Fate/whitenight 怪物と兵器と人類史と   作:(´・ω・)

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開始が配信と同期で7/30
一ヶ月程度ウルトラせんとくん圧殺
つまり8/30あたり



つまり、ネロ祭りだね。


月の君と星の自分

それは一枚の手紙から始まった。

 

「......よくまぁ、南極から」

 

郵便受けに入っていた一枚のバラの花弁が入っていた綺麗な手紙。

そっと中身を開け確認する。

 

文こそ無駄に長いが簡単にまとめるとお祭りをするようだ。

 

「...優勝者には聖杯か......微妙だなぁ」

 

正直ここから南極程度の距離なら三十分程度本気で飛ばすなり虚数空間通ってもいい。

マリーのほうも別段問題はなく対等な話し合いをしているらしい。

 

「マスター!!このキャラ、僕の操作に追い付かないよ!!!」

「バーサーカー...アクションゲームはプレイヤーがサーヴァントであることを想定はしていないからそれ最速だから」

 

滞在初めの三日程度はあちこちつれ回してランサーの墓で写真とってしてたのに気がつけばこれだ。

山のようにつまれたプラモデル、壁のように並ぶ雑誌、明らかに不要な数の改造バイク。

まだレストランとかショッピングモール回ってるキングゥの方が許せるレベルで酷いレベルだ。

 

こいつの面倒くさいところはあらゆる無機物、有機物に変化擬態一体化して取り込めるところだ。

常にその床と同化した足でこのイギリス中の品々を探して取り込んでは部屋に積み上げやがる。

 

「......もう何時間勝ってる?」

「十三時間程度さ」

「そうか...それはそうと、今カルデアから招待状が届いたが行くか?軽い闘技大会らしいぞ」

「別にギルもイシュタルも居ないのだろ?僕はパスするよどうせ全部つまらないだけだよ」

「そうかぁ、手紙の内容にはなんか『特殊勝負』の席に来て欲しいって書いているけどな、まぁそれとは別に普通に屋台とかも有るようだし、参加者一覧にも色んな大英雄の名前があるな...ギルガ」

「いこう、マスター、すぐいこう」

「......あぁ、うん、キングゥ帰って」

「何言っているんだいマスター、ここにいるじゃないか」

 

そういうと急に床を掴み、引きずりあげると明らかにコーデ途中のキングゥが引きずり出された。

 

「...え?」

 

 

そこから手紙を残して一時間。

カルデアに入り込み、予定の場所に向かう。

 

まぁやりたい放題だ。

中央に見える黄金の闘技場。

あらゆる英霊がしのぎを削り、その刃を交える。

 

「おぉ、よく来たなでっかいのとマスター!!」

 

主催者が出た。

服はいつもの赤と違い白を主体としたどこか花嫁

いや、どうみても花嫁ですね

 

「あぁ......陛下...バーサーカー、鍵出せる?」

「いいよ」

「む?」

 

何故だろうか、この錠を外さずにはいられない

強いられているんだ!!

 

「...?この錠!!回しても開かない!!!」

「マスター...流石にそんなわけないだろ......開かない...不良品だ壊そう」

「まっ、待つのだ!!こ、これはそういうものじゃ......なくて...余とマスターの過去の...」

 

途中から声が弱々しくなって聞こえないが無茶は駄目なのだろうか?

仕方がないから人目につかないに引っ張って鍵穴を覗く。

 

「...あぁなるほど、これ絶対開かないやつだ、だってこれ、鍵穴あって入る鍵もあるけど『それ止まりだ』、開くための仕掛けがないわ」

 

そこにあるのはただの穴。

それより先の仕掛けはどこにもなく、ただ、そこにあるだけであった。

 

しょうがない

 

諦める俺ではない。

 

そういえばこいつは言った。

俺は未来に月でサーヴァントにこのセイバーを召喚してマスターの一人として参加して優勝した。

 

多分なんとなる。

 

「......バーサーカー、鍵、今度は魔力を通せるような奴」

「いいよ、こんな感じで良いかい?」

 

そう言って渡された鍵を突っ込んでから魔力を回路に通すように流し、回す。

するとガチャンという音と一緒にロックが外れる。

 

 

 

「......なぁ、バーサーカー、なにやってるんだろうな、俺たち」

「...さぁ、そんなこと僕に聞かれても」

 

 

冷静になると無駄を通り越した何かだ。

何がしたかったのかわからない。

でも、別に問題はない、それでよかった。

 

「まぁいいや、バーサーカー、さっさとエントリー行くぞ」

「そうだね、今回は僕とキングゥだけで参加するからマスターは適当な所から観戦してて」

「ハハッ...本気で暴れるなよ、俺以外だとついていくのもやっとだからな」

 

やることはやったからすぐに少し前に見た受付に向かって歩こうとすると彼女に腕を捕まれる。

別に振りほどけない程強いわけではないから抜けようと思えば抜けれる。

 

「...余にはこれ以上の勇気がなかった」

「?」

「きっと、あの時のように...振りほどいてしまえるのであろう」

 

その声は暴君とは思えぬ可憐で弱々しく、悲しい声。

きっと彼女は俺の先を知っている。

それぐらい深く居たのだ。

 

「バーサーカー、先に行け...って、もういない」

 

しょうがないから『セイバー』の腕を振り払い。

逆に手を握って引っ張る。

 

引っ張ったそこは舞台が見える頂上ではあるが、全く人気のない静かな場所。

 

「少し、未来の話はどうです?陛下」

「未来...とな?」

「そう、未来、結局世界線が違っても俺は俺、きっとその話から何が足りなかったとか、わかるかもしれないからさ......後は全部興味さ」

 

いつぞやの蔵に突っ込んでいた酒と杯を取りだし、注ぎ、片方のみを渡す。

 

「で、では、余との出会いからだな」

「どこからでも、陛下」

 

「...はっきり言うと、やりたい方であった、余が召喚時、目の前で排除プログラムを皆殺しにしていて開口一番『俺が貴様のマスターだ!!悪いけどガードしていてくれ、今からこの会場を爆破する!!!』など、滅茶苦茶なことを言い出して本当に懐にあったビンで校舎を爆破してしまったのだ」

 

...やりかねない。

 

「お、おう、初手それはキツイな、バーサーカーとの契約直後の俺でもそこまでは行かない」

「その後はなぜか成り行きでトーナメントに参加できたのだが、実のところを言うと第五回戦までルール全無視でマスターが方をつけてしまってな......とある者達の『魂の改竄』で無駄に筋力だけ成長した余はただ見守るだけであった」

「サーヴァントとは一体」

「さすがの余もそれには少し文句があったから問うたのだ『何故、余を使わぬ』と、するとどうだ、マスターは『バーサーカー程強くないお前を戦わせるわけないだろ』と、言われてな...流石に腹が立ってとある者に依頼してマスターの記憶を覗くと、知ってしまったのだ『バーサーカーの強さ』をな」

「...なんだ、そっちでもか」

 

「ただただ、それを知って余はマイルームで語り合う程度の存在、マスターの隣にはあのバーサーカー以外、誰も立てないと思ったのだ......でも、当時の余はものすごく諦め悪くてな、もう全部捨てて、ノーガードで殴り合えば良いのではと思って真名を明かし、その生い立ちを語り、その全てを賭けたのだ...」

 

何故だろう、どこで負けた?

そこまでされると流石に俺は気に入るはずだ。

 

 

「そして、第五回戦でようやくサーヴァントとしてと思えばまたマスターの常識を逸脱したレベルの支援で宝具を使わず勝利、第六回戦も一切、苦戦することなく無傷の勝利、最後の第七回戦はマスターとしての格はマスターを除いて一番すごいと言われた男でな、サーヴァントも太陽の騎士『ガウェイン』苦戦こそしなかったが、マスターが能力の半分を使うぐらいのは危険な相手だった」

「終始舐め腐っているのでは?」

「......恐らくはな、しかしだ、しかし、その後の最後の戦いは余もマスターも全力で戦ったのだ!!『セイヴァー』のサーヴァントであってな...途中から何も出来なくなった余を守るようにマスターがセイヴァーを殴り倒したのは少し見ていて震えたな」

「...なぁ、セイバーなにした」

「......月の表ではほぼ、置物だった。正直なところ、マスターが強すぎて生半可なサーヴァントでは太刀打ちできぬのでな、しかし、しかしなのだ!それで終わる余ではなかった!!月の裏側でBBという性悪AIめに記憶と能力を九割封印されて月の裏側に閉じ込めれたマスターを救うべく余もムーンセルを使って入り込んだのだ!!」

「ほぉ、月の裏側、ね」

 

正直、自分が羨ましくて妬ましい。

これほどまでに愉快な冒険をするなんてはっきり言って許せなかった。

だが同時に。

俺は『この旅路』を知らないと知って少し、優越感に浸った。

二度目の旅、俺はそれができて、俺はできなかった。

 

「......そして月の裏でマスターは変わってしまった」

「そこで、か」

「ほんの一瞬の隙であった......」

「...話は終わりだ......ほら、勝ち上がってきたぞ」

 

軽く床の材質を変質させて彼女を中央に落とす。

下ではバーサーカーとキングゥがガチガチで警戒しているけどまぁ多分大丈夫と思い、その場を離れる。

 

 

実に好都合だ。

職員やサーヴァントは大会のだけ目を向けマリーは不在。

 

「さてと、他にも見たいのあったから無断で所長室にレッツゴー」

 

ドアを蹴り破ったあと何事もないように戻し、置いてあるパソコンから色々なファイルを開く。

魔術師とはいつもいつもこう疎かにするから困るし困らない。

 

「...海洋油田?この規模が?......」

 

画面をスクロールし、データを探せば探すほど、面白いものが見つかった。

128人のマスター

秘密裏の部屋

ごちゃ混ぜ人員。

 

丁寧に存在を隠し、何がしたいのかは分からないが、黒ではある。

 

「......まぁ、数ヵ月もすれば訪れるのもありか...今は魔術師を滅ぼすか滅ぼさないかの選定中だしな」

 

時計塔も実に愚かだ。

ご丁寧にアルビオンの真上にあるお陰で地盤を崩壊させれば一発で奈落の底。

アルビオンは元ねぐらだったからきっちりと地形把握もしてやり易い。

 

「......いや、連中は表向き研究者だから正解か...」

 

部屋を出て、無人の廊下を歩く。

かつかつと靴が床を踏む音がテンポ良く続き、会場に戻る。

 

「うわぁボロボロ...本気出したなバーサーカー」

 

当たるところに融解し液状化した鉄や黄金、煉瓦を避けながら穴だらけの中央に向かう。

中央に近づけば近づくほど何も対策をしていない魔術師では耐えられないレベルの高濃度の魔力が漂い、変質する。

 

「おい、バーサーカー、魔力は好き放題持っていっていいがこれは本気を出しすぎだろ」

 

 

もう会場とはなんだったかのかレベルでぶっ壊れた土台の上でリンゴを食べながら座っているバーサーカーの隣に立つ。

一面にサーヴァントが倒れ、もう祭りもくそもない。

 

「しょうがないだろ、キングゥなんか抽選に嵌まって連戦するんだもん」

「......あぁうん、楽しいよね、抽選」

 

 

酷いもんだ、これが過去か。

やはり嫌いだな、時代が古ければ古いほど強い......か。

ま、しょうがないよね、バーサーカーは最強だから。

 

人間の可能性を否定していないか?

 

「絶対的な個には絶対的な個以外では対応できないか。まぁいいや、キングゥ回収して帰るよバーサーカー、行きたいところができた」

「了解、マスター」

 

 

.........。

 

ロンドンの街の一角。

綺麗な夜空が見えるレストラン。

 

正直、イギリス料理は雑と聞いたがそうでもない。

まぁ、確かにあの魚の頭が生えたパイとかはあれだが......

 

まぁ、東洋の味噌汁ほど意味不明ではないか。

いや、東洋人は昔から海産物、海草類の消化器官があるのだったかな?

どっちでもいいか、パンとワイン、それとソーセージ、ポテトで十分だ。

 

「......テーブルマナーの一つぐらい無いのかしら」

「しょうがないだろマリー、産まれこそくだらねぇ名門だが生きてる時間の大半は平民と同じさ、いや寧ろ体感時間的にはバーサーカーとアルビオンとかいう不毛すぎる地下で過ごしてた方が長いしな...一週間程度のはずだけど」

 

 

切り方が悪いのか知らないが上手くステーキが斬れねぇ。

 

「......なんでそんな簡単に切れるんだよ...」

「刃先だけ強化して切ってるあなたの方が器用よ...」

「一点集中のコツか?簡単さ。ただそれを自分の肉体と同一にし、拳を強く握るのと同じように力を込めるだけさ」

「...なぜそれで、普通に切れないのかしら」

 

食事中に姿を消して入るマナーの悪い人も居たもんだ。

この部屋以外には高濃度の魔力を放出したはずなのにここに居るとなるとまーた新手の『代行者』かなにかだろうか。

置いてあった三本のナイフを扉に向かって投擲するとナイフは消滅し、変わりにバーサーカーが透明化を解除して現れる。

 

「酷いなぁ、僕の食事は鉄と肉かい?」

「だっておめぇ、必要以上に魔力持っていって道ばたで雑に吐き出すだろ、凡人は死ぬからなあれ、魔術師でも数分で別の細胞に変質するのに」

 

黙ってスープを飲み干そうとする触手を切り落としパンを投げつける。

 

「むぅ」

「後でパスタがえげつないぐらいあるレストラン行こうな」

 

手や胸、膝に着弾したパンを原理不明な方法で食うバーサーカーに代わりを出しつつ、コートを着て部屋を出る準備をする。

 

「人生とはずいぶんと愉快なものだな、俺なんかがなんの因果か人類の味方か......なぁ、『ロード・アニムスフィア』オルガマリー」

 

窓の外には歩道にほんの少しの血痕が残っている程度で特に気配はなく、何もない。

いや、一人か二人、ヒットマンはいる。

 

拳銃で死ぬ普通の人間なんて居ねぇよ、まぁ魔術で死ぬ生物はもっといないけどな。

 

「そうね、魔術師なんてあなたからすれば抹殺対象、人類だって不干渉、そんなあなたが...小さな願いのために味方をした、それだけじゃない?」

「あぁ正解だ、廊下の魔力は俺が離れて三十分もすれば落ち着く、次会うときは携帯電話程度使えるようにしておけ、紙は古い」

 

扉を開け廊下から階段を通ってレストランを出る。

足音はしないし、気配もない。

だがそこに存在はする。

 

完璧だ、人間の技で気配と音を殺すとは。

 

「......よく狙えよ、人間、獣を仕留めるのは人であり、悪を裁くのは覚悟だ」

 

二方向から放たれた鉄の弾丸。

正直遅すぎる。

 

後ろから飛んでくる一発は脳を貫通こそするが内側の泥に飲み込まれ、横からの弾はなんとなく歯で咥える。

 

ちょっと回転して痛い。

 

「弾丸と言うものはな?こうやって射つんだよ」

 

 

弾丸を噛み砕いた後適当に泥を吐き出しつつマントに腕を突っ込む。

 

泥から飲み込んだ弾丸を取り出し軽く強化を施してから拳銃になったバーサーカーに装填し引き金を引く。

後ろの奴に当たった弾丸はそこから無数の毒虫に変化し生を蝕み食らいつく、多分悲鳴も上がらないほど痛いのだろう、牙はピラニアにしたからな、血や涎はフグの毒レベル...普通に生き地獄だこれ、まぁ活動時間三十秒程度だし気にしないでおこう。

 

「...ごちそうさま、不味かったよ」

 

ゆっくりと切り落とされたもう一人の奴の両足を見下し、近くにあったゴミ箱に突っ込んでから再び人の多い街中に入る。

 

 

「腹壊したかな...ちょっとトイレ」

「慣れないものを食べるからだよ」

 

 

すぐに用を済ませ、再び街中を歩く。

 

無人の街道

 

点灯する照明

 

音の無い道を

 

 

一人、踊るように

されど進むように

 

月の光が無かった夜の道を




おまけまてぇ
今日は無し、次キングゥ編

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