彼女は平凡な家庭で産まれた
ごく普通の両親の元
なに不自由無い生活を送り
友達にも恵まれ幸せな日々を送ってきた
そんなある日、彼女に悲劇が訪れる
彼女の1番の親友が目の前で通り魔に殺された
親友が刺された瞬間、真っ赤な血が彼女の体を染めた
笑顔の眩しかった彼女が
真っ赤な血に染まって死んだ瞬間を彼女はただ見ていた
だが彼女の不幸は親友の死ではなかった
彼女最大の不幸は
知ってしまった事だった
美しいものが
さらに美しい血(色)に染まる
その興奮に
「はぁ…はぁ…あはっ❤︎」
暗い路地をケルベロススカルが笑いながら歩く
「あはっ❤︎あははっ❤︎殺す…殺す…みんな殺してやる…❤︎」
その目は狂気に満ちており完全に正気を失っていた。そしてケルベロススカルの体は禍々しいオーラを放出していきさらに体が変形していった。
「殺してやる…殺して…殺して殺して世界を私の愛する血(色)で…染めてやる!!あははははははははははは!!」
「さて、どういうことか説明してくれるわよね兄さん?」
私立白亜学園学園長室では竜司と蘭が座るソファの前で竜舌が縮こまりながら正座していた。蘭は鋭い目つきで竜舌を睨みつけていた。
「この子が忍を続けていたことはこの際良いわ…半蔵様に育てられれば忍の道を選ばざるをえなくなるのはわかっていたから…けど、これは見過ごせないわ」
「えっ…えっとな蘭…これには訳が…」
「訳?そんなものないでしょ?あなたはこの子をただ忍にしただけじゃない…忍の中でもさらに闇深い過酷な戦いへと引き摺り込んだ。叶さんの悲劇から何も学んでない、私たちを見下していたあのクズと同じよ」
蘭は怒りを込めた眼で竜舌を睨みつけ、竜舌は何も言い返せずにいた。
「やっぱり貴方なんかに竜司は任せられない。これからは竜司は私が面倒見るからそのつもりでいて」
「待って叔母さん!!俺は…」
「竜司、後のことは私に任せてちょうだい。後でちゃんと貴方とも話をするから、連れて行って」
「は、竜司様…こちらへ」
「あ…その…ちょっ」
叔母さんは、護衛の男に命じると護衛の男が俺を連れて部屋を後にした。
「おい蘭!!いくらなんでも強引な…」
「兄さんは少し静かにして。ええお願い、今すぐ来て」
すると、蘭は携帯端末を取り出すとどこかへ連絡する。蘭が連絡をしてしばらくすると弁護士バッジをつけた集団が部屋に入ってきた。
「さて、あとは私たち大人同士で話し合いましょう。」
国立半蔵学院
「そ…それでりゅーくんは…」
「…絶望的だ」
半蔵学院に戻ってきた竜舌と霧夜に加え半蔵は険しい顔で飛鳥たちを集めて話をした。
「蘭の奴…あらゆる法的手段を駆使して竜司の親権を取り戻すつもりだ…こっちの抜け目を全力で潰してきやがる…」
「元々竜司を儂が引き取った時もかなり強引な手段を使ったからのう…そこを突かれてしまっては反論も出来ん…」
半蔵も頭を抱えながら深くため息を吐いた。
「だからって…こんなの酷すぎます!!」
「そうだよ!!いくら忍が嫌いだからって…りゅーくんの気持ちを無視してこんな勝手に話を進めるなんて…!!」
斑鳩と飛鳥をはじめ、半蔵学院の皆んなは話を聞いて激しい怒りを露わにしていた。そんな彼女達を見て竜舌は静かに呟いた。
「その通りだ、あいつも…それはわかってるはずなんだがな…」
「なんだか…大ごとになっちゃったな…」
叔母さんの部下に連れられ部屋に案内された俺はベットに寝転がりながら今日のことを思い出した。突然叔母さんと再会したと思ったら叔母さんの学校に連れられ、転校の話までされ、挙げ句仮面ライダーのこともバレて、色々ありすぎて全てを呑み込むことが出来ずにいた。
「叔母さんも…どうしてそこまで俺に忍を辞めさせたいんだろ…」
「竜司、ご飯が出来たわよ」
すると、叔母さんが俺を呼ぶ声が聞こえたので俺はリビングに向かう、そこには美味しそうな料理がたくさん並んでいた。
「ごめんね、今日忙しかったから作るのが遅れちゃって…お腹空いたでしょ?」
付けていたエプロンを外しながら叔母さんがキッチンから出てきたよ
「これ…叔母さんが作ったの?」
「ええ、料理は得意なの、兄さんが修行ばかりだったから家事はほとんど私がしていたし…昔竜司にも作ったのよ?」
「そういえばそうだっけ…」
じいちゃんに引き取られるまでは親父が留守の時、よく叔母さんが来てくれてたっけ
「さ、冷めないうちに食べましょ」
「うん、いただきます」
俺は手を合わせてそう言うと、大皿に作られた唐揚げを口に入れた。
「っ!!すごい美味しい…!!」
「よかった、竜司の好きな味付けに出来たか不安だったけど…気に入ってくれて嬉しいわ」
それからも俺は叔母さんが作った料理を次々と食べていった。
「美味しかった、ありがとう叔母さん」
食事を終えた俺は、皿を洗いながら叔母さんにお礼の言葉を言った
「ふふっ、どういたしまして竜司」
俺のお礼が嬉しかったのか、叔母さんは笑顔で微笑むが、その後すぐ寂しそうに俯くと俺の手を取った。
「…竜司、無理矢理貴方を連れてきた上に勝手に話を進めて本当に悪いと思ってる。でもね、全部貴方が心配だからこそやってることだって分かって欲しいの」
「叔母さん…」
すると、叔母さんは静かに話し出した。
「私たちの父…つまり貴方の祖父は、自身の優秀な血を残すことに躍起になる…最低な男だったわ」
「え…?」
俺の祖父…そういえば親父からも聞いたことがなかった存在の話に俺は驚いた。
「忍は血を絶やさないために複数の女性を妻に取るのは珍しいことじゃない、だけどあいつは多くの子を複数の妻に作らせて…そのくせ産まれてきた子供のことは自分の名声のための道具としか思わない、クズとしか言いようがない男だった。」
「そんな…!!」
「私と兄さんは、そんな父から産まれたのだけど…兄さんの才能は並以下…私に至っては素質すらない失敗作だった…そんな私たちを…あいつは見ることすらしなかった…いないものとして…扱われた…」
怒りに震えながら、叔母さんは震えるように呟いた。
「優秀な腹違いの兄弟たちもあのクズに駒のように使われて…失敗すれば切り捨てられる…そんな地獄がイヤで私たちは…あいつの元を離れたの」
そういうと、叔母さんは震える手で俺の顔を包み込むように触れた。
「だから竜司、お願いだから貴方はそんな人生を送らないで…!!貴方はそんなところにいてはいけない、普通に学校に通って、友達と一緒に過ごして、平和な日常を暮らす。そんな世界だって貴方にはあるの…!!」
『君の母親を殺したのは…善忍そのものなんだ』
『忍の世界は君が思ってるようなものじゃない』
悲しそうな顔でそういう叔母さんを見て、ふと弥勒の言葉を思い出した。
その言葉は俺の脳内をリピートし、何も言えなくなってしまった。
「あはは❤︎あはっ❤︎あはははは❤︎」
闇世の中、ケルベロススカルが狂気の笑い声をあげながら歩く、その体はドス黒い泥が全身から吹き出して徐々に体を覆い始めている
「殺す❤︎みんな殺す❤︎私を否定するやつ❤︎私を馬鹿にするやつ❤︎みんなみんな❤︎あはははははははは❤︎!!」
そして黒い泥はケルベロススカルを卵のように包み込み一気に破裂した
「うん、よく似合ってる」
翌日、この日から俺は私立白亜学園に通うことになった。今俺が着ているのは叔母さんが用意したこの学校の制服であり、サイズがピッタリなのを確認しながら叔母さんは満足そうに微笑んだ。
「転校手続きがまだ完了してないから今は体験入学として通うことになるけど…手続きももう直ぐ終わるわ。だから安心して授業を受けていなさい」
「う、うん…わかったよ叔母さん」
「じゃあ、あとはお願いします」
「わかりました学園長。では竜司くん、ついてきてください」
俺は叔母さんに頷くと担任の先生に案内され、教室の中へと入った。
教室の中では忍としての内容ではない、ごく普通の授業が行われていた。慣れない授業に最初は戸惑ったが、先生の教え方も上手くだんだん覚えていき、途中からは指されても答えられるようになった。クラスの仲間も気の良い人たちばかりで、分からないところを教えてくれたり、面白い話をしてくれたりととても楽しい授業であった。
体育の授業はその日はサッカーだったこともあり、俺のプレーを見てみんな驚き、さらにはサッカー部のクラスメイトに猛烈なスカウトをされた。
「…平和だなぁ」
休み時間、俺はベンチに座り、青い空を眺めながら思わず呟いた。
こんな生活をしたのはいつぶりだろう…半蔵学院に入ってからは修行や忍務、リューマになってからのスカル退治と危険と隣り合わせの生活ばかりだったので、今まで見守っていた平和な日常に自分がいることがまだ信じられなかった。
「あっ、竜司兄ちゃんだ!!」
すると、どこからか聞いたことのある声が聞こえてきた。聞こえた方を振り向いてみると、長い金髪を可愛く纏めた10歳くらいの少女が駆け寄ってきた。
「もしかして…光?」
そう、かつてジャガースカルと戦った時に出会ったスリの少女、光であった。
「懐かしいな、元気にしてたか?ここに通ってるの?」
「うん!!新しい家族も良い人達だし、友達も沢山できたんだよ!!」
スリをしていた時より顔色も良く、明るい表情からも今の彼女が幸せに過ごしているのがよく分かった。
「ところで竜司兄ちゃんはどうしたの?もしかして兄ちゃんもここに通うことになったの?」
「ん?いや…今は体験入学だよ」
「そうなの?でも兄ちゃんにまた会えて良かった!!あの後、ずっと会えなかったからさ…」
本当に嬉しそうにそういう光に俺は微笑み、気づけば光の頭を撫でていた
「なぁ光、毎日は楽しいか?」
「うん!!イタズラして怒られたりする日もあるけど…毎日とっても楽しいよ!!」
「…そっか。うん、それはよかった」
その言葉に俺はとても嬉しくなる。そして、改めて認識した自分の本心にしっかりと頷いた。
『ゲコゲコ!!ゲコゲコ!!』
すると突然、ガマ吉が鳴り出した。画面を見てみると霧夜先生からであった。
「もしもし」
『竜司、お前のいる学校のすぐ近くにケルベロススカルが現れた。』
「ケルベロス…!!」
『現在飛鳥たちが迎撃に向かってるが…かなり苦戦してるみたいだ…その上で竜司、お前に確認したい事がある』
すると霧夜先生は静かに俺にその言葉を伝えた。
『戦うかどうかはお前が決めろ、半蔵様と帝様からも許可はとってある。もしお前がこのまま平穏に行きたいと言うなら…』
「行きます!!」
霧夜先生の問いに俺は迷わず答えた。
「俺はそのために仮面ライダーになったんです」
『…今、ケルベロススカルの位置情報を送る』
そして俺は霧夜先生から送られたケルベロススカルのいる場所を確認した。
「光、ここは危険だからお前は学校の方へと避難してるんだ」
俺は光にそう言うと、光はまっすぐと俺を見つめた。
「ねえ竜司兄ちゃん、以前俺が怪物に襲われた時、本当は兄ちゃんが怪物と戦って俺を守ってくれたんでしょ?」
「光…」
「ありがとう!!俺を守ってくれて!!」
光の真っ直ぐな感謝の言葉に、俺は嬉しさが込み上げてくる。
「なんのことかわからないけど…どういたしまして」
俺は光の頭を撫でるとそのまま駆け出した。
「竜司、どこに行くの?」
俺がケルベロススカルの元へ走ってると叔母さんが俺を見つけて駆け寄ってきた。
「叔母さん…」
「まさか貴方…また戦いに行くつもりなの?ダメよ!!」
俺の様子から察した叔母さんは顔色を変えて俺の手を掴んだ。
「竜司!!危険なことはやめなさい!!誰がなんて言おうと…貴方がそれをやる必要なんてないの!!周りの人たちにそうしなきゃいけないって思わされてるだけなの!!」
そう必死に言う叔母さんを見てわかる。叔母さんはただ純粋に俺のことを心配しているんだと、でも
「叔母さん……授業楽しかった!!周りのみんなも良い人たちで幸せそうだった!!平穏ってのがどれだけ尊いものなのか改めて実感した!!」
叔母さんの過ごした時間、学校での平和な時間、それらがいかに素晴らしいものかも、
だからこそ
「だからこそ守りたい!!こんな平和な時間を誰かが奪おうとするなら…俺はそれを止めて見せる!!」
それを伝えると叔母さんの手を振り解き駆け出した。
「竜司…!!」
走り去っていく竜司の背中を見つめる蘭は竜司のまっすぐな視線が目に焼きつき、それ以上何も言えなかった。
「きゃあっ!!」
「飛鳥さん!?くっ!!」
斑鳩が壁に叩きつけられた飛鳥に気を取られたのも束の間、自身へ襲いかかる斬撃を咄嗟に飛燕で防ぐ
「この……なめんなぁ!!」
「はぁっ!!」
「えーい!!」
動きが止まった一瞬を狙って葛城、柳生、雲雀が飛びかかるがもう片方の手で防がれて力技で吹き飛ばされてしまう
「あはははははははは!!死ね!!死ね!!みんな死んじゃえ!!あははははは!!」
飛鳥たちが対峙しているそれの正体はケルベロススカルだった。しかし、以前戦った時と異なり、禍々しくも神々しい金色の毛並みをし、両手で悍ましいオーラを纏う大剣を手にした姿、ケルベロススカル超獣態となっていた。
「このスカル…前よりずっと強くなってる!!だけど…様子がおかしい!!」
「ええ…おそらく強大な力に、精神が蝕まれてるのかもしれません…」
「だけどどうするんだ?このままアタイらが押さえ込んでもキリがねえぞ?」
「スカルを倒せるのは…竜司だけだ」
「竜司くん…戻ってくるのかな…?」
雲雀の不安そうな声に斑鳩たちは一瞬顔を強張らせてしまう
しかし
「大丈夫!!りゅーくんならきっと戻ってくる!!『世界一かっこいい忍』になるために!!」
「飛鳥さん…」
「へへっそうだな」
「あぁ…」
「竜司くんなら…きっと!!」
飛鳥の言葉にみんなも頷く、彼女達も信じているのだ…竜司がかならず戻ってくると
「りゅう…じ…そうだ…あいつだ…あいつのせいで…全てが喰らったんだ!!あいつが…あの男のせいでぇ!!」
その時、ケルベロススカル超獣態が激しく怒り狂った。
「殺す!!みんな殺す!!あいつも…あいつに関係する奴らも…みんなコロシテヤルゥゥゥ!!」
「きゃあっ!?」
そして大剣に力を込め振り下ろすと禍々しい犬のオーラが放たれて飛鳥たちを吹き飛ばす
「う…うう…」
「飛鳥!!」
そして回避が遅れ直撃してしまった飛鳥は倒れてしまい起き上がれずにいた。
「まずはお前からだ…消えろォォォォォォォォォォ!!」
そこへケルベロススカル超獣態の斬撃が襲いかかってくる。飛鳥は回避しようとするがダメージが大きく未だ起き上がれずにいる。斑鳩たちが駆け出すが間に合わない
「りゅーくん……!!」
飛鳥の声も虚しく斬撃により大爆発が起きた。
「飛鳥さん!!」
「くそっ…!!」
しかし煙が晴れるとそこに飛鳥はいなかった。そして少し離れた場所に飛鳥を抱きかかえた竜司が立っていた。
「…間に合った」
「りゅーくん…」
「竜司ぃ…!!ようやく来た…!!殺す…お前を殺して…真っ赤な血(色)に染めてやる!!」
俺の目の前には殺意の籠った目で睨みつけるケルベロススカル超獣態が大剣を構えている。俺はそれを迎え撃つために腰にカグラドライバーを装着した。
「ケルベロス…もうこれ以上、お前の好きにはさせない…ここで決着をつける!!」
『超絶ティラノ!!』
俺はワイルドギアをドライバーに装着し超絶ティラノキーを起動して鍵穴に挿し込む。
『ガルルルルルグオーン!!ライドオン!!ガルルルルルグオーン!!ライドオン!!ガルルルルルグオーン!!ライドオン!!』
ベルトから音声が流れ鎖から解き放たれたティラノが俺の隣に並び雄叫びを上げる。
「変身!!」
『武装!!ワイルド!!一心一体最強バディ!!超絶!!超絶!!超絶にスゲー!!ダ・イ・ナ・ソー忍・者!!ワイルド!!』
『超絶キー』を回すとティラノが俺に飛び込み身体を覆い尽くし仮面ライダーリューマ超絶へと変身し手には専用武器『ワイルドブラスター』を握っていた。
「殺す!!お前は絶対殺す!!お前だけは……絶対に許さない!!」
ケルベロススカル張獣態は大剣を振り翳して襲いかかり、俺はワイルドブラスターで受け止めて鍔迫り合いになる。
「舐めるなぁ!!」
しかしケルベロススカル超獣態のパワーは凄まじく、リューマ超絶のパワーを以てしても押し返されてしまいどんどん追い詰められていく。俺は体勢を立て直すために距離を取ろうとするがケルベロススカル超獣態は素早く間合いを詰めて追撃を仕掛けてくる。
「お前の…お前のせいだ!!お前と関わったせいで私の全てが狂ったんダァ!!」
ケルベロススカルは殺意の籠った眼で俺を睨みつけながらそう叫ぶ。
「私は自分の好きなものに素直になっただけなのに!!みんなと…同じように…!!ただ…愛してただけなのにぃ!!」
そう叫ぶケルベロススカル超獣態を見ながら俺は一呼吸するとケルベロススカル超獣態を見つめ、言葉を紡ぐ
「お前に何があったのか…何を思って今まで多くの人々を殺してきたのか分からない…だけど」
思い出すのは町の中を歩く人々の日常、そして学校の中で過ごした平和な日々
「あの平穏をお前が壊すと言うなら…俺は全力でお前を止める!!」
そして俺は力を込める。今ここにいるみんなを守るために、そして、俺の愛する人々の平穏を守るために!!
「はぁぁぁぁぁ!!」
俺が力を解放すると、ボディの装甲が吹き飛び、ワイルドブラスターを持つ手にティラノサウルスの顔を思わせる装甲が現れた形態、仮面ライダーリューマ超絶命駆モードへと変身した。
「仮面ライダーリューマ超絶命駆モード!!超絶に舞い忍ぶぜ!!」
「ふざけんなぁ…!!どんな姿になろうが…お前なんか殺してやるぅ!!」
ケルベロススカル超獣態は大剣を振り翳して勢いよく飛びかかる。対する俺はワイルドブラスターで迎え撃つ。俺は振り下ろされた大剣をワイルドブラスターで弾き、ケルベロススカル超獣態へと斬りかかる。
「ぐうっ!!」
ケルベロススカル超獣態は苦痛に声をあげながらもカウンターに斬りかかるが俺は命駆モードによる超スピードですぐさま回避する。ケルベロススカル超獣態は追撃しようとするが俺のスピードの方が速く、とうとう背後を取りワイルドブラスターで斬り裂いた。それからも俺はケルベロススカル超獣態の攻撃を回避しつつ連続で攻撃を浴びせ続けどんどん追い詰めていく。
「ぐわぁぁぁぁ!?なんで…なんで私が!?ここまで力を手に入れた私が…なんでお前に勝てない!?」
「俺は…自分のためだけに戦ってるんじゃない…俺の愛する平穏を生き続けている人たちの…当たり前を守るためにここにいるんだ!!だからこそ…それを壊そうとするお前には…絶対に負けない!!」
『必殺の術!!超絶!!』
俺はワイルドブラスターに超絶キーを挿し込みまわす。すると、刀身に凄まじいエネルギーが集まり巨大な剣になる。
「ぐぅぅぅぅ!!くそぉぉぉぉ!!」
それを迎え撃つためにケルベロススカル超獣態は大剣に力を込めて振り下ろして巨大なケルベロスのようなエネルギーを放つ
「超絶必殺忍法!!超絶ダイナミックスラッシュ!!」
『ガォォォォォン!!』
放たれた巨大な斬撃はケルベロススカル超獣態を放たれたエネルギー弾諸共斬り裂いた。
「ぐっ…がっ…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
直撃したケルベロススカル超獣態は地獄からの断末魔の様な悲鳴をあげて爆散した。
「りゅーくん…!!」
「竜司さん…」
「ったく遅えよ…」
「まったくだ」
「竜司くんおかえり!!」
俺が変身を解除すると飛鳥たちが目に涙を浮かばせながらこちらに集まってきた。
「うん、ただいま!!」
「まだ…まだ私は…終わらない…!!」
薄暗い路地の中、ケルベロススカル超獣態が壁に寄りかかりながら必死に歩き続ける。その姿は金色に輝いた毛並みがところどころ爛れていき一部朱音としての姿になっていた。
「もっと…もっと美しい血(色)を…」
「それは叶わないよ」
その時、声が聞こえ暗がりから弥勒が冷たい眼でゆっくりと近づいてきた。
「その姿…ロードスカルの力に飲み込まれてしまってるね。まったく、ロードスカルの力は通常のスカルよりも遥かに強大で制御出来なければすぐに呑み込まれてしまう。だからスカルドライバーで制御していたんだ。それを使わず直に使えば…そりゃそうなるよ。そこまで呑み込まれてしまったらもう元に戻ることは出来ないだろうね」
「ぐっ…!!このぉっ!!」
朱音は大剣を振り上げて弥勒へと斬りかかる。
しかし次の瞬間、弥勒の血の斬撃が朱音の腕を斬り落とした。
「があっ!?」
「そういえば…君は血の色が好きなんだっけ?そんなに好きならそれに相応しい最期を君にあげるとしよう」
『ヴァンパイア!!』
弥勒はヴァンパイアスカルキーを起動するとそれを宙へと放る。すると、ヴァンパイアキーは自らスカルドライバーへと挿し込まれて回り黒い泥に包まれる。すると、血のように紅い鎧と闇夜のように黒いマントに身を包んだヴァンパイアを彷彿させるスカル、ヴァンパイアスカルが現れた。
「ガァァァァァァァ!!」
朱音は残った片手で大剣を振り上げてヴァンパイアスカルへと斬りかかる。しかし、それよりも弥勒の方が速かった。
「暗黒忍法…屍山血河」
「これは回収させてもらうよ、君には散々迷惑させられたけど…最期に超獣態になってくれてよかったよ。それだけが君をスカルにして唯一良かったことだね」
そう言ってケルベロススカルキーを持って弥勒が立ち去った後には無数の血の刃によって串刺しになった朱音が倒れていた。
「あはっ……な…にこれ…す…ごい…綺麗…こ…んなに綺麗ない……ろが間近にあるなら…私……」
朱音は虫の息の中、血に染まった自身の手をうっとりとした眼で見つめ、人知れず息を引き取った。
狂気に染まり、多くの命を鮮血に染めてきた狂犬は、自身の血に染まり、その血(色)に魅了され、人知れず生涯を閉じた。
「ごめん叔母さん、やっぱり俺…忍を続ける」
俺は叔母さんに正面から自分の本心を伝えた。
「俺さ、いつも修行を終えた後、街を歩くのが好きなんだ。歩いているとさ、なんてことない平和な日常をみんなが過ごしているのがよく分かるんだ」
活気のある商店街の人々、学校から帰る学生、買い物をする主婦、仕事を終えたサラリーマン、仲良く一緒にいる家族、
「そんな人たちの日常を俺が守っている。それを思うと…なんだか嬉しくなるんだよ。嬉しくて、思わず笑顔になっちゃうんだ」
今回、叔母さんの学校で一日過ごしてさらに思った。この大切な平穏をこれからもずっと守っていきたい。
「それこそが俺の目指す、『世界一かっこいい忍』への道しるべなんだと思うんだ」
「…考えは、変わらないのね」
叔母さんは、俺の言葉を静かに聞き、寂しげに頷いた。
「わかったわ、そこまで言うならあなたの好きにしなさい。だけど…一つだけお願いがあるの」
「お願い?」
すると、叔母さんは少し恥ずかしそうにそれを言った
「たまにで良いから…うちに遊びに来てちょうだい、貴方が元気にやってるってところを私に見せて欲しいの」
「うん!!」
俺がまっすぐと答えると、叔母さんは嬉しそうに微笑んだ。
「きっとあの子は…忍にならなくても同じように誰かの為に動いていたのね」
飛鳥たちと半蔵学院へと戻っていく竜司を見つめながら、蘭は1人呟いた。
「竜司、元気でね」
まっすぐと自分の信念を貫く大切な甥っ子に向けて、彼女は優しくそう言った。
その後、竜司の部屋には蘭から記念に貰った私立白亜学園の制服と、2人が笑顔で一緒に写る一枚の写真が飾られていた。