気ままにのんびり思うがままに   作:reira

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鍛治

2層についてしばらく。私はひたすらに素材を集めて武器作成及び調合をしていた。

 

これはある晴れた日のこと。魔法以上のユカイが_そもそもこんな場所(ソードアート・オンライン)に魔法なんてないからわからないが。まぁ、そんな日のお話。

ダンジョンから素材をたらふくとってきて、ホクホク顔でルンルンと帰り道に街を歩いていた時だった。

 

 

 

儚く、うつくしい澄んだ金属音__

 

 

 

私が日常生活で普段から耳にする音(・・・・・・・・・)。普通の人は耳にすることがない音が、《聞き耳》スキルをもつ私の耳に入ってきた。

 

何をしたのか、私にはよく分かる。ただ、それが鍛治屋から聞こえたことが問題で、つまり__

目を向けると、客にペコペコと謝る体格のいい青年_恐らく店主であろう人がいた。

 

 

 

「……すこし、見てみましょうか」

 

 

 

店主に会って見る。それがいいと思った。

ほとぼりが冷めたころに、私はそのお店に入る。

 

 

 

***

 

 

 

「いらっしゃいませ。メンテナンスですか?」

「ええ。メンテナンスを頼むわね」

 

その人はほっと一息つくとメンテナンスを始める。とても、丁寧な作業をする彼…悪い人には到底見えない。

しばらくして綺麗になった扇を受け取る。

 

「ありがとう、名前は?」

「ネズハです」

「ネズハ…その名を名乗るのならそんなみみっちいことしてても意味ないわよ」

「へ?」

 

あ、これめんどくさい事になるやつだ。

直感した私はそれじゃ、と言いたいことだけいって踵を返す。

…出ていった私はアルゴにメッセージを飛ばした

 

 

***

 

 

 

「なぁ、オイラに情報を売るって本当か?」

「えぇ」

アルゴを部屋に呼び出した私。要件は情報を売ることだった。

 

「強化失敗の確認、か?確かに胡散臭い…武器が壊れることは無かったんだよナ…」

「素材とか場所は提供するから、好きなだけやってみて?」

「あぁ、分かっタ」

 

それからアルゴは幾度となく強化した。

スキルを持ってないため失敗ばかりだったが、1度も武器が壊れることは無かった。

 

「なぁ…全く壊れることなんてないゾ」

「そうよ。だって武器が壊れるなんて1つの状況しかないもの」

「な…武器が壊れることがあるのか?」

「ええ、一つだけ。確実に武器が壊れることがある条件がある。それを満たすと、武器は確実に壊れるの」

 

アルゴが強化したうちの1本を手に取る。既に《強化施行回数》の上限に達した武器を、手に取って…

それを、私は素材を使って強化する。

そして__武器が壊れた。

 

「なん、ダト…」

 

アルゴが続けてやって見る。その後、同じように武器が壊れた。

 

「この情報はキリト達もあとで欲しがると思うから、もし本人達が欲しがったらサービスしてあげて」

「ならサービス料で1000コル頂くゾ」

「はい」

 

この鼠、他人にサービスするのにもお金をとる。まさに情報屋の鏡である。

とりあえずめんどくさい事をキリト達に押し付ける作戦だ。ヒントはこうして与えてるのだからいいだろう。

 

「で、あとこれも依頼なんだけど」

「ナンダ?」

 

続けて…暇つぶしにとある提案を試みた。

 

「キリトとデュエルがしたいのだけどいいかしら?」

「……は?」

「キリトとデュエルがしたいから連絡して?もちろんお金は払うわ。殺しもしないから」

「むむ…むむむむむ。まぁ、分かっタヨ。ただ、理由を教えてくれよナ」

 

というわけで、暇つぶしに確認したいことがあると理由をいってデュエルを申し込んだ。アルゴは訝しんでいる様子だったが、引き受けてくれた。

そして、本人からも許可が降りた。これで、見られると思う。私の試したことの無い可能性を__

 

 

 


【キリト視点】

 

『なぁ、キー坊に対してデュエル依頼が来たぞ。どうする?受ける?あぁ、相手は特に勝ち負けで賭け事は提示していないぞ?』

 

突然そんなメッセージが来た。

何があったのだろうか…

 

アスナと話をしてみると…そもそもデュエルというものを知らないようで。一旦見てみた方がいいといって、納得してデュエルをすることになった。いつでもいいなら明日でどうかでいいかなという話になった。

 

 

 

午前7時頃。

路地裏の人目につかない、少し開けた場所。

 

「お互い、いい勝負をしましょう」

「あぁ……よろしくな」

 

相手…ラークと名乗る少女と裏路地にて向かい合う。デュエルの申請をお互い飲んで、カウントダウンが始まる。

 

「うふふ…」

 

軽く笑った彼女は、扇子で口元を隠すのをやめて舞を踊り始める。

 

「わぁ…素敵…」

「……」

 

いつぶりだろうか。人の踊りを見るのは。

現実を感じるようなものだったり

とても上手で、華麗な…何故か儚く感じるその舞に心を奪われて__

 

「キリト君っ!」

「っ!?」

 

デュエルが開始された合図まで、迫りこんでいた扇に気が付かず。投げつけられた扇が俺の体を浮き上がらせた。そのチャンスを逃さないように、突っ込んでくる相手。

 

__そうか、これは。これがディアベルが感じた…

 

ディアベルが食らったものと同一の状態にあることに気がついた俺は体を丸めるようにして防御姿勢をとる。

彼女は驚きながらも、そのまま拳を複数回打ち込んできた。《体術》のスキルなのだろうか。俺も知らないソードスキルだ。

 

防御姿勢をとっているとはいえ、ソードスキルをもろに食らった俺。回避型でタンク型の成長をしていない俺のHPは黄色まで下がり、デュエルの結果は負けに終わった。

 

「……素晴らしかったわ。あそこで防御姿勢をとったのは英断だったわ」

「いや、してやられたよ。強いんだな」

 

握手を求める俺の手を少女は握り、健闘を称え合う。

そんな時に少女はいった。

 

「ところで、HPがどれだけ減ったか教えてくれる?」

「え?6割くらい減っているけど__」

 

そこで、恐ろしいことに気がつく。デュエルが5割近くから今のを食らって6割_つまりHPが0になったら__

 

「なるほど。半減決着でもHPは5割未満になるのね…アルゴ!注意喚起頼むわよ!」

「あぁ。言われなくてもするゾ…キー坊、すまない」

 

なるほど、確認をするためのデュエルだったのか。と、落ち着ける状況じゃあなかった。

 

「今後、デュエルを安易に受けないことをおすすめするわね」

「あ、あぁ…いや、待ってくれ」

「なに?キリト」

 

口元を扇子で隠す。余計胡散臭さを感じるその仕草に、俺は嫌悪感を募らせる。

 

「なぜ、俺にデュエルを申し込んだんだ?」

「暇だからよ」

「…は?」

 

アルゴは、あちゃーと言った感じで。アスナは目を点にして呆れていた。

 

「やることやって、過ごして。暇になったからデュエルをしようって。自分なりにわからないところがあったし_」

「_ふざけるなっ!!!」

 

俺は怒った。目の前の女の子は訳が分からないというふうに首を傾げている。

 

「たかがゲームの1戦、たかが1回のデュエル、そう思うのは勝手だ、だけど…それを対戦相手の俺にまで…他人にまで押し付けるな!!」

「……!!!」

 

……たしかに、巫山戯ていた。そう、なら…私は…この人達に何を望んで…

 

そう考えて、私はある提案をした。ずっと、欲しかったもの。

 

「__そうね。ごめんなさい。巫山戯ていたわ。だから…私は勝った報酬を要求するわ」

「…何がいい?」

 

私には無いもの。剣の奇跡を芸術(アート)にしうる者。それに求めることは…

 

 

 

 

 

「キリトをお兄ちゃん、アスナをお姉ちゃんって呼ぶわ。抗議は受け付けない。それでいいわね?」

「……は?」

 

 

 

 


 

 

 

デュエルで負けた。だが、そのデュエルはお巫山戯だったのだ。

流石に狙いも何も無いそれに、俺は怒り、巫山戯るなといった。

 

そして、向こうが提示したものは……兄。

それを言われて脳裏に浮かぶのは妹…正確には従妹だが。

 

まぁ、似ても似つかないうえに、その呼び方をされても実害も無い…

 

「まあ…別に構わない。負けたのは俺だし、実害もないしな」

「えっ、キリトくん」

「それじゃ決定。よろしく、そしてさようなら。お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 

そして、その子はアルゴと共に去っていった。

 

「…寂しいのかな。あの子」

「うーん…」

 

寂しいというよりも、その子はなにか抱え込んでるのかもしれないと感じた。けど、今は_

 

「でも、とにかくまずは強化詐欺について調べないと」

「…そうね」

 

俺たちは切り替えて強化詐欺について調べることにした

 

黒幕に、謎の雨合羽男が暗躍していると知るのはもっと後の話……

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