前にカズマにカメラを造れば良かったって発言が在りましたが、このすばに在るんですね、カメラ。
原作っていうかアニメでダクネスがバルターの似顔絵を持ってくるから無いのかと思ってました。
いつも優しい声でわたしの名前を呼んでくれる人。
いつも笑顔で包んでくれる温かな人。
怒ると怖い時もあるけど、それ以上に愛してくれた人。
はぐれないようにと手を繋いで歩いてくれる人。
そして本当にわたしを愛してくれる人達がいる。
だから父親が居ないことを淋しいと感じた事はなくて。
だけど周りとは少し違う自分の事が小さな針のように違和感を時々感じて。
だから知りたいと思った。
わたしの事を。
そして、
シラカワヒナは自分の父と名乗る男性と馬車の中で向き合う形で座っていた。
街の中を移動する馬車の為、中は2人が向き合うくらいの広さだ。
ヒナは知らない人に付いて行かないという母親に言われた事を破ってしまった事に後ろめたさから手を膝に置いて俯いていた。
視線を向かいのマコトに向けると笑みを浮かべており、話しかけてくる。
「それにしても、本当にスズちゃん。お母さんの子供の頃にそっくりだ。娘は父親に似るって言うけど僕には全然似なかったね」
はは、と声を出すマコトにヒナは意を決して話しかけた。
「……あの、おとう……さま?」
躊躇いがちだが父と呼ばれてマコトは瞬きする。
「これまでずっと離れていたのに父と呼んでくれるなんてね。嬉しいよ」
「どうして、今になって……?」
会いに来たのか、という問いかけにマコトは申し訳なさそうに、うんと返す。
「これまで商会の設立と商売を軌道に乗せるのが忙しくてね。今日まで会いに来る余裕がなか────」
「わたしはっ!」
マコトの言葉を遮ってヒナが自分が聞いていた事を口にする。
「わたしは、お父様がお母様に酷いことをして、それで一緒に住めないとお聞きしました」
それはカズマから聞いた話だが、スズハも否定していない。
何れ話すとだけ言われただけ。
ヒナの言葉にマコトは表情を曇らせた。
「あの時の事は本当に酷いことをしたと思ってる。ヒナちゃんはお母さんと僕の事をどこまで知ってる?」
マコトの質問にヒナはただ首を横に動かした。
父親の事など、それ以外に聞いた事もなかったから。
「僕とスズちゃんは家族ぐるみで交流が有ってさ。スズちゃんのお兄さん。ヒナちゃんにとっては伯父だね。子供の頃から仲が良くて、その縁で
「お母様と?」
「そうだよ。本当はスズちゃんが大きくなって、僕が父と同じ仕事で経験を積んだら正式に結婚する筈だったんだ」
そんな話しは初めて聞いて戸惑うヒナ。
「故郷の日本って国ではスズちゃんの実家はとても大きな家でね。あの子にも華があった。パーティーに参加した際には偉い大人がたくさん話しかけるのは珍しくなかったし。同世代の男の子達も彼女が話しかけると顔を赤くするなんて初々しい反応をしてたよ」
懐かしいなぁ、と過去を思い出に浸るマコト。
母の昔の話しなど滅多に聞けない為にヒナは僅かながら心躍らせ、マコトに対して警戒心が緩んでいく。
話の最中、マコトが突然ヒナから視線を外す。
「だから、婚約者としてちょっと嫉妬してたんだ。当時の僕は世間をナメてる
「お父様……」
当時の事を反省するように沈痛な面持ちの表情を手で覆う。
顔から手を下ろすと、その手はヒナの手を握った。
「本当なら君達親子の前に出るべきじゃないと何度も思った。それでもやっぱりヒナちゃんは僕の娘だから。ずっと気になってたんだ。もちろんお母さんの事も」
熱を持って語るマコトにヒナは内心を揺さぶられる。
「今更かもしれないけど、出来ることならあの時の責任を取りたい。今日ヒナちゃんと話をして余計にそう思った。やり直したいって。だからお母さんを説得する為に少しだけ協力して欲しいんだ」
すっかりマコトのペースに引き込まれたヒナは相手に同情的な気持ちが芽生えていた。
「お母様は、とても優しい方です。心から謝れば、きっと許してくれると思います。だから頑張りましょう、お父様」
「……ありがとう、ヒナちゃん」
ヒナは言ってしまえば箱入り娘である。
だから、悪意を持って接触してくる相手を知らない。
感謝する父の言葉に顔を赤くして視線を下に移す。
その時にマコトの顔が先程までの優しい笑みとは別の笑みに変わっていることに気付けなかった。
「カズマさんが買い物に付き合ってくれるなんて珍しいですね」
「まぁな」
実を言うとめぐみんにダラダラしてないでたまには荷物持ちくらいしろと言われただけである。
カズマの様子にスズハは何を思ったのか、変な事を言い始めた。
「お菓子なら買いませんよ? 明日どうせアイリス様がお土産に大量のお菓子を持ってくるに決まってますから」
「お前、俺を
「ふふ。でも昔、アクアさんと一緒に買い物に出かけると、あれ買ってこれ買ってってねだってこられたんですよ。主にお酒でしたけど」
「あの駄女神は……」
数年越しに聞く真実に今度会ったらそこら辺を突っついてやろうと決めた。
お肉屋さんに着くと、物珍しそうに店主がカズマを見る。
「珍しいな。お前がスズハちゃんと一緒に買い物なんて」
「そういう日もあんだろ?」
「そうかい」
「すみません、このお肉を────」
スズハが買おうとしている量にカズマが首を捻る。
「多くねぇか?」
「明日はすき焼きにしようかと思いまして。何年か前にアイリス様が鍋物を食べた時には絶賛してくれましたし。この間、大きな鍋も買って丁度良いかなって」
「大変だなぁ……」
そういうことを考えるのを任せているカズマは素直に感心する。
「いえいえ。こめっこさんが遊びにくる時に比べれば全然大した事はないですよ。食い尽くし系って言うんでしたっけ? あの人が来ると本当に大変で……」
「あ~」
染々と言うスズハにカズマは納得して変な声を出す。
めぐみんの妹であるこめっことスズハは相性が悪い。
数年前に遊びにきた時には屋敷の食料をかなり食い荒らされた。
特に菓子と肉類は全滅だ。
食べた本人は『たくさん有るんだからいーじゃん』と開き直っており、最初はめぐみんの妹という理由で軽く嗜める程度だったスズハも声を上げて叱りつける騒ぎになった。
その大きな理由がまだ4つだったヒナが楽しみに取っておいたお菓子を勝手に食べたのが理由なのだが。
閑話休題。
いつもより多くの肉を買ったおまけにコロッケを貰って2人で食べながら次の店に向かうと、ここにいる筈のない人物が手を振っていた。
「お兄様! スズハさん!」
「アイリス!?」
ダクネスが隣に居て、御忍び用の庶民用服(それでも高価だが)を着たアイリスが近づいてきた。
「ごめんなさい。お仕事が予定よりも早く終わったので1日早く来てしまいました」
「ちょっとビックリしましたね……」
鍋は1日早く繰り上げかな、と考えているとアイリスがスズハとカズマの辺りをキョロキョロ見る。
「あの、ヒナさんは?」
「もう学校から帰って来てると思いますが……」
スズハの言葉に少しだけ肩を落とすが、すぐに期待感に胸を膨らませる表情になる。
「そうですか。前回はドレスでしたので今回はヒナさんに似合いそうなお洋服を用意したんです。あ、もちろんスズハさんやお兄様達にも用意してありますので。魔道カメラに収めるのが楽しみです!」
それ血税ですよね? と訊こうとしたが答えは分かりきってるので止めた。
「ごめんなさい、アイリス様。まだ買いたい物があるので先にお屋敷に向かってもらえますか?」
「お買い物ですか。ちょっと興味あります。御一緒しても良いですか?」
「それは構いませんが……」
ダクネスの方を見ると好きにさせてくれ、頼むとジェスチャーされた。
「では行きましょうか、アイリス様。次は八百屋です」
「はい!」
そんな話をしている2人を余所にダクネスがカズマに話しかける。
「すまないが、アイリス様をよろしく頼む」
「どうしたんだよ、ダクネス? アイリスの護衛とかで側に居なくて良いのか?」
「あぁ。少々気になる事があるのでな。何も無ければ晩御飯までには戻れると思うが、遅れたら先に食べていてくれ」
「? 分かったよ」
その後、黒髪と金髪の美女2人に買い物をされた店からおまけやら割引やらで得をして帰って行った。
ヒナがマコトに案内されたのは貴族や大きな商会が使う、アクセルで三指に入る高級宿だった。
マコトの商会は規模こそまだ小さい物の勢いがあり、貴族に接客する機会も多く、この宿を使うだけの財力を有していた。
ヒナとマコトは大きなソファーで一緒に座り、これまで離れていた時間を埋めるように話をしていた。
ヒナは学校生活の事や屋敷で暮らす家族の事。
カズマの話をするとマコトが僅かに表情を曇らせたが、ヒナは気付かない。
ルームサービスのケーキを上品な動作で食べるヒナを見てマコトが感心する。
「綺麗な動きで食べるね。まだ7歳なのに。お母さんの教育の賜物かな?」
「はい。お母様、テーブルマナーとかうるさいんですよ」
ちょっとだけ不満そうに愚痴を言うヒナ。
「流石。スズちゃんも、子供の頃に散々そういうマナーを仕込まれてたな。気の毒に思えるくらい厳しく」
「そうなのですか?」
「家がとても厳しいみたいだったから。ほら、ケーキのクリームが口に付いてる」
マコトはナプキンでヒナの口を拭いてあげた。
後編はR18verの後日談と同じ日に1時間ズラして投稿予定。
読者さんがこの作品で好きな話は?
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序盤
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デストロイヤーから裁判まで。
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アルカンレティア編
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紅魔の里編
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王都編
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ウォルバク編
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番外で書かれた未来の話
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その他