ヨクバリスの王に俺はなる!   作:社畜だったきなこ餅

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木の実を取る為に揺らしてたら落ちてくるヨクバリス並みの勢いでネタが降って来たので更新です。
ちょっと暗いネタと、死展開注意です。


思春期が勝手に死んだリスの翼

 

 

 唐突だが野生のポケモンの食生活について語りたいと思う。

 当たり前だが彼らは生き物で、一部の有機生命体とは思えない種族を除けば総じて生きる為に糧を必要としている。

 そしてその食性は千差万別で、当然中には肉食という食性から他のポケモンを捕食するポケモンも存在する。

 

 カッコつけてあいつらの父親代わりを気取っている俺だが、守れなかった子供もいるし巣立った子が別のポケモンの糧となっていた事もザラだ。

 それはとても悲しい事だし辛い事だ、しかし糧として狩った彼らもまた生きる為に必要な行為なのだ。

 

 だから俺は、悲しみ涙を流しはすれども子供を狩ったポケモンを憎む事はない。

 だが同時に、糧となり命を落とした子供達を忘れる気もない。

 

 それが、俺が子供達に出来る唯一の手向けなのだから。

 

 

『よっと……全くお前は骨になっても相変わらず大きいなぁ』

 

 

 日課の見回りついでに見つけてしまった、数年前に巣立った子供の一人であるウインディの骨。

 傍にはその亡骸よりも少し小さなウインディの骨と、ガーディのものと思われる骨も転がっていた。

 

 

『なんで骨になったのに分かったかって? ははは、育てた子供の臭いは骨になってたとしても忘れるモノかよ』

 

 

 風呂敷にウインディと嫁さん、そして二匹の子供の骨を風呂敷へと大切に包み。

 よっこいせ、などと掛け声をかけながら大きく膨らんだ風呂敷を背中に背負う。

 

 

『よく頑張ったな、牙まで砕けるほどに戦って。お前は最後まで家族を守ろうとしたんだな』

 

 

 視界を滲ませながら、背中に背負う子供とその家族へ語り掛けて我が家へ向けて歩を進める。

 コレが初めてではない、何度も繰り返し経験してきた事だ。

 だけども、何時まで経っても慣れないから……困るな。

 

 

『最近は見に行ってなかったけどな、お前が嫁さんにプロポーズした姿はこっそり見てたし、子供と遊んでる姿も見守ってたんだぜ?』

 

 

 返ってくる事のない独り言を続けながら、張り裂けそうな痛みを訴えてくる胸を押し殺して歩みを進める。

 こいつは、そう。ボール遊びがとにかく大好きで木で寝てる俺を叩き起こしては、早朝からボール遊びをせがむやんちゃ坊主だった。

 野生のウインディに一目惚れし、独り立ちして所帯を持ちたいと懇願してきたから、コイツの為にストーンサークルのある場所まで炎の石を拾いに行ったのも、今となっては良い思い出だ。

 

 

『今はただ、ゆっくりと家族団欒しながら休みな。俺もその内そっちに行くからよ』

 

 

 話している間に我が家に到着してしまう。

 俺は我が家から少し離れた広い空き地に風呂敷を下ろすと、あちこちに盛り上がった土から木の芽が出ている地の、土が盛り上がっていない場所の土を掘る。

 ああくそ、涙が止まらねぇ。こんなんじゃアイツもその家族もゆっくり休めねぇってのに。

 

 俺は短い手で目元を擦り涙を拭うと、一心不乱に子供達一家が入れるほどの穴を掘り終え、その中に風呂敷から取り出した骨を手で一本ずつ入れていく。

 そして、日が暮れるころには子供達一家の骨の埋葬を終え、俺は土をかけ直し土の小山を作ると……アイツが好きだった木の実をその小山へ植える。

 

 

『またいずれ、そっちで会おうな。その時はお前が嫌だって言っても徹底的にボール遊びしてやるからよ』

 

 

 眠りについたアイツが心配がらないよう、今しばらくの別れの言葉を告げる。

 そして、空き地から立ち去ろうとした時、ふと背後から懐かしい声が聞こえた。

 

 思わず振り向いて見れば、そこには威風堂々とした佇まいのアイツに……寄り添うように傍に立つアイツの嫁さんと、足元でお座りしているアイツの子供がいた。

 ああ、全くお前もかよ……全く俺の子供達ときたらどいつもこいつも、そんな心配そうにしなくても俺は大丈夫だからよ。

 

 そう、口に出す事なくいつもの笑みを浮かべてやると、満足したように一声アイツは鳴くと。

 家族達と共に光の粒となって消え、天へと還っていった。

 

 

『さて、時間が結構過ぎちまったな。子供達が腹を空かしてるだろうから準備してやらねぇと』

 

 

 足早に我が家である木の下へ急ぐ。

 そして、そこには信じられない光景が広がっていた。

 

 

「やぁやぁヨクバリスくん、お邪魔しているよ?」

 

「全くこのヨクバリスときたら、委員長を待たせるなんて言語道断ですよ」

 

 

 この地方の顔役とも言える小太り気味の髭のおっさんことローズと、その秘書というより付き人なオリーヴがいた。

 清々しいまでのレジャースタイルで、大鍋でカレーを作りながら。

 

 いや何やってんだよアンタ。

 

 

「ちょっと野暮用があって近くまで来たからね、そしたらポケモン達がお腹減らしてたからカレーを作らせてもらったよ」

 

「ああ食材なら御安心を、こちらで用意しましたからそちらの備蓄には手を付けていませんよ」

 

 

 違うそうじゃない。

 若かりしダンデとナントカ団をぶちのめした時に、影に日向にフォローしてくれた恩人でもあるからこう無理やり追い返すのにも難儀する。

 だけどもこう、このおっさん達何かやらかしそうなんだよなぁ、いや俺の勝手な予測だけど。

 

 それにこのおっさん達、隙あらば自分達に俺の事勧誘してくるから若干苦手なんだよな、いや嫌いじゃないし悪い人間でもないんだけどもさ!

 

 

「ほら、君の分も用意したよ。特盛を超えた特盛だ……悲しい時は美味しいモノを食べるに限るよ?」

 

「ローズ委員長手ずから配膳されるなんて、うらやま……けしからんヨクバリスですね、貴方は」

 

 

 次々と周囲で目を輝かせて待ってるポケモン達にローズ達はカレーを振る舞い、俺にも山としか思えないぐらい大盛にされたカレー皿を差し出してくる。

 ああくそいい匂いがするなぁ、そして美味いなぁ、アイツにも食わせてやりたかったなぁ。

 くそ、ちくしょう、だけどスパイスきき過ぎて目にしみるぞちくしょう、気のせいかしょっぱいしやっぱスパイス入れすぎだろコレ。

 

 もんくを言おうにも、つらい時はつらいっていいなよとかいみしんなこと言いやがって、へんに気をきかせてはなれてんじゃねぇよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「委員長、スケジュールが詰まっているのにお戯れが過ぎます」

 

「まぁそう言わなくてもいいじゃない、彼には今しばらくこのワイルドエリアの秩序を守ってもらわないといけないからね」

 

「それは理解できますが……しかし、あのヨクバリスは本当に不思議なポケモンです、まるで人間のように振る舞っています」

 

「んーー、どうだろう、私はむしろ人間がポケモンのフリをしているように感じたけどね」

 

「それは、どのような意味でしょうか?」

 

「まぁ大した事じゃないさ、それよりも次の目的地へ行こうか……やるべきことはすぐしないといけないからね」

 

 




ちなみにローズさん的には、このヨクバリスは愛国者ならぬ。愛ガラル者認定されてる模様。
まぁ頼んでもないのにワイルドエリアで救助活動したり、ポケモン保護してたり……若ダンデと一緒に悪の組織に殴りこんでたらそう見られるよね。
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