問題児と時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ただのふわにゃん

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黒ウサギって弄られる呪いでもかかってるのかな(すっとぼけ)
(2022/09/0823:02頃加筆修正しました)


魔王とは

 突然のギフトゲームではあったが蘭丸が難なくクリアしゲーム盤からも脱出した黒ウサギは急いで十六夜のの向かった“世界の果て”のあるトリトニスの大滝に向かった。十六夜はそこに住む水神にギフトゲームを挑んでいた。

身の丈三○尺超の“神格”と呼ばれるギフトを保有する蛇神を相手に力で捩じ伏せてしまったのだった。

(蘭丸さんも凄まじい力の持ち主ですが十六夜さんもデタラメな力の持ち主です………!)

「おい、どうした黒ウサギ。ボーッとしてると胸とか脚とか揉むぞ?」

「え、きゃあ!」

黒ウサギが惚けている隙に背後に移動した十六夜は黒ウサギの脇下から豊満な胸に、ミニスカートとガーターの間から脚の内股に手を伸ばしていた。驚いて押し退けた黒ウサギは遠くに離れていた蘭丸の影に隠れる。

「な、ば、おば、貴方はお馬鹿です⁉︎ 二百年守ってきた黒ウサギの貞操に傷をつけるつもりですか⁉︎」

「二百年守った貞操? うわ、超傷付けたい!」

「お馬鹿様⁉︎いえお馬鹿‼︎」

「さっきまでの感動してたっぽい黒ウサギの感情返してやれよ………流石に気の毒だ」

 疑問形から確定形に言い換えて罵る。蘭丸も黒ウサギが不憫に思い溜息を漏らす。当の本人は何の悪びれもせずにヤハハと笑うだけであった。

 黒ウサギの嗜虐心を擽る愛らしさ故に今まで彼女を狙う賊は数えきれないほどであった。

 しかし今まで彼女の身体を触れることの出来る相手などいなかった。蘭丸といいこの十六夜の二人の保有するギフトとその実力の底は黒ウサギでも測ることが出来なかった。

「にしても大したモンだな十六夜、そこで伸びてる蛇それなりな感じだったが」

「まあそれなりに楽しめたが大して本気じゃない。つーかオマエの方があの蛇より強いだろ?」

「まあ、そのうち見せてやるよ。因みに多分俺の方がちょっと強いぞ?」

「へぇ………チープだが嬉しい挑発してくれるじゃねえか」

互いに笑みを浮かべる二人だがそれは微笑ましい部類に入るものでは無く、火花を散らしていた。

「と、とにかく十六夜さんは神仏のギフトゲームに勝利しました! ギフトを戴きましょう!」

穏やかではないムードを振り払おうと明るく二人の間に割って入った黒ウサギ。十六夜は怪訝な顔で黒ウサギを見つめ返す。

「神仏の用意するギフトゲームでは“力”と“知恵”と“勇気”を試す物が最もポピュラーで本来力を示すギフトゲームは相応の相手を用意されますが、十六夜さんは神仏本人を倒したので相当な物が貰えると思います。これで黒ウサギのコミュニティは更に力を付けることが出来ます♪」

ウキウキで伸びている蛇神の元へ行こうとする黒ウサギだが前後を十六夜と蘭丸に挟まれていた。

「「─────」」

「な、何ですかお二人とも。何か黒ウサギが気に触ることを言いましたか?」

「あぁいや、ソッチのことじゃない。敵を倒してレアアイテムゲットってなる前に一つハッキリさせておきたかったことがあってな」

「奇遇だな、俺も同じだぜ。なあ黒ウサギ」

蘭丸は兎も角先程まで軽薄そうな顔で笑っていた十六夜さえも笑みを無くし黒ウサギも自然と表情が固くなる。

「────オマエ、俺達になにか決定的な事をずっと隠してるよな?」

「………何のことです?ギフトゲームについてのことならなんでも答えると」

「いや、俺が聞いてるのはそんなことじゃない。はっきり言うがなんで黒ウサギ達は俺達を呼んだんだ?」

黒ウサギは表情は懸命に取り繕ってはいるが内心は動揺していた。

「………それは十六夜さんたちに箱庭でオモシロオカシク過ごしてもらおうと」

「まあ、それも嘘ではないんだろうな。だけど黒ウサギの態度を見てるとなんかちょっと必死さを感じるって言うかな」

「ああ、俺の予想を言わせてもらうが黒ウサギのコミュニティは弱小コミュニティか、衰退したコミュニティなんじゃないのか?」

「………ッ‼︎」

 黒ウサギは心で舌打ちをした。まさかコミュニティ加入前に知られてしまった。コミュニティに所属さえしてしまえばコミュニティの再建を手伝わざるを得ないからだ。

 知られてしまった以上その計画も頓挫するだけでなくそれに怒って他のコミュニティに加入されてしまっては元も子もない。

(せめてコミュニティ加入後であったのなら………!)

「さて黒ウサギ。ちゃんとお前の口から説明ぐらいしてもらわないと俺も十六夜もお前のコミュニティに入ることは出来ないぜ?」

蘭丸は濡れたシャツの袖を捲りながら

「ああ、まだ俺たちは所属してないしな、ここから他所のコミュニティに行っても良さそうだ」

「だ、駄目ですッ! おふたりが居なければ………分かりました、お話ししましょう………黒ウサギ達のコミュニティの現状を!」

他所のコミュニティに行かれてしまうのならと覚悟を決めた黒ウサギに二人は岩に腰を掛けた。生唾を呑み込むと黒ウサギは話し始めた。

「まず私達のコミュニティには名乗るべき名がありません。よって呼ばれるときは名前の無いその他大勢“ノーネーム”と蔑称で呼ばれます。さらにコミュニティの誇りでもある旗印もありません」

「成程、“ノーネーム”(名無し)ってことかそれでコミュニティのメンバーはどのくらいいるんだ?」

「………コミュニティの中核を為すメンバーは一人も残っていません。ギフトゲームに参加できるギフトを持っているのは黒ウサギとリーダーのジン坊ちゃんだけで、後はギフトゲームに参加できない子供が百二十人なのですよ」

「もう崖っぷちだな!」

「本当ですね♪」

 ウフフと笑いながら項垂れる黒ウサギ。改めて自身のコミュニティの現状を自身の口で語って返って笑えて来たのであった。

「だがなんでそうなったんだ、黒ウサギのコミュニティは。最初から名前が無いってことはなかったんだろ?」

「YES、私達のコミュニティはかつてはこの箱庭において栄華を極めたコミュニティでそれこそギフトゲームでも連戦連勝でした。ですが箱庭を襲う最大の天災───“魔王”によって全てを奪われたのです」

「「ま………魔王⁉︎」」

その単語を聞いた十六夜は目を輝かせ、蘭丸は驚愕で目を開いた。

「なんだよそれ、箱庭にはそんな素敵ネーミングなヤツがいるのか⁉︎」

「ええ、でも十六夜さんが思い浮かべている魔王とは少し違うと思いますが」

「魔王に奪われたって………ギフトゲームでなのか?それは俺や十六夜の受けたギフトゲームとは何が違うんだ?」

「ええ、そもそも箱庭においての魔王とは“主催者権限”(ホストマスター)という特権階級を持つ修羅神仏のことで、普通のギフトゲームが両者の合意の元に行われるのに対して魔王にギフトゲームを挑まれたら最後、誰も逃げることが出来ません。そして負ければ全てを奪われるのです」

全てとは比喩表現では無い。文字通り黒ウサギのコミュニティは魔王のギフトゲームに敗北し小さな子供達と荒廃した土地を残して全てを奪われたのであった。

「質問なんだがコミュニティって一度解散してまた作り直すって出来ないのか?新しく名前と旗印が有れば出来ることも増えると思うんだが」

「そうだな、自分達の縄張りを主張出来ないのは痛すぎるな」

蘭丸の質問に十六夜も同調したが黒ウサギは言い淀む。蘭丸の言っていることは正論であり彼等が来なければ組織として認められず、ギリギリで生きていくことになるのであった。

「か、可能ではありますがそれでは駄目なのです! 改名はコミュニティの完全解散を意味します、ですが私たちは仲間たちの帰ってくるこの場所を守りたいのです………」

「黒ウサギ………」

蘭丸は黒ウサギの本心で訴えかけてくる目を見る。確かになし崩し的な方法でコミュニティの実状を隠しておりそれ自体は思うところがあったが根底にあった攫われた仲間達を想いその返ってくる場所を守る為の覚悟が彼女にはあった。

「茨の道である事は承知です。コミュニティを再建しつつ仲間たちの帰ってこれる為にも十六夜さんや蘭丸さん達のような強いプレイヤーの力が不可欠です。どうかその強大な力を黒ウサギ達に貸してください!」

黒ウサギは恥や外聞といった物を捨てての懇願だった。此処で断られたらコミュニティの再建は夢のまた夢となってしまう。

 十六夜達は少し考える素振りを見せ───

「いいなそれ」

「───え?」

「え?じゃねえよ協力してやるってんだよ、もっと喜べよ。んで、蘭丸はどうするだよ」

「ああ、俺もいいぜ。お前の本音も聞けたからな、なら俺もそれに応えてやるとするさ」

「十六夜さん………蘭丸さん………ありがとうございます!」

心からの謝罪と懇願が届いた、黒ウサギは感激の余り2人に駆け寄り───

「「だがそれはそれ、これはこれだ」」

「えっ………」

スルーされ顔面から川へとダイブした。

「ヤハハ! 今のはかなり面白かったぜ黒ウサギ!」

「悪いが………コレで………だま…ぶんはチャラに………ブハッ!」

十六夜腹を捩り大爆笑しており、比較的優等生だと思っていた蘭丸からの裏切りに黒ウサギは今度は違う意味で涙を流し、

「こ、この問題児様方ー‼︎黒ウサギの感動を返してください───!!!!」




この話を書くまでだけでかなり時間を用してしまいました。マジで勘が鈍ってるなと
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