理吉くん、さがってて」

 

紫も覚悟を決めて忍転身し2人に身構えた。

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

「…へぇ」

 

その頃、焔とガルーダの戦いは激しさを増していた。焔の六本の刀による斬撃をガルーダが転身弓プテラアローで防ぎガルーダが放った数本の矢を焔がすかさず打ち払う両者一歩も譲らぬ戦いが続いた。

 

「やるね、単純な忍としての力なら炎佐に次ぐ強さだよ」

 

「当然だ…だが私は絶対にそれでは終わらない…いつか炎佐を超えてみせる!!」

 

そう言うと焔は長刀『炎月花』を抜くと全身が紅蓮の炎に包まれ、髪と瞳が真っ紅に染まる『紅蓮の焔』という形態へと姿を変えた。

 

「全力か…面白い」

 

『必殺の術!!』

 

ガルーダはプテラアローの引き金を引く。すると、プテラアローの刃にエネルギーが集まり光り輝く

 

「必殺忍法!!竜弦術・箒星!!」

 

ガルーダの放った巨大な斬撃は隔てるもの全てを斬り裂きながら焔へと迫る

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

対する焔も炎月花に炎を纏わせて迫ってくる斬撃を切り裂いた。

 

「なっ…!?くそっ!!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

そのまま迫ってくる焔にガルーダは驚愕し慌ててプテラアローを盾の様に構える。ぶつかった瞬間、衝撃で凄まじい火柱がたった。

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!あの方角は…」

 

「どしたん?」

 

日影と戦闘中だった忌夢は火柱が立った方角を見た。先ほどまで雅緋がいた場所だ。

 

「くそっ…雅緋!!」

 

「ちょっ…」

 

妙な胸騒ぎがして慌てて火柱が立った方へといってしまった忌夢を日影は慌てて追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

煙が晴れると焔が息を切らしながら炎月花を振り下ろしていた。

 

「惜しかったね、まさかここまでやるとは思ってなかったけど…爪が甘い」

 

その目の前にいるガルーダは傷だらけだが焔よりは軽くピンピンしていた。

 

「雅緋に気を遣わなきゃ危なかったけど…思ったより甘いんだね」

 

焔は動けずにいる雅緋を巻き込まない様に力を抑えて技を放ったのだ。そのためガルーダに対して決定打にはならなかった。

 

「いや、これで良いんだ…私たちは…いつ死ぬかわからない、だからこそ今いる仲間を決して見捨てない…そうだろ炎佐?」

 

 

 

 

 

「ああ、よく持ち堪えてくれたな」

 

「なっ!?」

 

いつのまにか現れた炎佐にガルーダは驚く

 

「まさか君は…炎佐が来るまでの囮だったのか!?」

 

「炎佐、後は任せたぞ。あの仲間を傷つける不届きものに思い知らせてやれ」

 

「ああ、任された」

 

『超絶スピノ!!』

 

焔と雅緋の前に立ち炎佐はカグラドライバーを装着してワイルドギアと超絶スピノキーを起動してカグラドライバーに取り付ける。

 

『ガルルルルルグオーン!!ライドオン!!ガルルルルルグオーン!!ライドオン!!』

 

「変身!!」

 

『武装!!ワイルド!!一心一体最強バディ!!超絶!!超絶!!超絶にスゲー!!ダ・イ・ナ・ソー忍・者!!ワイルド!!』

 

超絶スピノキーを回すとスピノが炎佐に飛び込み仮面ライダーガリュー超絶へと変身した。

 

「無駄だ、君の能力はさっき完全に把握した。僕の勝利はゆるがない。君を倒したら今度こそ雅緋だ!!」

 

ガルーダはすぐに戦闘に切り替えプテラアローでガリュー超絶へと矢を放った。しかしガリュー超絶は素早い動きで矢を見切りスピノアクスを右手に持ってガルーダを斬り裂いた。

 

「なっ…このっ!!」

 

ガルーダは想定外の攻撃に驚きながらも背中に翼を出して空中に舞い矢を連射する。

 

「無駄だ!!」

 

しかしガリュー超絶は今度はもう片方の手にワイルドブラスター・カノンモードを呼び出して全ての矢を撃ち落とした。

 

「思ったとおりだ…同じスピノの力だから出来ると思ったぜ」

 

右手に握りしめたスピノアクスを見つめながらガリュー超絶は確かな手応えを感じていた。

 

「余所見なんて…僕を舐めるな!!」

 

ガルーダは凄まじいスピードで一気に間合いを詰めプテラアローの弓についた刃で斬りかかる。

 

「無駄だ」

 

「ぐはっ!?」

 

しかしガリューはワイルドブラスターをしまうとその刃を素手で掴み完全に抑え込みスピノアクスで斬り払った。

 

「なぜだ…さっきと動きが全然違う…!?いったいどうして…」

 

「お前が何やったかは焔から通信で聞いたよ。今俺…結構キレてるんだよな」

 

ガリュー超絶の口調からは静かな怒りが感じ取れた。

 

「復讐だかなんだか知らんけどさ…お前を信じて背中を預けた仲間を…お前は後ろから撃った…」

 

ゆっくり…ゆっくりとガリュー超絶はガルーダへと迫る

 

「テメェみたいな奴は…俺が絶対に許さねえ!!」 

 

『必殺の術!!超絶!!』

 

ガリュー超絶は超絶スピノキーをスピノアクスへと挿しこみ回すとスピノアクスは凄まじいエネルギーを炎の様に纏わせる。

 

「くっ…」

 

『必殺の術!!』

 

ガルーダも慌ててプテラアローの引き金を引き弓に膨大なエネルギーが矢のようになる

 

「必殺忍法!!竜射法・超新星!!」

 

ガルーダの放った巨大な矢がガリュー超絶へと迫る。しかしガリュー超絶は引き下がらない。

 

自分の信じる悪忍の矜持を貫くために

 

「超絶必殺忍法!!超絶一閃!!」

 

スピノアクスから放たれた斬撃はガルーダの放った矢を両断してそのままガルーダへと炸裂した。

 

「は…ははは………これほどとは……」

 

ガリュー超絶の一撃をモロに喰らったガルーダはそのまま変身が解けてそのまま仰向けになって倒れた。

 

「ふ…流石だな炎佐」

 

ガリュー超絶の強さを見て焔はどこか誇らしそうに呟いた。

 

「蒼良!!雅緋!!」

 

すると慌てた様子で忌夢が駆けつけてきた。

 

「これは…どう言うことなんだ!?いったいここで何が…!?」

 

倒れている2人を見て忌夢は戸惑いを隠せずにいた。変身を解いた炎佐はそんな忌夢と倒れている雅緋をチラリを見た後、今なお倒れている蒼良へと近いた。

 

「お前ってさ…嘘つくの下手だな。ほんとはあの女を殺すつもりなんてなかったんだろ?」

 

「え!?」

 

衝撃の事実に焔は驚きの声をあげる。

 

「こいつの攻撃には殺意の類が感じられなかった。第一その女に復讐したいなら痺れ薬なんて回りくどいことしないでそのまま殺せば良いことだ」

 

だが蒼良はそれをしなかった。それどころか先ほどから戦ってる時もどこか手を抜いてる様に見えた。でも彼の復讐というのは嘘ではないのだろう…つまり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の言う復讐の対象ってのは…お前自身なんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうだ」

 

炎佐の言葉に蒼良は倒れながら静かに語った。

 

「雅緋がなぜ禁術に手を出したのかはすぐに知った。雅緋は任務の最中両姫と遭遇した。当時何度もぶつかり合っていた…いわばライバルであった彼女と戦っている最中に、妖魔と遭遇して…両姫は死んだ。」

 

両姫を殺した妖魔は殺した相手の体を乗っ取りその力を自分のものにする能力を持っていた。両姫の亡骸を乗っ取った妖魔はその体を使って人々を殺そうとしていた。

 

「雅緋はそんな彼女を妖魔から解放するために介錯したに過ぎない…本当に罪深いのは…両姫を救えなかった…汚れ役を雅緋に背負わせた…僕自身だ」

 

あの日、僕が現場に駆けつけていれば両姫が死ぬことはなかった…雅緋に禁術を使わせることもなかった…両備と両奈を悲しませることも、2人が悪忍の道に入ることもなかった…雅緋を昏睡状態にし、忌夢1人に彼女を押し付けることもなかったし、戦いが不向きな性格の紫を選抜メンバーにしなくても済んだ…

 

「みんなの人生を巻き込んだのは僕だ、だからこそ…罪を償わなくちゃならない」

 

「だから自分1人が死ぬつもりか?仲間殺しの裏切り者の罪を背負って」

 

「鈴音先生にはすでに話をつけている。僕1人の犠牲で両備と両奈は蛇邪で保護してもらえるように…」

 

2人が復讐のためについてきたのは誤算だった…でも鈴音先生が話のわかる人で助かった。おかげで2人に責任が及ぶことはない

 

「さぁ、とどめをさしてくれ。どのみち僕は仲間を手にかけようとした裏切り者だ。君の様な悪忍の鏡に殺されるなら悔いはない」

 

蒼良は覚悟を決めた様に体の力を抜く。

 

「…わかったよ、そんなに死にたきゃ死なせてやるよ」

 

炎佐はスピノキーを起動してスピノアクスを手に持つとそれを蒼良へと振り下ろした。

 

 

 

 

 

「「駄目ぇぇぇぇぇぇ!!」」

 

瞬間、炎佐のスピノアクスを止める様に両備と両奈が立ちはだかった。

 

「お前らは…」

 

「死なせない…この人は…義兄さんは絶対に殺させない!!」

 

「だめ………お兄ちゃんに手を出さないで!!!!」

 

両備と両奈は傷だらけの体で炎佐へ身構える

 

「両備…両奈…!!」

 

「バカな真似してんじゃないわよ!!私たちがそんな形で助けられて感謝すると思ってんの!?」

 

両備は蒼良の前に立ちながら彼に想いの全てをぶつける。

 

「あんたはいつもそう…!!私たちの事ばかり優先して…自分のことは後回しにして…挙句私たちの罪まで被るつもり?馬鹿にしないで!!月閃を辞めたのも…姉さんの仇を討つことを決めたのも…全部私たちが自分の意思で決めたのよ!!あんたの…義兄さんの所為なわけないでしょ!?」

 

両備は想いのままに叫び…それに続く様に両奈も涙を流す

 

「そうだよぉ…お姉ちゃんが死んじゃって…今度はお兄ちゃんまで死んじゃうなんて…そんなのやだよぉ…!!」

 

号泣する両奈を優しく抱きしめながら両備は静かに語る

 

「義兄さん…姉さんが死んだあの日…私たちに言ったこと、忘れたの?」

 

『両備、両奈…これからは……僕が2人を守るから…!!』

 

涙を流しながら抱きしめてくる蒼良を、2人は片時も忘れたことはなかった。

 

「私たちを守るって約束したならさ…こんな形じゃなくて…生きてずっと側にいてよ…お願いだから…!!」

 

「両備…両奈…!!」

 

2人の想いを聞き蒼良は泣きながら2人を抱きしめる。

 

「ごめん両備!!両奈!!僕は…僕は…!!君たちに…幸せに生きてほしくて…!!」

 

「なんだよ、ちゃんと言えるじゃないか、素直な気持ちをよ」

 

炎佐はため息を吐きながらスピノアクスをしまう

 

「気分も乗らないし、俺たちの勝ちは決まった様なもんだしもう帰らせてもらうよ」

 

「え?」

 

確かに、この状況を見れば炎佐紅蓮隊の勝ちと見て良いだろう、だが学園も燃やさずに立ち去ろうとする炎佐に驚きを隠せなかった。

 

「俺たちはお前らに俺たちが悪忍の矜持を失ってないって証明するだけで良かったんだよ。だからこれで良いんだ」

 

「う…う…!!さすがです…!!さすが炎佐さんです…!!」

 

いつのまにか紫と一緒に来ていた理吉が感激のあまり号泣していた。

 

「…ははっ完敗だな、仮面ライダーとしても…忍としても…」

 

集まってきた他の炎佐紅蓮隊メンバーと学園を去ろうとする炎佐を見て蒼良はどこか清々しい気持ちになった。

 

「炎佐!!」

 

すると、どこからか鈴音先生が駆けつけてきた。

 

「なんだよ鈴音…じゃなかった、凛先生どうしたんだ?」

 

「緊急の連絡だ」

 

炎佐は鈴音先生を凛さんと呼び直すと鈴音先生が見せてくる端末を見て驚いた表情をした。

 

「…どうやらとんでもないことになってる様だな」

 

炎佐は鋭い目をして静かに呟いた。

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