前回から引き続き木更さんをどうにかして幼女(TS)に救わせたい欲望が見え隠れしていますので注意してください。
後、キャラ崩壊があるかもしれませんのでそこもご注意を。
──東京エリア 内地 ショッピングモール
「くっ……激しいですね」
「まだまだ、こんな所でへばってもらっちゃ困るわよ、ほら!」
「あぁ……また入っちゃいましたよ。なんでそう子供に対して容赦が無いんですか貴女は!」
俺は今、けたたましい騒音で満たされたゲームセンターの中、エアホッケーと言う遊戯台で木更君と真剣勝負の真っ最中であった。
獲物を持っている時点で薄々気付いていたが、彼女は武道を修めているようで、なんとも流麗な身のこなしでパックを捌いてゆく。俺はと言うと、動きやすいTシャツとハーフパンツから、初めて着たワンピースに翻弄され、失点を重ねてしまっていた。
「ならばこちらも本気で行きますよ」
しかし、恐らく彼女は駆け引きの経験が少ない筈だ。立ち回りは良い意味でも悪い意味でも素直で、隙あらば常人離れした威力のショットを捻じ込んでくる。彼女を上手く罠に嵌めるにはどうすれば良いか、策を考えろ。
先から彼女は反射を利用する事がほぼ無く、決める時は全てストレートでパックをゴールに捻じ込んでいた、ならばそれを逆手に取ろう。
露骨なまでにゴールコースを開きながら勝負していると──
「そこッ!」
「──来た」
凄まじい速さで迫るパックの真芯をスマッシャーで捉え、打ち返す。
「えっ、嘘!」
ゴールコースをある程度絞った状態ならば、"子供たち"としての能力無しでも軌道はある程度読める。
弾かれたパックはスコーンと良い音を立てながら彼女のゴールに吸い込まれていった。
「ま、まさか、私の木更スペシャルが打ち返されるなんて……」
遊戯台の端に手をついた木更君が項垂れている、と言うかその名前は一体何なんだ。
「何ですかその取ってつけた様な名前は」
その後、俺と木更君は、それぞれ技と力による接戦を繰り広げ、最後には、悔しいが、木更君の勝利に終わった。
「ふっふっふ、それじゃあ、敗者のアイゼンちゃんには、私の言う事なんでも一つ聞いて貰いましょうか」
「あぁ、私は一体どんな恥辱を受けてしまうのでしょうか、貴女の苛烈な責めに負けてしまった私はもう抵抗もままならないと言うのに」
大袈裟に身体を抱き、震えていると他の利用者からからの視線も集まる。
「あ、アイゼンちゃん、いくら何でも人聞きが悪過ぎるわよ!」
「……まぁ、冗談ですけど、さっきの服屋で私を着せ替え人形にした事と、高値の服を買わされた恨みは忘れてませんからね?」
「えっとそれは……アイゼンちゃんに色んなファッションが似合っちゃうから……でも後半はアイゼンちゃんも悪いと思うのよ私は!」
時は遡る。
✳︎
「アイゼンちゃん、これ着てみてくれないかしら、あ、これも良いわね」
幾つかの服を手に取った木更君は俺の手を引き、試着室と言う場所に連れて行ったのだが、そこで俺は彼女に服を脱がされ、着せ替え人形の様に弄ばれたのだ。
今まで裸を見られて恥ずかしいと思った事は無かったが、こうして他人に服を脱がされたり着させられたりすると、ここまで恥ずかしいものなのだと初めて知った。
「アイゼンちゃんの髪色は黒と白のシンプルなモノクロヘアーだから、パンク系のファッションも似合うし、このロングの髪に手を加えれば清楚な感じにも、後、案外シックな服装も似合いそうね」
鏡に映った赤面する自身の姿は、俺が俺と思えない程、等身大の少女そのものだった。……改めて自身が女である事を認知させられると言うのは、なんとも複雑な心境だ。
「アイゼンちゃんってクールなイメージがあったけど、案外初心なのね」
「ぐっ……それは、貴女が積極的過ぎるからですよ、里見君にも同じ様に迫ったら直ぐに恋仲になれるんじゃないんですか?」
「さ、里見君は関係無いでしょう?!」
とは言え、彼女は元男の俺の目線で見れば、世の男からしてとても魅力的なのは違いない、飾らない美しさとでも言えようか。里見君も、流石に何か思う所はあるのではないだろうか。……いや、年頃の男の子がこの雄大な二つの霊峰を見て浪漫に打ち震えない訳が無い。
……そう言えば、狩人の時分、ヨーロッパで惚れ薬が流行っていた頃、アジアでは相手との縁を結ぶ呪術とやらが既に流行っていたな。相手の髪を使った方法は一部の惚れ薬の製法に通じる物があったが、名前を使った呪術と言うのには驚かされたものだ。日本にもあった筈だが、確か──
「昔からアジアには
「急にどうしたのアイゼンちゃん?」
「言葉によって存在が生まれる、生まれた存在に名を付けるのではなく……でしたっけね。そんな言葉を重要視する信仰がこの日本にだってある筈なのに、何故貴女は心の内に留めているんですか? 言葉にすれば愛は生まれるかもしれないのに」
「……私は、そんな事出来ないわよ」
苦笑いを顔に浮かべながら否定する彼女は、何処か弱々しい雰囲気を醸していた。
「出来る出来ないじゃなくて、やるかやらないかですよ、"幸せ"になる事なんてのは。言い換えればcanかdoの違いです」
僅かな逡巡、それから木更君は、心此処にあらずと言った風に呟いた。
「そう考えられたら、きっと楽なんでしょうね……でも、そうなるのが、何よりも怖いの」
彼女は自身を抱きしめるように腕を組み、制服を握り締める。
「幸せになって、"また"失ったら、今度こそ耐えられない、もう壊れるしかない、私は幸せになってはいけないのよ」
一度吹き出した物は止めどなく溢れ出してしまったようで。
「そうなれば、私は、失った私すらも許せなくなる」
……これが彼女の心に巣食う化け物か、あまりにもドス黒い穢れ、こんな心のまま、今まで自壊せずに、愛情すら支えにしてこなかった彼女は一体"ナニ"を支えに生きてきたんだ。
だが、このままだといずれは決壊する。このままの彼女と遊ぶのは気が気じゃない。……それに、この事で折角の休日を台無しにされてたまるものか。こちらだけが楽しんでいては気分が悪い。
「……あっ、ごめんねアイゼンちゃん、今のは忘れて……」
自身の口が勝手に動いていた事に気付いた木更君はすぐに取り繕おうとするが、もう遅い、知った以上見逃すわけにはいかない。心の中の化け物を見つけたからには。
「──既に貴女は、自分を赦してないじゃないですか」
彼女の瞳が大きく揺れる。
「自分は幸せになれない? 誰が決めたんですか、運命ですか神ですか? そんなのはアテになりませんよ」
「どうして、そう言い切れるのよ?」
彼女は気付いて居ないだろうが、声色に僅かに怒りが混じり始めた、彼女の触れて欲しく無い場所なのだろう。だから、ここで突っ込めば、下手をすると完全な決裂に繋がるかもしれない。
だとしても、劇薬でも無理くりに飲ませなければ、この化け物を多少なりとも弱らせる事は出来ないだろう。
「私は……かつて、大切な友人を殺した事があります」
「ッ……!」
「全部、勝手な決めつけでしたよ、この世に生きる化け物は皆、悪、そんな決めつけが、他ならぬ友人へと獲物を向けさせた。どうです、下らない話でしょう?」
「……ごめんなさい、嫌な事言わせちゃって」
今度は彼女が自己嫌悪に陥り始めた、ここは更に強めに行くべきだろう、ここからが正念場だ。
「嫌な事? また貴女決め付けましたね、確かにあの時の事は辛い事でした、けど、それが無ければ
──"俺"と言う狩人は存在していない」
「どう言う、意味、なの?」
木更君は、顔を上げ、困惑し、震えた声で問い返す。確かに、この世界の住人には訳の分からない話だろうが、それでも、俺は言うべきだと判断した。
このまま放っておけば、彼女はきっと友人達に武器を向ける事になる。その後に気付いたのでは遅すぎる。
「──あの時から、俺は本当の狩人になった。暗い過去にも、必ず光はある、例え絶望の中でも。それを手にすれば、その過去は単なる傷跡にしなくて済む、前に進む為の力へと変えられる」
「でも、私にはそんなの無理よ……」
「確かに一人じゃ無理だ、でも、君には里見君や藍原君が居る、足りないってんなら俺も居る」
へたり込んでしまった彼女の両方を掴み、顔を上げさせる。
「……里見君と……延珠ちゃんと、貴女も?」
こうして心の中に化け物を見たからには、狩人として、ヒトとしてやるべき事がある筈だ。さぁ、固まった頭の彼女に言ってやろうじゃないか、今日の彼女への返礼代わりだ。
「もしも、貴女のその心に巣食う闇が"化け物"ならば、狩人の"俺"が討つ。その闇が"悪"ならば、警察の"私"が逮捕します。──そして、その闇が"孤独"ならば、"
そして俺はそのままの勢いで彼女の頭を掴み、自身の薄い胸板に抱き抱える。
「だから、大丈夫ですよ、人生なんだかんだあっても、最後の最期に幸せを掴めば、笑顔でいられたら、それで勝者です。なのに、それを最初から捨てるなんて、負け犬みたいで腹が立ってきませんか?」
「……ぐすっ……っう」
俺は泣き始めた木更君の頭を、先程してくれた時みたいに撫で上げていく。
泣きじゃくる少女を抱き、ひたすらに受け止める。そこにあるのは慈愛だろうか、自覚なく緩やかに口角が上がり、微笑を帯びていた事に気づく。これが俺は知らない、父親の、母親の、心持ちなのだろうか。
「生きるなら、ただ生きるんじゃなくて勝者を目指せば良いんです、他の奴等の顔色を伺ってても仕方ないんですから、自分が満足出来る生き方をしましょうよ。分からなければ、信じれる誰かさんに聞けば良いんですよ、私で言えば、それは死んだ友人だった訳ですが」
彼女の泣き声を一つも漏らさない様、より力強く抱きしめる。すると彼女の両腕もまた、自身の背に手を回し、ひしと抱きしめた。
「その上で、満足出来る生き方を目指すために選択したなら、その後は、貴女が信じて進めば良いんです。自分で自分の舵を取れた時、貴女は立派な大人です」
彼女は込み上げる物全て吐き出す様に泣いて、泣いて、泣いた。
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────
──
暫く、経っただろうか。
泣き止んだ彼女は、目をこすっては涙袋を真っ赤に腫らし、顔を持ち上げる。
「全く、私より幼い女の子の前でこんなに泣いちゃうなんて」
「ふふっ、貴女の言葉を借りるなら『子供らしくて大変よろしい』と言った所ですかね?」
彼女は一瞬、ポカンとしていたが、直ぐに子供そのものの様にカラカラと笑い出す。
「えぇ、そうね、私はまだ私自身の舵を取れてない。アイゼンちゃんから見れば、まだまだ子供なのよね……変な話だけれど」
立ち上がった彼女の姿に先程まで射していた影は、少し晴れていた。……だがまだ完全ではない。
彼女の苗字にあった"天童"と言う名。恐らく彼女の闇の根本はここに通じている筈だ。彼女がその闇と真っ向から対峙すると言うならば、きっとそこが分水嶺になるだろう。
彼女が自身の中の化け物に自分の舵を明け渡して、子供のままでいるのか、それとも、彼女自身で自分の舵を取り、大人になるのか、と言う分かれ道に。
……せめて、彼女が子供の内は、見守り、手を貸そう。
化け物を狩る狩人として、
市民を守る警察として、
子供を導く大人として、
そして、隣に立つ友として。
「と、良い雰囲気なんですけど、少しだけいいですか?」
「ん、何かしら?」
「……貴女の涙で、試着していたワンピースがびしょ濡れなんですよ」
「……え?」
彼女はまず唖然とし、恐る恐る値札を手に取り、財布の中を見た彼女の目は潤み、身体はプルプル震えだす。あぁ、これは駄目な奴だな。
「……買ったらどうせ私の物になりますから、私が払いますよ」
──木更は狭い試着室で土下座した。
✳︎
「……確かに、あれは私が貴女を抱いていなければ良かった話ですけど、あのまま泣いていたら音が漏れ出して公開処刑される所だったんですよ? そこまで羞恥に悶えたいと言うならさっきの事を里見君に全部話して」
「わ、悪かったわよ、だからそれだけは止めて切実に! 里見君に暫く揶揄われるから!」
「──子供らしくて素直でよろしい」
ニヤリと意趣返しにVサインと笑顔を作る。
「……アイゼンちゃんもさっきから仕返ししに来てるわね」
「当たり前です、あんなにも弄り倒されたら弄り返すのが礼儀なんですよ」
無い胸を張りながら両手を腰に当て、威嚇する様に背を反らせる。
「なら、ちゃんと礼儀に則ってお返ししないといけないわね」
そう言って指差したのは、裏地が緑色をした箱型の何か。
「あれは?」
「あれはプリクラって言うのよ、簡単に言えば、加工した写真をその場で作れる機械ね」
「なるほど、そこで私のあられもない写真を撮って脅迫し、言いなりの少女に仕立て上げる気ですね?」
俺はわざとらしく肩を抱き、身をよじる。
「なんで写真撮ろうとしただけでそこまで悪く言われるのよ!?」
「おっと、違いましたか、それなら早く行きましょう、木更君」
隣の彼女が急に足を止めた為に、俺は繋いでいた手に引っ張られる様に振り向いた。
「……」
彼女は右手を繋いだまま、何かを言いたそうにもじもじとしている。言いにくいならこっちから発破をかけてしまおう。
「どうしたんですか、そんな生娘の様な恥じらいは似合わないですよ?」
「うぅ、一言多いわよ……その、あのね、私の事、もっと別の呼び方で呼んで欲しいのよ」
彼女の呼び方……か、なんと呼ぼうか、そうだな、彼女の鋭さと柔らかかさ、この二つを合わせて──
「……きさりん」
「何でそこでおかしな方向に飛ぶのよ!? 普通に木更ちゃんでも良いわよね!」
鋭いツッコミだ、確かに俺のネーミングセンスは悪いとよく言われたが、それでも思いがある。
「──私は貴女の事を、大事な友人だと思っています。親愛の証ですよ。多田島警部の事だって、下の名前は茂徳、ですけど、しげとくんって家では呼んでますからね。あ、後これは他の皆さんには内緒ですからね」
「……し、しげとくん……」
漏れそうになる笑いを抑える彼女の右手に両手を添え、一呼吸置き、彼女の目を真っ直ぐと見据える。途端、彼女はハッとしては、その表情を凛とさせる。
「そこで、私がきさりんと呼ぶ代わりに、貴女は私の事をバンカと呼んで欲しいんです」
彼女は瞠目しつつも黙ったまま、話を聞いている。
「私がこの世界に生まれて、初めて呼ばれた愛称ですよ、呼び捨てかつ、バンカーと伸ばさないのがポイントです」
「……それは、貴女の友達の話かしら」
問いかける彼女の目の色に微かな憐憫が差し込んでいたが、少なくともピーはまだ生きている筈だ。少なくとも、呪われた子供たちに関連した事件なら対ガストレア課にも情報は入るだろう、しかしながら、そんな情報は茂徳君から聞いていない。
「はい、と言っても、その子の方はまだ生きている筈ですから、別に重い過去なんてのはありませんよ、また会いたいとは思ってますけど」
俺の言葉を聞いた彼女は、少し合間を開け、緊張に引きつる唇をゆっくりと開いた。
「……なら、えっと、バンカ」
「はい、きさりん」
「……やっぱり少し恥ずかしいわね」
お互いに呼び合い、彼女は少し照れているが、俺はそれが何故か面白くて少しだけ笑ってしまった。彼女がいじらしくも睨み付けてきたが、美人は幾ら睨んでも美人なだけだ。
「なら、この呼び方は二人だけの秘密にしましょうか」
彼女にウインクを飛ばせば、彼女は素直にそれを返してくれた。……思えば、今日の内に、ほぼ他人から色んな意味で歳の離れた友人になってしまうとは、人の縁とは奇妙な物だ。
友人の様な、姉妹の様な、それでいて親子の様な、緩やかで暖かな雰囲気の中、俺達は目的地へと向かった。
✳︎
「これがプリクラの中ですか、案外広いような狭いような……」
「バンカは初めてよね? なら、ちゃんと写るようにしてあげないといけないわね」
彼女がまたあの意地悪な笑顔を見せると、不可視の速さで俺の両脇に手を添え持ち上げ、更に互いの頬がぴったりと引っ付くほど、きつく抱き締められる。
「ま、まさか、きさりん! 謀りましたね!」
「ふふっ、私の恥ずかしい所を見たんだからこれでおあいこよ」
「やっぱりあられもない写真を撮ろうとしてたじゃないですか!」
「もうカウントダウン始まってるわよ、あのカメラに向かって笑顔よ、バンカ、ほら早く!」
過ぎゆく休日、その中で彼女は、今日一番の笑顔を見せていた。強さと優しさの交じりあった笑顔だ。
「……貴女には泣き顔なんかよりも、その格好の良い笑顔が似合いです。あの不幸面の里見君と、弾ける笑顔の藍原君達にぴったりですね」
「貴女も、無邪気な笑顔が一番似合ってるわ。あのむすっとしたお巡りさんの隣にぴったり。初めて会った時よりずっと可愛げがあるわよ?」
掛け合った言葉に思わずお互いに吹き出し、全く同じタイミングで一言。
「「余計なお世話です(よ)!」」
失われた子供の頃を、少しずつ取り戻そうとする二人、得たそれらを、当たり前の日常として、フラッシュと共に記憶に焼き付ける。
お互いの最高の笑顔も一枚に焼き入れて。
✳︎
プリクラを終えた二人は写真取り出し口から出来立ての写真を取り出し、まじまじと眺めていた。
「……目が大きくなってますね、これはこのプリクラの機能なんですか?」
「そうよ、これ以外にも機能はあるけど、今回は敢えて使わなかったわ、ほら、これはバンカの分」
シンプルな二人の写真、しかしながら写真に写る子供二人は、飾らずとも美しくそこに在った。ギュッと顔を寄せ合ったその姿は、親子の様な、姉妹のような、不思議な感を二人に覚えさせる。
「これはシールにもなっているんですね」
「好きな所に貼ったり、台紙に貼ったままカードとして使う人もいるわよ」
バンカが写真を掲げながら眺めていると、木更の携帯電話から着信音が響く。
「……もしもし、どうかしたのかしら、里見君?」
携帯電話に耳を傾けた彼女だが、次の瞬間、彼女の口から驚きの言葉が飛び出した。
「延珠ちゃんが行方不明……それは本当なの!?」
隣で声を荒げる木更の様子を見たバンカは、驚きをよそに静かに考えを巡らせる。
そして彼らへの試練と、次なる演目が今、始まろうとしていた。
✳︎
……舞台は恙無く進行し、絶望の足音は彼らのすぐ側にまで来ていた。
勿論、それに争う者たちも存在している。
定められた滅びの運命を変える……それは正に、神を目指す行いに他ならない。
しかし、運命を変えるには代償が必要で、人はそもそも神になどなれはしない。
だが、そんな運命を、神をも撃ち抜く魔弾達は、彼らの手元にある。
さぁ、銃を構えろ、撃鉄を起こせ、引き金を引け。
我々を散々弄んでくれた無慈悲な運命と神へ、紫煙と共に述べ上げろ。
復讐するは我にあり、と。
木更さんの歪み具合と十年と言う年月による凝り固まり具合を考えた結果、今回だけでは完全に治せなかったという結構シリアスよりな状態ですが、女子高生らしく遊ぶ木更さんを見たい欲が出たので結構ギャグっぽくもなりました。
今回の話でアイゼンくんちゃんは子供でパパでママなおじさんTS幼女と言う業のバベルみたいな存在になりました。盛り過ぎて潰されそうです。