感想、評価、しおり等本当にありがとうございます。
この話から第二章の幕開けとなります。
ぜひ最後までご覧ください。
1週間の謹慎は心底キツかった。
自宅に届く大量の課題をこなし、反省文を10枚分書かされた。
挙げ句の果てには、お袋の24時間徹底監視で携帯もGPSやらでオレの位置がすぐわかるようにされた。
到底悪さなんてできっこねぇし、する気も起きん。
白鷺千聖と話したのが最後でここしばらくは誰とも会ってねぇから、やっとの思いで迎えた学校生活に多少なりともワクワクしてたんだが─────
「さて、月島くん。私に何かいうことないかな?」
「なんで初っ端から
「仕方のないことさ。キミのことは、学園長であるこの私に一任されてしまったのだから」
学園長はなんだかやむを得ないといった様子で話す。
コイツによると、オレの処遇について学校内でも結構な議論になったという。
退学、とまではいかなくてもそれなりに重い罰を与えるべきだと訴える教師や、退学にするべきだと声を荒げた教師もいたらしい。
何よりオレの担任は『私ではどうすることもできない』とどうやら学園長に丸投げしたようだ。
………いや、今のはオレの言い方がまずかったな。
見放した、というよりは、自分では手に負えない、と匙を投げたと訂正しよう。
そこで学園長は、自ら面倒を見るから退学だけは勘弁してやってくれ、と救済の措置を施したんだと。
言わば、このおっさんのおかげでオレは、こうして再び花咲川の制服に袖を通すことができているわけだが、なんだかオレが貸しを作ったようで少々気持ち悪い。
「そんなに嫌なら放っておいたらいいものを…………」
「そんなことをしたら、またキミは無茶な行動に出るに決まっている」
「今までの信用はどこへ行ったのやら」
「いいかい?これからは、何かするときは必ず私に相談すること。そして一人で突っ走らないこと。いいね?」
「わーったよ。全く、自分からこんなお荷物を背負ってやることねぇのによォ」
オレは大きくため息をつく。
「だいたいなぁ、アンタに相談したところで何になるってんだ?オレのやることは全部、学園側としても擁護できないものばかりだろ。今回の件といい、盗撮野郎の件といいな。アンタの力なんか借りたってどうせ─────」
「そのために私がいるんです」
「っ!氷川、いつの間に」
オレの話を遮り突如現れたのは、久方ぶりの風紀委員長だった。
奴はツカツカとオレたちの方へと歩み寄ると、学園長の隣に腰をかける。
「そう。私の力なんてたかが知れている。だからこそ、キミの抑止力として氷川くんに頼むことにしたんだ。彼女なら、十分に役割をこなしてくれるだろう」
「学園長の頼みとなると、断るわけにはいきません」
「つーかお前、風紀委員の仕事は?朝は生徒会と挨拶運動とかやってんじゃねェの?」
「それなら心配いりません。既に風紀委員の皆さんには周知済みです」
「さすが、用意周到なことで」
相変わらず、氷川の万能さには恐れ入る。
学園長が太鼓判を押す理由も、察しがつく。
「それじゃあ、これからはより一層彼女と力を合わせて、学園の風紀保持をよろしく頼んだよ」
「はい、お任せください」
「オレに拒否権なんて存在しないってか」
「当然だよ」
「当然です」
「ったく、しょうがねェなあ」
オレは淡々と話を続ける二人に降参の意思を告げ承諾した。
学園長はともかく、氷川の頑固さはよく知っている。
このままではオレとあいつの意地の張り合いで埒があかないのことは目に見えていた。
承諾したのは渋々だ、渋々。間違っても氷川に根負けした訳じゃねェ。
そこ、重要だからな。
「…………おっと、チャイムがなってしまったね。それでは諸君、今日も一日勉強に励んでくれ」
「はい。放課後にまた、伺わせていただきます」
氷川はそう言い軽く礼をすると、部屋を後にする。
オレは軽くため息をつき、それに続いて退室しようとするが、ドアの一歩手前で止まり学園長の方を向く。
「…………オレが退学にならなかったことだけは感謝しとく」
その言葉に学園長はニコリとするだけで何も言わなかった。
アイツの心情なんて知ったこっちゃねぇが、オレが感謝してるのはアイツの "権力" だ。
あのハゲに対して礼なんてするかよ。
学園長室を出ると、ドアの側に氷川は無言で腕組みしながら立っていた。
その横を素通りしようとしたが、奴はオレの横に並び歩き出す。
「んだよ。もうテメェに頭を下げるのは間に合ってるぜ?」
氷川とは視線を合わせず、言葉を交わす。
「もう謝罪の必要ありません。ただ、一つだけ言わせてください」
氷川はそう言うと突如立ち止まる。
奴より一歩先で振り返ると、奴はオレに向かって深々と頭を下げていた。
「この度は月島くんだけに責任を負わせてしまい、申し訳ありませんでした。あなたの力になることもできず、白鷺さんにも酷い傷を……………大変、申し訳ありません」
氷川は、今にも泣き出しそうなほど弱々しい声で謝罪を続けた。
誰も氷川を攻めてるわけでもねぇのに、まるで自分が一番悪いと言わんばかりの謝り方だ。
奴の責任感の強さは異常だと痛感させられる。
「まぁ…………なんだ」
少し言葉に詰まる。
「別にお前が謝る必要はねェだろ?全部オレが勝手にやってきたことなんだしよ」
「それでも私は何も知らずにいました。あなたの言動をもっと理解していれば、このようなことには…………」
「……………くっ、ハハハハッ」
氷川の言葉に思わず、小さく笑い声をあげる。
「な、何がおかしいんですか?」
氷川は顔をあげ、不思議そうにオレを見つめる。
そのポカンと何もわかってないような顔を見た瞬間、オレは吹き出すように大声で笑う。
「な、何ですか!?」
「何って、お前の言ってること全部がおかしくってよ…………ククッ」
「月島くん!これでも私は真剣に─────」
「だーかーら!お前は何事も考えすぎなんだよ。オレみたいなチャランポランな野郎の考えなんざ、分からなくて当然だぜ?」
氷川はますます分からなくなったと言わんんばかりに、眉にシワを寄せる。
「もうお前は、アレだ。
「く、クソッ!?」
「もっと思考を柔軟にしねぇと余計疲れるだけだぜ?もっと気楽にやれよ、クソ真面目風紀委員長」
オレは氷川の肩を叩き、ケラケラと笑いながら教室へ向かう。
「…………そ、その呼び方は認めませんからね!!こら、月島くん!待ちなさい!!」
氷川の言葉には目もくれず、オレは逃げるようにその場を後にする。
いつぞやのように、オレを逃さないための首輪をつけられるのだけは勘弁だし、説教されるのもうんざりだ。
だからこそオレは逃げる。
本気で怒らせて弓道の弓でも射られた日には、オレは天に召されること間違いなし。
まあ、いくらアイツでもそんな非人道的なことをするはずがないとわかってるけどな。
◆◆◆
氷川の静止を振り切ったオレは一目散に教室へと向かう。
だが、この先に懸念していることがある。
言わずもがな、クラスの文化祭をぶち壊してしまった件だ。
あれだけ準備に時間をかけて、稽古にも付き合ってもらって、あげく無関係なクラスメイトまで気分を害させ、病院送りにしちまった。
謝っても謝り切れるものではない。
氷川からは逃げたが、この件は逃げるわけにはいけねぇ。
段々と教室が近くなる。
それに伴い足取りも重くなる。
これほど憂鬱な気持ちになるのは初めてのことだ。
朝礼まで残り5分。
家に帰るなら今─────
「月島くん?」
「っ!?」
振り返りざまに、オレを見上げる青髪の女が声をかけてきた。
唐突な出来事に思わず驚きの声を上げる。
「な、なんだよ、松原かよ…………」
「えへへ、おはよう。どうしたの?もうすぐでチャイムがなっちゃうよ?」
何も知らないと言わんばかりの言動に、少しばかり違和感を覚える。
「お前、何とも思わねぇのかよ」
「えっ!?な、何のことかな?」
まるで察しがない松原に、少し話題を変えて話を進める。
「なあ松原、人って選択肢の連続だと言うけどよ、"YES" か "NO" 以外の第三択があってもいいと思うんだが、どう思う?」
「あ、あの………質問の意図が、わからないん………ですけど」
─────問いただした本人が言うのもおかしな話だが、全くもってその通りだ。
松原が困惑するのも無理はない。
何たって、本人が理解してないんだからな。
「あぁ……要するにアレだ、せっかくの文化祭をオレがめちゃくちゃにした挙句クラスメイト全員に迷惑かけた問題児が悠々と登校してきて、ムカつかねぇのかよ?」
強引にさっきの話を捻じ曲げる。
すると松原は小さく微笑みながら口を開く。
「ムカつく、なんてことは絶対にないよ。だって月島くんは千聖ちゃんを守るためにあんなことをしたんでしょ?クラスのみんなはともかく、私はむしろ感謝してるよ。言うのが遅くなっちゃったけど、千聖ちゃんを助けてくれてありがとう。月島くん」
どこからか吹いて来た風で松原の髪が靡き、ほんのり紅潮した顔が目に入る。
にこやかに話すその姿が、まるで天使に見えた瞬間だった。
あまりにも眩しいその姿に、思わず目を背ける。
「別に、感謝されるためにやったわけじゃねぇよ」
「うふふ、照れなくてもいいんだよ月島くん」
「う、うっせぇ!とっとと教室入るぞ!!こんなところまできて遅刻なんかしてたまるか」
「うん、そうだね♪」
オレたちは共に教室へと足を踏み入れる。
賑やかだったはずの教室内が一気に静まり返り、全ての視線がオレに集まる。
なんとも冷ややかな目だ。
歓迎されてないって嫌でも理解できた。
オレがこのシンと静まった教室でできることは─────
「…………クラスの文化祭、オレのせいでめちゃくちゃにしちまって、その………悪かった」
誠心誠意、頭を下げる。
またクラスメイトたちから浮いた存在になるのは覚悟の上。
隣にいる松原にだけオレのことをわかってもらえればそれでいい。
そうおもった矢先、意外な人物がオレの前に歩み寄る。
顔を上げた先にいたのは、白鷺千聖だった。
「月島くん。あなた、何か誤解しているようだけど?」
「あ?誤解なんて何も─────」
オレが言い終わる前に、クラス中から拍手の音が鳴り響く。
先ほどまでの冷たい目はどこへいったのやら、ニコりとした表情で手を叩くクラスメイトで溢れかえる。
オレはこの状況を理解できずにいると、白鷺千聖はオレの手を握り天井に向けて高く上げた。
「月島くんのこの拳が私を救ってくれました。しかし、文化祭を台無しにしてしまったのもこの拳です。ですが今回は私を助けるために、彼自身の正義のためにこの拳を振るったのです。決して悪気があったわけではありません。そうでしょう、月島くん?」
「あ、あぁ、そりゃあもちろん」
奴の急な問いかけに不意をつかれ、半ば強引に肯定させられた。
すると白鷺はオレの手を下ろし、再び話を進める。
「この度は私自身が不甲斐ないばかりにクラスの皆さんにご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」
白鷺千聖はそう言い終わると、深々と頭を下げた。まるで全ての責任は自分にあると言わんばかりに。
氷川といいコイツといい、真面目すぎるやつは本当に困る。
オレの言動一つひとつを真に受けなくていいのに、なんだかこっちまでそんな気持ちになっちまう。
クソッ、何なんだこの気持ちは。
まるで喧嘩の最中に、仲間がオレの目の前でボコボコにされてるみてぇだ。
その心情に駆られ白鷺に続いてオレは再び頭を下げる。
「謝らないで、月島くん!」
「気にすることないよ!」
「あの3人になんとかしたいっておもってたのは私たちも同じだったよ!」
クラスメイトたちが次々と励ましてくる。
種村たちの件はもう気にしないってか?
これからも仲良くしようって言いてぇのか?
全く………甘い。甘すぎる。
根に持つって言葉を知らねぇのか、このクラスメイト共は。
ちったぁオレのことを悪くいえよ。
文化祭、楽しみにしてたんじゃねぇのか。
これじゃあオレはどうやって責任取ったらいいんだよ。
「顔を上げて、二人とも」
そばにいた松原が声をかける。
その方へと顔を向けると、満面の笑みを浮かべた松原の顔が目に入った。
「これからもよろしくね♪」
松原の言葉とともに再び拍手が舞い上がり、クラスメイトたちが口々に声をかけてくる。
「ったく、お人好しばっかで困るぜ………」
誰にも聞こえない声量で、そう呟いた。
◆◆◆
昼休み、オレはいつも通り屋上の更に上、誰も寄り付くことのない場所へと向かう。
今日は晴天。雲ひとつない青空の下寝転がり、少しばかり吹く風に煽られるのは気持ちがいい。
だが─────季節はまだ夏がようやく過ぎ去ったばかり。
まだまだ蒸し暑いことに変わりない。
「暑っちぃなぁ………こんなことなら、冷房の効いた教室にいた方がまだマシだぜ」
普段使われない教室、なんてものはザラにあるが種村の一件後、セキュリティが強化され簡単に出入りができなくなった。
鍵は全て校長が管理の上、防犯カメラの取り付け数も倍以上にしたと言う。
オレのいる屋上もその管轄に入った訳だが、すでに手は打ってある。
屋上の下にある教室から監視カメラの映らない場所へと侵入して少しばかり細工を施した。
本来は屋上に入るために絶対通る必要のある扉を映していたのだが、その角度をずらし絶対映らないようにしつつ、修復されたドアノブを再度蹴り壊した。
これで鍵要らず、監視要らずって訳だ。
氷川にバレたらまぁ間違いなく怒鳴られるから、奴には絶対バラさない。
伝えるとしたら、『学園長が特別に許可した』と言うだけだ。
オレの安息の地を他の誰かに奪われてたまるかっての。
現にこの学校はオレのやった悪戯のように、表沙汰になってない問題が多々ある。
氷川の協力もあって秘密裏に解決してはいるが、悪どい連中がいないとは限らねぇ。
オレはまた "終わりなき闇" に身を投じ、正義という名の拳を振るわなくちゃいけねぇようだ。
だが、もう一人でないことは自覚している。
オレには頼れる仲間がいる。
もう二度と自分の失態で謝らせるなんてことはさせねぇよ。
オレは心にそう誓う。
「月島くーん!どこにいますか〜?」
屋上の入り口の方から松原の声が聞こえる。
昼休み前にオレがここへ招待したからだ。
「いつものとこだー。早く上がってこ〜い」
オレは急かすように返事をする。
「ね、ねぇこの梯子、本当に大丈夫なの?とても錆びているし、今にも崩れ落ちそうなのだけれど…………」
「大丈夫だよ。私、何回もここを登ってるけど落ちそうになったことは一度もないよ?見た目の割に結構丈夫なんだぁ」
「それなら良いんだけど………。怪我だけは勘弁してほしいわね」
松原の他にもう一人、心配そうに話す白鷺の声も聞こえる。
奴には松原から誘うように頼んでおいた。
ここ数ヶ月で白鷺とは随分親密な関係になったから、今ならまともな会話ができると踏んだからだ。
この際、奴とは "
奴がどう考えてるかは知らねぇけど、今後は松原や氷川と同様に接したいというのが最終目標だ。
「月島くん、お待たせ」
「お邪魔するわね」
「おう、気にせず座れよ」
二人はオレの隣に腰を下ろし、持参した弁当に箸をつける。
オレも二人に続き、購買で買った焼きそばパンの袋を開ける。
「それにしても、本当に高い場所ね。隣町どころか、はるか遠くまで見えるわ」
「オレのお気に入りスポットだ。この3人しか知らねぇ場所だぞ?」
「ふぇぇ…………お、落ちたらどうなっちゃうのかなぁ…………」
「柵もあるから落ちやしねぇよ。万が一のために下に大量のクッションも敷いてんだ。怪我ひとつ負うことはねぇから安心しな」
「月島くんって、ガサツなんだか几帳面なんだかよくわからない時があるわよね」
「何から何までキッチリやってたらキリがないだろ?細かいことは、氷川みたいなクソ真面目に任すのが一番良い」
オレはケラケラと笑いながら話す。
「そんなこと聞いたら、紗夜ちゃんはきっと怒るでしょうね」
「ああ、バカ真面目を通り越してクソ真面目だって言ったら、案の定ブチ切れてたぜ?ククッ、あの時の氷川の顔は最高だったな」
「わ、悪口はよくないよぉ」
「オレとしては褒めてるんだけどな」
「紗夜ちゃんからしたら、貶してるとしか思えないでしょうね」
「これが風紀委員会の日常だ」
「紗夜ちゃんも、苦労してるんだね………」
「何言ってやがる、苦労してるのはこっちも同じだぜ?」
オレは焼きそばパンを齧り、一呼吸置く。
「突如家に押しかけてくるわ、『逃がさないようにする為』とか言って首輪をつけてくるわでなかなか酷いんだぜ?氷川って女は」
「えっ?く、首輪?」
白鷺はまるで理解できないと言った感じで首を傾げる。
「そっか、千聖ちゃんは知らないんだね。実は─────」
「あー、松原。その話はもう過去のことだ。全部綺麗に忘れよう。なっ?」
「目が怖いよ、月島くん………」
オレは強引に松原の口を閉ざす。
他人の赤裸々な話を聞くのは歓迎だが、オレの事は話させねぇ。
他人にオレの弱みを握らせるなんてマネをさせたら、今後の学校生活に支障をきたすのが目に見えている。
「そういえば、藤村って覚えてるか?」
「藤村先生?ああ、確か頭髪チェックが厳しい先生だったよね?」
嫌でもあの出来事を思い出す。
似合いもしない金髪に不器用に着飾ったブランド服をチラつかせるその女は、生徒指導という大役を担う教師だった。
あまりの横暴さに、オレはこの二人と氷川、そして学園長の手を借りて論破してやった。
奴のプライドもズタズタにしてやったのにも関わらず、次の日も同じ髪色、同じブランド物の服を着飾っていたのだ。
もはやその姿は見苦しいと言う他ない。
この話には実は、続きがある。
「2学期の開始と同時に、アイツは生徒指導の任を外された。1学期中に変わらなかった理由ってのがまともな引き継ぎが出来なかっただけなのに、藤村は『まだ自分のことを信頼されてる』と勘違いして頑張ってたらしい」
「それもそうね。でも、あなたの楽しそうな口ぶりからすると、他に何かあるんでしょう?」
さすが白鷺、察しがいい。
オレはニヤリと笑い、話の続きを伝える。
「1学期期末テストの出来事だ。これまでトップのクラス成績を残した奴のクラスが突如最下位に転落した。理由はひとつ、生徒たちの反乱だ」
「生徒が!?」
「ああ。藤村のいき過ぎた指導は、次第に生徒たちの不満を募らせた。今回の藤村はオレとの一件もあって相当張り切っていたらしい。詰めに詰めた授業、成績の悪い生徒の居残り授業。まるで地獄のような環境で勉強させられた生徒たちはある計画を立てた」
「その計画というのは?」
「復讐だ」
オレは残った焼きそばパンを完食し、共に買ったコーヒー牛乳で流し込む。
「勿論、藤村の追い込みでそのクラスは今までにないぐらい完璧に仕上がった。だが、テストの成績は何故か全体クラスで最下位。おかしいと思わないか?それだけレベルが上がったのなら、自分のためにテストの点を上げたいところだろ?だが、そのクラスに属する生徒は全員点を取らなかった。白鷺はもうわかったよな?」
「ええ。それで "復讐" と言ったのね」
「ふぇぇ………全然話についていけないよぉ………」
「泣く必要ないぞ、松原。お前にもわかるように説明してやる」
涙目になる松原を慰め、オレは話を続けた。
「このまま高得点のテストを取ったら藤村の優秀さだけが露呈して、肝心のところを証明できない。だからクラス全員が団結して、
「ええっ!?そんなこと、ありえるの?」
「ありえるんだなぁコレが。そこで藤村の指導が悪いとかでクラス全員が学園長に直談判したらしい。『こんな教師に教わりたくない。別の担任をつけてくれ』ってな」
「ふふっ。それで、それは達成できたのかしら?」
「学園長も悩んだ末、藤村は1学期が終わると同時に担任も外された。今はなんの教科も担当してないから、社内ニートならぬ "校内ニート" にでもなったんじゃねぇの?ククッ、ザマァねぇな」
「仕方ないわ。彼女の今までの行いが報いとして帰ってきたのよ。今更、あんな人を助けようなんて思えないわ」
「藤村先生、可愛そう………」
「松原はいい奴だなぁ。あんな残虐非道な女教師にも憐れむなんて、普通ありえねぇぞ?」
「そうね、花音はとってもいい子よ♪」
「ちょっと、二人とも!揶揄わないでよぉ!」
松原が声を上げたと同時に、チャイムが鳴り響いた。
どうやら昼休みも残りわずかわしい。
「さてっ、そろそろ教室に戻るか。今朝の出来事上、サボるわけにはいかねぇよなぁ」
「当たり前よ」
「紗夜ちゃんの代わりに、私たちが連れて行くからね!」
「はいはい抵抗しねぇよ。ほらっ、とっとと行くぞ」
オレたちは屋上を後にする。
まあ、たまには穏やかな学校生活も悪くないよな。
いかがだったでしょうか?
藤村先生の後日談をちょろっと執筆させていただきました。興味のあった方も忘れてた方も、この先生がいかに酷い人だったか分かっていただけると幸いです。
それと余談ですが、ガルパで登場する月島 まりなさんとは苗字が同じですが、血縁関係等は一切ございません。
言われて初めて気がつきました笑
最後になりますが、感想、評価お待ちしております。