ありふれたクラスは世界最凶!【完結】   作:灰色の空

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恋せよ少年っ!

 

 

「…クソッ」

 

 額から流れる汗を拭い舌打ちを一つ。目の前にはボロボロの土塊。

 

 試行錯誤の回数はこれで何回目だろうか。人の形をかたどった土塊は体を維持することが出来ず崩れ去ってしまった。

 

 

(はぁ…やっぱ才能ねぇのかな俺?)

 

 地面に広がった土塊を前に深い溜息。野村新太郎は自身の才能である土魔法に行き詰まっていた。

 

 

 

 

 迷宮で魔人族と出会ったその日から野村は自分と他の男子達との差を感じていた。どこかで薄々と感じていたその差は魔人族との接触で判明してしまったのだ。

 

 魔人族と出会って始まった事に自分がやったことは何一つなかった。

 

(アイツ等おかしくね?俺と何ら変わらない筈なのに…)

 

 脳内に浮かぶは一緒に召喚され、共に訓練した男子達。同時期に訓練を開始した筈なのになぜあそこまで差が開いてしまったのか。   

 

 一体彼らと自分では何が違うのか、湧き出る疑問に答えるものはいない。しかしだからと言って彼らに頼り続けるのは自身の沽券にかかわる。自分だけ弱いままなのは嫌なのだ。

 

(…それにあの子に情けない姿を見られたくはねぇしな)

 

 脳裏に浮かぶは好きになったある女の子。絶体絶命だった橋の一件では助けることが出来たがそれはあくまでも庇っただけだった。男としては誇りに思う事だが次はそう上手くはいかない可能性がある。それぐらいの先を見ることだってできるのだ。

 

 だから自分の得意分野を磨くしかないのだ。他の男子に負けたくない、惚れた女の子にカッコイイ所を見せたい。それが自分の原動力

 

「…悩んでても仕方ねよな。ぃよしっ後もうワンセット!」

 

 頬に喝を入れ、もう一度土魔法の構成を顧みる。自身の魔法を知るのは決して無駄ではない筈だ。

 

 

 土属性の魔法は基本的に地面を直接操る魔法であり、地面を爆ぜさせたり、地中の岩を飛ばしたり、土を集束させて槍状の棘にして飛ばしたり、砂塵を操ったり  することが出来る。橋の一件で柏木に頼まれた砂利を作るのも土魔法なら簡単な事だった。

 

(でもこれだけじゃ足りない…強みはもっと別にある)

 

 しかし、これらの魔法を野村は役不足だと判断した。確かに常人と比べれば野村の才能はかなりの物になる。現に巨石を攻撃魔法として撃つぐらいならできる、だがそれでは駄目だと判断したのだ。

 

(攻撃に関しちゃ、悔しいけど中野が次元を超えている。アレを越えるのは無理だ)

 

 魔人族の女を掴まえたその後の魔物との戦い。いいや、それは戦いとすら呼べない代物だった、中野の炎が放たれるたびに絶命の叫び上げ命の区別なく消し炭になっていく。その光景は野村の目に焼き付ていたのだ 

 

 攻撃と言う命を消し去る方面においては中野を越える事は出来ない。それがあの日焼き付いた真理であり現実だった。

 

「…でも魔法は攻撃するだけじゃない、もっと別の使い方がある」

 

 攻撃に関しては中野には及ばない、しかしそれで腐るほど野村は卑屈でもなかった。野村の土魔法にはまだ応用が残っていたのだ。

 

「石化っつうのもあるが…やっぱ俺はゴーレムだろ」

 

 土魔法には上級になると石化の魔法があるのだが、これに関しては意識を向ける気は無かった。それよりももっと使い勝手のある力がある。

 

 それが先ほどから練習しているゴーレム…土人形だった。

 

 土魔法で作るゴーレムは自律性のない完全な人形ではあるが、だからと言って使えないという訳では無いのだ。力任せの腕力や囮に斥候、肉の壁や他にも単純な労働力としても使える。

 

「数も増やせればできる事だって増える筈」

 

 中野は単純に強かった、圧倒的であり戦い全てを一人に任せても問題ないのではと思うほどでさえだった。だが、今中野達が直面しているのは只の喧嘩染みた戦いではない。国と国同士が戦う戦争なのだ。

  

 たった独りで戦況を変える事は不可能なのだ。それは、あの火術師や勇者でも変わらない絶対的な事だ。だから自分の得意分野で尚且つ他の人には出来ない事に目を付けたのだ。戦力の増強であり、人間族が勝っている部分でもある数を増やすという単純ながらも絶対的な有利な物を。

 

「って思ってたんだけどなぁー」

 

 とほほと溜息が漏れてしまうのは仕方ない事だった。発想は上手く行ってるはずなのに肝心のゴーレムづくりが頓挫してしまっているのだ。

 手ごたえがあるはずなのに、どうしても最後の一手が足りない。そんな状況だったのだ。

 

「はぁ…遠藤や永山は上手く行ってるのになぁ」

 

 親友の二人を思い出す。近頃遠藤は何をしているのかさっぱりわからないほど姿を消すことがあるのだ。影が薄いというある種の呪い染みた体質はどうやらこの異世界で克服できたようで遠藤の存在自体を忘れる事は無かった。そんな遠藤は何やら色々と試しているようで充実しているようだった。

 

 永山の方も地味ながら確実に成長して居った。この間なんて坂上と数時間の間殴り合いの訓練をしており周りの者を呆れさせていたのは記憶に新しい。

 

 そんな親友たちと比べて自分のパッとしなさに溜息が出てくる。そんな焦燥感と言うよりも徒労感を感じ始めた時声を掛けられた。

 

「野村、上手くいてるか?」

 

「永山?あーまぁボチボチかな」

 

 声を掛けてきたのは親友の永山重吾。訓練を終えた後なのかタオルで自身の汗を拭っていた。

 

「なーんか躓くんだよなぁ。これで合ってるとは思うんだけど」

 

「へぇ…」

 

 野村の説明を受けしげしげと崩れ去った土塊を見る永山。そこで何やら思案顔をすると唐突に野村の想像しなかった声を上げた

 

「お前、辻さんには告白したのか?」

 

「…は?」

 

 余りにも余りな突然の事に一瞬呆然とし素っ頓狂な声を出してしまう。それもその筈親友である永山は自分の恋心を知ってはいる物の今まで明確に口にしたことは無かったからだ

 

「あの橋ん時にちらっと見たけど結構良い雰囲気だったじゃないか。まだ告ってないのか?」

 

「お、お前!?言う訳ないじゃんか!常識で考えろよっ」

 

 どもりながらも顔を赤くし、抗議する。流石に不意打ちだったのとあのとき確かに協力していたという事実を思い出したのとそれからの会話が無かったことなどを色々と思い出したからだ。

 

「そうか…うむ、なら善は急げだな」

 

「はっ?」

 

 何やらうんうんと頷く永山。嫌な予感がして、親友の顔を見る。

 

 

 

「何、お前の恋路を皆で手伝ってやろうって事だ」

 

 

 その顔は今まで老け顔だと揶揄っていた親友のこの異世界で初めて見た年相応の顔だった。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つーことで、まずはお礼を申し上げます。わざわざ暇している中で集まっていただき誠に感謝っす!」

 

「暇してるって、テメェが呼んだんだろうが阿保」

 

「あ、飲み物はコーラとサイダーとモンスターエナジーですので気軽にご賞味ください」

 

「聞いてねぇなこいつ。知ってた」

 

 

(…どうしてこうなったんだろう)

 

 目の前で朗々と語れる阿保丸出しな会話。発言者はやたらとテンションの高い柏木と呆れて突っ込んでいる檜山。

 

 場所は会議室で、緊急収集と言う名の呼び出しを食らった参加者は召喚された男子生徒達。

 

「それでは今回の議題はズバリ! 恋せよッ野村!でお送りいたしたいと思います!」

 

「ヒューヒュー」

 

 そしてこの会議の目的は野村の恋路を手伝うという余りにもトンチンカンな事だった。

 

 

「目的はいたって簡単、そこの青春待っただ中の野村君が辻さんに告白するのを手伝ってあげようって事です」

 

 改めて皆の前で堂々と言うなよと視線に殺気を込めて司会者でさある柏木を睨みつけるが、当の柏木はどこ吹く風で寧ろ面白がっているフシさえあった。

 

「…えっ!?野村って辻さんの事が好きだったのかい?」

 

「鈍っ!?おい、呼んだはいいがこの鈍感男役に立つのか?」

 

 改めて野村の好きな女子を発表したことで困惑するものが1名、クラスの中で一番のハンサム顔天之河だった。

 この前まで周囲を寄せ付けない焦燥感はきれいさっぱり無くなり男子生徒達との見えない溝は埋まったようで今では天然記念物扱いを受けているハンサム男だった。

 

「そこの無自覚フェロモン男は放っておくとしよう。恐らく男女の付き合いは小学生レベルの話しか出きん」

 

「え、っと…ご、ごめん?」

 

「へっ 謝んなよ色男、飯がマズくなる」

 

 飲んでいるのはサイダーだけどなっと不貞腐れたような顔をした清水に突っ込みをする野村。ツッコんでいなければ逃げ出したくなる状況であった。

 

「そもそも、この会議についてなんだけど野村君の了承は取ったの?」

 

「取ってません!でも良いよな野村!前からもどかしい思いをしていたのはお前だけじゃないんだから!」

 

 南雲のもっともすぎる正論を笑顔で有耶無耶にする柏木、視界の端では親友二名が思いっきりしたり顔で頷いていた。

 

「それでも本人の意思が明確に無きゃ只のおせっかいどころか善意の押し付けになるぞ」

 

 と、ここで待ったを書けたのが中野。意外な人物の言葉にふと、ニヤついていた場が静かになる。

 

「むぅ、時には強制せねばアカンことも有るんだが…そうだな。なぁ野村、聞いてもいいか?」

 

「な、なんだよ」

 

 そしていきなりの名ざしである。全員?の視線が柏木と自分に向けられて困惑する。

 

「おせっかいを言うけどさ、お前辻さんのこと好き?」

 

「そ、それは…」

 

 柏木に言われ改めて自分が恋心を抱く相手の事を考える。辻綾子、同じクラスの女子で話をした回数は少ないが好きな人だった。何時惚れたのか、それは自分自身分からない、しかし好きになった事だけは間違いが無かった。

 

 だから好きかどうか問われるのであれば…言うのは恥ずかしがこういうしかなかった

 

「そ、そりゃ…好きだよ」

 

「そっかそうか。ああ、良かった本音を言ってくれて。言わなかったら自白剤を入れるところだったyよ」

 

「おい!?」

 

 なにか物凄い単語が聞こえ突っ込んだがやはり柏木は気にした風もなくにこやかに笑っていた

 

「つー訳だ。俺はこの恋路を協力したい。皆はどうだ?」

 

「やる、そのためにお前に相談を持ち掛けたんだからな」

 

 と、言い切るのは親友の永山だった。この珍妙な会議の発端は永山ではあるがヤバイ人間に相談してくれたものだなと愚痴ってしまう。柏木は死にかけてから妙にテンションがおかしくなった、…実は元からかもしれない

 

「良いぜ別に、暇しているのは間違いないしな」

「いいよ~面白そうだしね~」

「頑張れ野村。俺は影からお前を見守っているから」

 

 ザワザワと参加?を宣言するクラスメイト達。嬉しいような恥ずかしいようなざわつきが胸を占める。

 

「それじゃ皆。改めて聞くけど…告白の手伝いってどうすればいいんんだ?」

 

「ノープランかよっ!?」

「何も考えてねぇぞコイツ!?」

「全ッ然駄目駄目だな!」

 

 あれだけ騒がしそうにしておいてのまさかのノープランだった。もしかして自分は早まったのかもしれない、野村は先ほどの人に頼ろうとしていた自分を恥じた。

 

「そもそも、どうするんだ?俺たちの誰かが女子連中に野村は良い奴だって吹聴しておくのか?」

 

「…それあからさま過ぎてバレねぇか?女子って結構鋭いぞ?」

 

 一見有効そうな意見は物の数秒で却下された。確かに女子たちに噂をばらまいても効果のない可能性が高そうだ

 

「…おい柏木、お前惚れ薬作れたろ、そいつを使うってのは?」

 

「まさかの薬物頼り!?」

「流石は檜山!邪道をあっさりと提案する、そこに痺れないし憧れない!」

「スルーしてるけど、柏木ってそんな薬作れるの?ヤバくね?」

 

 檜山が提案したのは惚れ薬を使うという物だった。なるほど確かにそう言う薬ならば服用と後の事さえ抜かりをしなければ上手くいくだろう、野村が賛成すればという話だが

 

「えっと…作る?より取り見取りだけど?」

「そ、そんなの嫌に決まってんじゃねぇか!何考えてんだよお前ら!?」

「ですよねー。ああよかったそれに頼るんならTS薬をぶっかけるところだった」

「おい、コイツマジで頭やベーじゃねぇの?」

 

 薬を使うなんて非道は野村自身嫌だった。勿論なんだかんだ言いつつ興味はほんの少しはある。けど、そんな物に頼るぐらいなら玉砕覚悟で突撃をかました方が良かった。

 

「あの、言っても良いかい?」

「なんぞいイケメン君?」

「なんだか悪意を感じる…」

 

 その後も案にすらならない雑談を繰り返していた時消極的に手を挙げたのは天之河光輝だった。揶揄うような柏木の言葉に困ったように笑った光輝は、眉根を下げながらずっと考えていたであろう提案をしてきた

 

「その、この議題ってそもそも野村が辻さんに告白するって話じゃないか」

 

「そうだけど?」

 

「…野村が直接辻さんに好きだって伝えればいいんじゃないのか?」

 

「!」

 

 意外!それは至極真っ当な意見だった。真っ当過ぎて一周回ってツッコミが入る

 

「いやいや、断られるのを回避するためにこうやってみんなで話し合って」

 

「でも、当事者は野村だよね。そりゃ上手くいくかは誰にだってわからない、でもだからこそ本人が頑張るのを見守るのが一番いいんじゃないのか」

 

「うーんド正論過ぎて何も言えませんな」

 

 天之河の言葉に柏木は納得がいったのかうんうんと頷く。何だか雲行きが怪しくなって来た。

 

「手伝うのは悪い事じゃない、でもあくまでも野村の意思を尊重するのが良いはずだ」 

 

  

 

 

 

 結局光輝の提案に全員が納得をし、野村が自分で頑張る事になった。

 

「でも、流石に場の提供だけはしてやろうじゃないか?一応雰囲気ってものは必要だろ?」

 

 取りあえずで柏木の案、せめて最高のロケーションで告白をしてほしいという話になった。

 

「んで、改めて聞きたいんだけどこの中で彼女持ちの奴っているのか?どういう場所で告白するのが合ってるのか確認したんだけど…」

 

 

「「「「………」」」」

 

「…す、すまん」

 

 確認のため柏木が男子達に聞いたが誰も応えるものは無い無かった。皆が俯き、項垂れるその様は柏木とて申し訳なさで謝罪の言葉を出してしまうほどだ。

 幾ら召喚され考えられないような強さを持った彼らとはいえ花の高校生、彼女がいないというのは大変悲しい事であった。

 

「えっと…み、皆そんなに悲しまなくても良いじゃないか」

 

「うるせぇ顔が良いからって調子こくんじゃねぇぞ!?」

「誰しもがテメェの様に持ってるんじゃねぇんだぞ!?」

「日本でもトータスでもモテやがって!テメェは女の子ホイホイか!?そのイケメンフェイス譲ってください!」

 

 途中項垂れた皆を元気づけようとして光輝が励ましたが一部の男子達から可愛がりを受けてしまったのはまた別の話だ。

 

 

「それじゃあ仕方ねぇ。ベタだがここはオタク知識を有効に使うとしよう」

 

 項垂れた中で比較的には回復が早かった清水はそう言って告白のロケーションづくりの指揮を取る。用いるのはあくまでもギャルゲーの知識だが清水以上にギャルゲーをやり込んでいる人間が居ないため渋々と立候補したのだ。

 

「別にいいけどよぉそのオタク知識って役に立つのか?」

「少なくとも今ここにいる中で一番の恋愛知識はあると思うが?」

「それ、あくまでも二次元での話だよね。…あ、ごめん」

 

 

「うぉっほん! 兎も角だ、ここは王道を行こうと思う」

 

 咳ばらいを一つ入れた清水が提案したのは王道のロケーションでの告白だった。古今東西、告白の絶好スポット、それを清水は知っていたのだ

 

 

「一応聞くけど、どんな所で告白?」

「決まってる!ズバリッ 伝説の樹の下で、だ!」

 

 清水の提案したロケーションとは伝説的恋愛ゲームでの有名な告白スポットである樹の下での思いを伝えるという事だった。

 他にも屋上とか放課後の教室とか色々と候補があった中清水は初心な野村が成功するためにあえて王道を選んだのだ

 

「木の下?想像がつかないな」

「つーかそれかなり古いんじゃ?」

「樹の下ねぇ、虫が出て来たら最悪だな」

「ときメモかよっ!?どれだけ前のゲームだと思ってんだ!?」

「確か初代が発売したのが…嘘っもう26年前!?今の時代じゃもはや化石だろ!」

 

「だまらっしゃい!文句を言うのならほかに方法を言ってからにしろこの童貞ども!」

 

 様々な意見が飛び交う中清水は一括する。その目は何故か血走っていた。全員口を閉じて次の言葉を待った。逆らうと魔法を撃ってきそうだったからである

 

「いいか!俺たちの中で唯一青春を送ってる野村には幸せになってもらわなくちゃいけねぇ!異世界だぁ!?召喚だぁ!?戦争だぁ!?はぁぁああ!???ふっざけんなこの糞共!俺たちだってなぁ!普通に色めく学校生活が送りたかったんだよボケが!」

 

 唾を飛ばし額に血管を浮き上がらせての激昂。何故かは知らないが清水のスイッチに触れてしまったようだ

 

「まぁまぁ清水さん落ち着きなされ、野村が成功して欲しいのは俺たちも一緒。ここは成功のために頑張りましょうではありませんか」

 

「…チッ! まぁいい。それで必要なのは校庭と樹と晴れ空、それぐらいありゃ十分だろ」

 

「…用意できんのソレ?」

 

「あ?魔法を使える異能持ちが雁首そろえてんのにできねぇって抜かすのか?SAN値直葬させんぞコラ」

 

 やたらと凄みを利かせる清水。もはや逆らうのは面倒だと判断し、男たちは肩をすくめながら野村の告白の為に準備を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あのさ」

 

「ん?」

 

「何でこんなにお前ら仕事が早いの?」

 

「さぁ?」

 

 そうして一晩たった翌日。訓練所には一本の見事な樹が植林されていたのだ。見るからに立派な樹は、なるほど伝説の木の下と呼ばれても問題無いのかも知れない。

 

「…あれ、どうやって用意したんだ?」

 

「坂上が運んできた。良い訓練になったって笑ってた」

 

 野村の脳裏に樹を担ぎ運んでくる筋肉ダルマもといマッチョなあの姿が浮かんだ。上半身裸で光り輝く汗を拭いなら滅茶苦茶いい笑顔で豪快に笑うクラスメイトの姿だった。

 

「…そんな樹近くに合ったっけ?」

 

「調べてた斎藤が空路で坂上を運んで、後は全力でダッシュしてきたって」

 

 最近空を飛んでいるクラスメイトの姿が浮かんだ。筋肉だるまを運び、巨木を運搬する筋肉を愉快そうに応援するこの頃規格はずれなクラスメイトの姿だった。

 

「…どうやって植えて」

 

「南雲がやってくれました」

 

「あ、そう」

 

 錬成師ってそんな能力だったのだろうか?似た様な能力を持つとは言え野村は南雲の事が分からなかった。   

 

「そもそも訓練所の許可を取って」

 

「メルド団長に話したよ。勿論あのホセさんにもね」

 

 何でそこまで段取りが良いのか、そこまで自分の告白は広まってしまったのか、頭を抱えたくなるがもはや手遅れだ。話が行き渡ったのが善良な人たちだから揶揄われることが無いと無理矢理納得させる

 

「はぁ…なんでこんな大ごとになっちまったんだ?」

 

 大きなため息をつき頭を抱えてしまう。確かにいつかは辻に告白をしたいと考えてはいた。でもそれはもっと仲良くなってからであって…等々総じて何かしら言い訳を作って先延ばしにしていたのは間違いないが、だからと言ってここまで大ごとになるなんて思わなかったのも事実。

 

「あははは、ワリィな勝手に話を進めてしまって」

 

 ケラケラと呑気に笑うはここまで事を大事にしてしまった柏木だ。ジト目で睨むがもうここまで来たからには仕方がない、溜息ついでにふと疑問に思った事を尋ねてみた

 

 

「なぁ柏木」

 

「んー」

 

「何でお前此処まで積極的に手伝ってくれるの?」

 

 おせっかいだけでも付け加えて野村は気になったことを聞いてみた。そもそも野村は柏木とは面識はあれどそこまで仲がいいのではないのだ。

 同じくクラスメイトで同じ教室で授業を受けているといえ、あくまでもクラスメイト。友達と言うほど仲がいい訳では無い、それなのにどうしてそこまで力になろうと奮闘するのか。

 

「あーんー …笑わない?」

 

「何がだよ。つか聞いても無いのに笑うかよ」

 

「だよな」

 

 苦笑した柏木はこめかみに指を置いた。眉根が寄せられて話しにくそうに感じたのは柏木がちょっとだけ言いづらそうにしていたからだ。

 

 

「俺さ、死にかけたじゃん」

 

 その一言で思い浮かべるのは橋での死闘だった。南雲ハジメを助ける為に無謀にも独断行動をした柏木、手を伸ばし奈落に落ちそうな南雲を助けたは良いがその時に胸を剣で刺されたのは今でも忘れられない事だった。

 

「あの時、死にかけ乍ら南雲に肩を貸された時色々と思ってさ…死にたくないって考えていて」

 

 思い出そうとしているのか、眉根がさらに寄せられる。見ていた自分にとっては鮮明に覚えていることだが当事者としてはうるおぼえなのかもしれない。

 

「色々と走馬灯のように浮かんでさ、その中で思ったんだ」

 

「…何を?」

 

「そう言えば俺、セックスしてねぇなって」

 

「ぶふぉっ!?」

 

 出てきた生々しい単語に驚き隣を見るとそこには一切ふざけていない困った顔があった。

 

「いやいやこれでも割とマジだぜ?そりゃ今は惚れた女はいないけどさ、男なら女とセックスしたいって思うのは当然じゃん」

 

「まぁ…否定は…しない、な」

 

 多少の気恥ずかしさを感じたが、否定はしなかった。野村の年頃なら当たり前に考える普通でありふれた事だった。

 

「セックスしたいって思ったら、次はイチャイチャしてみたい、四六時中女と一緒に居たいとかそんな事が頭に浮かんで」

 

「……正直な奴だな」

 

「あははは、んで命が助かってから思ったんだ。ここでは後悔しない様に生きてみようって」

 

 トータスは死ぬ可能性のある、いくら自分たちは天職やら才能やらが凄くても生きている以上死ぬ世界だと考えた時、後悔をしないように好きにやりたいと考えたと柏木は困った顔で言った。

 

「野村、告白はともかくとして、自分の思いを誰にも伝えず伝えられずには死ぬってのは本当にきついぞ」

 

 何も言えず伝えれず死ぬというのはどんなに悲惨な事か、柏木はそれを感じ取ったらしい。だから野村に手を貸すのだと

 

「…分かり切ったことを言いやがって」

 

「ごめんごめん、でもま、こうやって無理やりにでもしないと駄目かなって思ったのは事実で」

 

「そう言うのおせっかいって言うんだぞ」

 

 非難する様ににらめばごめんごめんと謝る柏木。ハァと溜息はつくものの本当はそこまでは怒っていなかった。自分自身こうやって人に場のセッティングをしてもらわないと何も言えないヘタレだと自覚をしているからだ。

 

 

「上手くいくのかなぁ…」

 

「それはもう、俺等にはわからんことで」

 

「だよなぁ」

 

 

 とんとん拍子で決まった告白劇、果たして上手く行くのかどうかは誰にもわからない事だった。

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

「馬鹿だ…アイツら絶対バカだ」

 

 晴れるような青空、青々とした葉を付ける大樹の下で野村は樹を見上げながら呟いた。いくら場が整ったからって本当にやってしまう奴らが居て、乗ってしまう自分もいるなんて今までの自分は思いもしないだろう。

 

(…クソッ!? 本当にこの格好で合ってるのか?俺はこれで良いのか?)

 

 自分の姿を今一度見直し汚れが無いか、おかしなところが無いか確認する。今の自分の格好はトータスでの私服ではなく何故か高校の制服だった。

 

 何故制服なのか、清水曰く

 

『異世界において、俺達の日常だった制服は、自分たちが普通の高校生だったことを思い返す良い視覚効果だ。戦争、訓練などをして凝り固まった価値観をほぐすにちょうど良いシロモノって事だ」

 

 との事だった。確かに自分たちは只の高校生。その事を忘れつつある今、思い返すのは必要な事なのかもしれない。…その日常に帰れずにいるという現実も直視してしまうが。

 

 

「あぁぁぁ~~~ 早まったかなぁ~~~」

 

 ここで待機しているのは、もうすぐ好きな相手である辻綾子が来るからだ。どういったコネクションを使ったのか柏木が白崎香織と交渉して辻を呼び出すことに成功してしまったのだ。その事を嬉しそうに報告する柏木の顔をいつか殴ってやるとをここに決める。

 

「…あ、来た」

 

 そうこうして居る内に訓練所の入り口からやって来るのは女子三名。遠目でも分かる辻綾子とその付き添いである吉野真央と白崎香織だった。

 

(オイオイマジで来たよ…来ちゃったよ!)

 

 どういう会話をしているのかはわからないが何度か女子たちだけで会話をして辻だけがこちらへとやって来る。しかもなぜか相手も学校の制服で。久しぶりに見るその姿に改めて可愛いと思うと同時に心臓の鼓動が急激に高鳴っていく。

 

(あわわわっ! こ、こんな事になるなら柏木から薬でも貰っておけばよかった!)

 

 柏木は一応調合師である、精神を落ち着かせる薬なんかを作ったと聞いてたことがあったのでそれを借りればよかったと内心後悔する。

 

 しかし賽は投げられてしまったのだ。動揺している野村の緊張解れることなく、辻はやってきた

 

「え、っと野村君?」

 

「ひゃっ はい!」

 

「何か話があるって白崎さん達から聞いたんだけど…」

 

「そ、それは…」

  

 やはり緊張したままだったのがマズかったのか次に出る言葉、好意を伝える言葉が野村の口からは出てこなかった。

 何度か口を閉口することが出来るがそこから出てくるのは言葉にならない声、端的に言えば緊張で呼吸がままならなくなってしまった

 

「ハァ…ッ!…ッッ!……ぅう」

 

「ちょ、ちょっと野村君大丈夫!?」

 

「ごめ……ちょっと…やばっ」

 

 緊張のし過ぎで死にかけるとはなんてつまらない死に方なのだろうか、苦しむ中で皮肉っていたら、そっと背中を摩る感触があった

 

「ほら、無理に呼吸をしようとしないで。一度息を止めて」

 

 隣に聞こえるのは優しさにあふれた声。その声に従い一度吸おうとしていた呼吸を止める。

 

「そのまま、お腹に手を当ててゆっくりと息を吐いて…そう、その調子」

 

 言葉の通りに深く息を吐けば苦しさが紛れていく。

 

「吐き終わったら次は自然に息を吸って。後はそれを繰り返せば大丈夫だから」

 

 教え有られた通りに呼吸を繰り返せば息苦しさはだいぶ減った。 

 

「スゥー…ハァ―…うん、だいぶ楽になった」

 

「そっか、それは良かった。でも一応もう少し休んでいた方がいいかも」

 

「そうだね。それじゃ」

 

「ここで休もう。…その、何故か訓練所に樹があるし」

 

 物凄く微妙そうな顔をして坂上が持ってきて南雲が埋めた大樹を見る辻。詳細を教えるのは憚れるので何も言えないが確かに休んだ方がいいので好意に甘え樹の下で休むことなった。

 

 辻はどこかへ行くのかと思ったが、特に傍を離れることなく、訓練所には誰もいない。いつの間にか付き添いだった女子二人は姿を消しており、訓練のために来るはずの騎士たちは誰も来なかった。

 

「…」

 

「…」

 

 二人だけの静かな時間だった。先ほどまであった緊張は呼吸とともに消えて行ったのか自分でも驚くほどの穏やかな心境だった。

 

「…さっきは有難う。おかげで助かった」

 

「うん?いいよ、私は治癒術師だからね」

 

 はにかむ辻は特に気にした風でもなかった。それが嬉しく、また少しの申し訳なさを感じる。そんな気持ちを払拭しようかと思い話題を探そうとして、辻の制服に目が逝った。   

 

「それ」

 

「これ?いきなり真央に制服を着て訓練所へ行けって言われて…」

 

「そっか」

 

「…これを着ているとなんだか懐かしいよね。前は毎日来ていた物なのに」

 

 トータスに来てからは当然の様に異世界の服を着るようになった。それが当たり前だったし何時までも制服を着ているのはおかしかったからだ。

…自分もこれを着るのは随分と久しぶりだ

 

「いつの間にかここにきて、それで戦争を参加する羽目になっちゃって…それから着る事は無くなったね」

 

「ああ、日本にいたころはこれを着るのが億劫だったのに今じゃ懐かしく感じるなんて、おかしな話だな」

 

「ほんと、召喚されなかった今頃テスト勉強で苦しんでいたのかなぁ~」

 

「帰ったら勉強しないとなぁ~メンドクセっ」

 

 他愛のない会話が続く、それがどうにもくすぐったく穏やかで気持ちが良い物だった。

 

「…ねぇ」

 

「うん?」

 

「あの時助けてくれて有難う。野村君が庇ってくれなかったら私死んでいたかもしれない」

 

 橋での一件だった。確かにあの時辻がトラウムソルジャーに襲われているのをかばった記憶がある、だがあれはがむしゃらに近い行動だったので

感謝されるようなことでは無かったと記憶している。

 そんな事を考えつつ辻にどう返答すればいいのか考えていると横からポツリポツリと辻が呟いてくる

 

「怖かった…あの時どうしたらいいかわからなくて、それでアレが来た時頭が真っ白になって…ああ。もう駄目だっと思った瞬間野村君が私を突き飛ばして」

 

「あん時は只何も考えていなかったから…ええっと」

 

 本当に必死だったのだ。辻が襲われている瞬間気が付いたら自分が怪我をしていた。魔法を唱えるやら他にも選択肢があったはずなのに気が付いたらそう行動していたのであんまり気にしてほしくないのだ。

 

「あの時のお礼を言わせて。ありがとう、野村君」

 

「お、おう」

 

 だが、微笑んで言われたお礼に、野村は辻のその顔に目を奪われた。端的に言って惚れ直してしまった。

 

 

 だからだろうか、その言葉は自分でも思いかけずにするりと出てきた。

 

 

「辻さん…」

 

「なあに?」

 

「俺と…付き合ってくれませんか?」

 

 

 

(……あ”!!?)

 

 呆然と言ってから自分の言葉の失態に気が付いてしまった。これでは助けた例として交際を申し込んでいるみたいではないか、辻の罪悪感を利用しているのでは無いかと気が付いてしまったのだ。

 

(あああ!?こんなはずじゃないのに!?)

 

 気が付いてからは冷や汗が出てくる。辻を助けたことは自分でも誇れることかもしれなかったがその行為を利用するつもりなんてなかったのだ。

 しかしだからと言って付き合いたくないかと言えば嘘になる。吐き出してしまった言葉はもう呑み込めない

 

 しかしそれでも、辻を助けたことを理由に付き合うのだけは野村は嫌だった。キョトンとした辻に向かってシドモロな言葉を吐き出す

 

「え、あ、今のは違って、いや違う訳じゃないけどと、お、俺は」

 

「…ふふふ」

 

 そんなあたふたとしている野村を見て辻はふっと微笑んだ。その笑みに揶揄うような色は無い。だからこそ、ますます野村は顔を赤くする

 

「ねぇ野村君」

 

「は、はい!」

 

 辻に呼びかけられ、背筋が伸びる。座ってお互い向き合っているような体制だが、次にどんな言葉が出るかと思うとどうしても辻を真正面から見るのは難しい。だから野村は気が付かない

 

「えっとね、気持ちは嬉しんだけど」

 

(あ…終わった)

 

 言葉一つでこうも人は絶望へと打ちひしがれるのか、さぁっと顔から血の気が引くのを感じながら辻の言葉に意識が遠くなる。何だか泣きそうになってきた

 

「あ、野村君の事が嫌ってわけじゃないんだよ?」

 

(…?)

 

 しかし言葉一つで絶望から救い上がるもまた事実だ。辻の言葉には続きがあり、思わず耳が一つも音を漏らさないとそばだてる

 

「えっと、恋人とかそう言うのはまだお互い早いと思うの。私は野村君の事を知らないし、野村君は私の事をよく知らない、それで決めるのは早いんじゃないかなって」

 

「…それって」

 

「だから、まずは友達から始めようって話。何事も焦らず一つ一つと言う事にしたいんだけど…駄目かな」

 

 辻から提案されたのは友達になってからだと言う話だった。その少し恥ずかしそうな表情の辻に野村は矢継ぎ早に答えた

 

「お、俺でよければ喜んで!」

 

「それじゃ、今後ともよろしくね野村君」

 

 そう言って笑った辻は立ち上がるとそのまま笑顔で別れを告げ去っていった。

 

 

  あとに残されたのは呆然とその後ろ姿を見ている野村だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は、はは、まさか上手く行くとは」

 

 あれから数時間して、土人形を作りながら野村は嬉しさを隠せない声を出す。

 

 正直な話、野村自身この告白劇が上手く行くとは思いもしなかったのだ。どうせ断られてしまううだろうという気持ちがしめる中恋人同士とはいかなくても友人同士と言う立場まで距離を詰めることが出来たのだ。これはだいぶ上手く行ったと言えるだろう。

 

「後は俺の頑張り次第…ああくそっ本当によかった」

 

 ここから先は野村自身の問題だ。これから頼りになる男として想われるか、それとも男としては悲しい評価であるいい人どまりになってしまうか、それは誰にもわからない。

 

「…うしっ!今度は上手く行った!」

 

 目の前には出来上がった土人形。数を揃える為に大きさはせいぜい子供の背丈ぐらいだがこれで十分だろう。後はこの土人形の数を揃えるだけだ。

 

「人間やればできるってか?ふ、ふふ。ならますます頑張らねぇとな」

 

 他者から見ればなんてことは無くても野村としては確実に一歩進むことが出来たのだ。バカな事をやってくれたクラスメイト達の手によって。

 

「…ありがとな皆」

 

 色々と便宜を図ってくれたしょうもないがそれでもお人好しの馬鹿な男たちに感謝の言葉を満更でもない顔で呟く野村だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 故に野村は気が付かなかない。

 

(う、うぅ~~バレていないよね!? ちゃんと平常心保っていたよね私!?)

 

 走り去って言った辻が耳を真っ赤にしていたことを。野村と同じように心臓の鼓動が飛び出るくらい高鳴っていたことを。

 

 

 

(もう!野村君の馬鹿!……あんなの断れるわけがないよぅ)

 

 

 橋で庇われていた時から辻が野村に好意を寄せていた事を。辻自身野村と話たがっていたが機会をが得られずもやもやとしていたことを。

 

 

 

 

 始まる前から結果は分かり切っていたことを野村はついぞ気が付かなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、どうして俺に相談を持ち掛けたんだ?」

 

「お前なら皆を巻き込んででもアイツの背を押してくれると思ったからだ」

 

「それで俺が矢面に立つことになったんだけど?」

 

「すまん」

 

「ああ、別にいいけどよ。俺も思う事はあったしさ。…後悔してからじゃ何もかも遅いってな」

 

「……」

 

「でも意外だったよ。まさかお前がダチの恋を後押しするなんてな。ずっと見守ってるのかと思った」

 

「友達だからだ。それ以上に理由があるか?」

 

「ねぇわな。…それで?重格闘士さんは、今後どういったつもりで?うかうかしていると愛に目覚めたアイツに抜かれるぞ?」

 

「一応考えはある。だから野村には吹っ切れて欲しかった」

 

「?」

 

「…土にはいろいろと使いようがある。上手く行くかはどうかは分からんがまぁ俺にも色々と考えがあるって事だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これでクラスメイト強化の話は終わりです。
あと諸々をしたら長かった準備編は終わりです
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