護神の民の村は人里離れた山間にある。
ちょうど「護神の年」に生まれた私はかぐら様の覚醒から消失までの間を仕える神官に晴れて選ばれた。
転生の珠は野球ボール程の大きさで、村の神社に納められていた。
私は食事などの決められた時間以外は、ずっと転生の珠の前で正座をして過ごした。
転生の珠は人間の気配を近くに感じていないと覚醒した時に力が下がってしまうらしい。
だから一年365日、まったく休むことなく私は転生の珠を覗き込んだ
神官の仕事がそんな感じな場だったので、私は今の年齢になるまで村を一歩も出たことがなかった。
当然、学校に通ったこともなく、年の近い友達など1人も…
いや、1人だけいた。
1日だけ…神社を離れ、一緒に過ごした。
名前も顔も覚えていない…でも、あの子と過ごした…楽しい思い出の時間は今でも忘れない
あの子との思い出が、約束があったから…
私は自分の使命をまっとう出来た。
「ん……もう朝か」
ふと奈楽は目を覚ました。どうやらすっかり眠ってしまったようだ。
「……なんだ?」
ふと体が動かないことに気づく。何かが体を締め付けてる…というか抱きしめてるような…
「なっ!?/////」
抱きしめていたのは昨日から行動を共にしている少年、竜司だった。
「えへへへ、ティラノサウルスの化石ゲット〜♡」
夢を見ているのか幸せそうな笑顔で眠りながら自分を抱きしめていた。
「ちょ…おま…離せ…!!」
「ん〜♡この大きさ、肌触り、最高の宝だ〜♡」
抵抗するが竜司さらにがっしりと抱きしめて頬ずりしてくる。
「この素敵な出会いに…チュ〜♡」
「ふぇ!?//////」
竜司の唇がゆっくりと奈楽の唇へと近づいてくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!離せぇぇぇぇぇぇ!!//////」
「痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
奈楽は火事場の馬鹿力を発動して竜司を投げ飛ばした。
「ど、どうしたんですか奈楽!?」
隣で寝ていたかぐらが騒ぎに驚き起き上がる。
「な、何すんだよ奈楽!!人がせっかく良い夢見てたのに!!」
「それはこっちのセリフだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!//////」
「ごめん…なさい」
「お前は…わざとやってるのか…!?いやそうに違いない…!!」
奈楽にボコボコに殴られ顔が膨れ上がった俺は事情を聞き全力の土下座をした。目の前では奈楽が顔を真っ赤にして涙目でこちらを睨みつけていた。
「じゃあ俺たちは京都中にいる妖魔を倒していけば良いの?」
「そうだ、そいつらが持ってる赤珠をかぐら様に取り込んでもらい覚醒へと向かってもらう。自分が怪我で思うように動けない以上お前が主力となってもらうつもりだからな、しっかり働いてもらうぞ」
「もちろん、最初からそのつもりだ」
一通り謝罪とお仕置きを終えた俺たちは昨日のうちに採っておいた木の実を朝食代わりに食べながら今後の予定を話し合っていた。
「すみません、私たちのためにここまで…」
「かぐらが謝ることじゃないよ、俺が好きでやってるわけだし」
謝るかぐらにそう言って俺は最後の一個の木の実をとろうとする。しかしその手を奈楽が掴む
「これは自分のだ」
「奈楽は手にもう一個持ってるじゃん」
「これはかぐら様の分だ、お前はもう終わりだ」
「けち」
「スケベ」
「「……………………。」」
2人の睨み合いが続く
「奈楽、喧嘩はダメです」
「すみません…おい、半分だけだぞ」
「ありがとう、こっちもごめん」
かぐらに叱られ俺たちは半分ずつ木の実を食べる。なぜか知らないが奈楽相手になるとついムキになってしまう
「さっきの予定に一つ条件を追加させて」
半分に割った木の実を齧りながら俺は話を切り出した。
「なんだ?」
「人を巻き込むようなことはやめてくれ、そんなことは絶対させない」
奈楽とかぐらを守りたくてみんなを裏切った。だからこそ、俺には彼女たちを、そして周りのみんなを守る責任がある。もし2人が危険なことをしたり、人々に危害を加えそうになったらそれを全力で止める。それが俺なりのけじめの付け方だ
「…わかりました極力関係のない人々を巻き込まないようにすると約束します。いいですか奈楽」
「…はい、かぐら様の望む通りに」
「ありがとう2人とも」
承諾してくれた2人に俺はお礼を言った。
「そのかわり2人のことは俺が守るよ。必ずかぐらが殺されなくて良い方法を見つけてみせる」
それまでは絶対に見捨てない、必ず守ってみせる
「…そろそろ行くぞ」
奈楽は少し恥ずかしそうに振り向きながら歩き出しそれに俺とかぐらもついていった。
「さて、肝心の妖魔を見つけるにはどうしたらいいか…」
京都の市街地を歩きながら俺は考えた。2人の手伝いをすると言ったけど肝心の妖魔がいないんじゃどうしようもない
「心配しなくていい、わざわざ探さなくてもこの京都にいれば必ず見つかる。何より妖魔衆の奴らもくるはずだ」
確かに、あの妖魔衆の奴らは明らかに2人のことを狙っていた。でもなぜあいつらが2人を狙うのか…そもそもどうして奴らが俺たちの能力を持ってるのか…
「もしかして、裏で誰かが糸を引いてる?」
もしそうなら何か大きな陰謀が動いているかもしれない。そう思うとさらに不安がよぎった。
「ガァァァァァァァ!!」
「お出ましか」
京の街を散策してしばらくすると妖魔が現れた1匹1匹はそこまで強くなさそうだがかなりの数がいる。
「竜司、自分も戦うがこの数だ、支援は期待するなよ」
「わかってる。それよりかぐらを守ってやって」
それの言葉に奈楽が頷くのを確認したら俺はカグラドライバーを装着する。
「変身!!」
「武装!!ティラノ!!」
「キシャァァァァァァァァ」
俺はティラノキーを挿し込み回して仮面ライダーリューマへと変身する。すると、唸り声を上げながら妖魔が襲いかかってきた。
俺はファングクナイで最初に襲いかかってきた妖魔を斬り裂くと他の妖魔が俺を取り囲んで一斉に襲いかかってくる。
その攻撃を躱し続けるが数の多さに壁に追い込まれてしまった。
「それなら…はぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は全身のエネルギーを放出し仮面ライダーリューマ命駆モードへと姿を変えた。
「ふっ!!」
「ギギィッ!?」
俺は高速移動で妖魔の包囲網を一瞬ですり抜け背後から妖魔に奇襲をかける。すると妖魔たちは俺の高速移動に追いつけず一蹴された。
「よしっ!!」
周囲の妖魔を倒した俺はガッツポーズをする。奈楽たちの方を見るとポケットに手を入れながら両足の鉄球を駆使して次々と妖魔を倒していく。その実力に俺は強く感心した。
「よしっ赤珠は回収した。大きくはないがまあ仕方ない」
妖魔を倒し終えた俺が変身を解除すると奈楽は倒した妖魔から赤珠を回収した。小型の妖魔だったこともあってか数はあるがそこまで大きくもなかった。
「仕方ない…竜司、次の場所へ…」
「りゅーくん!!」
すると、背後から聞きなれた声が聞こえる。振り返るとそこには飛鳥たちが辛そうな顔でこちらに近づいていた。
「みんな…」
考えてみたら少し迂闊だった。みんなもここで妖魔討伐や俺の捜索をしてたんだ。騒ぎを聞きつければすぐに見つかるのは当然だ
「加勢にきてくれた…ってわけじゃないよね」
飛鳥たちはそのままゆっくりと俺たちに近づいてくる。俺と奈楽はかぐらを守るように前に立ちはだかった。
「りゅーくん…最高幹部からりゅーくんをかぐら討伐と同時進行で捕縛しろって命令がきたの…」
「そっか…やっぱり」
飛鳥の話を聞いて俺はため息を吐いた。
覚悟してたけどやっぱり上層部は黙ってなかったか、どうやら俺は名実共にお尋ね者になってしまったらしい
「りゅーくんお願い、大人しく投降して!!このままじゃりゅーくん処刑されるかもしれないんだよ!?今ならまだそれは止められるかもしれない!!だから…」
飛鳥は必死に俺を説得しようとする。
飛鳥の言う通りだ、今ここで飛鳥たちのところに戻れば罰は免れないが処刑までは免れるかもしれない。そもそも間違ってるのは俺の方だ
でも
「それは出来ない」
「そんな……」
それでも俺には奈楽とかぐらを見捨てることなんてできない、
たとえこれから先善忍として生きていけなくなったとしても、
裏切り者として追われることになったとしても、
「俺は…2人を見捨てるわけにはいかないんだ」
「竜司さん!!この命令に納得していないのはわたくしたちも一緒です!!ですが…忍である以上、上層部の命令は絶対!!たとえどんなに辛い任務でも…やらなくてはいけないんです!!」
「斑鳩先輩…わかってるよそれくらい、正しいのはみんなの方だ。でも、ここでそうだと割り切っちゃったら俺は自分のなりたい忍になれなくなっちゃうんだよ」
そうなったらどっちみち俺は忍として生きることなんて出来ない。みんなには悪いけど…今回ばかりは譲れない
「俺は2人を見捨てない、必ず守る」
「りゅーくん!!私たちと戦うことになるんだよ!?」
飛鳥の悲痛な叫びがあたりに響く。俺も出来れば飛鳥たちとは戦いたくない…だけど、これだけは俺も譲れない
「ごめんみんな、ここは退いてくれ」
「りゅーくん…」
「竜司さん…」
俺はカグラドライバーを腰に装着する。そんな俺に飛鳥と斑鳩先輩は辛そうな顔をする。
「飛鳥、斑鳩、覚悟を決めるぞ」
その時、かつ姉が前に出てきた。
その目は鋭くまっすぐな目をしていた。
「こいつが説得したところで動くような奴じゃないって知ってるだろ?一度決めたらテコでも動かないんだよ。この頑固者は」
「かつ姉…」
「だけどお前がこのままお尋ね者になるなんてアタイは見過ごせねえ、だから力ずくでも連れ戻すぜ」
「俺もだ」
「雲雀も!!」
かつ姉に続くように柳生と雲雀もやってくる。
それをみて飛鳥と斑鳩先輩も覚悟を決めたように前に出てきた。
「わかったよ…だけど、こっちも譲らない!!」
『ティラノ!!』
俺はティラノキーを鍵穴に差し込んだ。
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
ベルトから音楽が流れ出す。
「変身!!」
俺は掛け声と共にティラノキーを回した。
『武装!!ティラノ!!』
ドライバーの音声と共にティラノサウルスの幻影が現れ俺を包み仮面ライダーリューマへと変身した。
「私たちも譲れない…」
「必ず竜司さんを連れ戻します!!」
飛鳥たちも負けじと忍転身して身構えた。
「奈楽はかぐらを守って!!」
「わ…わかった!!」
俺の言葉に奈楽はかぐらを抱き抱えて離れる。その瞬間、飛鳥たちが俺へと向かってきた。
「ふっ!!」
俺はファングクナイで飛鳥の刀をガードする。出来ればみんなを傷つけずに退けたいが飛鳥たちも覚悟を決めており一歩も譲らない。
そこへ斑鳩先輩が飛燕を抜いて斬りかかる。俺は咄嗟に空中へと回避するがそこへ宙へと跳んだかつ姉の跳び蹴りが繰り出された。
「うわあっ!?」
俺はガードをして威力を和らげるがかつ姉の蹴りは凄まじく地面に叩きつけられる。
「ふっ!!」
「えーい!!」
そこへ畳み掛けるように柳生と雲雀の連携攻撃が襲いかかってきた。
「くそっ」
俺はなんとかそれを回避するが明らかに劣勢だった。
「考えてみたら…そうだよな」
俺たちはずっとみんなで修行をしてきた。俺がどんな攻撃が得意なのかも、逆にどんな攻撃が苦手なのかも知り尽くしている。その上連携が取れる以上向こうが圧倒的に有利なのだ。
「これでわかったでしょりゅーくん!!ここからは絶対に逃がさない!」
「だからお願いです!!大人しく投降してください!!」
飛鳥と斑鳩先輩は再び俺を説得しようとする。確かにこの状態では俺が明らかに不利。このままでは俺に勝機はない。
でもだからって
「ここで捕まるわけには…いかない!!」
『メガロ!!サイクロン!!』
俺はサイクロンメガロキーを起動するとカグラドライバーに挿し込む
『ドンドロロンロンドロンドロン!!ドンドロロンロンドロンドロン!!』
「変身!!」
『サイクロン武装!!メガロ!!』
鍵を回すと俺の全身を竜巻が包み込み装甲を形成すると仮面ライダーリューマサイクロンへと変身した。
「でた…メガロサウルスの力!!」
「竜司さん…それが答えなのですね…」
「譲る気はねえってか…!!」
「仕方ないな」
「竜司くん…!!」
仮面ライダーリューマサイクロンに変身した俺に飛鳥たちは警戒する。
「いくぞみんな!!」
俺は全身に竜巻を纏ってみんなに突撃する。
まず俺は柳生と雲雀へと仕掛ける。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「雲雀!?うわぁっ!!」
雲雀が風に飛ばされそうになることで柳生が慌てる。その隙を逃さず俺は柳生に蹴りを繰り出す。
雲雀を制圧すれば柳生を抑えることが出来る。その読みは当たったようだ、俺は竜巻を操って柳生と雲雀を拘束する。
「このぉ!!」
そこへかつ姉が飛びかかってくる。俺が竜巻を放つがかつ姉は自身も風を生み出して俺の竜巻を相殺する。やはり同じ風使いであるかつ姉は簡単にはいかないか
「やるねかつ姉!!」
「おかげさまでな!!」
そして俺の竜巻とかつ姉の蹴りがぶつかり合う
「だけど、手数は俺のが上だ!!」
「なっ!?」
しかし俺も竜巻をさらに生み出してかつ姉を取り囲み全方位から襲いかかりかつ姉を拘束した。
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこへ斑鳩先輩が斬りかかってくる。素早い動きで間合いを詰め凄まじい連続斬りで俺に迫ってくる。その手数の多さでどんどん竜巻を斬り裂いてくる。
「さすがですね斑鳩先輩!!だけど…」
「させません!!」
俺が何かをすると察したのか斑鳩先輩は一気に畳み掛けてくる。そしてとうとう飛燕の一撃が竜巻を掻き分け俺へと炸裂した。
「残像です!!」
「なっ!?」
俺は油断し納刀した一瞬の隙をついて斑鳩先輩の目の前に迫り飛燕を弾き獲物を失った斑鳩先輩を竜巻で捉えた。
「はぁ…はぁ…」
雲雀、柳生、かつ姉、斑鳩先輩を拘束した俺は疲労で息を切らす。向こうが俺の苦手な手を知ってるように俺もみんなの弱点をわかってる。だからこそ一瞬の隙をついてみんなを拘束できた。
だけど流石にみんな強く捉えるのに体力を思ったより消耗してしまった。
「残りは飛鳥、お前だけだ」
「りゅーくん…」
唯一残った飛鳥は自身の愛刀、『柳緑花紅』を構える。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺の竜巻と飛鳥の剣撃がぶつかり合う。素早い動きと二刀による連続斬りを繰り出す飛鳥とメガロサウルスの竜巻を操る俺による衝撃があたりを震わせる。
「りゅーくん…どうしても戻ってきてくれないの!?」
「戻らない…戻るわけにはいかないんだ!!」
たとてそれが忍として間違っていても…今ここでかぐらと奈楽を見捨てたら…俺はもう二度と忍として胸を張ることが出来なくなってしまう!!
「俺は絶対にかぐらを死なせない!!自分が目指す…道のために!!」
「…わかったよ。りゅーくんが自分の信念を貫こうとしてるって…だけど!!」
飛鳥から凄まじい気が溢れてくる。向こうも本気のようだ
「私だって…りゅーくんを諦めない!!」
「飛鳥…」
「りゅーくん…」
互いに譲れない以上…全力でぶつかるしかない
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺と飛鳥の全力が迫り合う。ぶつかるのは時間の問題だった。
瞬間、俺たちの間に二つの影が割り込んできた。
「お前ら、いったい何やってんだ?」
「こんな時に仲間割れか?」
俺の目の前にはスピノアクスで俺の一撃を防いだガリュー超絶と両手の六刀で飛鳥の一撃を防いだ焔が立っていた。