「くっ、無念です! あのモンスターを仕留める事が出来ませんでした!」
爆裂魔法を撃って魔力を使い果たしためぐみんが大の字で倒れて悔しそうに表情を歪める。
しかしカズマからすれば上々の成果だ。
「上出来だぞ、めぐみん! アイツの首を6本も消し飛ばした!」
再生を始めているが、クーロンズヒュドラの首は既に6本も失っている。あれだけでも相当な魔力を喰う筈だ。
「次! 頼むぜゆんゆん!!」
「は、はい!」
「ゆんゆん。もしもここでクーロンズヒュドラを討伐したら、後でヒドイ目に遭わせます」
「うん! って、えぇっ!?」
「変なプレッシャーかけんな!!」
理不尽な事を言うめぐみんにカズマが怒鳴る。
ゆんゆんを2発目に置いたのは、3発目にめぐみんに撃たせる意味も有るが、もう1つは射程と発動速度である。
爆裂魔法を強化してないゆんゆんは、どうしても爆裂魔法関連では劣ってしまう。
それを考慮しての順番だ。
「今だっ!!」
「はい! エクスプロージョン!!」
ゆんゆんの杖から2発目の爆裂魔法が放たれた。
2発目の爆裂魔法が進行してくるクーロンズヒュドラに直撃する。
「よっし!! 首が殆ど消し飛んだぞ!」
クーロンズヒュドラは破損した肉体を動きながらも再生させていく。
だがあれなら、首が全て元通りになるよりも冒険者達と接触する方が早いだろう。
これならアクセルの冒険者達で時間稼ぎも出来るかもしれない。
「さぁカズマ! 早くアクアの魔力を私に────って! 何でゆんゆんに送ってるんですかっ!?」
「戦ってる皆を援護して貰う為に決まってんだろ!」
めぐみんと違って魔法のバリエーションが豊富なゆんゆんの魔力を先に回復して危ない奴が出たら助けて貰うのだ。
ただ、全回復だと時間がかかるので、半分くらいを目安にする。
「うわぁあああぁあああああっ!?」
そうしてゆんゆんの魔力回復を行っていると、冒険者の数人がクーロンズヒュドラに襲いかかられている。
他のウィザードなどが魔法で援護しているが、あのままでは食われてしまうだろう。
「クソッ!」
カズマはゆんゆんの魔力回復を中断して、鞄からアイテムを取り出す。
「この日の為に投擲スキルを取ったんだよ! 外さねぇぞ!」
「え? ちょ! カズマそれ!?」
取り出した筒を見てアクアがギョッとした。
垂れている糸の部分にライターで火を点ける。
「オラァ喰らえっ! エクスプロージョン!!」
投げた筒がクーロンズヒュドラの横っ面に直撃し、大きな爆発が起こる。
予想以上の出来にカズマは拳を握りしめた。
その爆発を見て真っ先に反応したのは倒れているめぐみんだ。
「な、なななななななんですか、アレはっ!?」
「ダイナマイトだよ。今のが1番威力の高いやつ!」
ここ最近、開発していたアイテムだ。
初級魔法しか使えないカズマがどうにか攻撃力を上げる手として考えたのがコレだった。
ライターと併用して売れば、売れるだろうという思惑もある。
スズハから何故かダイナマイトに関する知識がスラスラ出てきた事もあり、開発はかなり早く進んだ。
「スゴいな! 威力は炸裂魔法程度だが、それなら私にも使えるのか?」
「カズマカズマ! 私もドッカーンってやりたーい!」
「お前達はダメ!!」
鞄からダイナマイトを取り出そうとするダクネスとアクアにカズマが拒否をする。
何で? と、不満そうな顔をする仲間にカズマが説明した。
「当たり前だろ! 止まってる相手に剣も当てられないクルセイダーとやらかし属性のアークプリーストにダイナマイトなんて使わせられるか!」
考えても見てほしい。
剣がまともに当たらないダクネスにダイナマイトなど持たせよう物なら、誤って味方の方角に投げかねない。
アクアも、投げる瞬間にスッ転んで自爆する未来が見える。
「くっ!?」
「なによやらかし属性って! ヒキニートのくせに!」
「うるせー! お前は大人しく魔力電池と周りにサポート魔法を使ってればいいんだよ!」
ゆんゆんへの魔力供給を終えて今度は倒れているめぐみんにアクアの魔力を送る為に触れる。
すると何故か不機嫌そうなめぐみん。
「……カズマ、アレは捨てましょう。あんな物は必要ありません」
「馬鹿な事を言ってないで、とっとと魔力を補充すんぞ!」
「馬鹿な事じゃありません! なんですか今のアイテムは! エクスプロージョンって私への当て付けですか!! あんな邪道に頼るなんて見損ないましたよ!」
「うるさーい!! 大体いつまでもお前が爆裂魔法しか覚えないのが悪いんだろうがっ!!」
「なにをー!!」
喧嘩をしつつも魔力を供給していた。
そこで、今回のクエストに参加していたダスト以下数名の冒険者が近づいてくる。
「おい、カズマァ! さっきのアイテム、俺達にも分けてくれ!」
「おう! 持ってけ! 使い方は……」
「見てたから分かるぜ! あのドラゴンモドキ、目にもの見せてやる!!」
と言って、カズマの鞄からダイナマイトを持ち去っていく。
「あぁ! 皆さんが邪道に染まっていきます……」
「ちょっとカズマ! 仲間の私達はダメで何で他の冒険者にはあっさりあげちゃうのよ!! そんなに私達が信用できないの!!」
「バカヤロウ! 俺はお前達なら必ず失態を犯す筈だと信頼してるんだよ!」
「なんだそれは!?」
そんなこんなで言い争っている中で、前衛組がクーロンズヒュドラの足止めをしつつも合間にダイナマイトを駆使して凌いでいた。
アーチャーの弓や、ウィザード達も中級魔法を駆使して戦っている。
しかしそれでも負傷する冒険者も居るわけで。
「ダクネス! 向こうの奴がヤバい! 行ってこい!」
「任せろ!!」
ダクネスが走って突進してくるクーロンズヒュドラの頭を剣で受け止める。
頭部は既に半分が再生を終えていた。
「思ったより頭の再生が早いな!」
めぐみんの魔力はまだ回復していない。
いましばらくは持ち堪えてもらわないといけない。
「頑張ってくれよ、みんなぁ!!」
焦る気持ちを抑えるように呟くカズマ。
ダイナマイトを使い果たした後も、前衛の冒険者達は足留めの為に武器を振るってクーロンズヒュドラの体を傷つけ続けた。
負傷した冒険者をダクネスが回収し、プリーストに治療させる。
ゆんゆんが十八番のライト・オブ・セイバーで1本の首を狩って見せる活躍をした。
まさに総力戦。
このクエストに参加した冒険者の誰もが死力を尽くして目の前のドラゴン討伐の為に自身の役割を全うしていた。
「よーし、めぐみん! 魔力は充分だな! 最後の決めを頼むぜ!!」
「ふん! やはり、最後は私の爆裂魔法に頼る他ないようですね! あんなアイテムよりも我が奥義、爆裂魔法の方が優れていると証明しましょう!」
意気込み、杖に魔力を込め始める。
カズマは、拡声器で最後の指示を出した。
「お前らぁ! 頭のおかしい爆裂娘の一撃がくるぞぉ!! 死にたくなけりゃあ、全力で退避しろぉおおおおっ!!」
カズマの号令に前衛で戦っていた冒険者達が後退し、その援護にウィザード達も魔法を叩き込む。
ダクネスは負傷した冒険者を2人担いで走っていた。
「カズマ! 私を頭のおかしいと言った事、覚えておいてくださいね! 後でお仕置きですよ!」
黒い魔力の奔流がめぐみんの杖に集まっていく。
全ての魔力を込めて杖を解放しようと、クーロンズヒュドラに向けた。
「さぁ、もう一度喰らいなさい! 我が最大の奥義、爆裂魔法を!! エクスプロ────」
めぐみんが爆裂魔法を使う刹那の一瞬。
それが飛んできた。
一条の赤い熱線がクーロンズヒュドラに向かい、その巨大な体に直撃すると大きな爆発音と共に爆炎が広がっていく。
それは紛れもない爆裂魔法。
寸でのところで別方向から飛んできた爆裂魔法に誰もが唖然とした驚きの表情をする。
爆裂魔法を撃ち損ねためぐみんはとっさにゆんゆんを睨むが、本人は両手を挙げて首を左右に振り、私じゃないとアピールする。
「おい! あそこに誰か居るぞ!」
爆裂魔法を飛んできた方角を見たダストが自分達から少し離れた位置に居る誰かに気付いて指差した。
悔しそうな顔をしているめぐみんは、文句を言ってやろうとその方角見る。
しかし、その人物を見た瞬間にめぐみんは言葉を失った。
「貴女は……」
「どうしたの、めぐみん?」
アクアの問いに答えることができない。
赤いショートヘアの髪に女性らしい肢体。
その人物に、めぐみんは見覚えがあった。
それはかつて、めぐみんに爆裂魔法を教えてくれた女性だった。
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序盤
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デストロイヤーから裁判まで。
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アルカンレティア編
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紅魔の里編
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王都編
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ウォルバク編
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番外で書かれた未来の話
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その他