やはり俺のGBNはまちがっている。   作:八重垣八雲

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10話目投稿します。


今日、この場よりビルドダイバーズの伝説が始まる。

俺といろはが恋人関係になり数日が経った。

 

当初は、危惧した通り好奇の目線に晒されたり嘲笑などがあった。しかし、そんなことは関係ねぇとばかりに突撃してくるいろはと、何だかんだで構っている俺の様子を見てそれも終息していった。下卑た笑いが困惑に、最終的にはハニトーをマッ缶で流し込んだ様な表情になるのは中々の見物である。

 

 

それでもちょっかいを掛けてくる輩はいる。主に男子生徒だが。県内有数の進学校に在籍しているといえども所詮は男子高校生、頭の中は色欲に満ちている。

 

そもそも人の彼女に言い寄ってくるなと言いたい。どうせいろはの容姿に釣られてフラフラと寄ってきたのであろう。男子を惹き付ける様は宛ら誘蛾灯である。怒られるから言わないが…

 

別にいろは以外にも、総武高には容姿に優れた女生徒はいる。

特に2学年は群を抜いてレベルが高い。まぁ、他の学年の事は知らんが。

何て言ったって、雪ノ下と三浦という二大女王が君臨している。それに加えて、由比ヶ浜も人目を惹く容姿をしている。特に一部が。

ただ、高嶺の鳥兜な雪ノ下や気性の荒い三浦が相手だと、普通の男子なら萎縮をしてしまう。

由比ヶ浜ならそんなことはないが、前述の二人がいるので生半可な男子はおいそれと近付けない。なんなの、君たち。普段はいがみ合ってる癖に由比ヶ浜相手だと甘くない?氷と炎が両方そなわり最強に見える。

 

その点、外面のいいいろはは接しやすい。誰にでもニコニコとアザとらしく笑顔を振り撒いているので、与し易く感じるのだろう。隣にいるのが俺みたいなボッチであることが、更に拍車をかけている。

ワンチャンを狙い玉砕する輩もちらほらいた。肩を落としとぼとぼと去っていくなら、まだマシな方である。

 

納得いかないのかしつこく絡む輩もいる。今も俺のことをdisりながらいろはに詰め寄っていく。

いろはに危害が加わらないようにと、念のために持ち前のステルス性を駆使して隠れていた。

雪ノ下にまた過保護谷くんとかストーカー谷くん呼ばわりされそうだが、心配なもんは心配だ。それに、いろはも俺がいることに気付いている。あいつには俺のステルスは効果ないからな。

杞憂で済めばいいと思っていたが、危惧していた流れになった。不逞な輩を止めるべく隠れていた場所から出ていく。だが、その前にいろはが動いた。口元に笑みは浮かべてはいるが、目は笑っていない。あ、これ、いろは怒りのスーパーモードだわ。頭の中で燃え上がれ闘志 忌まわしき宿命を越えてが再生される。

 

……そこからはもう一方的だった。わたしの恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて地獄に落ちろ!!!とばかりの早口お断り芸が相手の男子に突き刺さる。その口撃、まさに疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドランク)。玉砕どころか爆発四散である。

 

さっきまで威勢の良かった男子も、最早茫然自失としている。

更にトドメとばかりに、俺を見付けると満面な笑みを浮かべて抱きついてきた。ヒートエンドもびっくりのオーバーキル。

 

後に由比ヶ浜から聞いた話では、氷の女王、獄炎の女王に継ぐ第3の女王・暴風の女王とまで呼ばれているらしい。祝え!新たなる女王の誕生を!

 

 

生活指導担当である平塚先生に喚ばれたこともあった。

 

俺たちが付き合っていることにより勉学がうんたらかんたらということらしいが、生憎と成績は下がっていない。長いことボッチでいたから、ガンプラ以外には本を読むか勉強するぐらいしかやることなかったし……

いろはも総武に合格出来たぐらいだから、それほど成績は悪くない。

 

そもそも異性交遊に関する校則などないはずだ。知らんけど。

 

業を煮やしたいろはが、平塚先生に俺たちがいかに健全な付き合いをしているのか話し出した。俺たちの普段のやり取りを聞いているうちに、平塚先生の目に涙が浮かぶ。

もうやめて!いろはす!とっくに静ちゃんのライフは0よ!

トドメとばかりに俺のプロポーズ紛いの告白まで話す始末。おいバカ!マジでやめろ!それは俺にもダメージが来る!

 

最終的に平塚先生は「末永く爆発しろーーーーーーーーーっ!!!!!!」の叫びとともに泣きながら去ってしまった。

いろはは一仕事やり遂げたとばかり、

 

「愛の前に悪は滅びました」

 

とふぃーと一息付きながら宣う。

おい、いろは、平塚先生は別に悪じゃないぞ。生活指導員としての職務を全うしていただけだ。あぁ見えて大変そうだから、少しは労ってやれ。

色々と不遇な平塚先生の幸せを願うばかりである。誰か早く貰ってあげて。俺はもう無理だから。

 

 

 

× × ×

 

 

 

慌ただしいリアルでの反面、GBNでは俺たちアザレアには特に変わりはない。

 

ミッションをこなしたりバトルをしたり。それと話題のスイーツ(笑)を食べたり。いや、確かに美味かったけどさ。

ただ、必殺技を覚えた途端、これ見よがしに使うようになりやがった。わー、エフェクトが派手だねー。いじめですか、そうですか。

 

まぁ、あいつらも何だかんだでGBNを楽しんでいるようだ。だから絶対許さないノートへの記入は勘弁しておく。

 

 

代わりと言ってはなんだが、相変わらずの俺たちと違い、リクたちがフォースを結成した。いつもの4人に、新たに2人を加えた6人体制。

 

新しく加わったメンバーは、エルフ風の男性のコーイチさんに、ダイバ忍ーーーもといくノ一のアヤメさん。

コーイチさんはモモが使用しているカプルのビルダーらしい。あの時に圧倒されたクォリティーからして、俺より遥か高みにいるビルダーだ。

アヤメさんはシャフリさんの偽者の時の人らしい。トリナに言われるまで忘れてた。その時の縁で入ったのだろうか。

 

なんにせよ、ほぼ初対面の人を勧誘するなど、俺には真似できない芸当だ。小町といい、最近の中学生(推定)のコミュ力の高さには目を見張るものがある。

フォース名はビルドダイバーズ。なんか主役みたいな名である。

 

そして、そのデビュー戦を縁あって観戦することになった。

まぁ、マギーさんからのお誘いなんだが……

俺達以外にも、 シャフリさんやタイガーさんも応援に駆けつけるようだ。なんとも豪華な応援団である。

 

折角だからと、フォースメンバー全員で見に行くことになった。俺とトリナ以外はリクたちと同期みたいなもんだし、違うフォースの戦い方

を見れば戦術の幅も広がるだろう。

 

そんなこんなでぞろぞろと来てみれば、

 

「やぁやぁ、初めまして。私がロンメルだ」

 

会場にはGBN動物アバターで最も有名なフェレットがそこにいた。ロンメル大佐!?

 

リクにユッキー、コーイチさんは驚いてしどろもどろとなっている。そりゃいきなり目の前に有名人がいれば、誰だってそうなる。俺もそうなる。

だから、動じることなく佇んでいられるアヤメさんは何だろうか。何、心臓がルナチタニウム合金ででも出来てるの?すぐにキョドる俺からしたら羨ましいんだけど。

サラモモコンビは「かわいいかわいい」と連呼しながら撫でくり回している。君たち、見た目はでかいフェレットだけど、中に人がいるんだからね。…って、リマチちゃん!なに一緒になって撫でてるの!?はしたなくてよ!

 

「やめてー!その人凄いひとー!」

 

「そうだぞ。どうしても撫でたけりゃ、ネコノで我慢なさい」

 

俺とユッキーで慌てて止めに入る。

ユイユイは暢気に「なんかお父さんみたい」とか言ってるが、止めるの手伝いなさいよ。

 

「ハハッ、構わないよ」

 

初対面でいきなり撫でくり回されたらお叱りが入りそうなもんだが、ロンメル大佐は笑って済ませてくれた。大人だ。

 

「よくも私を身代わりに差し出そうとしたわね、クズ谷くん」

 

ヒェ!!

 

 

しかし何故、新人フォース同士の対戦にロンメル大佐が?そう思っていると説明が入る。リクたちの相手はロンメル隊の下部フォースの新人らしい。自分はあくまで応援なのだと。ロンメル大佐の言葉を受け、相手側のフォースメンバーが一斉に敬礼をする。なかなかどうして様になっている。フォースの色と合間って訓練施設を出たばかりの新兵の様だ。

 

フォースランク2位の関係者相手で若干萎縮してしまっているビルドダイバーズを、タイガーさんとシャフリさんがそれぞれの言葉で激励する。途中で何時ものやり取りになっていたが、お陰で彼らの緊張は抜けたようだ。

 

二人のやり取りをぼぉっと聞いていたら、トリナに脇腹をド突かれた。え、俺もなんか言った方がいい流れ?

 

「あー…、多かれ少なかれ相手さんは油断してるだろうし、そこを突きゃなんとかなるんじゃね。知らんけど」

 

我ながらいい加減なアドバイスだが、互いの実力がよーわからんからなんとも言えん。まぁ、初心者とはいえセンスのある3人に、ベテラン勢と思われる2人が加わったことだし、遅れはとらないだろう。

 

ビルドダイバーズは所定の位置に向かう。それを見送り観戦席となっているギャロップのデッキへと移動する。高台に停まっていることもあり、戦場が一望出来る。こんな大人数でいると、少々手狭に感じるが……

 

「遅くなってすまない」

 

どことなく聞き覚えのある声に視線を向ければ、そこには副官の二人を引き連れたチャンピオンがいた。

 

今度はチャンピオンかよ。この場の有名人率高過ぎィ!?俺達の場違い感が半端ない。やだ、すっごく帰りたい。

 

どうやらリクたちは、チャンピオンともフレンドを結んだらしい。チャンピオンと知り合えるなんて、どんな縁だよ。べ、別に羨ましくないんだからね!

 

チャンピオンがこちらに近付いてくる。

 

「君がヤハタくんだね」

 

いきなり話しかけられて「ひゃ、ひゃい!」なんて返事をしてしまうのも仕方がない。だって、チャンピオンだ。現時点、このGBNで最強と言っても過言ではないダイバー。それが彼、クジョウ・キョウヤである。

一応はランカーとはいえ個人ランク88位でしかない俺とは実力、ガンプラ技術、経験ともに高い壁が存在している。スクールカースト上位と下位の差のようなものだ。いや違うか。

だからトリナ、人を指差してケタケタ笑うな。曲がりなりにも恋人だろうが。

 

「メンバーから君の話を聞いて、いつか僕も会いたいと思ってたんだ」

 

チャンピオンからそう言ってもらえるとは、非常に光栄である。

 

しかしはて、俺の知り合いにAVALONのメンバーなんていたかしらん?と記憶を探る。リアルと同じでGBNでの知り合いもそんなにいない。

登録者の少ない脳内名簿に一人該当者がいた。

そう言えば奴もAVALONの制服を着ていたな……

 

「へー、先輩、AVALONみたいなトップフォースにもお知り合いがいたんですねー。女ですか?」

 

と、トリナが聞いてくる。目のハイライトが消えてるけど、なに、妬いてんの?可愛いじゃねぇか。

 

「ちげーよ。俺のひとつしたの順位の奴で、何度か戦ったことがあるってだけだ。それに男だ」

 

ぽんぽんとトリナの頭を撫でながら答える。

 

ふと、脳裏にHi-νガンダム使いの仮面のイケメン野郎が浮かんだ。仮面なのになぜイケメンか分かるかって?ガンダムの仮面キャラはイケメンと相場がきまってるんだよ。

 

俺とトリナのやり取りを見ていたチャンピオンは微笑むと、

 

「彼も君との再戦を心待にしている。近々連絡があると思うから、その時は宜しく頼むよ」

 

そう告げると、俺たちから離れメンバーの方に向かっていった。

奴との対戦か…… チャンピオンには悪いが少し……いや、かなり面倒だ。

 

ランカーとしてそれなりに多くの戦歴を抱えている俺だが、その中でも件の奴との戦いが一番厄介だった。

何が厄介かって、奴さんがびゅんびゅん飛ばしてくるファンネルである。遠距離から狙撃しても盾にして防がれ、隠れて接近しようにも全方位攻撃でビームをばら蒔かれる。

それだけファンネルに集中していると並のダイバーなら本体の挙動が疎かになりそうだが、奴はそんな隙は見せてこない。寧ろファンネルと巧く連携して攻め立てくる。ワールドランカーは伊達じゃない。

今のところは勝ち越しているが、いつ抜かれるんじゃないかと思うと、冷や冷やしてくる。88位というランク、割りと気に入ってるんだよ。本名的に。

 

「その割りには先輩、楽しそうな顔をしていますよ」

 

トリナがニコニコしながら俺の顔を覗き込む。

 

「……まぁ、何だかんだ言ったって、強い奴と戦うのは楽しいしな」

 

自分が作り上げたガンプラの出来、操縦する技量、今までの戦闘経験、持ちうる全てを出しきって勝ちを掴むのは堪らない。

スミルノフ大佐曰く、これが勝利の美酒というものだ。一度味わってしまうと病み付きになってしまう。やだ、ヤハタったらバトルジャンキーみたい。

 

「普段は捻くれてるくせに、こーゆー時は先輩も男の子ですねー。かわいー」

 

俺みたいな男に向かって可愛いとか言うな。それは戸塚に相応しい言葉だ。ええい、頭を撫でるな!ちょっと嬉しくなるだろうが。

 

「おにーちゃん、おねーちゃん、いつまでイチャイチャしてるのさ。モモちゃんたちの試合、始まっちゃうよ!」

 

いつまでもグダグタしている俺たちを見かねたのか、リマチが呼びに来る。ハイ、スイマセン……

 

気を取り直し、デッキから戦場を俯瞰する。ジャブローを舞台にしたそこは、視認性が悪く奇襲には持ってこいの地形だ。実に俺向きである。

 

相手方の第七士官学校はザクベースで組まれたミリタリー色の強い顔触れだ。MSVかな。機体の方向性が統一されている分、統率性・連携力は侮れない。

対するビルドダイバーズは、それぞれの個性がよく出た構成である。機体どころか作品すらも被らない。機体の特色を活かしどんな戦い方をするから見物だ。

 

 

「第七機甲師団が名前を隠して新フォース向けのイベントにエントリーするなんて、ちょっと大人気ないんじゃない?」

 

「新人教育に必要なのはまず勝利だ。私は飴を与えるのが得意な指揮官なのだよ」

 

マギーさんからのチクリとした一言にも、余裕綽々とした態度で答えるロンメル大佐。

あいつらが甘いキャンディとは限りませんよ。トリナばりにスパイスが効きってきまくってますから。

俺の内心を読み取ったのか、トリナがこちらを睨んでくる。そう言うところがスパイス効きまくってるんだよ。

 

 

開幕早々に爆発音が広がる。第七士官学校の仕掛けたトラップの反応のようだ。自分たちの罠に獲物が掛かったとなり、早くも楽勝ムードになりながら確認に急ぐ面々。

おいおい、いきなり油断していいのかね。あいつらはそんなに甘くはないぞ。

 

案の定、罠に掛かったのはフェイクであり、そればかりか地雷の御返しまである。爆煙を切り裂き、ユッキーのGMⅢビームマスターとモモのモモカプルの反撃が開始された。

 

「先手はリクくんたちのようだね」

 

「まだまだ始まったばかりだよ」

 

チャンピオンからの言葉にも、ロンメル大佐の態度は崩れない。デッキチェアに寝そべり優雅にカクテルを飲んでいる。その声と態度が合間って、なんかフラグにしか見えない。

 

リクのダブルオーダイバーが、地形を利用し罠を張り、相手を追い詰めていく。ロンメル隊の得意分野取られちゃってるぜ。

 

撤退する相手にコーイチさんのガルバルディリベイクから追撃弾が飛んでくる。Ζのガルバルディβを、最新の鉄血仕様にするとは。細身だった原型機が、グシオンさながらの堅牢な装甲を身に纏い玄人好みの機体になっている。

 

目まぐるしく変わる戦況、僚機からの報告に浮き立つ指揮官機。そこに突如見えない攻撃が入る。隠形で隠れていたアヤメさんのRX-零丸からのアンブッシュである。アヤメさんの見た目通り忍者をモチーフにした機体は、SDガンダムの小柄な体格による機動性とピッタリの相性である。

 

それにしても、忍者か…… ステルス性を活かした戦法の俺にとって勉強になる機体である。フォースを組んだ今、これから先スナイパー仕様では対応仕切れんことがあるかもしれない。俺自体は不意討ちが特性なだけであって、別に遠距離狙撃に拘る必要もない。これを機に新しいウェアを作るのもいいかもしれん。

あいつらの糧になればと来てみたが、俺にも考えさせられる物がある。これだからGBNは止められない。

 

水辺に追い込むことでモモカプルの本領が発揮される。

 

 

「あらあら、ついに新人部隊の陣形がくずれたわね」

 

「殲滅戦は乱戦になりやすいからね。最後は個人の力量さ」

 

ロンメル大佐はそう言うが、当初の余裕がなくなっている。それに個人の力量なら、あいつらも中々のもんですよ。

 

水中でモモに追い詰められていた機体が、勢いよく飛び出す。そんなに慌てて大丈夫かね。急な飛び出しは事故のもとだぞ。迂闊な相手をフォースのスナイパー・ユッキーが狙撃する。強化された粒子の奔流がマツナガザクを貫く。先ずは一機。

 

陸地に上がったモモとアクトザクの一騎討ちが始まる。両の手にビームサーベルを発信し向かってくる相手に、モモカプルが回転しながら突っ込む。単純な挙動ゆえに容易に迎え討たれると思われたそれは、岩にぶつかって動きが変わるというラッキーにより回避。呆気に取られる相手を撃ち落とした。これで二機。

 

「こりゃ態勢決まっちまったかな」

 

「あーもうなにやってるのー。パーフェクト負けなんて絶対許さないんだからー」

 

普段のダンディーな姿とは打って変わり、駄々っ子のような態度になってしまっている。これが普通のおっさんがやってるならドン引きものだが、見た目は愛らしいフェレットの姿なので違和感はない。可愛いは正義とはよく言ったものである。

 

残りの機体をリクとアヤメさんが追い詰めていく。しかし、2対3なので第七士官学校側が数的に有利だ。ドズル中将も戦いは数と言ってたからな。

そこに気付いた相手方は、果敢に攻めてくる。

今のうちに数で囲んで叩いていけば、逆転の目がある。

 

まあ、駆け付けたコーイチさんにより、その差は埋めれるんだかな。

 

仕上げとばかりに、ビルドダイバーズは一気に攻め出した。

 

アヤメさんは、ザクキャノンの弾幕を大型手裏剣をぶつけることで切り払う。トドメは三体に分身し一斉に切り裂く。そして三機目。やはり忍者に忍術は付き物だな。俺もなんとか再現出来ないものかね。

 

コーイチさんは重装甲とパワーを活かしザクを往なしていく。最後は鉄血らしく大型の得物で挟み潰す。顔に似合わずエグい攻撃である。これで四機目。残すところあと一機。

 

リクと指揮官機ーーあ、この機体、よく見たらギャバン用ボルジャーノンだわ。ビルダーの拘りを感じるなーーの一騎討ちとなる。相手からすれば何としてもパーフェクト負けは避けたい。マウントされたガトリングシールド乱射し、必死に攻めている。

対するダブルオーダイバーは新造されたバックパックのウィングを展開し、一気に距離を詰める。凄まじい加速力だ。この速さ、相手の目にはさぞ驚異に映るだろう。

挨拶とばかりにガトリングシールドをひと突き。銃身を縦に割られ破壊される。これで遠距離攻撃を封じた。

しかし相手もさることながら、お返しとばかりにGNソードを弾き飛ばす。この咄嗟の判断力は並の新人では出来ない。下部とはいえ、第七機甲師団所属は伊達じゃないか。

 

だが、リクも負けてはいない。距離を取ると両肩にマウントされていた大型剣を抜き放つ。背部のバーニアを吹かせて飛び出す。煌めく粒子が飛行機雲のように軌跡を描く。スピードの乗った斬撃をすれ違い様に叩き込む。一瞬の静寂の後、相手の機体は爆散した。

全機撃破完了。これにてバトルエンドである。

 

終わってみればビルドダイバーズの大勝利だ。

 

「リクくんの成長が素晴らしい。格段のレベルアップを果たしている」

 

べた褒めだな、チャンピオン。

 

こちらの応援団の和やかな雰囲気に対して、第七機甲師団側は沈痛な面持ちである。ロンメル大佐に至っては魂が抜けかけている。

 

「やはり新人教育に必要なことは、飴ではなく鞭だね」

 

彼等の行く末に合掌。

 

 

バトル終了後、お互いの健闘を称えてリクとロンメル大佐が握手を交わす。戦いから結び付く友情というやつである。友だち少ないからよく知らんけど。

 

 

リクたちは、サラにミッションの報酬であるペンダントをプレゼントしていた。リクとサラのやり取りを、回りの人間は微笑ましそうに見ている。

 

トリナ、羨ましそうにチラチラ見るな。目を潤ませるな。お前がやってもあざといだけなんだよーーーまぁ、そのうち、な。俺だから期待すんなよ。

 

 

「ビルドダイバーズのみなさーん、アザレアのお二人もそろそろ集まってください」

 

AVALONの眼鏡の副官さんの呼び声が掛かる。

え、なに、記念写真撮るの?ビルドダイバーズが主役なんだから俺いなくていいんじゃない?

 

「えー、お兄ちゃんも写ろうよー」

 

「そうですよー」

 

「一緒に撮ろ?」

 

リマチにモモサラが上目遣いでこちらを見てくる。分かったからそんな目で見るな。大人しく写るから。

 

「…ロリコン」

 

低く冷たいトリナの呟きが刺さる。

ロリコン違うわ!お兄ちゃんスキルが発動しただけだ。第一、お前もその恩恵受けまくってただろ。

 

「つべこべ言わずさっさと来てください!」

 

トリナに腕をがっちりホールドされ集合写真に写る。写真慣れしていない、プラス腕に当たる柔らかな感触で変な顔をしていないか心配である。大丈夫だよね?

 

 

 

こうしてビルドダイバーズのデビュー戦が終わった。

 

下部フォースの新人とはいえ、第七機甲師団相手にジャイアントキリングをした彼らのネームバリューは高くなるだろう。ライブ中継されていたから、それを目にしたダイバーも多い。更には、チャンピオンを始めとした高位フォースからも目をかけられている。注目の的というやつだ。

これからは不特定多数のフォースから、対戦依頼やアライアンスなどがじゃんじゃん増えていくことになる。なんか、宝くじ当選後に知らない親戚が増えるみたいだな……

 

この先ビルドダイバーズがどうなっていくかはまだ分からない。この勝利を糧に更に研鑽するか、それとも天狗になり堕落していくのか。

でも、まぁ、彼らなら大丈夫だろう。別段、根拠があるというわけではないが、勝利後の笑顔を見てそう思った。

 

何はともあれ、ビルドダイバーズ、初勝利おめでとさん。




バトル(を観戦する)回でした。
次回はちゃんと八幡がバトルをします。
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