気ままにのんびり思うがままに   作:reira

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閃光

「え、これ全部?」

「えぇ」「うんっ!」

 

今回のクエスト報酬

・武器(人に合わせてるのか、扇だった。今使ってたのよりかなり高性能)

・着物(動きづらいと思ったけどかなり動きやすいし性能も高い)

・カチューシャと指輪(どちらもDEXとAGIに補正)

・少なからずのコル

 

…多くない?

 

「でも、その…似合う?」

「うん、似合ってるよ!」

「そう…」

 

全体的に花柄でかなり目立つし恥ずかしい。私ぼっちなんだけど…

 

「ありがとう。大切にする」

 

まぁ、扇は助かる。

扇のデメリットとしてコストにある。優雅さが求められる扇は装飾がしっかりしているからかコスパが非常に悪い。求められるコルも高く、普通買おうともしない。だが、私の戦闘スタイルだと両手扇なので2つめの扇をどう買うか悩んでいたところなのだ。

だから、こうしてクエスト報酬で貰えるのはとても助かる。私の戦闘スタイルも幅をきかせられる。

 

「それじゃあ、またね。アガサ」

「うん!」

 

そうして、私は村を後にする。次に向かうは迷宮区だ。

 

…さすがに目立つので顔はしっかり隠すようにする。服装備も普段のものに変えておく。ぼっちは目立つのを嫌うのだ。

 

ちなみに迷宮区に行くのは別に攻略法したいからでは無い。私はこの世界でいう攻略組…ガチゲーマーになるつもりはないのだ。

ただ、この世界での暮らしを楽しみたい。ここは私にとって現実(ファンタジー)より仮想世界(リアル)なのだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

「………」

 

迷宮区に行くと、戦闘音が聞こえる。みてみると、ものすごい光景があった。

 

「はぁぁぁ!」

 

私と同じフードをした細剣使い。その技のキレは私に迫る…いや私を超える程のキレ。

 

ただ…なんというか、2体迫ってきてるのに1体を集中攻撃しているのはどうだろう。あ、SS使った…いや硬直中に狙われるでしょそれ、馬鹿なのか

 

「ふっ…!」

 

AGIに物言わせてあいだに割り込みパリングして《雅打ち》でとどめを指す。

 

「…余計なことを」

「余計って?ただ、私はあなたに交渉したいのよ」

「…何が目的?」

 

怪しむようにじっと見つめてくる。それで初めて、このフードの人が女性なのだと分かる。

私の目的を達成するのにはちょうどいい。

 

「今あなたが倒してたコボルトのドロップする素材を買いたいの」

「……何が欲しいの」

「…『コボルトジャンク』」

 

コボルトジャンクとは、コボルトを倒すとドロップする、コボルトの使う質の悪い武具の総称だ。それでも始まりの街の店売りのをそのまま使うよりかは強いが、強化が出来ないという決定的な致命点があるのと、ここの前の村の装備より弱いということもあり、使われることは無い。

私はまず使うつもりがないので関係ないが。

 

「そんなものドロップしたことないわ」

「あぁ、知らなかったのね…コボルトの使ってた武具のことよ。何本かドロップしてない?防具でもいいわ」

「それなら結構あるわ…邪魔だしタダでいいわよ」

「え?」

 

流石に驚いた。いいのか本当に。

 

「いいの?」

「用途はわからないけれど、使うんでしょう?私使う気ないから」

「ありがとう、借りは必ず返すわ。あ、これ渡しとくから自由に使って」

「………」

 

予想外に目的のものをすぐに手に入れられた。わたしは早めに撤退する。心配ではあるが…私ではどうしようも無い。とりあえずポーションを何本も置いておいてこの場を去る。

 

そのまま私は迷宮区を出て最寄りの街…トールバーナの工房付き宿へと帰る。

 

宿を取れば工房を自由に使える分少々割高だが、楽しむためには努力を惜しむつもりは無い。今日はひたすらコボルトジャンクをインゴットにして打ち直していた。結構いい武器が作れた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

その後しばらくクエストを受けてダンジョンを探索しながらクエストをクリアして、夜は採取したアイテムを調合してポーションにして、インゴットにして叩いてインゴットにしていた。

休む暇もない充実した日々。

どれだけ望んでも手に入れられない日々を与えてくれた仮想世界(リアル)に感謝し、精一杯励んでいる。

そう。だからこそ、この仮想世界であのおじさんが…昌彦が目指した姿を私も1度見てみたい。そういった意味であの細剣使いはすごく良いと思う。ぜひとも上に昇ってもらいたいものだ…だが、私が助けるのは違う。というのも私は別に現実世界(フィクション)への帰還はまったく望んでいない。私はこの世界の住人として色んなスキルを上げて、クエストを受けて住民と共にすごしたいのだ。

だから、酷なようだけど目的を同じくする人と共に行くべきなのだと私は思う。

 

…そんな細剣使いのような才あるもの達の会議が開かれようとしていた。その片鱗を見れないかと、わたしはその会議を遠くから見ることにする。

とりあえず反対側の手頃な塀に腰掛けてそっと見守ることにする。

 

「よっと、やっぱりここが一番だよナ」

「…アルゴ、さん?」

「おう、俺っちはアルゴであってるゼ」

 

最初の1層で話しかけた時に初めてこの世界のフレンド欄を埋めた『情報屋』である。

というか、遊んでた私にメッセージを送ってここに招待してくれたのが他ならぬアルゴである。

 

「…ごめん忘れてたわ」

「いやいや、それって困ったことが特になかったってことダロ?それはそれでいいんじゃないカ?」

「そうね…あ、そうそう。やっておきたいことあるんだった」

「ン?なんダ?」

 

そう言って私はトレード欄に用意していたコルを詰め込む

 

「おいおい、なんだこの大金ハ……?」

「『口止め料』。私に関する情報に対してこれだけの口止め料を払うわ。もちろんこの口止め料を払うことに付随する情報全てについての口止め料も含むわ。これだけあれば十分でしょ」

「十分すぎるゾ…」

 

私が払ったのは6万コル。ぶっちゃけ私としては楽しめればそれでいいし、店売りを買うより採取して装備を自分で作る方が性能がいいので必然的にコルはそんなに要らなくなる。となると、このコルの使い道は情報屋に私の情報伏せてもらうくらいしかない。…邪魔されたくないのと、恨みを買う可能性を恐れてだ。

 

「…みんなが稼いだ分さらに払っていかないといけない。私ははらい続けることになる。だから、約束して」

「何をダ?」

「……『情報屋』を続けること。もし辞める時は口止め料はらい返して貰うわ。そういった制約も込めてのその額よ。あなたを信用して言ってるんだから」

 

私の気ままな仮想世界生活(リアルライフ)は誰にも邪魔させない。そのためには情報屋との取引は必要不可欠になる。

 

「…当たり前ダロ、俺が情報屋を辞めるのは死んだ時だけダ」

「まだあなたを信用出来るほどあなたを知らないのよ」

 

正直なところ、情報屋を続けてもらえるかどうかはアルゴへの信頼にかけていた。だから、私は信じたいと思うしそれを期待できるのだが。

 

「そうカ。わかった、そこまで言うならこれはちゃんと受け取って取引どうりにするゾ。そして、ラーちゃんをお得意先として認定するゾ。ラーちゃん、これからよろしくナ」

「ええ、よろしく」

 

こうして、私とアルゴの奇妙な関係が始まりを告げた。アルゴが可愛いと気がつくのはまだ先の話。

 

「…そろそろかしら」

 

人が集まってきた。もうしばらくすれば始まる可能性もある。

 

「あっ、あの子…良かった…」

「ん?あぁ…見てて肝が冷えるヨナ。お、キー坊も一緒カ、ナラ大丈夫ダ」

 

ホッと一息つく。あの細剣使いが無事ということはおじさんの理想の姿が見られる可能性が上がる気がするのだ。

 

「その、キー坊って子の情報買ってもいいかしら?もちろん払うしこれを買った情報とは別で口止め料を払うわ」

「了解ダ。口止め料に関してはさっきの分に含まれるだろうから気にする必要はナイナ」

「わかったわ」

 

アルゴがニヤニヤしながらメッセージをうつのを見てキリトの情報を得ながら、しばらくたって。ようやく攻略にむけて会議が始まった。

…はずだ。ただ、正直訳が分からなかった。会議の中に悪意を少なからず感じてしまって…吐き気すらした。さっさと出たい。

 

「…見る意味ないわね」

「そうカ。まぁ攻略組じゃあないからナ。それならここにいる意味は無いんじゃないカ?無理に続きを見ろとは言わないサ」

「えぇ…ありがとう。それじゃあまたね、アルゴ」

 

 

 

 

 

 

わたしは会議を抜け出した。そして、その後私は1度も会議を見ることも参加することも無かった。

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