年始のリハビリ込みの一品です。
ふと、こっちのがおもしれーなと思うところあり設定変更。
ユウリ(主人公)とホップの旅立ち3年前ではなく、ダンデがチャンピオンになる前の時代に転生してきた事になりました。
爽やかに吹き抜けていく風にたなびく小麦畑。
空を舞う、丸く目付きの悪いように見えるけどもよく見ると円らな瞳が愛らしい小鳥。
なんかすり寄ってくる、たまにイヌヌワンとか鳴く不思議なコーギーっぽい毛並みの犬。
そんな感じの風景が、目覚めた俺の目の前に広がっていたのがこの世界における、俺の原風景だ。
超スピード転生トラックとか神様転生とか、そんなもんじゃない。もっと恐ろしい何かを感じたぜ……!
『どないせっちゅうねん』
俺は確か久しぶりに引っ張り出した、世界中の子供と大人に愛されているポケットなモンスターの南国編をやってて……確かそのまま寝落ちした筈なのに。
目覚めてみればこの有様だ、ついでに口を突いて出た言葉は耳には鳴き声のような何かに聞こえるも、確かな言語として変換されて俺の脳へと届いている。
思わず、ジっとわが手を見る。なんかフサフサだった、
ついでに妙に高い茂みに周囲を囲われているのだが、かき分けて進んで漸く気付いたのだが視点が妙に低い。
「あっ、ホシガリスだ」
「何だか背中に妙に哀愁が漂ってるな」
俺の姿を見たらしい、ゆるふわロングヘアな茶髪のロリと色黒肌のショタがそんな事を話している。
誰が欲しがりさんじゃい、どこぞの地面に潜るヤツと違って角砂糖三つとか要求しない、どうせなら全部要求するわい。
まぁそんな事はどうだっていい、なんだか妙に腹が空いてきた。
いつもの俺ならがっつりとカツな丼とか素敵なステーキを食いたくなるぐらいの腹ペコ具合だが、何でか知らんがあんまり肉を食したいとは思わない。
どうしたものかと短くなった腕を組み、視線を巡らせば茂みの向こうに色とりどりの木の実が成っている木を発見、即座にしゅばっと近付いて木へと登る。
何だか妙に木登りがしやすい、というかもう明らかに人類的なホモォサピエンスボディではないなコレ! あ、この木の実すっぱあめぇ、うめえうめえ。
とにかく一心不乱に木の実を貪る、そんでもって眼下を見下ろせばイヌヌワンとか鳴くコーギーっぽいのや、変わった尻尾の形をした狐が物欲しそうに見上げてきた。
『ちょっと、アタシ達にも分けてくれていいんじゃない?』
『ヌワン!』
狐っぽいヤツの鳴き声が、意志となって俺の脳へと届く。
コーギーっぽいのは相変わらず良くわからんが、自分も欲しいと言ってるようなので適当にもぎ取った木の実を眼下の二匹へと投げ渡す、前に。
『いいけど、ちょーっと色々教えてもらっていいか?』
『何よ?』
『ヌイワン?』
木の実を手に持ってチラつかせつつ情報収集、この狐っぽいの尻尾がそわそわしてて中々に可愛いな。
後コーギーっぽいの、舌を垂らして首を傾げてるのが絶妙にアホ犬っぽい。
『気が付いたらここに居たんだけど、ここってどこよ?』
『何言ってるかよくわかんないけどさ、人間達は一番道路って言ってるわよ』
『イヌヌヌヌワン!!』
はぇー、なるほどなー。聞いたことのない街の名前だし、知らん地方のスタート地点辺りにいるらしい。
手の中にあるのがオボンの実である事を加味しても、どうやらポケットなモンスターの世界にきてしまったようだ。
「全部違う鳴き声だけど、アレ意思疎通出来てるのか?」
「お婆様から聞いたんだけど、ポケモンって鳴き声が全く違う鳴き声を使う異種族同士でも意思疎通できるそうよ」
ロリがショタに色々と解説してる、科学の力ってすげーおじさんも、このロリを見習ってもっと有益な情報を教えてほしいものである。
まぁなんであれだ、情報を貰った以上眼下の二匹に木の実を幾つか投げ落とすと、俺は天才的な閃きを脳に走らせると共に樹から飛び降りた。
俺が何故ここにいるのか、なんでポケモンになっているのかは解らない。
だがしかし、愛してやまない作品世界へとやって来たのならやる事はただ一つ、ソレは……。
『俺は、最強へと至って見せる……!!』
『何かアホな事言ってるわね』
『男は何時かかかる病気みたいなものだね!』
お前喋れたんかーーーーい!!
そんな、こんなで。
俺が一番道路で決意してから早十数年近く、なんやかんやあった末に俺はワイルドエリアと人間達が称しているエリアにねぐらを構えていた。
かつてに比べ俺の体は大きく成長しており、人間から呼ばれた名称の様子からホシガリスと言う種族から、ヨクバリスという種族へと進化したようだ。
最強を貪欲に求める俺に相応しい名前だな!!
『ぱぱー、おなかすいたー』
『パパ―、抱っこ―』
『はいはい少し待ってろよ』
なお現在ベビーシッター中である。
たまーーーにだけど、卵を孵化させてそのまま適当な所に貧弱なポケモンを野に放つトレーナーがいるのだが、放っておけなくて見つけるたびに保護してたらこの有様である。
命を預かると言うのは責任重大だが、十年前近くからやっており何匹も巣立ちさせてきたこの圧倒的ファーザー力を見せつけてくれよう。
『ほーら、きのみジュースだぞー。ヨーギラスはまた重たくなったなー』
お腹減ったーと、地団駄踏んでたゴンべにきのみジュースを渡し、抱っこをせがむヨーギラスを軽々と持ち上げ。
俺の自慢なふかふか尻尾でお手玉をするかのように、ぽんぽんとはねさせてあやしてやるのだ。
種族は違えども子供は大事よ、トレーナーにも事情があるから悪質な連中以外は天誅を下したりはしてないけどな。
そうやって子供をあやしていた俺なのだが……。
「きゃーーーーー!?たーすけてーーーーーーー!?」
『もうやだー!おうちかえるーーー!!』
少し遠くから、哀れな子供の助けを呼ぶ声が聞こえてきたので、あやしてたヨーギラスを巣立ち後もよく顔を出してくれるドラパルトに任せ。
ねぐらである木の天辺へ登り声のした方へ目を凝らせば、そこにはキテルグマの群れに追われるトレーナーとまだ経験の浅そうなメッソンの姿が見える。
『今往くぞ、とう!』
中々に逼迫した状況に、この前キャタピーを助けたお礼にもらった糸をより合わせ加工し作った粗末な風呂敷を拡げながら、ムササビが如きスタイルで滑空。
そのままの勢いで、今にもトレーナーを捕獲せんと腕を広げていた先頭のキテルグマの脳天にボディプレスをお見舞いし、双方の間にシュタっと着地。うーん今日も決まってる。
『ちょっとー、邪魔しないでよー』
『そうよそうよ!』
『引っ込んでなさいよこの不細工!』
そして一斉に上がるキテルグマーsのブーイング、俺への効果は抜群だ!
ぶ、ぶぶぶぶ、不細工ちゃうわ!ちょっと味のある顔に恰幅に溢れる俺のナイスバディに対して何てこと言いやがる!
『やかましい!お前らいつも性懲りもなくトレーナー追いかけ回しやがって、この前おっかないジムリーダーにまとめてしばかれてただろうが!』
『そんなのこっちの台詞よ!アンタだって人間に追っかけ回されてる癖に!』
『そーよそーよ!』
キテルグマ―sに怒鳴り散らせば返ってくるのは売り言葉に買い言葉。
お、俺がトレーナーに追い掛け回されるのは、なんか変に目立ってるらしいから物珍しさで追いかけ回されてるだけで害悪ではないので実質セーフ。
いやうん、一時期木の実を欲しがるトレーナーを蹴散らしまくって、地獄の逃亡生活繰り広げた事あったりもするけどソレは心の棚に仕舞っておく。
『ほれお嬢ちゃん達、危ないからとっとと逃げな』
「あ、ありがとうヨクバリス!」
『ありがとうおじちゃん!』
お、おじちゃ…………ま、まぁいい!!
このすっとこ着ぐるみ熊ども、かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
「うーーん……」
「どうしたユウリ? そんなに唸って」
「あ、ホップ? うん、ちょっとワイルドエリアでキテルグマに追いかけられちゃって……」
「それは災難だったぞ、メッソンが妙に怯えてるのもそのせいだな!」
「うん、でもね。何だか凄い強そうなヨクバリスに助けてもらったんだけど、ホップ何か知ってる?」
「おう知ってるぞ、ワイルドエリアの主だな! 兄貴がチャンピオンになる前から生きてる猛者らしいぞ!」
「へぇ…………うん、あの子、欲しいな」
「? 何か言ったか?」
「んーん、なーにもー」
なんでもこのヨクバリス、まだ幼いポケや孵化直後に逃がされたポケモンを養育したり、面倒みたりしてるらしいよ。
そんでもって、巣立ちしたけど時々返ってくるドラパルトはドラパルト(♀)ちゃんらしいよ。