気ままにのんびり思うがままに   作:reira

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狂姫

とある日の朝。サチの様子を見ながら私は調合スキルでポーションを作る。

 

「……よし、出来たわ」

「やっぱりラークの作るポーションはすごいね…買い求めるのもわかる」

「えぇ、それをいつかあなたが作るのよ」

「…はい!」

 

サチはフィールドに出ずに生きる術を身につけつつある。見込んだとおり、モンスターを前にしている時よりイキイキとしていて楽しい。

ちなみにこの様子を撮ってケンタ…ギルドリーダーに通して話をしたところ、私と一緒の方がイキイキとしていることを認めてギルド脱退を認めてくれている。面倒事にならずに済んで良かった。

 

「さてと…やってみなさい」

「はいっ、えーと…」

 

と、私がフィールドを回ってとってきた素材を前に格闘するサチ。ちなみにサチがこうして作ったポーションの利益の1部は私が貰っている(別にいいといくら断っても断固として引かないサチに私がおれたともいう)。

 

フィールドでは私が作るものの他にサチのポーション作りに使えそうな素材もとってくるようになった。スキル熟練度の伸びは少しゆっくりになったものの、たくさん持っていくのでストレージがいくら増えても満杯になるために《所持容量拡張》の伸びがそのデメリットを帳消しにするように伸びがすごくよくなった。

生活も日々楽しく…色鮮やかに感じる。

そして何より…寝起きがかなりスッキリするようになった。これはかなり恥ずかしい話なのだが…夜、いつもうなされていたらしい(私は全く気が付かなかった…)。それを見兼ねたサチが一緒の布団に潜り込んで抱きしめて頭を撫でてあやしていたら止まったそうな。しかも、これによってすごく気持ちよく起きられる。不思議だ。

 

サチには負担をかけてしまうが…これくらいしか出来ないし嫌じゃないのでむしろ是非やらせてくださいと言われた。

その関係で、私とサチはいつも同じ布団で寝ている。

 

まぁとにかく、色々とサチのおかげで日々を鮮やかにすごしている。

 

調合も鍛治もできる広い家を購入した時は1人で家を使うことに違和感を感じたものだが…2人になった途端特に問題はないように感じた。日々どう転ぶか分からないものである。サチちゃんマジ天使

 

「よし、これで…できたー!」

「お疲れ様。それじゃ…売りに行きましょうか」

 

そうして、私達は身支度を整えて町へと駆り出した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

出来上がったようなので、アルゴにポーションを売るのをサチに任せて私は軽く町を隠れて見て回る。

路地裏。そこで少し老けた小太りの男性が若くてすらっとした男性に詰め寄り血眼で懇願していた。…若い男性側がすごい困った顔してる。どうしようかしら__

 

「なぁ、頼む!あの憎たらしいレッドどもに復讐を…鉄槌を!」

「おい、落ち着けって」

 

 

___っ!?

 

 

反射的に体が動いて小太りの男の背を掴む。

 

「んあ!?なんだてめ」

「話、聞かせて」

「んだよ、チビに話すことじゃ(ドゴン)__ひぇっ!?」

「聞、か、せ、て?同じこと何度も言わせないで」

「わかった、話す、話すから!!!」

 

説得が面倒になったわたしはかるく殴りつけた。圏内だから男のHPは減ることがないし、私もレッドになることはない。が脅しにはなる。

小太りの男は詰め寄るのを辞めてこちらをむく。

若い男性は面倒事から解放されて、やれやれと疲れたようである。さっさと休もうとどっかに行った。そんなことは気にしても意味が無い。

とりあえず、その男の話を聞く__

 

「《タイタンズハンド》…聞いたことないわね」

「頼む…奴らを潰してくれ…俺はあいつらに「これ以上無駄なこと話すなら依頼そのものを取り下げさせてもらうわよ?」っ…わかった、わかったから…頼む…」

 

どうやらこの男はどっかのギルドのリーダーで《タイタンズハンド》なるオレンジ集団に嵌められてギルドのメンバーを殺されたそうだ。動機や心情は省いても、到底許されることではない。

 

「月を背に、長鳴き鳥が鳴り響き、風が無窮に吹き荒れる…」

 

「…?」

 

「あぁ、気にしないで。依頼を受けるわ。大丈夫、恐るるなかれ。__あんなのより怖いものを見せるから」

 

 

 

 

少女は、笑う。

にこやかに、優雅に__

 

__そして、何より狂おしい殺気をもって

 

 

 

 

「ひっ!?」

 

 

___男は、感じた。感じてしまった。

その笑みの美しさを…狂おしさを。

 

「あぁ、あああっ…」

 

男は恐怖に体を支配され、逃げ出した。

 

 

 

その男に対して素早く回り込んだ私はこう続ける。

 

「まちなさい…こちらもやるからには条件があるから」

「ヒィっ!?」

 

男は怯えるようにしながら条件を全て飲んでくれた。というかイエスマンに成り果てていた。脅しがききすぎて怖いが、まぁ都合がいい。

素材や有用アイテムを大量にもらう前払いで話が済み、更にはこのことは内密ということで話が通った。

 

「__これで、交渉は成立ね。それじゃ」

「ま、待ってくれ名前を」

 

そう男が1歩踏み出した時にはもう少女の姿は消えていた。あたりは静寂に包まれた。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「サチ、ここにいたのね。売るものは売った?」

 

サチの居場所を探してみたところ店でのんびりアルゴと食事をしていた。優雅ダナー

 

「あ、ラーク…うん。全部売ったよ」

「お、ラーちゃん。どうだ、ラーちゃんも一緒に」

「私は急用ができて…ごめんなさい」

 

急用ができて一緒に過ごせないことを伝える。

2人とも残念そうだが仕方ないと言った感じだ。

 

「それから、サチはしばらくお留守番お願いね?私、夜は帰ってくるから。アルゴはサチの事見てあげて」

「う、うん。お留守番だね、任せて」

「お母さんかヨ……って、待て待てマテ!?オイラは情報屋だゾ?お守り屋じゃ…」

 

まぁ、そう返ってくるだろうと思って流れるように返す

 

「サチの情報を毎日決まった日時に届けてって言ってるのよ。その度に私がその情報を買う。ま、新聞みたいなものよ。だから悪い話じゃないわよね?」

「なるほど…確かにそれなら情報屋の案件ダナ。わかったゾ」

 

やっぱりアルゴさんはこういう時頼りになる。

……笑う棺桶(ラフィンコフィン)のせいで圏内でも安心出来ないから、こういった保険があると本当に役立つ。

 

私は転移門からそのオレンジギルドのいる層へと向かった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

準備を整えた私は獲物(レッド)を探す。

 

……みぃつけた。

宿をなんだか慌てているようすで駆け抜ける、見るからに怪しいやつをストーキングする。そして着いた先は例のオレンジギルドの本拠地だった。ここを壊滅させればいい…が、リーダーが今不在みたいだ。

 

「なぁ、例のリーダーが見繕ったやつがプネウマの花取りに行くらしーぜ?」

「は?まじで?あれすごい高く売れるやつじゃん」

 

《プネウマの花》__たしか、ペットの蘇生アイテムだったわ。たしか中層辺りでドラゴンテイマーとして活躍している女の子がいたはず…その子かな?名前忘れたけど。

 

あ、メッセージ送ってる…ほうほう、リーダーとこいつらでプネウマの花をとったその子を襲うとな。場所も日時もゲットだぜ。

……あれ、これそしたらその時こいつら殺せば依頼全解決やんけ。やったぜ。

 

 

 

***

 

 

 

指定の時間、指定の場所でじっと待ち構える。

 

そこに現れたのはやはりドラゴンテイマー…シリカ(気になって調べた。中層だと有名らしい)。そしてその子を連れているのは__黒の、剣士(お兄ちゃん)…?

 

わけが、わからない。う、うん。まぁ、そこはそれ。とりあえず様子を見ていると、キリトも依頼を受けているようだった。

しばらくしてキリトが囲まれ殴られる。も、削られてはオートヒーリングで回復しているので全く意味がないことをしって後ずさりするオレンジギルド…げっ、やばっ

 

「はぁっ!!」

「ぐあっ!」

「なっ!?」

 

刹那、私は飛び出して駆け出し__キリトの死角となる位置からシリカに向けてダガーを投げつけようとしていたレッドの輩を拳でなぐりとばす。呆気なく爆散し、死亡する。それを見て驚愕に染まるシリカとキリト。そして怖気づくオレンジギルド。

 

「全く…詰めが甘いわよ、このアホ兄」

「…ラーク、なんでここに」

「ふふ、私も依頼を受けたのよ。別の人から…《タイタンズハンド》のやつらをぶっ潰せ、生死は問わない…ってね」

「なっ」

「「「ひぃぃぃっ!?」」」

 

殺気を込めて視線を向けると怯えに怯えたオレンジギルドのやつらがその場にへたりこんだ。腰が抜けたと見える。

……この腰抜けどもめ

 

「ま、お兄ちゃんが潰してくれるならそれにこしたことはないわ。まぁ…下手に逃げたり喚いたりするのなら私が処理するけど」

「やめろ、お前が動くと死者が出る…もう少し配慮して考えて動いてくれ」

「むー、考えて動くの面倒なのよ」

 

というわけで後のことはキリトにまかせた。

 

「……黒の剣士の、妹?まさか、アイツが狂姫?」

「狂姫……って、前線組に1人で楯突いて大半を壊滅させたっていう、あの?」

「あぁ、前線組の何人かがアイツの手で殺されたらしい」

「「「………」」」

 

もう、こちらに襲いかかってくる者はいなかった。面倒臭くなった私はキリトに投げた。その途中喚いたグリーンカーソルのやつを殺そうとしたら怯えて従順になった。張り合いないなぁ。

ま、アホにいのおかげで楽できたししっかり潰せたからあとは…

 

「よーし、これにて依頼達成伝!それじゃあね、お兄ちゃん!」

「あ、おいっ!」

 

留守番してくれてるサチのためにも、そこらじゅう走って素材となる花をかきあつめていって私は帰った。

 

帰ってサチに花のブローチをつけてあげたら花が咲いたような笑顔でありがとうと言ってくれた。サチちゃんマジ天使。

なんか、お礼にってベッドでギュッて抱きしめてくれた。疲れてたのか、私はそのままサチに抱きしめられるままに寝ちゃった。

心配かけてごめんね、サチ。でも、ずっと一緒だから。

 

__その日はぐっすり眠れた。

 

 

 


【シリカ視点】

 

 

 

キリトさんが囲まれて殴られていたけど全く削れない。痺れを切らしたのかそのうちの一人が私と目が合った。

嫌っ…!

私に向けてなにか投げてきて、それで何も出来なくて目を瞑った私。でも、何も起きなくて…目を開けると、私と同じくらい、いや私より小さい子供がその人を殴って__その人の姿はなくポリゴンとなって散っていくところだった。

 

仲間の1人が散って、狼狽える皆さんに続く言葉が、さらなる驚愕を与える。黒の剣士をその女の子はアホと罵倒しながらお兄さんと呼んだ…つもり、この子がキリトさんのいっていた妹さん__つまり、キリトさんに準ずる戦闘力。一撃で散っていった人がそれを証明していて…

 

心を完全に折られた彼等が、キリトさんの指示通り自ら黒鉄宮に入っていった。それもそうだろう、指示通りしなければ_妹さんに引き渡され殺されるであろうことは想像に難くない。唯一抵抗したロザリアさんは犯罪者(オレンジ)カーソルになると脅したものの、そんなのは依頼を受けた時点でキリトさんは覚悟している。と、全く屈しず。

それどころかニコリと笑って扇を構える妹さんをみたロザリアさんは怯えて、そのまま黒鉄宮へと送られました。

 

 

 

「キリトさん……」

「シリカ……」

 

 

 

妹さんが去っていったあと。

互いに、言いづらくて押し黙る。

__その沈黙を破ったのはシリカだった。

 

「キリトさんの妹さんってあんな感じなんですね。聞いてた話とは違」

「いやあれは妹じゃないからな!?」

 

誤解と気がつくのにしばらく時間がかかりました。

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