ありがとうございます。
精進していくのでこれからも見守っていただけるとありがたいです。
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「さて、今回は初任務だが……」
言いながらリンドウは後のシルトを見る。
危なげなく着地する様子を見て成功の予感を感じつつリンドウは最終確認を行っていく。
「敵はお前さんも良く知ってるあいつ。そう、オウガテイルだ」
シルトは初任務ということもあって事前に何度も確認をしていた。
認識のズレは無い。
コクリと頷き先を求める。
「あいつの攻撃方法は簡単だ。見た目で判断しにくい攻撃は尻尾の棘を飛ばしてくることだが、知っているだろ?」
「はい、何度も聞きました」
「だろうな。じゃあ、俺から言うことは何もない」
「へ?」
思わず戸惑いの声を上げる。
「さっき言ったことだけ守れ。良いな?」
「りょ、了解!!」
生き残ることだけを主とした命令。
それは昔自身の命を救ってくれたゴッドイーターに重なった。
シルトはそんなリンドウの事を消極的だとは思わずむしろ尊敬した。
「よっし、んじゃこれからかなりの確率でオウガテイルが居る場所に案内する」
「了解です!!」
「今回は先に先輩神機使いが1人来て1匹を除いてオウガテイルを狩り安全を確保してくれている」
「え?」
初耳だった。
「気にすんな。初陣は新人の死亡率が非常に高い。不足の事態が起こったらいけないからな」
「すいません……」
シルトは申し訳ない気分になり思わず頭を下げる。
リンドウは「狩ったのは俺じゃ無いから」と言い、続けた。
「そういう気持ちがあるんなら早く背中預けられるぐらいになってくれ。期待してるぞ!!」
「了解!!」
歩き始めるリンドウにシルトは着いていく。
そして少し歩いたところ。
真ん中に直方体の何かがあるところでリンドウは歩みを止める。
空っぽの広場に乾いた風が吹き砂が舞い上がる。
「おかしいな……」
「どうかしたんですか?」
初陣のシルトにはリンドウの言うことが理解できない。
先輩であるリンドウの疑問の真意を尋ねた。
「いや、ここに普段は居るはずなんだが……」
言いつつ辺りを見渡すリンドウ。
シルトもそれに倣うが動く影は何も見あたらない。
少ししてリンドウが再び口を開く。
「こんな日もある、か。新人! ここが普段オウガテイルの出る場所だ。覚えて損は無いから覚えとけ」
「わかりました」
素直に聞いておく。
現場でないと得られない生きた知識だ。
「しっかし……ここでなければあっちか?」
そう言ってまたリンドウは動き始める。
探していたものは案外早く見つかった。
それはスタート地点より左、広く開けた場所である。
オウガテイルは任務の達成条件である1匹のみがそこにいた。
「居ますね……」
「あぁ。あいつが実物のオウガテイルだ」
リンドウは胸元のポケットを探りだす。
シルトが何をしているのだろうかと見ているとタバコを取り出し火を着けた。
リンドウの嗜好品である。
「えっ!?」
「はは。早く行ってこい。危なくなったら助けてやる」
満点の笑みでリンドウは言うがシルトは気が気でない。
しかしどれだけ動けるか見ると言われては引き下がるしかなかった。
建物の作る影に入るとリンドウは壁にもたれた。
余計にシルトは不安になった。
風に乗った臭いに気付いたか。はたまたタバコの煙のせいか。
追い打ちをかけるかのようにオウガテイルがシルトの方を向き鳴き声を上げて走ってきた。
「ほれ、来たぞ~。なに、大丈夫だって。多分」
「多分って何ですかっ!!」
言いつつシルトもオウガテイルに向かって走る。
ゴッドイーターになって数日間。
徹底的に鍛えさせられた脚力はオウガテイルの速度を上回る速度を出させ間に空いていた距離を瞬く間に詰めた。
後少しのところでシルトはステップを前に踏む。
そしてバスターソード、クレイモアを勢いのままに前に振り降ろした。
オウガテイルの顔面とぶつかり合いそして……押し返す。
「ほう……やるじゃねえか」
リンドウはバックパックに手を伸ばしつつ呟く。
そして前もって渡されていたデータを思い出す。
「バスター、タワー、ブラスト。全部重量装備。なんの冗談かと思ったが……」
少し下がったオウガテイルが尻尾を下げる。
「新人! 棘が来るぞ!!」
「っ!!」
リンドウの注意にシルトはタワーシールド、アウゲミルを素早く展開する。
他の装甲の追随を許さない強固な装甲のタワーシールドは簡単に棘を弾いた。
「反応もなかなかと」
「はぁぁぁあああああ!!」
装甲を元の刀身に戻し再びステップを踏む。
次は少し飛び上がり重量のままにクレイモアをオウガテイルに叩きつけた。
凄まじい衝撃にオウガテイルは地面に伏す。
しかしまだ動いて生きていた。だが、オウガテイルにもう未来はない。
地面にひれ伏したのは致命的なまでの隙となったのだ。
これが最後だ!!
そう思ってシルトは刀身を深く引き腰を落とし力を蓄える。
凄まじい握力にギチギチと柄が悲鳴を上げ刀身に闇のオーラを纏った。
チャージクラッシュだ。
「……ッらぁ!!」
――ズダンッ!!
凄まじい勢いで振り抜かれた神機は立ち上がろうとするオウガテイルを再度地面に叩き伏せた。
そのままオウガテイルは動かなくなる。
シルトは荒い息をそのままにオウガテイルをにらみ続ける。
「大丈夫、そこまでだ。もうそいつは死んでいる」
シルトの肩に手が置かれる。
肩が跳ね、大きく距離を取る。
そしてリンドウを見ると安心したように体から力を抜く。
「ん~、新人にしちゃ上出来だが、ちと1つの事に集中しすぎだな」
「……了解です」
「よしよし、それで良い。一つずつ学んでいけ。お前はまだ新兵なんだ、焦る必要なんか無い。生きてりゃなんとかなる」
「分かりました」
普通の新兵ならばまず恐怖の対象であるアラガミから逃げ出すか、無謀な突進を行ってしまう。
しかしシルトはしっかりと戦った。そして勝利を納めた。
今回はそれだけで十分だった。
そうだというのに不満げなシルトを見てリンドウは頼もしく思った。
「さ、コアを回収しろ」
「はい」
シルトは神機をプレデターフォルムに変形する。
神機がアラガミであることを思い出させる黒い顎が現れる。
それをオウガテイルに向ける。
グチャリ、と音をたて、オウガテイルのコアを摘出した。
「……任務完了」
シルトは思わず小声で呟く。
やっと実感が沸いてきたのかその声は喜びに震えていた。
「だな。お疲れさん」
聞かれていると思っていなかったシルトは照れ笑いを漏らした。
「でも、家に帰るまでがミッションだぞ!」
「了解です!」
元気良く返事をして回収ポイントに歩くリンドウの後をシルトは着いていく。
空になった広場にはもうオウガテイルの死体は残っておらず一時の平穏が流れていた。
*******
「姉上」
「ここはエントランスホールだぞ、リンドウ。呼び方を気をつけろ」
任務から帰還し神機を格納庫に預けた後、疲れた様子のシルトに報告は俺がやっておく、と別れたリンドウ。
オペレーターであるヒバリに帰還完了を伝え自身の姉であり教官という立場である雨宮ツバキに声をかけていた。
新人であるシルトの具合を話すためだ。
その顔は喜色に満ちている。
「あいつなら、そこそこやれそうだぜ」
「ふむ……そうか。あの重装備でな」
「あぁ、肝もかなりのもんだ、ありゃ」
そう言いながらタバコを取り出そうとするリンドウをツバキは注意する。
おどけた様子でこいつは失礼、と言うリンドウを視界の端にやりつつ顎に手を当て、口を開いた。
「銃撃はどうだ?」
「今回は使わなかったな……」
「なんだと?」
リンドウには新型であるシルトに銃撃も使わせるように言われていた。
しかしその前にシルトがオウガテイルを倒してしまったのだ。
「大したパワーだぜ、ありゃ。すぐに背中を預けられるまでになってくれそうだ」
新人に対する期待を滲ませリンドウは語っていく。
その中から重要と見た情報を手元のメモに書き留めていくツバキ。
そしてリンドウが一頻り話終えたところで問題点を上げていく。
「視界が狭くなる……か」
「あぁ。オウガテイルが死んだか気になるのは分かるがあれは狭くなりすぎだな」
「そうか……分かった。指導はしただろうが、私からもしておこう」
「そうしておいてやってくれ」
「あぁ。報告ご苦労だった。下がって良いぞ」
「りょ~かい、お先だ」
エレベーターの方を向きつつもリンドウは後ろ手に軽く手を振ってまだ勤務時間の姉を労う。
そんな相変わらず人思いな弟に笑みをこぼしツバキはオペレーターの方へ歩いていった。
大方次の新人用のミッションを組むために神機使い達のスケジュールを把握するためだ。
自室に向かうためリンドウはベテラン区画へのエレベーターのボタンを押す。
すると横に任務を終えたのか、少し疲れた様子のブレンダンが現れた。
「お疲れさん」
「あぁ、リンドウか。どうだ? 新人の方は」
「なかなかだと俺は思うぞ? ま、バスターだから細かいことはわからないけどな」
「そうか。俺で見本になれればいいが……」
エレベーターの扉が開く。
するとそこからは白髪の少女が出てきた。
どう見ても若すぎるように見えたがその右腕にはしっかりと神機使いの証がはめられている。
話し込む2人の間を通れず止まっていると気付いたリンドウが声をかけた。
「お、悪いね」
「……いい」
ぼそり、とそれだけ返すと少女はリンドウ達の間を通っていった。
後ろからになるがリンドウは華奢な背中に向かって声を投げかけた。
「きっちりオウガテイル1体しか居なかったぜ、ありがとよ!」
「……当たり前」
そうとだけ答えると少女はもう夕方なのに任務を受けるのかカウンターに歩いていった。
それを眺めながらブレンダンが口を開く。
「相変わらずだな……」
「そうだな。今回の新人で何か変化があれば良いが……期待しておくか」
2人は共にエレベーターに乗る。
閉じる扉の向こうには出撃ゲートに向かう少女が見えた。
ちょっと長め、かな?