高嶺の華と路傍の花   作:山本イツキ

46 / 54
久々の投稿となります。
お気に入り登録、評価、感想いつもありがとうございます!

今回は歴代でもトップクラスのクソ野郎の登場となります。
話自体も結構ドロドロとした感じになるのでご注意ください。


第45輪 言わぬが花

 翌日、学校の授業を受けすぐさま事務所へと向かう。

 そういえば、問題を起こした杏井くんは退学を余儀なくとされ、彼の席はなくなった。

 今は警察に身柄を拘束されているよう。

 願わくば一生そのままでいてもらいたいものね。

 

 社長室の前まで来て、ノックし部屋へ入る。

 

 

 「失礼します」

 

 

 深々と頭を下げる私に社長に招かれるがまま、その対面に腰を下ろす。

 

 

 「わざわざすまないね」

 

 「いいえ。こちらこそお時間をいただきありがとうございます」

 

 「ケガの方はもう大丈夫なのかい?」

 

 「ええ。もう痛むこともなくなりました」

 

 

 額に深く刻まれた傷。

 それは芸能人、白鷺千聖を終わらせる象徴になってしまったけれど今はもう気にしていない。

 仕事の幅は激減するだろうけれど私にしかできないことはきっとある。

 その可能性を見出すために今日私は事務所を訪れたのだ。

 

 

 「それで、昨日の件なんだが」

 

 

 早速と言わんばかりに話を始める社長。

 その言葉と共に社長室に一人の中年の男が入室する。

 

 

 「失礼します」

 

 

 男は頭を下げこちらに近づく。

 

 

 「紹介しよう。プロデューサーの田辺くんだ」

 

 「初めまして。田辺です」

 

 「白鷺千聖です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 

 笑顔で手を差し出す田辺に対して営業スマイルを返す。

 小太りというよりは肥満に近い体型のこの男の噂はよく耳にしていた。

 なかなか芽の出ない若手アイドルたちを積極的に起用して一躍人気グループに押し上げた素晴らしい手腕を持つ一方、悪い噂も絶えない人物だったからだ。

 数々の功績からテレビ局においてかなりの地位を持っているのだが、好印象を持つにはやはり何かが決定的に欠けている。

 

 初めて顔を合わせて感じたことが一つ。

 絶対に関わりたくない人種だということだった。

 

 

 「白鷺千聖ちゃん、だったね」

 

 「はい」

 

 「子役時代から活躍を続け、今はPastel*Paletteのベーシストとしても活動中、か………なるほど。素晴らしい経歴の持ち主だ」

 

 「それほどでもないのですが」

 

 「それに、高校生らしからぬ大人「アダルト」な雰囲気も持ち合わせている。いかようにも活かせそうな逸材だ!」

 

 「それは…………光栄です」

 

 

 彼は私の内面を全く知らない。

 何か、全てを理解しているかのような発言の数々に嫌気がさす。

 

 

 「額に傷があるということだけど、本当にもう治療のしようがないのかな?」

 

 「お医者様からはそう伝えられています」

 

 「誤魔化すと言ったら言葉が悪くなりますが、隠すことも可能ではあります」

 

 「なるほど…………そうなれば水に濡れる仕事は基本NG。外に出ることも極力避けた方がいいというわけか」

 

 「どのような形でも構いません。テレビに出続けられるなら、なんでも」

 

 「わかりました。他ならぬ社長の頼みです。それに、僕からしても彼女のような逸材を埋もれさせてしまうのは避けたい。手は尽くしてみましょう」

 

 「よろしくお願いします」

 

 

 私は社長に続き頭を下げる。

 男は仕事がある、と告げそのま部屋を後にした。

 無言な部屋に私と社長だけが残る。

 

 

 「白鷺」

 

 「はい」

 

 「キミには、申し訳ないと思っている」

 

 「それは私のセリフです。ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません」

 

 「活動休止するまでの間は今受けた仕事を降りるわけにはいかない。必ずやり遂げるんだ」

 

 「わかりました」

 

 

 私は再び頭を下げ社長室を出る。

 正直、今の私の心は荒んでいる。

 将来の絶望感と、あのような男にしか頼ることのできない自分への怒り。

 様々な感情が入り乱れ、一人で背負うにはあまりにも重い。

 

 そんな時に頼れるのはいつも─────。

 

 そう考えたところで私の思考は立ち止まる。

 今の彼に頼ることはどうしてもできない。

 花音のこともあるけれど、何より彼に頼りっぱなしなのはこれからの人生において必ず苦労することになるだろう。

 けれど、このままにしておくわけにもいかない。

 今の私が頼れる人物は一人だけね。

 

 

…………………

 

 

…………

 

 

 私の所属する事務所から少し離れた場所にある喫茶店。

 ここは最近できた新しいお店で、街外れにあるからそこまで客の出入りが多くなく、落ち着いて話すにはもってこいの場所だ。

 

 

 「すみません。お待たせしました」

 

 「いいえ。来てくれてありがとう」

 

 

 私が呼び出した相手は紗夜ちゃん。

 今の私にとってとても頼りになる存在だ。

 

 

 「珍しいですね。白鷺さんからお誘いされるのは」

 

 「ふふふっ。少し、相談したいことがあって」

 

 

 私の対面に腰を下ろす紗夜ちゃんに私の胸の内を話す。

 

 

 「紗夜ちゃんは、恋ってしたことあるのかしら?」

 

 「な、なんなんですか!?突然っ!?」

 

 「お願い。答えて」

 

 

 動揺する紗夜ちゃんだったけれど、私の真剣な顔つきを見て冷静を取り戻し、考えるそぶりを見せ答える。

 

 

 「すみません。これまで、誰かを好きになるといった経験はないですね」

 

 「そう」

 

 

 てっきり紗夜ちゃんも彼のことを、なんで想像をしていたけれど違ったみたい。

 もしそうだとしたら違う悩みを相談していたけれど、正直助かった。

 

 

 「なら言い方を変えるわね。もし、自分の好きな男の子が自分の親友が同じ思いを寄せる相手だとしたら紗夜ちゃんはどうする?」

 

 「それってまさか…………」

 

 

 どうやらその一言で察したようだ。

 私は否定も肯定もしない。

 

 

 「それは…………難しい質問ですね」

 

 「ごめんなさい。どうしたらいいかわからなくなってしまって」

 

 「ですが、少なからず言えることはあります。白鷺さんが遠慮する必要はないということです」

 

 「ほんと?」

 

 「ええ」

 

 「どうしてそう言い切れるの?」

 

 「白鷺さんと松………もう一人の方が同じ殿方を好きでいたとしても最終的に決めるのは相手の方。ここで引いてしまっては白鷺さんのためになりません」

 

 「でも、私の大切な友達とはこれからどう接すればいいの?」

 

 「いつも通りで構わないと思いますよ。偶然、同じ人に好意を寄せたからといって関係が切れるほど二人の仲は易いものではないことは重々理解していますから」

 

 「それでも…………やっぱり不安だわ」

 

 

 紗夜ちゃんには申し訳ないけれど、やはりその気持ちだけは拭えない。

 たとえ花音がいい子だとしても私たちの関係に亀裂が入るのは事実。

 どちらかが笑えばどちらかが必ず泣く。

 この恋愛において双方がハッピーエンドを迎えることは決してないのだ。

 

 

 「安心してください」

 

 

 紗夜ちゃんは優しい声でそう告げる。

 

 

 「私はこの2年間ずっとそばで見てきました。あなた方がこのような関係になってしまったのは驚きましたが、たとえ二人だけが幸せになったとしてもその二人を応援できる。そんな人たちだと私は思っています」

 

 「私がそんな優しい人間に見えるの?」

 

 「ええ。あなたほど友達思いの人は他にいません」

 

 「買い被りすぎよ」

 

 「それに、白鷺さんがうまくいこうともいかなくとも、いくらでも話を聞かせてください。私にできることはそれぐらいしかありませんから」

 

 

 なんとも心強い。

 彼女なら私の本当の姿を見ても決して引かずいつも通り接してくれるだろう。

 

 

 「ありがとう。こう見えて私、結構腹黒いのよ?」

 

 「ふふっ。私だって負けてません」

 

 

 二人して面白おかしく笑った。

 こうして悩みを誰かに話すのはいつぶりだろう。

 今の私はいくつもの枷をはめているような状態なのだが、その中でも特に気にしていた問題が解決できて気分が少し晴れやかになった。

 

 残る大きな問題は一つ。

 あのプロデューサーのことだけれど、コレばかりはもうどうしようもないと諦めている。

 社長からメールが届きその内容を見ると、明日、再び面談してほしいとのことだった。

 

 もう既に私を活かすという案が浮かび上がったのかはたまた別の理由かわからないけれど、頼れるのは私だけ。

 どうか清らかな身のままでいたいものね。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 後日私は指定された場所へと向かう。

 そこは呼び出したプロデューサーの管轄にあるビルのとある個室。

 エレベーターで上に上がり、薄暗い渡り廊下を歩いてきたけれど人の影も気配すらない。

 想像していたことが脳裏をよぎる。

 

 

 「失礼します」

 

 

 扉をノックし入室すると、男はバスローブ姿で私を出迎えた。

 

 

 「ようこそ。待っていたよ」

 

 「お待たせして申し訳ございません」

 

 

 気にするな、と言わんばかりに歓迎する男。

 私に近づき背中に手を回して座席へと誘う。

 

 

 「呼び出すような形になってしまってすまないね」

 

 「いえ、昨日はプロデューサーの方からいらしてくれたのですから当然です」

 

 「はははっ。キミは本当にいい子だ」

 

 「お褒めに預かり光栄です」

 

 

 男の一連の言動に吐き気を覚える。

 笑って対応する表の顔とは裏腹に裏では何を考えてるのか想像もつかない。

 どこかドス黒い闇を感じるのだ。

 

 

 「それで早速なんだけど」

 

 

 プロデューサーはそう切り出すと、棚の引き出しの中から何かを取り出し私と男を隔てるテーブルの上に置いた。

 

 

 「まずはそれを着てみて欲しいんだけど」

 

 

 そう渡されたのは、布面積がほとんどない際どすぎる水着。

 これがどんな意味を持つのか。

 理解してはいるが、あくまで知らないふりをする。

 

 

 「それはなぜでしょう?」

 

 「千聖ちゃん。キミはスタイルがいい。だから、こういった仕事も受ける必要があると思うんだ」

 

 「グラビア、ということでしょうか」

 

 「言うなればそうだ」

 

 

 含みのある言い方をするプロデューサー。

 グラビア撮影はまだ高校生ということもあって受けたことはなかったが、今回は別の目的があるということは男の表情を見て分かった。

 

 

 「ご存知かと思いますが、私はまだ未成年です。こういった仕事は…………」

 

 

 あくまで冷静に私らしく断りを入れる。

 

 

 「キミのとこの社長から既に了承は得ている。白鷺千聖を活かすためなのであれば()()()()()()()()お受けいたします、と」

 

 

 そんなこと、社長から聞かされていない。

 それが嘘の可能性が大いにあるけれど、事実ということだってある。

 私はゆっくりと立ち上がりその水着を手に洗面所へと向かい着替えようとする。

 だが、そこで男は私の前に立ち行手を阻んだ。

 

 

 「ダメダメ。ここで着替えなくちゃ」

 

 「…………それも仕事の範疇だと?」

 

 「その通りだ」

 

 「一度、社長に─────」

 

 

 カバンから携帯を取り出そうとしたその時だった。

 

 

 「そうするのは勝手だけどボクは気分屋でね。あくまでこれはそちらから依頼してきたことなんだから、僕にとってはどうでもいいことなんだ」

 

 「っ!そんな言い方…………!!」

 

 「ほらっ、早くしてくれないと仕事無くなっちゃうよ?」

 

 

 女性を、それも未成年を相手に脅すなんて最低極まりない行為だ。

 だがしかし向こうが立場としては遥かに上。

 野生動物における肉食と草食ほどの違いがあるのは明らかである。

 

 

 「……………」

 

 

 渋々といった表情で羽織っていた薄ピンクのカーディガンを脱ぎハンガーにかける。

 その様子を見てプロデューサーは嬉しそうに気持ちの悪い笑みを浮かべる。

 

 

 「そうそう。その調子♪」

 

 

 そのまま続けろ、と言わんばかりに楽しそうな様子のプロデューサー。

 次にカーディガンの下に来ていた黄色のシャツに指をかける。

 

 

 「………………っ!!」

 

 

 少し躊躇い、ゆっくりとシャツの裾を上げた。

 

 

 「ふふふっ。可愛らしい下着だね」

 

 

 男の視界には半裸姿の私が映っている。

 手で下着を覆い隠したい気持ちはあったけれどまた何か言われることは目に見えていた。

 プルプルと震えながら手を後ろに組み私の恥ずかしい姿を晒す。

 

 

 「そのまま下もいってみようか」

 

 

 人差し指をくいくいと下へ曲げ催促する男の指示に従い、ブルーのスカートのリボンを解く。

 手を離すと重力に逆らわぬままスルスルと床に落ちたスカートだが、私をさらなる醜態を晒すこととなる。

 

 上下色の揃えた下着。

 

 誰かに見せるために買ったわけではないけれど、かなりお気に入りだったのをこんな男に見られて屈辱的だ。

 

 

 「黄色、好きなんだね」

 

 「ええ。まあ…………」

 

 「髪色ともあってるし似合ってるよ♪」

 

 「ありがとう、ございます」

 

 

 ここまで褒められて嫌悪感に満ち溢れるのは初めての経験だ。

 法で許されるのであればこの男を今ここで平手打ちを喰らわしたいぐらいだ。

 

 

 「じゃあ下着は僕が外してあげよう」

 

 「…………‥お願い、します」

 

 

 手招きするプロデューサーに背中を向け、ブラのホックに手をかけ、慣れた手つきで外される。

 ブラはテーブルに雑に置かれ、その汚らしい手は私の胸を下から撫でるように触れる。

 

 

 「小柄なのに結構大きいよね」

 

 「遺伝、だからでしょうか…………」

 

 「この水着もよく似合いそうだ♪」

 

 

 男はそのままショーツにも手をかける。

 スッと足まで下ろされ片足ずつあげ外されると、私は生まれたままの姿を見られることとなった。

 男は私の腰を掴み正面を向かせる。

 

 

 「へぇ。下の毛はないんだ」

 

 「…………体毛は薄い方なので」

 

 「僕の知ってる子なんかは脱毛してるらしいからね。千聖ちゃんはラッキーだ」

 

 

 私の裸をまじまじと見るプロデューサー。

 こんなもの屈辱以外の何者でもない。

 握る拳に力が入る。

 

 

 「それじゃあ着せてあげるね」

 

 

 男はテーブルに置いてあった水着を私に着せると、カメラを向けそのまま写真を撮る。

 そのポーズというのもグラビアというよりは裏ビデオで用いられそうなものばかりで男の趣味が窺えた。

 写真に満足したのか男は再度棚から何かを取り出しテーブルに置いた。

 それが穴の空いた下着と二つ小瓶という怪しさの役満セットだ

 

 

 「これは?」

 

 「次の仕事だ。コレを着て僕を()()するんだ」

 

 「つまり、ここであなたに犯されろと」

 

 「言い方が悪いなぁ。コレはあくまで "仕事" だ。受けるか受けないかはキミ次第なんだよ?」

 

 

 あくまで私の考え次第。

 男は選択肢を渡しているようで鼻から答えなんて一つしかない。

 私は自らの意思で水着を脱ぎ、渡された黄色の下着をつけた。

 ブラは胸の中心がぽっかりと穴が開き、ショーツも割れ目に沿って布地がなく、変態御用達とも言える形成だった。

 

 

 「うん。よく似合ってる」

 

 

 そう褒める男は、小瓶を一つ開けそれを飲み干しもう一つを私に手渡す。

 瓶の蓋を開けると無色の液体はムッと独特の香りを放つが私は息をすることなくそれを一気に飲みの干した。

 

 

 「……………っ!?」

 

 

 液体が胃に到達したその時、全身が痺れるような感覚に陥される。

 身体に力が入らなくなり床にへたりつく。

 

 

 「即効性の媚薬だ。よく効くだろ?」

 

 

 気持ちの悪い笑みを浮かべるプロデューサーを下から睨む。

 息遣いが徐々に荒くなり、身体はどんどんと火照っていく。

 今までに感じたことのない感覚に私は抗うことができなかった。

 

 

 「それじゃあそろそろ始めようかな」

 

 

 男は立ち上がりバスローブを脱ぎ捨てた。

 

 

 「それじゃあ千聖ちゃん。仕事だ。僕を奉仕してくれ」

 

 「……………はい」

 

 

 こんなの本当の私じゃない。

 薄れゆく意識の中、男の足元まで床を這って近寄り膝をつきながら上目遣いで男を見る。

 頬は紅潮し、快楽を求め男に懇願するように男の身体に触れる。

 

 もうやめて……………!!

 

 こんなこと、私は望んでない─────!!

 

 

 

 コンコンッ。

 

 

 

 人の気配のなかった扉の向こうから扉がノックされる。

 私たちはそこへ視線を向けた。

 

 

 「なんだね」

 

 

 男はそう問いかけるが向こう側から返事は返ってこない。

 しかし、再び扉をノックされ僅かながら異常性を感じた。

 

 

 「仕方ない。少し待っていてくれ」

 

 

 男は扉の前へと向かうとその奥にいるはずの人物に声をかける。

 

 

 「今は大事な仕事中だ。用があるなら手短に頼む」

 

 

 そう告げた男だったが扉越しにいる人物はスゥッと息を吸いこう切り出した。

 

 

 「ならこちらも手短に話そう。()()()()()()()()()()()()()

 

 「はあ?一体何を────」

 

 

 その瞬間、扉は派手に蹴破られ男と共に後方へ吹き飛ばされた。

 唐突に起きた出来事に頭が整理できなかったが、この光景、何度も見たことある。

 遅れてやってくるヒーローのようにいつもピンチになったら駆けつけてくれる、私の想い人。

 

 

 「月島、くん……………」

 

 「待たせたな。白鷺」

 

 

 ニッと白い歯をみせ笑う彼。

 私は嬉しさとこれまでの恐怖から自然と涙がこぼれ落ちた。

 

 

 「これでも着て少し待ってろ」

 

 

 月島くんは自分の羽織っていたライダースジャケットを投げて渡し、それを着た。

 

 

 (…………月島くんの、匂い)

 

 

 あの小瓶の影響か、いつもよりそれを強く感じることができた。

 

 肝心の彼はというと、むくりと血を流しながら起き上がるプロデューサーと対峙していた。

 

 

 「オレの大事な女に随分好き勝手してくれたらしいな」

 

 「キミはいったい誰だ?何が目的だ!?」

 

 「決まってるだろ。白鷺千聖の奪還。そして────テメェを地獄に叩き堕とすことだよ」

 

 

 親指を下に向け、刺すように鋭い眼光はそれだけで相手を殺してしまいそうなほどの迫力がある。

 それはプロデューサーも感じ取ったようだ。

 

 

 「…………わかった。彼女にしたことは謝ろう。だが、僕は今の立場から下されるわけにはいかない。ここはビジネスといこうじゃないか」

 

 「あっ?」

 

 「僕は裏の業界にも精通している。身体の関係を求めることだって可能だ。どうだ?キミも男なら一度は夢見たことあるんじゃないか?若くて可愛い女の子をハーレムすることだって可能なんだよ」

 

 「ハーレムか。それは結構なことだ」

 

 「そうだろう!?ならっ……………」

 

 「興味ねェよ」

 

 「…………えっ?」

 

 「生憎オレは女に一切興味がねェ。そんな低俗なことでオレを支配できると思うな。極悪人」

 

 「なら、キミは何が望みなんだ」

 

 「白鷺千聖を真っ当な方法でテレビに出られるようにすること。そしてこれまでの詫びとしてテメェの解雇及び慰謝料の請求。まずはこんなところか」

 

 「わ、わかった。全てこちらで対処しよう。だから、命だけは勘弁してくれ!」

 

 

 男はその場で土下座する。

 私にだけ見せた威勢はどこへ行ったのやら。

 強者の威圧に這いつくばり、醜い姿を晒すその様は実に醜いものだった。

 

 

 「安心しろ。殺しはしねェよ」

 

 「よ、よかった!なら…………」

 

 

 顔を上げた男に一瞬で距離を詰めたと思いきや、月島くんは怒りのままに脚を振り抜き、男はまるでスーパーボールのように身体を壁や天井に身体を打ち付け ピクリとも動かなくなった。

 

 

 「悪人が悪人の言葉を信用するんじゃねェよ。テメェは今ここで死ぬんだ。人としてな」

 

 

 月島くんは男の髪を掴み上げる。

 もう顔は原型がわからないほど陥没していて本当に生きているのかすら危うい状態だ。

 これまでの破壊音を聞きつけ数人の警備員が部屋に押し寄せてきた。

 

 

 「うっ、動くな!」

 

 

 事の異常性を察し警備員は銃を突きつける。

 しかし、月島くんは全く動揺するそぶりを見せない。

 

 

 「テメェらが動くな。このおっさんを早く助けたかったら救急車を呼べ。あと、そこの女に着せる服も用意するんだ。わかったらとっとと行け」

 

 

 警備員たちはそそくさと各自散り、月島くんは男をその場に捨て私の方へ歩み寄る。

 

 

 「大丈夫か?」

 

 

 優しくそう投げかけられた言葉に再び涙が溢れる。

 

 

 「とても、怖かったわ…………」

 

 「だろうな。もう安心しろ。時期に救急車が─────」

 

 

 淡々と話す月島くんの体の後ろに手を回しぎゅっと抱きしめる。

 彼から渡されたライダースジャケットはハラリとその場に落ち、私は男から手渡された下着姿を月島くんの前に見せつける。

 

 

 「バカッ。早く服着ろ」

 

 「ねぇ。月島くん」

 

 

 先程の興奮が盛り返し、ゆっくりと彼を床に押し倒す。

 

 

 「身体がね、すごく、あついの……………一度でいいからお願い。私を─────」

 

 

 彼の唇との距離がおよそ10センチに達したところで首に強い衝撃が加わり、そこで意識を失った。

 全く見えなかったけれどおそらくは彼の手刀のせいだろう。

 か弱い乙女にこんな乱暴するなんて、ホント最低な人。

 

 でも、そんなところもどこか愛おしい。

 

 

 私は、月島くんが大好きなんだ。




いかがだったでしょうか?

とりあえず未成年に手を出すなんて犯罪だ!とっとと捕まれバカ野郎!
と思いながら執筆したら思っていた以上のクズが出来上がってしまった…………

次回はこの続きとなります。
白鷺千聖の運命やいかに!


最後になりますが、お気に入り、評価、感想お待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。