やはり俺のGBNはまちがっている。   作:八重垣八雲

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お読みいただきありがとうございます。
3話目投稿します。


当たり前の様に、一色いろはのガンプラはプラスチックとエポパテと素敵な何かでできている。

一色はぽかんと口を開き呆けていた。ちょっといろはちゃん、口を閉じなさい。アホの子に見えるわよ。

 

やがて立ち直ると、

 

「や、先輩に頂いたこれがありますし。」

 

と、手にしてたGNアーチャーを見せてくる。確かに俺なりに手をいれてある分、そこいらの素組よりは出来がいいとは思う。劇中に迫った動きが出来る。しかし……

 

「あくまで組んだだけだ。お前の為の機体じゃない」

 

そう、いくら出来が良くても、機体は劇中そのままである。性能を忠実に再現しているに過ぎない。原作を知っていれば簡単に手が読めてしまう。

作中の設定に囚われず、自分の世界観で作り上げたガンプラを動かせる。それがGBNの醍醐味だ。

一見なんの変哲もないGMでも、中身がフル・サイコフレーム構造で伝説の巨神ばりの活躍をするかもしれない。はたまた2機のムサイが合体し、全身に武器を仕込んだザクの化け物になることもある。

劇中では味わえない無茶も楽しむことが出来る。だからこそGBNの人気は高いといえる。 それに……

 

「それに、ってなんですか」

 

「いや、なんでもねぇよ」

 

まとわりつきながら「えー、なんですかー」と言う一色をあしらいつつ、販売コーナーへと向かう。

言えるわけないだろ。お前の楽しむ顔が見たい、なんて……

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

あの後一色と連れ立ってガンプラのコーナーに来た。棚一面ところ狭しとガンプラが並んでいるのは壮観である。

 

「それで、どうすればいいですか? 先輩みたいにガンダムに詳しいわけではないですしー」

 

と、一色が問いかけてくるが、難しく考える必要はない。

 

「気に入ったものがあったら言ってくれ」

 

これにつきる。

 

暫くの間、「むー」と目を細めて棚を眺めていた一色だったが、

 

「なんとなく、これがいいかもです。」

 

そう言い、1つの箱を持ってくる。オレンジのボディに巨大な翼、所々のクリアーパーツが映える機体は、

 

「スクランブルガンダム」

 

である。知名度はそんなに高くない。ガンプラアニメの続編の、しかも特別編で出ただけだからな。……中の人的なチョイスを感じる。いや中の人って誰だよ。

だが、性能面からしてみれば、決して悪くはない。二丁のライフルに可変機能、今使用しているGNアーチャーに近いものがある。

 

「まぁ、いいんじゃないの。」

 

何よりも自分で選んだガンプラだ。その分愛着も湧く。

 

今日はこれだけを買い、上がることにした。

本気で組むには微妙な時間だし、改造するにもコンセプトは決めておいた方がいい。それに春休み中だから、十分に時間がある。始めから一色と一緒に組み立てるのもいいかもしれない。

一色を家まで送り帰路についた俺は、これからの事に柄にもなくワクワクし出した。

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

翌日、一色には俺の家まで来てもらった。道具も一通り揃っているし作業するには最適である。

何度も来ているからか一色も慣れたもので、今も妹の小町とキャイキャイ話しながら上がってくる。小町も一色の事をお姉ちゃんと慕っており、一色も妹の様に可愛がっている。だが小町は俺の妹だ小町が天使だから仕方がないが小町は誰にも渡さんでもこれからも小町と仲良くしてあげてね

 

「先輩、キモいです」

「このごみィちゃんは……」

 

解せぬ……

 

 

「ではでは、小町は出掛けて来ます。お姉ちゃんはゆっくりしていってください。いっそこのまま住んで本当のお義姉ちゃんになっても… あ、今の小町的にポイント高い。」

 

と、抜かして出掛けて行った。こら、余計な事を言うんじゃありません。一色も赤くなるな。

 

 

事前に、一色にはどんなガンプラにしたいかを書き出してもらっていた。

いろはすメモ曰く、

 

・かわいい

・つよい

・空をとべる

・わたしっぽい

・先輩といっしょ ←これ重要‼️

 

うん、具体例が空をとべるしかない。かわいい、つよいは兎も角、なんだよわたしっぽいって。あざとさ全開にでもすればいいのか。最後に関してはノーコメントで。

 

だが、依頼者のオーダーに対してはビルダーの腕の見せ所。どんな無茶振りでも答えたくなる。

でも、いろはちゃん、これあなたのガンプラだからね。ベッドに転がらない脚もバタバタしない見えちゃうでしょ。………ちっ、見えない!

 

 

小町により変になった空気を払拭して、肝心のガンプラ作りを始める。先ずは本体となるスクランブルガンダムの組み立てだ。まだ素体の為、そこまでガッツリ作り込まなくてもいい。後からバラしやすいようにダボを切り、仮組をしていく。一色と手分けをして1時間ほどで組み上げる。

 

あとはジャンク箱や今まで組んできたものから、コンセプトにあったパーツを探していく。実物を見ることにより考えが纏まってきたのか、 W0EWを手に取り「この羽かわいいですねー」「空から地べたを這いず…、地上にいる敵を狙えたら楽じゃないですかー」とか「もっと本物の鳥に近い変形がいいかもです」など、アイデアが出てくる。こうして、大まかではあるが一色のガンプラの形が見えてきた。

あとはパーツを組み込んで形にしていくだけである。

だがここが一番難しいところである。本来なら違うものを組み込むという作業であり、相応のセンスがいる。それでも、一色はお菓子作りが得意というだけあり中々器用な手先をしていた。工程1つを取っても丁寧である。慣れていないからか、作業スピードはそこまででない。だが、将来はいいモデラーになる―――

 

「なんですかもしかして口説いてますかこのガンプラの様にお前との未来を組み立てていこうなんて実に先輩らしいプロポーズですがお互いまだ未成年なんで先輩が18歳になったら改めてしてくださいごめんなさい」

 

「なんで腕を誉めただけで断られるの」

 

そんな軽口を叩きあいながら、俺たちの時間は過ぎていった―――

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

一色とガンプラを作り始めてそれなりの日数がたった。早いもので、明日には一色の入学式を控えている。入学準備もあり最近は一色を呼んでいない。

 

「なんとか間に合ったか」

 

机の上には組み上げられたガンプラが佇んでいる。原型機よりも薄いオレンジの塗装に、細身になり女性的なシルエット。特徴的な天使の翼と、えげつないまでの重火器。可憐な見た目と裏腹にスパイスが効きまくりな、実に一色いろはらしい仕上がりになった。

 

壊れないように丁重に梱包し、小箱へ入れる。準備は整った。一呼吸し、登録されている一色の番号を呼び出した。

 

 

 

 

「珍しいですね、先輩からいらっしゃるなんて」

 

あれから慎重に自転車を運転して訪ねると、一色は開口一番にのたまった。普段は送っていくぐらいだもんね。上がるのはまだ勘弁してください。

 

「出来たからには、早いうちに渡したかったんだよ」

 

綺麗にラッピングされた箱を取り出し、

 

「まぁ、なんだ、入学おめでとさん」

 

そう言って差し出す。

 

一色はくすり、と微笑み

 

「入学のお祝いがガンプラなんて、先輩らしいですねー」

 

わたし以外なら減点ものですよー、と言いながら受け取った。悪かったな、センスなくて。

 

ガシガシと頭をかき、話題を変えるように、

 

「名前は決めたのか?」

 

そう問いかければ、一色は頷き、

 

「インセパラブルガンダム。切り離せない先輩との愛の結晶です」

 

と、ウィンクひとつ、満足げな笑顔で答えた。

 

……まったく、あざといんだよ。

 

 




次回バトルとGBD側のキャラが出る予定です。


オリジナルガンプラ解説

機体名:インセパラブルガンダム

スクランブルガンダムをベースに改造したガンプラ。
背部をWゼロのウィングバインダーに変更し、見た目も女性的なものになっている。フェイスのへの字スリットは、八幡のAGE-2ステルスとお揃いがいいと埋められフラットになっている。
翼と相まって、飛行形態もより鳥に近くなっている。機動力もさることながら、原型機よりも武装が強化されている。本人曰くかわいい小鳥だが、どう考えても猛禽類である。

名前の由来は比翼連理から連想。inseparable:離れられない
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