「おらあっ!!」
「ふっ!!」
人のいない路地で仮面ライダーガリュー超絶と仮面ライダーガッツが激突する
「テメェは…ここでぶちのめす!!」
「こっちこそ…今度ばかりはたとえ炎佐さんだとしても…容赦しない!!」
互いの拳に力が込められて全く同じタイミングで衝突する。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「おらぁぁぁぁぁぁっ!!」
なぜこの2人が戦っているのか、それは数時間前に遡る
「炎佐くん、あと必要な野菜はこれで良いのかな?」
「ん?ああ、それで合ってるよ。洗剤と歯磨き粉も買えたし、今日買うのは全部揃った」
とある商店街、炎佐紅蓮隊リーダーの炎佐は新入りの委員長こと香澄と一緒に買い出しに来ていた。
「ちょうどセール中で色々安く買えて良かったね」
「ただでさえあいつらたらふく食うからな…お前がジジイと報酬の交渉してくれるおかげで余裕が出てきたとは言え金欠なのは変わんねえからこういう時にまとめて買わないといけねえんだよ」
「そのおかげで炎佐くんと買い物デートが出来るんだよなぁ…えへへ」
買ったものを両手に持って歩く炎佐に気づかれないように香澄は両手で赤く染まった頬を抑えながら小さな声で呟いた。
「ん?あれって理吉か?」
「え?」
ふと立ち止まった炎佐の視線の先には理吉がいるのだが何かいつもと様子が違う。不審に思っていると誰かと腕を組んでおり恥ずかしそうにしているのがわかった。
「ほらほらダーリン♡こっちこっち♪」
「ちょ、ちょっと四季さん…む、胸が当たって…/////」
よく見ると理吉と一緒にいたのは死塾月閃忍学館の四季であった。側から見たら初々しいカップルのように歩いている2人に炎佐と香澄はポカンとした。
「え…?えっと…ドユコト?」
遡ること1時間前
「はぁ…変身して戦えるようになったのは嬉しいけど、やっぱり特訓が増えて疲れるなぁ…」
仮面ライダーガッツの能力を長時間維持するための訓練で体を酷使している理吉は休日に1人街を歩いていた。
「仮面ライダーに変身出来るようになっても相変わらず手裏剣的外れなところに投げちゃうし、毎回しょうもないドジ踏んじゃうし…もっと頑張らなくちゃ…」
「なあなあ良いだろ?」
「もー、だから何度も言わせないで欲しいし…」
ふとどこかで聞いたことがあるような女性の声がして振り向くと、チャラチャラした格好にピアスをした男のナンパを金髪にメイクをバッチリと決めたギャル口調の四季が鬱陶しそうにあしらっていた。
「だからあたし待ち合わせしてる相手がいるって言ってるでしょ」
「そんなこと言ってさーほんとはいないんでしょ?ね、だから今から2人で遊びに行こうって」
四季はなんとかナンパを振り払おうとしているが男はしつこくなかなか諦めようとしない。
「…いくらなんでも見過ごせないな」
本来敵対関係だろうが知ったことではない。困っている女の子を見捨てたら男が廃る。そもそも竜司さんと友達であるので今更だ。
「あの…彼女に何してるんですか?」
理吉が声をかけると四季は彼の顔を見て少し驚くと何か閃いた顔をした。
「あ?お前には関係な…」
「あー!!ダーリンやっと来てくれた〜♡」
次の瞬間、四季が理吉に近寄ると思いっきり抱きついてきた。
「も〜♡いつまで経っても来ないからマジ寂しかったし〜♡」
「えっ////ちょちょちょちょっと!!一体何…」
「お願い、恋人のフリして」
突然抱きつかれて顔が真っ赤になった理吉だが、四季に耳元で囁かれたことで彼女の思惑に気がついた。
「え…えと…ごめんね。ちょっと道が混んでいて…」
「えへへ〜わかった♡その代わり、今日一日アタシの買い物付き合ってよ♪」
なんとか演技しようとする理吉だが、抱きついてくる四季からの女の子特有の香りに心臓が高鳴り思うように喋れない。しかしそれがむしろどこか初々しい彼氏のようにまわりに見えた。
「ちっ、彼氏いるなら最初からそう言えよ…」
イチャつく2人(の演技)にムカついたのかナンパしてきた男は悪態を吐きながら不機嫌そうにその場を去っていった。
「ほんとマジ助かったし!!あのナンパ男いくら断ってもしつこくってさ〜だからありがと!!」
「い、いえ…力になれたならよかったです…」
ナンパ男が去った後、手を握ってお礼を言う四季に理吉は恥ずかしそうに顔を赤くした。
「そ、それじゃあ俺はこれで…」
「え?何言ってるの?これから一緒に買い物っしょ?」
「え?」
突然の四季の言葉に俺は驚きを隠せなかった。
「だ、だってもうナンパは追い払ったんだし…」
「でもさ、またあのナンパと遭遇するかも知れないし…そしたらもっと面倒なことになるじゃん」
「それは…確かにそうですが…」
「でしょ?だからもうちょっと恋人役してね♪」
「な、なんで…あいつが善忍の女子と…!?」
四季と腕を組みながらデートをしている理吉に炎佐は驚きと怒りで震え出した。どうやら2人を見て本当に付き合っていると完全に信じ込んでいた。
「あのバカ…いくらなんでも善忍と仲良くしすぎだ…!!ちょっとお灸を…!!」
「ダメだよ炎佐くん!!2人の時間を邪魔するなんて…!!」
「だぁぁぁ離せぇぇぇ!!あのバカは一発殴ってやらなきゃいけねぇんじゃぁぁぁ!!」
「2人の恋路を邪魔するのは野暮だってばー!!」
片手にカグラドライバーを手に理吉に近づこうとする炎佐を慌てて香澄が羽交締めにして止め、炎佐は怒りながら暴れていた。
「ほらほらダーリン♪こっちの色とこっち色のワンピース、ダーリンはどっちがあたしに似合ってると思う?」
「ええと…俺はどっちも似合ってると思いますが…」
デパートの衣服コーナーにやってきた四季は理吉を連れて可愛らしい2種類のワンピースを選び、理吉にどちらがいいか聞くが理吉の答えに頬を膨らませた。
「もーダーリン、女の子はこういう時はハッキリと選んでもらいたいんだよ」
「そ、そうなんですか…ごめんなさい。ええと…じゃあ…こっちかな?」
「こっち?やっぱり!!あたしもそう思ってたんだ!!ダーリンありがと♪」
理吉の答えに四季は嬉しそうに笑うとそのワンピースを選んだ。
「よーし!!この調子で次の店行くっしょ〜♪ほらほらダーリン、こっちこっち」
「ちょ、ちょっと四季さん…む、胸が当たって…/////」
ご機嫌で次の店へと向かう四季の後を追い、その後も2人は買い物を続けた。
「えへへ、欲しかったのいっぱい買えたからよかった〜♪ダーリンも今日一日付き合ってくれてマジありがと♪」
「あ…あはは…力になれたなら良かったです…」
あの後、四季の山のような買い物に付き合わされた理吉は、疲れ切って立ち寄ったフードコートの椅子に寄りかかっていた。
「ホントにごめんね?恋人の振りをしてもらうだけのつもりだったのに、楽しくてつい調子に乗って買い物しちゃった。」
疲れた様子の理吉を見て流石に申し訳なくなったのか四季はすまなそうに理吉へと謝る。
「いえいえ、大丈夫ですよ。嬉しそうにショッピングする四季さんを見れて俺も結構楽しかったですし…」
「ほ、ホント?なら良かった〜///迷惑かけちゃったかな〜って思ってたから安心したし〜」
理吉の答えが安心したようで四季は嬉しそうに微笑んだ。
「ん?あの子…どうしたんだろ?」
ふと四季が啜り泣く声に気付き、視線を向けると金髪に青い瞳の少女が眼に大粒の涙を流しながら辺りを見渡していた。少女は自分を見る2人に気づくと助けを求めるようにふたりのもとへと走り寄ってきた。
『すみません!!お母さんと逸れちゃったんです!!どこを探しても見つからなくて…助けてください!!』
「わ、わ、わ、ちょっと落ち着くし!!そんなすごい勢いで話されたら…」
よほどパニックになってるのかすごい勢いで繰り返される英語に四季は慌ててしまう。あまりの早口に英語の心得がある四季も上手く会話が出来ずどうしたら良いか困惑してしまった。
『落ち着いて、大丈夫だよ。お母さんと逸れちゃったんだね?一緒に何処にいたかは言えるかな?』
しかしそこへ理吉が優しく少女の前に座り込み同じ高さの視線になると、優しい口調で聞きやすい発音の英語でスラスラと喋り出した。
『えっと…さっきまで本がいっぱいあるところに居たんだけど…ちょっと目を離したらお母さんがいなかったの…』
『それは困ったね、それじゃあお母さんを一緒に探そうか』
『うん…』
「四季さん、この子のお母さんを探すの手伝ってもらえますか?」
「う、うん。もちろんだし…」
スラスラを英語を喋る理吉に驚きながらも四季は頷いて2人についていった。
『本当にありがとうございます』
『お兄ちゃんとお姉ちゃん、ありがとう!!』
少女の話から逸れた場所と思われる本屋の近くを探していると、少女のお母さんと思われる女性が駆け寄ってきて、少女もようやく見つかった母親に抱つき、俺たちにお礼を言うと母親と共に去っていった。
「いやぁ〜あの子のお母さんすぐ来てくれて良かったですね。」
「………………。」
母親と手を繋いで笑顔で去っていく少女を満足そうに見ながらそう言う理吉を四季は静かに見つめていた。
「ん?どうしたんですか?」
「なんかさ、悪忍にもこんな人がいるんだなっておもってさ…今まで、黒影様が夢見た『善だけの世界』を作りたくて、悪忍なんてみんな敵だって思ってたから…」
でも理吉は自分の無理強いにもずっと付き合ってくれて、迷子の子供を見捨てることなくお母さんと再会させ、2人が再会出来たことを心から喜んでいる
「ダーリンってさ、すごくかっこいいよ!!」
「四季さん…」
四季に褒められた理吉は思わず顔が赤くなって、心臓の鼓動が大きく高鳴っていた。
「よぉ理吉ぃ…彼女と随分楽しくデートしてるようだなぁ」
突然肩を掴まれて振り向くと炎佐が怒りと笑顔が合わさった悍ましい形相でそこに立っていた。
「炎佐さん?な、なんでここに…?」
「竜司と友達になるぐらいならまぁ許せたよ…けどなぁ、善忍の女の恋人作るって…何考えてんじゃお前はぁぁぁぁぁぁ!!」
「ひぇぇぇぇぇぇぇ!!」
あまりに恐ろしき炎佐の形相に理吉は思わず腰を抜かしてしまう
「お前ってやつは…今度という今度は徹底的にお灸を据えてやるからなぁ!!」
「ま、ま、ま、待ってください炎佐さん!!これには深いわけが…」
「問答無用だ変身!!」
『超絶スピノ!!』
怒りで我を忘れた炎佐はたちまちガリュー超絶へと変身するとスピノアクスで理吉へと斬りかかり、理吉は慌てながらギリギリで回避する。
「もう!!だから2人の邪魔しちゃダメだっていったのに〜!!」
そこへ遅れて香澄もやってきてガリューを叱る。
「ちょちょちょ炎佐さん!!炎佐さんだって香澄さんとデートなんじゃ…」
「んなわけねえだろ!!俺たちは買い出しに来ただけだっつーの!!」
「はぁ!?じゃあ買い出ししてそのまま帰ろうとしてたんですか!?映画観たりは!?2人でショッピングは!?喫茶店でお茶は!?」
「するわけねえだろ!?俺と委員長はそんな関係じゃねえよ!!」
その言葉に襲われてた理吉もプッツンした。
「え・ん・ざ・さ・ん・ねえぇぇ!!!なんで香澄さんと2人きりなのにデートしないんですかぁぁぁ!!」
香澄の炎佐への想いを知る理吉は自分のピンチを忘れて炎佐に怒り出した。
「すいません四季さん!!デートの途中でしたけどちょっとこの無自覚鈍感クソバカ炎佐さんを懲らしめてきます!!」
「上等だゴラァ!!お前如きが俺に勝てるかどうかやってみろやぁ!!」
「望むところですよ変身!!」
『マグマゴルゴ!!』
理吉はヴォルガノドライバーを装着しマグマゴルゴキーで仮面ライダーガッツへと変身してガリュー超絶と衝突し、走り出していった。
「ごめんね四季ちゃん!!せっかくのデートだったのに炎佐くんが迷惑かけて…」
「え、えっと…何が何だか…」
近くのパチンコ店
「いや〜やっぱり7の付く日は出るわ出るわ、これだけあれば2人の食費もだいぶ浮くぞ〜」
パチンコで大当たりして上機嫌な蒼良はパチンコの袋を持ちながら店を出てきた。
「ん?あれは…」
そして現在に至る
「大体お前なぁ!!あれから訓練はちゃんと続けてんのか!?手裏剣投げる腕は少しでいいから上がっているのか!?仮面ライダーに変身できるようになって今1番大事な時期だろ!!女とデートしとる場合かゴラァ!!」
「心配せずとも修行なら蒼良さんや雅緋さん、鈴音先生にたっぷり扱かれてますよ!!それより炎佐さんはいい加減香澄さんとの関係をハッキリさせないとじゃないですか!?」
「だから俺と委員長の関係は関係ねえだろ!?なんでただの腐れ縁でそんな話になんだよ!?」
「だからどうして気づかないんですかぁぁぁ!?」
スピノアクスを手に猛攻を仕掛けるガリュー超絶に対し、ガッツはそのパワーによる連続パンチを繰り出し、両者は激しく激突する。
「ぐっ…!!」
「甘いんだよ!!」
ガッツはさらに追撃しようとするが、ガリュー超絶はガッツの猛攻を的確に躱してカウンターを仕掛けていき、徐々にガリュー超絶が優勢になってきた。
「くそっ…そろそろ時間が…!!」
さらにガッツは体の負荷が増していき、全身の筋肉が悲鳴を上げていく。なんとか力を振り絞って追撃を仕掛けようとするが全身が思うように動かなくなっていく。
「これ以上は不味い…ここで決めないと!!」
『ヒッサツバーニング!!』
持久戦になったら不味いと考えたガッツは即座にレバーを引き全身に炎を纏い飛び上がる。
「上等だ…真正面からぶちのめしてやる…」
『必殺の術!!超絶!!』
ガリュー超絶もカグラドライバーを叩いて足に灼熱の炎を纏って飛び上がった。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
両者のキックか空中でぶつかり合い周囲を炎が吹き荒れる。ガリュー超絶もガッツも凄まじい勢いでキック繰り出すが最終的にガリュー超絶に軍配が上がり、ガッツは吹き飛ばされて変身が解除された。
「ぐ…やっぱり炎佐さんは強い…」
「当たり前だ…!!変身して間もないお前にまだ負けてられっかよ…」
変身が解けて壁に寄りかかる理吉を見ながら炎佐も超絶スピノキーをカグラドライバーから抜き取って変身を解除した。
「炎佐さん…確かに2人は住む世界が違います…でもそれの何が悪いんですか?」
「…何が言いてえ?」
理吉の言葉に炎佐は静かに耳を傾ける
「
「
理吉の叫びに、炎佐は静かに目を閉じる(一部勘違いがあります)
「
「でも、本気で愛しているなら…乗り越えてナンボじゃないですか」
「…お前に諭されるとはな」
炎佐は満足そうに笑みを浮かべると静かに去っていく。
「あの表情…やっとわかってくれたんですね炎佐さん…」
「…まさか理吉くんにあれほどの覚悟があったとはね」
炎佐が歩いているとパチンコの袋を抱えながら蒼良が微笑みながら話しかけてきた。
「善忍と悪忍の愛か…そんな茨の道を進む馬鹿がかつての僕の他にいるなんてね」
「でも、アイツらなら…きっと乗り越えられる」
2人は満足そうに笑うと空を見上げる
「頑張れよ、理吉」
こうして炎佐と理吉による初の大喧嘩は盛大な勘違いを残したまま終わりを迎えるのであった。
国立半蔵学院
「あれ?今回俺の出番なし!?」
「おらぁ!!」
その日の夕暮れ、繁華街の路地で昼間に四季をナンパしていた男がガタイのある男に殴り飛ばされていた。
「次俺の女にちょっかいかけたらこんなんじゃ済まさねえからな」
「ほんとウザかった〜ねぇさっさと行こ」
壁に寄りかかる男に唾を吐くと2人はそのまま繁華街へと去っていく
「くそっ、どいつもこいつも…俺を馬鹿にしやがって…碌な女がいねえじゃねえか…」
「ねえ」
傷だらけの体をなんとか起き上がらせて歩き出す男に青年が声をかける
「あ?誰だよお前」
「アイツらを見返す力に…興味ないですか?」
そう言う青年の手には恐竜の骨を思わせるカグラドライバー、デスカグラドライバーと禍々しいスカルキーが握られていた。