気ままにのんびり思うがままに   作:reira

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投稿遅れてすみません。
オリジナルストーリーは展開が難しいと感じましたね……難産でしたし文字数少なめです。




その後も、私は零とともに色んな場所を回った。

 

朝に私達は集まり、ファーストフードのお店でご飯を食べようとしていた。

 

「……ここはどこでしょう、マスター」

「ここもご飯を食べるところよ。ほら、一緒に食べましょう」

 

普段は人と来れないようなご飯を食べるところも、この子と一緒だから楽しめた。また今度、サチともこういったお食事してみようかしら。なんてのんきに考えるほどに。

 

ちなみに、零は私のことをマスターという。どこからか、名付け親のことをマスターというと知識を得たらしい。誰だそんなサブカル的なこと教えたのは。

 

「なかなか美味しいじゃない」

「……もぐもぐ」

「よっ、またお前らこんなとこで食べてるのか」

 

突然混ざってくるお兄ちゃん。まぁ、お兄ちゃんだしいいか。

 

「よければお兄ちゃんも一緒に食べよ?いいよね、零ちゃん」

「ラークが良ければ、もちろんです」

「あー……ごめん、ちょっと用があってさ」

 

まぁ、幼女二人に男性一人は気まずいのかも。

お兄ちゃんはそのまま去っていった。

 

「……お兄ちゃん、追いかけなくていいのですか」

「用事があるみたいだから。私は私であなたと行くところがあるからね」

「そう、ですか」

 

零ちゃんは納得していないみたいだった。まぁ、もしかしたら一緒に動く可能性もなくはない。

 

「それじゃあ、いこっか!」

「はい、行きましょう」

 

零ちゃんを連れて私はフィールドにでた。向かう先は、この間見つけた滝の洞窟だ。

 

 

 

__________

 

_____

 

 

 

「たぁぁぁぁ!!」

 

洞窟で、カエルを相手に戦う私と零。私が前に立ち、カエルの相手をしていて、零は一度後ろに下がってチャンスを伺う。

攻撃を避けながら扇スキル《梳流し》を入れていく。じれったい攻撃に、カエルは大ぶりの攻撃を構える。非金属鎧の回避重視の私がその攻撃を喰らえばひとたまりもないだろう。

 

「スイッチ!!」

「任せてください」

 

そこに、見た目に反してカチカチの金属鎧で身を固めている両手斧を振りかぶった零が前に出る。小さな体で振るわれたフルパワーの斧はカエルを両断する形でその力を示した。

零のプレイはパワー重視、火力重視だ。ちょっとやそっとの攻撃では、硬い金属鎧に弾かれカウンターをもらって吹き飛ばされる。

 

「零、ナイス!」

「……ラーク、ナイスとはどういった意味ですか?」

「よく頑張ったね!偉いよ!って褒めてるの」

「ふふ、頑張りました」

 

連携がうまくいって喜ぶ私に、言葉の意味を聞く零。しかし、教えれば教えるほどその表情はどんどん豊かになっていく。

 

「そろそろ、つくよ!」

「はい、がんばります」

 

そうやって、目的地にたどり着く目前だった。目的地前の広場にドスン!!!と大きな地響きとともに巨大なものが落下してきた。四つ脚に、硬い鱗。そして大きな尻尾に鋭い目。その姿は、紛れもないドラゴンだった。

 

「グルルルァァァァァ!!」

 

「え、ドラゴン!?私がいたときはこんなのいなかったのに……!?」

「来ます、倒しましょう!」

 

戸惑う私を差し置いて、ドラゴンが突っ込んでくる。

私は横っ飛びで避けたが、零は避けれずにくらってしまった。

 

「零!?」

「だ、大丈夫です……くっ」

 

武器でなんとか受け止めたようだが、長くは持たないだろう。

 

「この……ていやぁ!!」

 

《投扇》スキルで扇を投げ、私は思いっきり跳躍。

先に投げた扇が命中し、HPが微量とはいえ削られたドラゴンはこちらを振り向く……その鼻っ面に、跳躍で高く跳ね、蹴りの体勢にうつり、渾身の力で蹴り落とそうとした蹴り__俗に言う、ライダーキックが思いっきり命中した。《格闘》スキルで補正されているそれはドラゴンのHPを大きく削り取る。

この世界は、ソードスキルを使えばシステムアシストが働く。それにより、誰でも大きなダメージを与えられる。

が、システムアシストが働いたときと同等の攻撃を行い、その形をしっかりとイメージすることができれば。同じように大きなダメージを与えることができるのだ。

 

私は鼻をそのまま鼻を蹴り飛ばしつつ宙返りをするように飛び跳ね、先程投げ当て宙を舞っている扇を回収し、着地。そんな私に、ドラゴンが完全に狙いを定めたのか私に向かって吠えたてた。

大きくダメージを受け、荒れ狂うドラゴン。

 

「零、私の後ろにできるだけ回って、準備!」

「任されました」

 

避けながら、相変わらず《梳流し》を入れてちょっとずつ着実にドラゴンのHPを削っていく。

 

「グルルゥゥ」

 

__キタ!!

 

ドラゴン定番の息を吸い込む予備動作を見た私は、扇をさっと広げて構える。

 

予測どおり、ドラゴンは熱波を伴うブレスを吐き出した。後ろには零もいる。このまま喰らえばひとたまりもない。

 

「せいっ!」

 

私が前でなければ。

 

私は開いた扇で羽を広げ、突風を放つ。そうして、ブレスをそのままドラゴンに返す。

 

__システム外スキル《吐息返し》で逆にダメージを受けたドラゴンは怯む。しかし、私も突風を起こしたコストもあってすぐに動けない。だから、私は叫んだ。

 

「スイッチ!!!」

「了解です」

 

零が、両手斧の渾身の一振りを怯んだドラゴンの鼻っ面にたたきおとす。その渾身の一撃はドラゴンの硬い鱗ですら貫通し、私が頑張って削ってのこり3分の1となっていたドラゴンのHPを消し飛ばしていった。

 

 

 

__________

 

_____

 

 

 

私と零がたどりついた先。それは……

 

「どう?零」

 

「……綺麗、です」

 

光が差し込む滝の洞窟。そのほとりに、私と零はいた。

持ってきたバスケットに料理を持って、レジャーシートを広げて座る。お昼ご飯だ。

なお、私の手作りである。料理スキルも持ってるので大丈夫。

 

「お味はどう?」

「……美味しい。朝のお店より美味しい。おかわり」

 

お気に召したようで何より。

 

「ありがとう。ふふ、今度は私の友達も連れて来ようかしら」

「お友達?」

 

零の口元についた食べかすを布で吹きながらいうと、コテンと首を傾げる。

 

「ええ。私にとって大事な人よ」

「そう。あってみたい」

「今度紹介するわね」 

 

そんな話をしていたときに、外からこちらに来る足音が聞こえた。《隠密(ハイディング)》スキルで後ろを……

 

と、迅速に動いたラークと零は、襲撃者を逆に倒すべく行動する。が、外から来た者をみて安全と判断した。

 

「おにーちゃーん!」

「わっ!? ら、ラークか……脅かすなよ」

 

そう、朝声をかけてきたお兄ちゃんだ。

 

「朝からついてきたのですか? 私、言葉を知りました。ストーカー、というんですよね」

「違うって!」

「まさか、私を心配して……大丈夫よ、お兄ちゃん」

「クエストがあってきたんだ!」

 

二人のボケに頭を抱える、黒の剣士であった。

 

「竜を倒して奥の宝を手に入れてもちかえる依頼だ。でも、竜がでてきてない。まだどこかに潜んで……」

「竜……」

 

もしかしてだけど、それって……

ふと、零の方を見ると同じように思い至ったようだ

 

「マスター、先程竜を倒しましたがもしかして……」

「……テヘッ?でも、私達だって災難だったんだから。いきなりポップするんだもん」

「……そうか。残念だ」

 

肩を落として落胆するお兄ちゃんに、お昼ごはんの中でも特別なものを取り出して口に突っ込んでやる。

 

「あぶ!?……」もぐもぐ

「どう?自信作なんだけど……お詫びにね?」

「……美味い。カツサンドか?」

 

うむ、食べると筋力がほんのちょっぴりあがるカツサンドなのだ。零向けに用意したものだったが、まぁお兄ちゃんだしね。

 

「うん。結構料理も上手になったよ」

「マスターの料理は、お店より美味しいです」

「まぁ、ラークだしな。ただまぁ、その……なんつーかなぁ」

 

む、カツサンドとハンバーガー、フライドポテトに焼きそばパンのお昼ごはんに何か文句があるのだろうか

 

「ちゃんと野菜も食べたほうがいいぞ?俺が言えたことじゃないけどな……こう、炭水化物ばかりとは」

「同意。マスター、お野菜も食べましょう」

「む……ハンバーガーにレタスあるじゃない」

 

私の返事を聞いて、ため息をつくふたり。いいじゃないか。

うん、そう。私は野菜が苦手なのだ……ただ、何故かサチのサラダは食べれる。最初はサチの料理の野菜もダメだったが、サチが頑張ってくれたみたいで。今ではサチのサラダくらいしか野菜は食べていない。私が肉料理担当で、サチが野菜担当になることも多い。

 

「ま、いいか。せっかくだし一緒に昼飯食べようぜ」

「もちろんいいわよ。食べましょ」

「御意」

 

こうして、私達はのどかなひとときを過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会議により明日、クエストNPCを囮にフィールドボスを攻略します」

 

別れのときが刻一刻と迫っているとも知らずに。


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