気ままにのんびり思うがままに   作:reira

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前回より大幅に時間軸がとびます。
そのため、オルタナティブから小説の方に合わせます。ご注意ください


天使

攻略を初めて5ヶ月…2023年4月の半ば頃。

 

素材を集めて戻る途中、アルゴからメッセージが飛んできた。

 

 

 

《緊急依頼ダ!礼は弾む、話を聞きにきてクレ!》

 

 

 

こういう依頼の時は大抵困り事だ。私も素材を自室に置いておいてから、人を避けて遠回りして指定された場所へと向かう。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

10数分遅れ、なんとかたどり着いた。

人多いよー…避けるの大変。

 

「ごめん、待たせたわね」

「遅いぞラーちゃん!…まぁでもお尋ね者にされちゃったし仕方ないカ」

「こういう時、人避けながら合流する以外で不便性は感じないから問題ないわよ。で、なんの用?お姉ちゃんがいるのは珍しいけど…」

 

サラッとなんでもないように言うと悲しい目をされた、同情されても困る。

出所は分からないが、何故か有名人になってしまった。

その1件で色々あってキリト達とも縁が出来た

 

「もう、お姉ちゃんって呼ぶのやめてよ…誤解されるでしょ?」

「でも、呼んでもいい?って聞いていいよって言ったじゃない」

「うっ…まぁ、仕方ないわね…」

 

紆余曲折あってキリトとアスナと知り合ってデュエルを挑み、私はそこでお兄ちゃんお姉ちゃんと呼ぶことになっているのだ。

 

「で、結局なんなのよ」

 

私は話の続きをうながす。

 

「落ち着いて、聞いてクレ…キリトが行方不明ナンダ…」

「え?でも、アスナならフレンドだから場所が…

「場所なら分かるわよ。10層も下の層よ」

ならいけばいいじゃない」

 

そういうと、ため息を着きながらアスナがつぶやく

 

「私が行ったところで…戻るとも思えないし、そもそもそんなことをしてる理由が分からないのよ。

それに、私が10層も下の階で狩りしてるのを攻略組にボヤかれたらつるし上げられるわ。キリトももちろんそうなるのを分かってるはずなのだけど…」

 

……確かに私はどこにも所属していないし、素材集めでよく下の階にもいる。

 

「あんのアホ兄…わかったわ。連れ戻してくる」

「…いいのカ?」

「私がいかないで他に誰が行くのよ…」

「…気をつけてナ」

 

といって、私は10層下を降りた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

とりあえず私はそこで信じられないものを目にした。あのキリトが中層ギルドの面倒を見ていたのだ。

それとなく狩場に誘導して、安全マージンで狩るそれを見た私はキリトがなにをしたいのかまるで分からなかった。しかも、わざわざレベルの低いソードスキルで敵を倒している。隠しているとしか思えない。

 

とりあえず、そっと様子を見守ることにする。

 

何気なく狩場に誘導して、効率よく稼いでいる。このスピードなら、もうすぐ攻略組に追いつくかもしれない。

 

…だが、追いついてどうする?

 

なにより、雰囲気がおかしかった。

あの雰囲気は、確かに攻略組ではまず触れない雰囲気。そして、先に進む攻略組が触れるべきでは無い空気…

 

 

 

一言で言えば、『これはゲームであり遊びである』と感じる雰囲気。1人、あの女の子は違う雰囲気を纏っているが…

攻略組に行く以上、遊びではやってられないのは、キリト自身が1番よく知って……遊びたくなったのだろうか。しかし、そうとも思えない。

 

 

 

分かることはひとつ。これは近い将来、やらかすだろう。その奢りによって、勘違いによって…キリトは人を殺すかもしれない

 

…私はさらに監視を続けることにした。

また、保険としてアルゴにメッセージを飛ばす。別に浮気を咎めるようなものじゃあない、先のことを考えると必要になってくるかもしれないからだ。

 

 

 

***

 

 

それみたことか。キリトと女の子以外のギルドのメンバーで迷宮区になだれ込んできた。先回りして、入口でずっとたたかっていた風を装い、さっさと追い返した。

まだ罠があるって言うのに、呑気な人達だ。

そもそも私の外見のこと聞いてきたのはいいけど、「子供がゲームしたっていいじゃない」に対して「ま、それもそうか」で返す時点でかなりまずい。意識が低すぎる。罠のことも知らないみたいだし、そもそもの意識改革が必須だと判断する。

 

……何かことが起こっても無事なようにしなければ

 

 

 

***

 

 

 

2023年6月12日。

やはりやらかした。

何故罠多数の危険地帯に自ら足を突っ込んでいくのか。

コレガワカラナイ

 

キリトもとめる様子がないので私は《隠蔽(ハイディング)》を駆使してこっそりとついて行くことにした。

 

 

 

 

 

しばらく進んでギルドのシーフが宝箱を開けようとする。それを止めようとキリトがするも、何故か口ごもって止めきれない。ほんとアホ兄はアホ兄なんだから…

 

アラームがなってから私はかけだした

 

 

 

 

 

 

 


【キリト視点】

 

 

 

 

俺は宝箱を開けようとするシーフを止めようとするも、ここのことを知ってるとはいえず、口篭る。

その様子を見たサチも止めておいた方が…と言うものの、止まらない。

 

宝箱は無情にも開けられ、大音量のアラームが鳴り響く。

 

 

離脱するよう指示をだす。

そしてメンバーはクリスタルで転移__出来ない。

 

 

 

___《結晶無効化空間》

 

 

 

ここまではさすがに読み切れなかった。メンバーはパニックに陥る。

俺は、どうすれば_「お兄ちゃん、宝箱を壊して!」__っ!!

 

声に弾かれるように宝箱に上位SSを叩き込み瞬時に壊す。

 

…どがっ、だんっ

 

壊して振り返ると、すぐ近くにいたギルドのメンバーはみんな部屋の隅につみあげられ、横たわっていた。

ほとばしる電気のエフェクトから、それが高位の麻痺毒であることがうかがえた。

そして、そちらに向かわせまいと佇む俺の知り合い_小学生が犯罪者(オレンジ)としてそこにいた。

そして、そいつはすでに扇を構えて何かを放とうとしており思考させてくれない。

 

「避けてっ_!」

 

その動作に反射的に大きくとび_彼女から起こされた風が魔物達の動きを止める。大ぶりであることから、扇スキルの上位SSだろうか。

チャンスだ_動きの止まった魔物達をがむしゃらに切り倒す。

 

アラームも止まっていて新たな魔物達が来ることは無い。

俺が取りこぼしてギルドのメンバーに向かっていく敵数体は彼女が刈り取る。

…なんとか、全て終わらせた時。

彼女は俺の頬を殴りつける。もちろん圏外だからダメージが入る。が、それがどうしたというのだろう。既にこの子はオレンジだ。

 

「バッカじゃないの!!!このアホ兄!!!」

 

殴りつけられ、罵倒され、俺は_何も、言えなかった

 

さっさと戻ってくるよう、もう充分だろうと言われ…俺は頷いた

 

 

 

 

 


【サチ視点】

 

 

 

罠にかかった。

転移も、できない。

パニックを起こしたその時だった。

私達はいつの間にかその場で倒れて、そして蹴飛ばされて1箇所に集められた。訳が分からないまま視線を動かすと、キリトと犯罪者(オレンジ)カーソルの女の子がこちらにちかづけさせまいと、モンスターの対処をしている。キリトは今まで使っていない上位スキルを、女の子は見たことの無い武器を使っていて…私達は助けられたのだと察するのは早かった。

 

モンスターを蹴散らし、キリトを殴って罵倒したあとにその女の子は動けない私たちに「さっさと帰りなさい、もう2回目はないわよ」と言い放つと、姿を消した。

 

キリトはごめんとあやまったあと、場所を移動して転移し、その場を離れた。

 

残された私達は言われた通り真っ直ぐ帰ることにした。

色々あって、足取りは自然と重くなる。最後尾を歩く私は、そのまま先へ進み、曲がり角を曲がって__そのとき、突然手を引かれる

 

「っ!?」

「………」シーっ

 

犯罪者(オレンジ)の子供が静かに、とジェスチャーをして、飛びつくようにして壁に押しやられてマントを垂らして《隠蔽(ハイディング)》をする。

この人、私達を助けてくれた人だ。それに、なにか狙いがあるのだろう…と、私は言われた通り黙り込む。

 

シーフがここまで戻って来たけど、ため息をついて戻って言ったのを見て、見破られなかったんだと理解する。

 

「さてと…戻ってこないうちに_いこっ?」

「……」

ゲート結晶…どこか遠くに行くのだろう。私は…

 

「うん、いく。いこう!」

「ふふっ、そう来なくっちゃ!」

 

私は、その人とともにゲートへと入っていった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

ゲートをくぐって見たのは、可愛らしいお部屋だった。

ピンク色を基調とした部屋。カーテンには桜があしらわれていてテーブルの上には見事な花があしらわれている。何より目を引くのは綺麗なピンクのベッドの上を多種多様のぬいぐるみが占領していた。机の上にも可愛らしいお人形がちょこんとのっていて、ぬいぐるみが大好きなんだろうなぁと伺える。

 

「ようこそ、私のホームへ!歓迎するわ、サチ」

「あ、えっと…うん、よろしくね?」

 

正直、戸惑いが隠せない。もういっぱいいっぱい起こったのに、まだ詰め込むのか。

 

 

 

__そもそも、自己紹介もしてないのに何故、名前を知ってるのだろうか

 

 

 

「えと、その名前…なんで知ってるの?」

「ふふ、実は私はある人に頼まれててね。あのアホ兄をつけていたの。私、すぐ助けに入れたでしょ?それぐらい近くをね。

だからあなたのことも知ってるわ。あなたが槍から片手剣に変わろうとしても怖くて上手くいかなかったのも__

アホ兄と話してたあの水路で蹲ってたときのことも、ね?」

「えっ…あ、あの、あれは…ち、ちがうから…ね?」

 

ニヤニヤと詰め寄って言われ、思わず顔を赤く染めて拒否してしまう。

 

「全く、これだからあのアホ兄は…

ここ女性プレイヤー少ないはずなのになんであのアホ兄と関わると女性プレイヤーとあってしかもちょっと脈アリなのか…

もう私にも分からないわ…」

 

その様子を見て明らかにため息を着くその子はそうボヤくと、ハッと気がついたようにしてこっちを見る

 

「そうだ、私の名前サチは知らないのよね。私はラーク、ここでゆったり暮らしてるわ」

 

コホン、とわざとらしく咳払いをするとその子は…ラークは本題に入るのか真面目に話し始めた。

 

「それで、さっきつけてたことはいったわね。だから私はあなたのことを知ってる。怯えているとも知ってる。

…だから、私はあなたに提案したいの」

「提案…?」

 

扇子で口元を隠し、じっと瞳で訴えかけてくる。

思わずその姿にゴクリと唾を飲む。

 

そして、目が愉快なものを言うかのように。冗談めかすように。

彼女は言った。

 

 

 

「__あなた、私と心中しない?」

 

「えっ__」

 

 

 

彼女のこの提案が私の運命を大きく変えたんだって知るのはSAOがクリアされたあとの話…


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