誤字脱字報告ありがとうございます。
やっとですね。
長らくお待たせしました。
アムロの戦闘が書けました。
宇宙世紀0123年9月15日 PM1:30
地球連邦と宇宙連合との捕虜交換及び停戦協定に関する交渉は、地球連邦の宇宙要塞ゼダンの門と、宇宙連合の宇宙要塞コンペイ島間の宙域で行われていた。
宇宙連合側からは、首相のオードリー・バーンと軍トップのブライト・ノアが旗艦 モノケロースに搭乗し、会談に臨む。
地球連邦側からは、副首相と大将格の一人がラー・カイラム級に搭乗し、指定場所に現れる。
それぞれ引き連れて来た護衛艦隊一個師団を遠方に待機させ、お互いの旗艦一隻を近接させ、有線接続をし、会談が始まった。
当初は会談に対して、様々な障害が懸念されていたが、今のところ問題も無く進む。
しかし、時を同じくして、宇宙連合の防衛の要である宇宙要塞コンペイ島がコスモ・バビロニア軍に急襲を受けたのだ。
設立したばかりの宇宙連合にとって、最大のピンチが訪れる。
コスモ・バビロニア軍 グラナダ駐留艦隊司令 シアノ・マルティス大佐は、宇宙連合は地球連邦との会談交渉で一個師団戦力を割かざるを得ないという情報を察知していた。
宇宙連合は全戦力を持っても3個師団程度しか現存しない事も凡そ把握し、サイド1と新サイド6の防衛戦力を動かす事は出来無いと踏み、今現在、コンペイ島には残存戦力が殆ど残っていないという結論を導き出したのだ。
実際、宇宙連合に現存する戦力は3個師団にも満たない。
そもそも、建国間もない宇宙連合の戦力は、サイド1と新サイド6が独立前から用意した戦力である各1個師団弱とモノケロース単騎に連邦軍からの離反組を合わせて3個師団弱、この戦力で何とか防衛網体裁を整えるのがやっとであった。
時間があれば、モノケロースが行動不能にした連邦軍の元コンペイ島駐留艦隊の戦艦やモビルスーツを修理し再編出来たのかもしれないが、この短期間では到底不可能だった。
さらに、宇宙連合の基盤であるサイド1と新サイド6からそれぞれの防衛戦力を割いてまで地球連邦の会談へと向かわせる事は諸所の反対が大きかったのだ。
となると、コンペイ島に駐留するモノケロースと地球連邦の離反組からなる宇宙連合の中核艦隊を地球連邦との会談に向かわせるしか選択肢はなかった。
その結果、シアノ大佐の分析通り、現在宇宙要塞コンペイ島には申し訳程度の防衛戦力しか残っていなかったのだ。
だが、シアノ大佐の戦略はコンペイ島の奪取だけでは無かった。
本命はオードリー・バーン及び宇宙連合上層部の抹殺。
ほぼ戦力が残っていないだろうコンペイ島の攻略は前哨戦に過ぎず。
宇宙要塞コンペイ島を占領することにより、会談に向かった宇宙連合の退路を断ち、それと同時に、地球連邦と交渉中のオードリーとその護衛艦隊を別動隊と挟撃奇襲し、壊滅させるのが戦略の真の目的であった。
防衛の要である宇宙要塞コンペイ島と精神的な支柱であるオードリー・バーンを失えば、宇宙連合にとって痛烈な痛手となる事は間違いない。
宇宙連合は空中分解状態となり、サイド1と新サイド6を容易に取り込む事が出来ると、ここまで読んでいたのだ。
このタイミングでのコンペイ島の急襲は、まさに宇宙連合を一気に瓦解させる渾身の一手となりえた。
この戦略はコスモ・バビロニアの高度な諜報能力と分析能力があったからこそ実現可能となった。
コスモ・バビロニアが地球連邦に対し、軍事戦力的に圧倒的な不利な状況で、ここまで優位に事を進める事が出来たのは、まさに情報収集能力の差だろう。
コスモ・バビロニアの国王となったマイッツアー・ロナは、経済戦略を得意としていた。
それは情報収集能力と分析能力が高い事を意味している。
世界各所に多数の諜報員を潜伏させ、常に情報収集を行っている。
その対象は新興国である宇宙連合も例外ではない。
特に地球連邦の中枢にはコスモバビロニアの息の掛かった人物が食い込み、地球連邦及び連邦軍の動きをほぼ正確に把握できていた。
地球連邦と宇宙連合の交渉日時や条件、実施場所(宙域)までも正確に把握できたのもこの事からだ。
そして、シアノ大佐率いるコスモ・バビロニア軍 グラナダ駐留艦隊コンペイ島攻略に向け、意気揚々と攻撃を開始した。
この時、コスモ・バビロニア軍の誰もが勝利を確信し疑わなかった。
しかし、そこにはシアノ大佐、いやコスモ・バビロニア軍の誰もが予期せぬ大いなる誤算が存在したのだ。
宇宙世紀のこの時代の最大の特異点と言うべき存在を………。
平行世界に飛ばされ、時を経て舞い戻ってきた奇跡の存在を、流石のコスモ・バビロニアも予測は出来なかっただろう。
コスモ・バビロニア軍 グラナダ駐留艦隊前衛師団先方隊はコンペイ島に戦力無しとして正面から一気に侵攻する。
だが、何の前触れもなく先方艦隊は攻撃を受け、2隻の艦が壊滅状態に陥ったのだ。
そこにはサイコフレームの共振により、エメラルドグリーンの光を帯びた白を基調とした大型モビルスーツが縦横無尽に宙域を掛け巡り、次々とモビルスーツ隊と戦艦を行動不能に陥らす姿があった。
「白いガンダムタイプ!?バナージ・リンクスか!?まさか奴が、裏切姫から離れるなどとはな……良いだろう。多少計画は前倒しになるが、先に貴様を葬り去ってやろう」
シアノ大佐は旗艦ザムス・ガイオンの望遠カメラで捉えた映像に映る白いモビルスーツを鋭い目つきで見据え、呻く様に言葉を漏らす。
シアノ大佐は前線で猛威を振るうガンダムの姿に、バナージが駆るモビルスーツだと判断し、次の一手を投じる。
この時、シアノ大佐はまだ修正が効く誤差範囲と見做していた。
まだ、大いなる間違いに気が付いていない。
白いモビルスーツの肩口に描かれた朱色のAに似たユニコーンエンブレムが誰のものなのかを……
専用回線に繋ぎ……
「カミーユ・ビダン君。少々早まったが、君の出番だ。ターゲットは白色のガンダムタイプのモビルスーツだ。君がこれを討つことが出来たならば、君の願いを一つ叶えよう」
格納庫で待機するカミーユ・ビダンにガンダムタイプの討伐を命令する。
「…………」
通信越しのカミーユはシアノ大佐の仮面の顔を一瞥し、返事をせずに漆黒のモビルスーツに乗り込む。
シアノ大佐は正面を向き直りブリッジ要員に命令を下す。
「バンシィ出撃後、後衛師団は左翼に急速旋回、バンシィ及び前衛師団が敵を引き付けている間にコンペイ島を叩く」
「「イエス・サー」」
ブリッジ要員は声を揃え返事をし、命令を履行する。
「カミーユ・ビダン、精々頑張りたまえ」
シアノ大佐は旗艦ザムス・ガイオンのブリッジから、出撃する漆黒のモビルスーツの後姿を見据えながら、口元を歪ませていた。
カミーユが乗り込んだこの漆黒のモビルスーツの名は、ユニコーンガンダム2号機。
28年前に建造されたモビルスーツだった。
とある理由からアナハイムのグラナダ工場奥深くに封印処置を施されていたこのモビルスーツを、シアノ大佐が再び世に解き放ったのだ。
近代化改修が行われてはいたが、普通ならば骨董品扱いもいいところであるが、このモビルスーツにはある特殊な装置が搭載され、ある目的の為に建造されたモビルスーツだった。
特徴的なのはこのモビルスーツの駆動式内骨格であるムーバブルフレームは全てサイコフレームで構築されていたことだ。
所謂フル・サイコフレームである。
フル・サイコフレームを採用した機体は、初にして現在まで3機のユニコーンガンダムだけ。
この機体がニュータイプや強化人間の能力を最大限に引き出すための物である事がこの事からも容易に分かるだろう。
更に搭載されている特殊な装置の名は『NT-Dシステム』ニュータイプ・デストロイヤー。
ニュータイプを抹殺するために設計されたシステム。
そう、このユニコーンガンダムは対ニュータイプ用に建造されたモビルスーツだった。
NT-Dシステムを発動させたユニコーンガンダムはデストロイ形態に移行し、ニュータイプ・デストロイヤーとしての本領を発揮する。
しかし、このシステムには矛盾がある。
ニュータイプを抹殺する為のシステムを搭載した本機の搭乗者は、強化人間やニュータイプ能力者を想定し作られているからだ。
NT-Dシステムを作動させたユニコーンガンダムは、フル・サイコフレームとサイコミュコントロールシステムであるバイオセンサーシステムを機体とパイロットとを完全同調させ、通常のモビルスーツではあり得ない反応速度と……そして、奇跡を起こす。
それは、27年前ラプラスの箱を巡る戦いで、二機のユニコーンガンダムが実現し証明してみせている。
嘗てこのバイオセンサーシステムを搭載したガンダムタイプを駆り、スペック以上いや、スペック外の力を発揮させたニュータイプパイロットが過去に二人いた。
カミーユ・ビダンとジュドー・アーシタ。
そして、カミーユ・ビダンは35年の月日を経て、バイオセンサーを搭載したユニコーンガンダム2号機 バンシィ・ハデスを駆り再び戦場へと舞い戻る。
一方……。
「ブライトの懸念が当たったか。2個師団……コスモ・バビロニアはコンペイ島、いや宇宙連合を一気に叩きに来たと言う事か……しかし、やらせるわけには!」
アムロはHi-νガンダムを駆り、12隻の戦艦擁するシアノ・マルティス大佐率いるグラナダ駐留軍前衛師団に突撃を敢行する。
アムロはブライトの指示により、コンペイ島に待機していた。
警戒警報が鳴り響く中、警戒宙域内に侵入するコスモ・バビロニア軍の艦隊機影を超望遠カメラで確認し、周辺宙域のミノフスキー粒子濃度が一気に上昇したと報告を受け直ちに出撃したのだ。
ブライトは自分であれば、地球連邦との会談で手薄になるコンペイ島を攻略するだろうと言い、コスモ・バビロニア軍または、暴走した連邦軍の強硬派が攻めてくる可能性を考慮し、アムロを防衛のために残したのだ。
因みに、現在のコンペイ島の戦力は、戦艦級が2隻にモビルスーツは18機と申し訳程度しかなかった。
本来ならグラナダ駐留艦隊にいとも簡単に陥落させられただろう戦力だ。
だが、かつてこの宙域がソロモンと呼ばれた一年戦争時、ジオン将兵から「白い悪魔」と恐れられたパイロットが、異世界で更なる高みを経て、今ここに……
「やはりコスモ・バビロニア軍の小型モビルスーツは機動力、スピード、パワー、全てジェガン系やリガズィ系を上回っている。パイロットの熟練度も連邦に比べて高い。しかし、その程度ではゼントラーディとの戦いでは生き残れはしない。……そこっ!」
アムロのHi-νガンダムは、敵艦隊の先方部隊に猛スピードで突貫しながら、専用ビームライフルで次々とコスモ・バビロニアのモビルスーツの急所を正確に撃ち抜き無効化していく。
そのスピードと機動力はもはや現行のモビルスーツを軽く凌駕し、敵は照準を合わす事すらもかなわずに倒されて行く。
別部隊がHi-νガンダムの後ろを取ろうとするが、そのスピードについて行けず、さらにはフィン・ファンネルのビーム攻撃の餌食となる。
遠距離からの一斉攻撃もスピードに乗ったHi-νガンダムを全く捉える事は出来ない。
コクピット周りから漏れ出るサイコフレームの共振によるエメラルドグリーンの淡い光は、縦横無尽に宙域を駆けるHi-νガンダムの軌跡をたどり、薄暗い宇宙に光の帯を演出していた。
「……殺意、いや悪意を感じる。だが同時に宙域に懐かしい気配が漂う。これはまさか?」
アムロはコスモ・バビロニアのグラナダ駐留艦隊がこの宙域に現れてから、ニュータイプ能力で突出した二つの存在を感じ取っていた。
敵前衛師団12隻の戦艦の内、5隻を無効化した段階で、アムロが駆るHi-νガンダムに漆黒のガンダムが迫り来る。
「バナージのユニコーンガンダムと同系か……それよりもこのプレッシャー……カミーユ、何故君が?」
アムロは迫り来る漆黒のガンダムにカミーユが乗っている事をニュータイプ能力で既に把握していたが、敵として現れた事に戸惑いを感じる。
カミーユが操縦するユニコーンガンダム2号機 バンシィ・ハデスは縦横無尽に宙域を駆けるHi-νガンダムに照準を合わせると同時にビームマグナムを発射。
「全く捉えきれない!なんてスピードだ!この感じ、只者じゃない!凄まじい力を感じる!この気配……俺は知っている?……誰だ!?」
カミーユもHi-νガンダムから今迄感じた事もない凄まじい力と、嘗て感じた事がある気配に戸惑っていた。
「カミーユ……今はこの艦隊を抑えなければ!」
アムロは迫りくるバンシィ・ハデスを巻きつつ距離を取りながら、前衛師団の中枢に切り込み、次々とモビルスーツと戦艦を無効化していく。
「………なんて技量だ。モビルスーツを爆散させずに、正確に駆動部だけを撃ち抜き無効化するとは…………この動きは!?まさか!?アムロ・レイ?……いや、アムロさんは30年前に亡くなったはずだ!」
カミーユはHi-νガンダムに追いすがり射程に捉えようとするが、まるで捉えられなかった。
それどころか、今は味方陣営であるグラナダ駐留軍前衛師団のモビルスーツが破壊されずに次々と無効化されて行くのだ。
そのHi-νガンダムの姿を見てカミーユは過去の記憶が蘇る。
グリプス戦役時に地球を降り立ったカミーユはアムロと出会い、当時アムロが空中戦で敵を爆散させず、正確に敵モビルスーツのバックパックだけを破壊し、無効化していく姿に感銘を受けた事を……。
その姿が、今目の前のHi-νガンダムと重なる。
「………カミーユから焦りと怒り、苦悩の感情が伝わって来る。何があった?……しかし今は……敵の後衛艦隊は左翼に回る。コンペイ島を抑えに来たか、敵の指揮官は判断が早い、しかしやらせるわけには!」
アムロはカミーユを気にかけながらも、コスモ・バビロニアのモビルスーツや戦艦を無効化させながら、グラナダ駐留艦隊の後衛師団がこの前衛師団を囮にし、迂回し直接コンペイ島制圧に乗り出した事を察知する。
一方Hi-νガンダムを捉えきれないでいるカミーユは……
「アムロさんのハズがない!迷うな!今はユイリィとリリィの身の安全を……俺には…守らなければならないものがある!!」
感情を高ぶらせ、NT-Dシステムを起動させる。
バンシィ・ハデスはデストロイモードに移行し、むき出しとなった全身のサイコフレームが赤く光を帯びる。
カミーユはバイオセンサーからサイコフレームを通し、意識をHi-νガンダムに全て向けた。
「……アムロさんなのか!?どういうことだ!?アムロさんが何故!!」
NT-Dシステム起動によって、カミーユの意識はバイオセンサーとサイコフレームを通し増幅され、白いガンダムタイプ、Hi-νガンダムを駆るパイロットがアムロだという事を正確に認識したのだ。
それと同時に、そんなカミーユの意識にアムロが語り掛けたのだ。
『カミーユ……』
『アムロさんの意識……生きて……しかしなぜ?』
『カミーユ……何故?コスモ・バビロニアに?』
『俺には、守らないといけないものがある!』
『カミーユ、感情に押し流されている……何があった?』
『ユイリィとリリィを守るためなんだ!!』
『人質か……』
『こんな事は間違っているとは分かってる!だが…今の俺は戦う事でしか……大切な家族を守れやしない』
『カミーユ……』
『………アムロさん、俺が死ねばユイリィは開放されるかもしれない、だがリリィはあいつの操り人形に……アムロさん娘を…リリィを…俺が死んだ後に助けて欲しい……』
『それは出来ない相談だ』
『……だったら俺と本気で戦えっ!』
『いいだろう……だがカミーユ、娘は自分の力で助けるべきだ。…そのためにも今は負けて貰う』
アムロとカミーユは意識の流れの中で意思を疎通させ、語り合ったのだが……。
Hi-νガンダムは突如として反転し、バンシィ・ハデスに迫る。
バンシィ・ハデスはビームマグナムで狙いをつけ迎撃するが、Hi-νガンダムは全て避けながらも尚も迫り、一瞬でバンシィ・ハデスとの距離が詰まる。
バンシィ・ハデスは大鎌状のビームサイズを展開し、眼前のHi-νガンダムを切り裂こうとするが宙を切る。
Hi-νガンダムは一瞬でバンシィ・ハデスの後ろを取り、ビームサーベルを抜き払う。
しかし、バンシィ・ハデスはサイコフレームの共振により発振させたサイコフィールドをバリアとして展開し、ビームサーベルを拒んだ。
ビームサーベルを防がれたHi-νガンダムはバリアごと、バンシィ・ハデスを蹴り飛ばし、更に自らも追走する。
「ぐっ!なんて力だ!あの時のアムロさんとは桁が違う。それでもっ!!」
「ユニコーンガンダム…ニュータイプデストロイヤーとはよく言ったものだ……だが、これで」
最高のニュータイプと呼び声高いカミーユ・ビダンと歴代最強のパイロット アムロ・レイ……。
しかし、カミーユはグリプス戦役終結へと導いたが、その繊細な心は折れ、元に戻るのに6年を要し、その後は医者としての道を歩み、戦線から36年も離れていた。
5カ月間の再訓練を経て復帰を果たしたが、当時の力には及ばない。
一方アムロは、第二次ネオ・ジオン紛争にてシャアとの決着をつけ、更にマクロスの世界に飛ばされてからは、銀河規模の戦争に巻き込まれ、500万の艦隊と相対する事となるが、しがらみが無くなったアムロはそのニュータイプ能力を更に高め、膨大な経験を経て、パイロットとしてもニュータイプとしても、宇宙世紀時代に比べるべくもなく高みに登っていったのだ。
現在のカミーユとアムロにはパイロットとして埋めようがない歴然とした差があった。
更に、モビルスーツの性能の差も明らかだ。
Hi-νガンダムのベースとなったνガンダムとユニコーンガンダム2号機は共にニュータイプ専用機とは言え凡そ30年ほど前に建造された旧世代のモビルスーツ。
因みに当時はスペック的にはユニコーンガンダムの方が勝っていた。
共に現代技術を組み込む近代化改修を施されてはいたが……近代化改修を行った経緯や組織、人物に差があった。
ユニコーンガンダム2号機はラフレシアを作り上げたコスモ・バビロニアの技術開発チームメンバーが改修案を提示し、グラナダ工場で近代化改修が行われた。
ラフレシアにはカロッゾ・ロナを中心に開発が行われたネオ・サイコミュシステム、次世代型のサイコミュシステムが搭載されている。
サイコミュやニュータイプ用専用機については、コスモ・バビロニアはアナハイムよりも高い見識と技術力を持っていたのだ。
現在の地球圏に置いて、ユニコーンガンダム2号機を適切に近代化改修を行えるのは、コスモ・バビロニアか、サナリィのジョブのチームだけだろう。
そんな高い技術力によって、30年も前のモビルスーツであるユニコーンガンダム2号機は近代化改修を行われバンシィ・ハデスとして、蘇ったのだ。
一方、νガンダムも同じく近代化改修……いや、近代化改修と言ってもいいものだろうか?
異世界の技術を取り入れ、しかもマクロスの世界でも最高の技術者が自ら昇華させたのだ。
マクロスの世界でも40年先を行く技術がふんだんに盛り込まれているYF-5のジェネレーターを搭載し、機動力からスピード、戦闘持続能力等、ほぼ全ての項目に置いて大幅にパワーアップを果たしていた。
YF-5はアムロ専用に単騎で分岐艦隊(戦艦3000隻級の艦隊:現在の地球連邦が保有する軍艦の約半分)を相手取る事を想定されたとんでもないバルキリーだ。
そもそも、宇宙世紀のモビルスーツに単騎で艦隊規模と相対するという思想は無い。
通常のバルキリーもそうなのだが……。
そんなとんでもないバルキリーのノウハウがタカトク中将により、νガンダムに移植され、Hi-νガンダムへと進化したのだ。
モビルスーツ単体においても、もはや差は歴然としていたのだ。
バンシィ・ハデスは追撃に迫るHi-νガンダムに対し、右腕部に装着されているビームガトリング砲でけん制射撃するが、Hi-νガンダムは目の前からすでに姿を消していた。
そして、バンシィ・ハデスの周りに三角錐(四面体)のIフィールドバリアが展開し、更に全方位からビーム攻撃がバンシィ・ハデスに襲い掛かる。
Hi-νガンダムの4基のフィンファンネルにより、Iフィールドバリアを展開しバンシィ・ハデスを囲み、更に残りのフィンファンネルは全方位からのビーム攻撃を仕掛けたのだ。
逃げ場を完全に失ったバンシィ・ハデスはサイコフィールドによるバリアを展開するが、何故かフィンファンネルによるIフィールドバリアの中ではサイコフィールドの出力は低下し、バリア形勢が維持できなくなったのだ。
そして……フィンファンネルの攻撃により、バンシィ・ハデスは次々とビームの直撃を受け、爆発を起こす。
「カミーユすまない。今はまだ……」
コンペイ島に迂回しながら侵攻を進めるシアノ大佐率いるグラナダ駐留軍前衛師団は、順調に進んでいたが突如としてこんな報告が上がる。
「大佐!?本艦隊後衛師団後詰のザムス・ガリが攻撃を受け機関停止!」
「敵の伏兵か?兵力を隠していたのか?……だが所詮寡兵だ。このまま進む」
先ほどまでコンペイ島からは砲撃は受けていたが、回避可能な十分な安全マージンを取りながら進軍していたのだが、突如として後衛師団最後方の艦が攻撃の直撃を受けたのだ。
コンペイ島からの攻撃は無いと判断し、自問自答しながらそう言葉に発する。
「大佐!伏兵戦力ではありません!前衛師団戦闘宙域からの超遠距離砲撃です!」
そんなシアノ大佐のつぶやきの様な言葉に、ブリッジ要員から返事が上がる。
「前衛師団宙域からだと?前衛師団とバンシィはどうなってる?」
「前衛師団は壊滅!!バンシィ……反応はロスト!!」
「バカな!?たった一機のモビルスーツで……どういうことだ!?バナージ・リンクスは化け物か!?」
前方スクリーンに前衛師団とバンシィを送り出した宙域には、先ほどまで騒がしく光が明滅していたが今は静かになっていたのだ。
シアノ大佐はその報告を聞き珍しく狼狽える。
さらに、望遠カメラには一筋の光がこちらに向かって伸びてくる映像が届くと同時に前衛師団後詰艦に直撃したのだ。
「………更に後詰艦ザムス・バインが行動不能に!!」
「なっ!?あの距離からの正確な狙撃だと!?」
その様子にシアノ大佐はこれがモビルスーツからの狙撃であると瞬時に判断するが、動揺を隠せないでいた。
これはアムロのHi-νガンダムからの狙撃だった。
狙撃に使用されたのはハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーをタカトク中将がヴェスバーの理論を応用し小型改良したスナイパービームライフルだった。
本来、アクシズの核パルスエンジンを狙撃で破壊するために急遽開発された超大型ビーム兵器で、その出力故にラー・カイラム級戦艦からエネルギー供給しながらでないと運用できない兵器だった。
しかし、タカトク中将は、機動兵器は其れ単体で完結しなければならないという理念と、サナリーから提供された技術を応用し、破壊力は維持したままνガンダムのビームライフルを一回り大きくしたようなサイズにまでダウンサイズさせたのだ。
流石に連射は厳しいが、最大出力で2発発射可能、さらにエネルギーマガジンを交換することで、継続射撃能力を高めていた。
「大佐!?」
「撤退だ……これ以上の損耗は無意味だ。全艦直ちに全速撤退!」
「「イエス・サー」」
シアノ大佐は作戦失敗を悟り、冷静に撤退命令を下し、直ちにグラナダ駐留艦隊は撤退を開始したのだった。
「撤退したか……。残弾関連は20%…無理に追撃する必要は無い。戦闘継続能力はやはりモビルスーツ単騎ではこれが限界か、無人補給機が欲しいところだが……」
アムロは撤退するコスモ・バビロニアのグラナダ駐留艦隊をHi-νガンダムの望遠映像で確認しながら、つぶやきを漏らす。
マクロスの世界で銀河を股に掛ける戦線にどっぷりつかってしまってるアムロの感覚は、宇宙世紀の世界での戦争常識とズレを起こしているのだろう。
モビルスーツでのそんな運用方法は無い。
そもそも、モビルスーツ単騎で一個師団相手取る事自体が常軌を逸しているのだ。
アムロの活躍のお陰で、コンペイ島は守る事ができた。
だがその戦後処理が大変だろう。
相対したコスモ・バビロニア側のモビルスーツと戦艦は、アムロのHi-νガンダムによって戦闘不能に陥っているが、パイロットや乗組員は無事なのだ。
それが凡そ一個師団分あるのだ。
戦後処理にかかる仕事量は撃墜するよりも数倍に膨れ上がる事は間違いない。
「カミーユ………」
アムロのHi-νガンダムは先ずは、無残な姿となったバンシィ・ハデスの回収を行う。
コクピットコアは無傷であり、搭乗者のカミーユも無事であった。
アムロはワザと派手な攻撃を演出し、バンシィ・ハデスを爆散させたかのように見せかけたのだ。
コスモ・バビロニアにバンシィ・ハデスが爆散し、カミーユが死亡したと見せかけるために……。
地球連邦と宇宙連合の交渉は何事も無く終わりを迎え、地球連邦側の代表である連邦議会副首相と宇宙連合側の代表である首相のオードリーが世界に向け共同表明を行う。
事実上の地球連邦と宇宙連合の停戦宣言である。
これにより、双方に対しての表立った軍事行動は規制される。
表向きには……。
他国の立ち合いも無く二国間だけで執り行われた停戦宣言だ。
実質的な効力は何処まで有効に働くかは不明である。
どちらかが一方的に停戦宣言を撤回したとしても、相手国からの非難を受けるだけの話である。
それも撤回した側は、それらしい理由を付け非を相手国に押し付けるだろう。
他国からもなんらかの非難は受けるだろうが、停戦撤回を止める事は出来ない。
過去の歴史がそれらがまかり通ってきた事を語っている。
ただ、お互いの利害が一致している限りは停戦協定の効力は続くだろう。
シアノ大佐率いるグラナダ駐留艦隊は2個師団24隻の戦艦を擁していたが、グラナダに帰還できた艦は後衛師団10隻と何とか撤退出来た前衛師団の旗艦1隻の合計11隻、半数も無かった。
シアノ大佐は地球連邦と宇宙連合の停戦調印式の報道映像で、シュトレイ・バーンを名乗るバナージ・リンクスが、オードリー・バーンの後ろに控えている姿が映っていた事に顔をしかめていた。
調印式は丁度グラナダ駐留艦隊が宇宙要塞コンペイ島を攻撃している時間帯を示していた。
映像を分析に回したが、映像に映ってる人物はバナージ本人に間違いないと出たのだ。
「バナージ・リンクスではない?……あの白いガンダムタイプは誰が乗っていたのだ?あの戦闘力は常軌を逸していた。まるでラフレシアプロジェクトを実現させたかのように、しかも我々がやられる側として………まさか、連邦での噂は本当だったのか?連邦の白い悪魔 アムロ・レイが生きているだと?笑えん冗談だ。……だがしかし………」
シアノ大佐は今回の敗因について分析を行うが、モビルスーツ1機が2個師団を相手取り、1個師団のモビルスーツと戦艦を壊滅させてまだ余力を残しているなどとは……普通はあり得ないのだ。
だが、シアノ大佐はそれに近い事例を知っていた。
カロッゾ・ロナが駆る大型モビルアーマーラフレシアだ。
ラフレシアのコンセプトは無敵……対艦・対機動兵器に対し、一対多数を想定されたモビルアーマーだった。
そのコンセプト通り、ルナツー攻略やグラナダ攻略の際、カロッゾ・ロナ操るラフレシアは大いに猛威を振るったのだ。
そんなラフレシアだが、唯一の弱点があった。
ラフレシアを100%のスペックで駆動させるには通常の人間の脳では到底情報処理しきれないのだ。
そこで、カロッゾは自らをラフレシアの生体ユニットとすべく、徹底的に強化処理を施した経緯がある。
シアノ大佐の分析ではバナージがニュータイプとして凄まじい力を持っている事は分かっていた。
その為に新たな戦術と、対バナージ対策としてカミーユとユニコーンガンダム2号機を用意したのだ。
だが、バナージが今回の様に二個師団を単騎で抑えるだけの力があるとは想定していなかった。全くの誤算と言っていいだろう。
シアノ大佐は撤退中に、何か見落しがあったのではないかと絶えず思考を回していた。
そして、今回の中継であの白いガンダムタイプのパイロットがバナージではないと判明……。
シアノ大佐は、ここでようやく大いなる間違いに気が付き、アムロ・レイの生存について、意識をし出したのだ。
その一方で……
「カミーユ………」
「……アムロさん」
最強のパイロット アムロ・レイと過去に最高のニュータイプと呼ばれたカミーユ・ビダンは、実に35年ぶりに再会を果たしたのだった。
次回はカミーユのお話からかな?
後残り2話で一旦区切りをつけようと。
といいつつ、いつもだらだらと長くなっちゃうんですが><
ファ・ユイリィさんの結婚後の名前について……
-
ファ・ビダン(TV設定版)
-
ユイリィ・ビダン(多分正式設定版)