気ままにのんびり思うがままに   作:reira

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あの後、サチと2人で話し合ってラークはギルド『風林火山』に真実を伝えることにした。

不安もあるが、ラークはこの城に住むものとしての好奇心も抑えられるものではなかったのだ。

 

「__ということ。つまり、あの話は最前線のボスの情報なのよ」

「あの話が、か?」

「えぇ。この情報はあなた達風林火山にあげる。私たちは誰にも話していない。どうするかは、あなた達が決めてちょうだい」

「おうよ!ま、なやむことなんてねぇ。情報、上のヤツらに伝えるぞ!」

 

クラインは、風林火山のみんなは黙って私たちの話を聞いてくれた。そして、彼らは迷わず最前線の攻略が進むであろう情報の売却をすると即決した。

ギルドのメンバーはみんな、嬉しそうにして喜んでいる。なぜ、喜んでいるのか分からない私は、不思議そうにそれを見ていた。

 

その情報を手に入れた鼠……ことアルゴが裏取りまでしっかりとしてくれた上、黒の剣士(お兄ちゃん)の活躍もあって破竹の勢いで進んでいた。

 

その間、私は風林火山のメンバーの面倒を鼠のアルゴと連携をして見ていた。なぜアルゴさんもかというと、アルゴさんは風林火山というギルドを攻略組の素質があるとして、情報のやり取りをしていたようで。私とアルゴのバックアップを受けた風林火山は攻略最前線にも追いついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな私には最近、楽しみのひとつが出来た。時刻は深夜。

私はサチを引連れて転移門のある町へと回廊結晶まで使って渡っていく。

 

「夜も遅いのに、人がいる…?」

「ゆっくり待ってなさい…しばらくしたら、来るわ」

 

ちなみにサチは初めてだ。というのも、ある日深夜に家をこっそり出る時にうっかり物音を出してしまい、サチに深夜時たま家を出ていたことがバレたのである。かなりの剣幕で問い詰められた私は、仕方なくサチをここに連れ出したのだ。事情はまだ話していない、見た方が早い。

 

「来る?誰が?」

 

だから、こうして訝しむように首を傾げているのも仕方ないのだ。……だからごめんなさい、睨むように見つめないで、怒ってるのはわかってるから。

 

そして、しばらくしてひょっこりと目当ての人が顔を出した。

 

「みんなー、集まってくれてありがとー!それじゃあ早速、歌うよー」

「歌?」

「えぇ、歌よ。彼女、とても歌が上手なの」

 

少なくとも私はリアルで聞いたり歌わされたりした堅苦しい音楽よりもこちらの方がよっぽど好きなの。…というにはさすがに人目があるためぐっとこらえる。

 

「もしかして夜な夜な外に出ていたのは…」

「彼女の歌を聞くため、ね」

 

単純に彼女の歌が好きで、私はファンの自覚があるのもある。

だが、なによりも……

 

「………!」

「……」ニコニコ

 

みんなの前で歌う彼女は私を見るとウインクして返してくれた。それに私は笑顔で手をふって答える。それを見たサチがもしかして、と前置きして聞いてくる

 

「…知り合い、なんですか?」

「えぇ。ちょっと縁があってね」

 

そう、出会ったのは風林火山のメンバーと知り合ってから少しあとのことだった_____

 

 

 

 

 

 

 

私は前線を超えて颯爽と探索し終えた後、相も変わらず下の層に降りて素材を集めつつレベリングをしていた。その時、どこからか歌声が聞こえたのだ。それもただの歌声じゃなく、どこか恐怖の入り交じった、助けを求めるような歌。気がつけば私は救出のために駆け出していた。

 

声の聞こえた方に向かう私は洞窟の中に飛び込む。すると、そこで目にしたのは動けないのか不自然に固まっている男性とそれを庇うようにしながら戦い、そして数匹の魔物と必死で歌う女性の姿だ。

不思議なのは、敵が全員女性の方に向かってきていることだ。あの歌にはタンク役が使うようなヘイト調整の効果があるのだろうかとどこか冷静に考えつつ、私は敵の背後をとって強撃を叩き込み、そのうちの一体を殴り飛ばす。

突然の乱入者にこちらを見る2人。

 

「助けに来たわ、さっさとやるわよ」

 

と、簡潔に述べた私は女性と、動けるようになったのか男とも協力して、さほど苦労することなくその敵を倒したのだった。

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

「ありがとう、おかげで助かった」

「ありがとう!急にエイジが固まるんだもん。私、死ぬかと思ったわ」

「それは……悪い、ユナ」

「まぁ、何とかなってるしいいよいいよ。ところであなた、名前は?」

 

敵がいなくなった洞窟の奥には宝箱が3つあり、私も少しおすそ分けをしてもらった。敵が集めようとしていた素材を落としたこともあり、なかなか実りがあった。

なんて考えていたら急に話を振られて慌てて名乗る

 

「私はラーク。こちらも名前を聞こう…と思ったけど話を聞くにユナとエイジって言うのかしら。2人とも、よろしく」

「あぁ、よろしく」「よろしくね〜」

 

片方は明るく前向きなお嬢様、片方は冷静沈着で頭がいい感じ…黒の剣士(お兄ちゃん)閃光(お姉ちゃん)みたいな、絆を感じる。いい組み合わせだと思う。

 

「それにしても、ユナって戦いながら歌ってたわね。歌が切り替わった途端、私とエイジにバフがかかったし、本当に器用なことするわ」

「ふっふっふー、私の歌は《吟唱》っていうちゃんとしたスキルなんだよ。だから、バフを入れられるの!」

「まて、あまり言いふらすのは…」

「助けてもらったんだし見てたんだから。隠すことじゃないでしょ」

 

スキルについて私に話すユナを咎めるエイジ。まぁ、突然現れたのだ。私は信用されてないだろう。対して、ユナは私との距離も近い。助けてくれたと私を信用していて、咎めるエイジに対して少し口をとがらせている。

 

「うふふっ」

 

私はその様子を見て、思わず目を細めて笑ってしまう。恥ずかしいので口元を扇子でかくしながら。

2人は突然笑いだした私を見る。

 

「ごめんなさい、つい笑ってしまったわ。おふたりとも仲がいいのに、何故か喧嘩してるんだもの」

「…まぁ、いいか。それでラークはどうして突然ここに?」

「森で素材集めしてたら歌が聞こえたから来ただけよ。まぁ、その素材もここにいた敵が落としてくれたからラッキーだったわ」

「森?少し遠い気がするが…」

 

本当に聞こえるものなのか?と怪しむエイジに私はあぁ、そういう事かと自分で納得した。そう、普通は森でにいたとしても洞窟からの歌など聞こえるはずがない。かく言う私も微かに聞こえたようなものだった。であれば、答えはひとつ。

 

「私、《聞き耳》スキルもちなのよ。熟練度もかなり上げてるってくらいには自信があるわ。それでたまたま聞こえたのね」

「なるほど…うん、たしかに先程の戦闘からして実力者みたいだし、それならば充分有り得るな」

「確かに!私たちよりもすごく強かったよね!敵をばばばーって倒してたもん!かっこよかったよラーク!」

 

そういわれると私は悪い気はしない。が、ちょっと恥ずかしい。

 

「べ、別にあれくらい普通よ……ユ、ユナの歌も素敵だったじゃない。私、あなたの歌とても好きよ」

「え?あ、ありがとう。もし良かったら、私はいつも深夜に歌ってるから、良かったら見に来てね!」

 

照れ隠し+本心から彼女の歌が好きであることを告げると、嬉しそうにそう言ってフレンド申請が来た。もちろん、とそう答えた私は彼女のフレンド申請をうけ、フレンド申請を飛ばす。

ずっと私を怪しんでいたエイジだが、彼女の歌が好きと言った後そうだろうそうだろうとユナのことを熱弁していた。最初は歌についてだったがだんだん本人の良さを褒めちぎっていた。そんな褒め殺しにあった本人はというと顔を赤くして照れて俯いていた。まって可愛い。エイジに同士ね、と告げる。信用も信頼もされて快くフレンド登録をしたのだった。

その後はどこで歌うか連絡が来るようになり、歌う時はいつも私は見に行くようになったのだった。

 

 

 

 

 

 

「………ってことがあったのよ」

 

私のちょっとした、それでいて珍しい他人とのかかわり。冒険話。サチは笑顔でうれしそうにして、そんなことがあったんですね、とサチはいう。さらに彼女はこう告げる。

 

「ほら、ラーちゃんはひとりぼっちじゃないんだよ」

 

「___そうね」

 

私はしばし、サチと手を繋いで歌姫の歌に酔いしれていた。

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