爆発的な光から目を閉じ光が収まったのを感じ取って目を開けるとそこは…
「……へ? 教室?」
そこはさっきまで俺と南雲が喋ってグダグダしていたいつもの教室だった。あたりを見回すと俺と同じようにきょろきょろしているクラスメイト達がそこにはいた。
「…柏木君、さっきのは一体」
「わかんねぇ。なんだったんだ今のは」
南雲も無事だったようで、俺と同じように呆然としている。隣にいる清水も同様だ。いくらなんでも訳が分からなかった。魔法陣みたいな幾何学模様が教室中に広がって、光ったのは分かるんだが…自分の身体をペタペタと触ってみるがやはり異常は見られない。
「さっきのは魔法陣…か?誰かを召喚しようとしていたとか?」
「やっぱり清水君もそう思うよね。…何だろう腑に落ちないな」
「分かるのはチャンスを逃したって事だ。 …クソッ」
さっきから南雲と清水が話しているが、答えは出そうにない。悔しがっている清水の様子からしてライトノベル特有の異世界召喚みたいだったが…真相は誰にもわからない。
分かるのは清水の言う通り、俺達は何かのチャンスを逃してしまったのかもしれない。
または…大きな陰謀のようなナニカから逃れたのかもしれない…
結局、何が原因であの光が起こったのか分からないまま俺達はいつも通りの日常を過ごしていた。愛子先生が念のため検査を受けた方が良いと言っていて検査やらなんやらしていたが、まぁ予想通り全員異常はなかった。
「何だったんだろうな、あの光」
「うーん、やっぱり異世界召喚の魔法陣だったんじゃないのかな?」
「まっさか~。ファンタジーやメェルヘンじゃないんだぞ南雲君!二次元と三次元の区別はしっかりつけよう!」
「分かっているってば。それでも気になるんだからいいじゃないかー」
土曜の休日。喫茶店『ウィステリア』で昼食を取りながらグダグダと会話をする俺と南雲。話題はやっぱり月曜日に起きた謎の光についてだった。
異世界召喚の可能性を諦めきれない清水に誘われて放課後になってから俺と清水が教室を調べたのだが…やっぱり進展は無かった。
それでも諦めきれないと言う清水の熱意に南雲は苦笑しながら聞き込み調査を手伝ってくれた。そして唯一判明したのが『魔法陣は天之河光輝を中心となって広がっていった事』位だった。
「もしかしたら天之河君を呼ぼうとして魔法陣が出てきたのかもね」
「なら俺達は危うくそれに巻き込まれそうだったって所か」
清水はなんで天之河なんだと嫉妬していたが、もう終わってしまったことだ。だからもしかしたら異世界召喚だったかもしれないなんて話は空想で妄想でしかない。清水は残念がるだろうが危険なことに巻き込まれなかっただけで良しとしよう。
「でもまぁやっぱり何だかんだで気にはなるんだけどねー」
「ん?なにがだい?」
「あ、店長さん」
俺のつぶやきが聞こえてしまったのかこの喫茶店の店長であり同じクラスメイトである園部優花の父親でもある店長さん(名前は知らない)が不思議そうに聞いてきた。お皿を取りに来ていたのだろうか、いつもニコニコと愛想のいい笑顔は不思議そうに俺達を見ていた
「あー 月曜日にちょっとおかしな事が起きまして…」
「信じられないかもしれないですけど突然魔法陣が出てきたり謎の光があったりと変な事が起きていたんです」
にわかには信じられない事が起きたと説明すればなるほどと合点が行った顔をする店長さん。
「ああ、優花から同じような話を聞いたよ。何でも突然の事で訳が分からなかったとしか言ってなかったんだが…君達はある程度の事情を知っているのかい?」
興味があるのだろうか何やら思案顔をする店長さん。やはり娘に何があったのか心配しているのだろうか。美味しい昼ご飯を頂いているのでとりとめのない雑談位はいいだろう。南雲も同じことを考えたのか苦笑しながらも事件のあった日の事を説明している。
「あの日のお昼頃なんですけど…」
「ふむ、白昼堂々とまばゆい光に魔法陣か…もしかして」
南雲と店長さんの会話を眺めながら喫茶店でのんびりと過ごす日常はとてもまったりとして居心地がいい。面白そうな事に関われなかったのは残念だが、願わくばこの日がずっと続くことを願うとしよう…
だが俺は知らなかった。まさかこの後起きる数々の日常の裏側で起こる大事件に巻き込まれることになるなんて。
俺と南雲が『化け物』になってしまいこの穏やかな店長さんと転校生中野に助けられながら事件に巻き込まれるなんて知らなかったのだ…
ダブルクロスEND『さよなら日常、ようこそ非日常』
という訳でエンディングです!ご愛読ありがとうございました!
…と言うのは冗談で、まだまだ続きます。このエンディングは万が一のエタ―になった時の保険でした
一言メモ
園部博之 喫茶店ウィステリアの店長は表の顔。実はUGN支部長でありオーヴァードである。