この小さな母娘に幸福を!   作:赤いUFO

80 / 86
アクシズ教のシスター

「カズマさん! この屋台、ちょっと斜めってない? この私が出す屋台なんだから、不格好に作るなんて許されないわよ!」

 

「ちゃんと作ってるよ! そもそも屋台を1から作るなんて初めてなんだから完璧に出来る訳ねーだろ!」

 

「なんの為の製作スキルよ!」

 

 エリス祭の準備にギャアギャアと言い合うアクアとカズマ。

 そうしていると、めぐみんが屋敷の中から出てくる。

 

「2人共、昼食の準備が出来たそうですよ」

 

「おう! すぐ行く!」

 

「今日は何かしら? 頑張ったからお腹空いちゃったわ」

 

 ルンルン、とスキップしながら屋敷の中に戻るアクアとそれに続くカズマ。

 汗を拭いて手を洗った後に食堂に着く。

 すると、食欲のそそるチーズの焼ける匂いがした。

 

「ほ〜ど〜け〜!!」

 

 食堂では、椅子にぐるぐる巻きにされたこめっこがジタバタ動いているが、もう慣れた光景である。

 

「いや慣れてねぇよっ!!」

 

「誰にツッコんでるのカズマ〜?」

 

 アクアが置いてある野菜スティックをポリポリ食べながら質問する。

 それを無視してカズマはめぐみんを指差した。

 

「なんで毎食毎食お前の妹が縛られてんだよ!? おかしいだろ!!」

 

「仕方ないじゃないですか! 食事時間にこめっこを放置してるとカズマ達を呼びに行ってる間に全部食べ尽くされちゃうんですから! 私だって辛いんです! それともカズマはごはんがなくなってていいんですか!」

 

「そりゃあ……お前……」

 

 めぐみんの返しにカズマは唸る。

 最初は手を引いてキッチンから遠ざけたりしていたが、少し目を離した隙に匂いにつられて食べてしまうので、仕方なくこうする事にしたのだ。

 面倒になったとも言う。

 それはそれとして、今日の昼食にアクアが目を輝かせる。

 

「ピザなんて豪華じゃない! スズハってピザ焼けたのね!」

 

「商店街で良いチーズを頂いたので、せっかくだから。ピザは初挑戦なので、評価は甘めにお願いします」

 

「ふふん。ダメよ。このアクア様の舌は繊細なんだから!」

 

 ピザを切り分けるスズハを見ながらめぐみんが困ったような腕を組んでいる。

 

「どうした? めぐみん。ピザ嫌いか?」

 

「いえ。ここでの贅沢な食生活に慣れたこめっこが実家に戻ってやっていけるのかと心配になりまして」

 

 人間とは生活水準を落とすのを嫌がる生き物だ。

 めぐみんだって今更実家の貧乏生活に戻る事になったら、そのまま行方を眩ませる自信がある。

 

「……やっぱり、仕送りを増やした方がいいんじゃないか?」

 

「父の売れない魔道具代に消えるのにですか? せめてもう少し実入りのある仕事に転職するか、売れる魔道具を作るようになるまで、仕送りなんて増やせませんよ」

 

 作れる、ではなく作る、と言っている辺り、父の腕は信用しているのだろう。

 

「父には何度もそう手紙を送っているのですが、紅魔族の性と言いますか、中々譲ろうとしないのです」

 

 困ったものです、と溜め息を吐くめぐみん。

 彼女からすれば、幼少期からの貧乏生活は父の甲斐性の無さとそれを改めさせようとしない母に問題があるように思えるのだ。

 数年前まで、畑から野菜を盗んだり、無料のパンの耳をかき集めたり、ゆんゆんから弁当を巻き上げたり、蝉などを焼いて食べたり。

 里の全員が家族同然の紅魔の里でなかったら飢え死にしてもおかしくない。

 里を出て生活を始めためぐみんは過去を思い返してそう思った

 

(いい加減、危機感を持って欲しいのですが……)

 

 そう考えていると、スズハがピザを切り終えて分けるのを終えていた。

 

「それじゃあいただきましょう! ほら! 2人も早く座りなさいよ!!」

 

 真っ昼間から酒をグラスに注いで待っているアクア。

 こめっこの拘束を解いて食事を始める。

 

「あ、ピザはどうです。初めてにしては上手く出来たと思うんですけど」

 

「あぁ。美味いぞ。日本の店で出てるヤツと遜色ないんじゃないか?」

 

「くは〜! ワインに合うわ〜。美味しい美味しい!!」

 

「あはは……喜んでもらえて良かったです」

 

 思った以上に好評で胸を撫で下ろす。

 

「屋台はどうですか? 1から造るのは大変なのでは?」

 

「ん〜? まぁぼちぼちだな。後は鍛冶屋に依頼した鉄板が出来れば、細かな調整と看板とかの装飾して終わりだ。あ。鉄板が使えるかどうか確かめるから、タコ焼き(タコ無し)を作るの頼む。作り方を教えるついでに」

 

「はい。それはもちろん」

 

「ねぇ!」

 

 そこでグラスを飲み干したアクアが立ち上がる。

 

「たこ焼きが入ってないのにタコ焼き呼びはおかしいと思うの! これは新しい名前が必要よね!」

 

「まぁ、看板作らなきゃなんねぇし、名前は変える予定だったからな。案があるなら早めに頼む」

 

 スズハはボール焼きとか仮称していたが、アクアの屋台なのだから本人に決めさせるのが1番だろう。

 しかしそこでカズマの頭にある迷案が閃く。

 

「いっそのこと、めぐみんに付けてもらうか?」

 

「え? 私ですか?」

 

「ちょっとカズマさーん!? めぐみんに決めさせたら珍妙な名前になっちゃうじゃない! ちゅんちゅん丸の悲劇を忘れたの!」

 

「おい。私のネーミングセンスを悲劇呼ばわりするのをやめてもらおうか」

 

 などと数分ほど会話が続いた後に、アクアがコホン、と場を仕切り直す。

 

「次のお祭りでこれを売り出せばその美味しさにアクセルの街でもアクシズ教徒が増えること待ったなしよ! だからアクシズ教の名前を強く印象付ける為に、これからタコ焼きの事をアクシズ焼きと呼ぶ事にするわ! みんなもいいわね!」

 

「……まぁ、いいんじゃないか」

 

 1つ目のピザを食べ終え、野菜スティックを貪り食いながら返す。

 

(なんだろう。なんか、アクシズ教徒の連中が火炙りにされてるのを想像した)

 

 魔女裁判とか魔女狩りとかそんな感じのを。

 アクアが胸を張って満足そうなので黙っているが。

 カズマは話題を変えることにした。

 

「あ〜、なんだ。スズハの方はどうなんだ? ウィズの店にマント卸すんだろ?」

 

「あ、はい。めぐみんさんも手伝ってくれてるお陰で思ったより早く終わりそうです。数を増やせないのはわたしの魔力の問題ですし」

 

 めぐみんならスズハの倍以上の魔力を込められるだろうが、精霊の力は込められない。

 魔力回復のポーションを飲めばもう少し数を増やせるだろうが、飲み続けるのも身体に悪い。

 

「そういえばめぐみん。最近スズハのお手伝いばかりしてない?」

 

「……やる事がないんですよ」

 

 苦々しい表情でめぐみんが呟く。

 なんだかんだで皆が祭りの準備で忙しい中、めぐみんだけはすっかり手持ち無沙汰状態である。

 こめっこにもそこら辺を指摘されれば家事手伝いくらいはしようというものだ。

 

「お祭りが終わったらじゃんじゃんクエストを受けますよ! こめっこに姉の偉大さを思い知らせて────あああああっ!? こめっこ、なにシレッと私のまで食べてるんですか!!」

 

 1人2枚で切り分けていたピザを1枚取られていた。

 ウメー、と言いながら3枚目のピザを胃に収めるこめっこ。

 

「そういうところを直しなさいと言ってるんですよぉおおおっ!」

 

 妹の矯正はまだまだかかりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スズハがベビーカーを押し、めぐみんがこめっこの手を引いて歩いている。

 目的があって移動してるのではなく、気分転換の散歩だ。

 最近はめぐみんが家事を手伝ってくれるお陰でこうした時間も取れるようになった。

 

「そういえば、紅魔の里ではエリス祭でどのような催し物をするんですか?」

 

「そうですね。主に仮装でしょうか。みんなが女神エリスの格好をしますね」

 

「へぇ。それはまた」

 

「問題は男の人までエリスのコスプレをするので、私はあまり好きではないのですが」

 

 憂鬱気味に息を吐くめぐみん。

 そんな他愛もない話をしていると、商店街近くの広場でエリス教のシスターが炊き出しをやっているのが見えた。

 パンと野菜の入ったスープが職や住居のない街の住民に配られる。

 中には、駆け出し冒険者と思われる若者もいた。

 

「アクセルの街が駆け出し冒険者向きの街とはいえ、新人の収入はそう高くないですからね」

 

 カズマ達と行動をしていると忘れがちだが、新人の冒険者で炊き出しを利用する者も居るという。

 そこでめぐみんは繋いでいた手が軽くなっている事に気付いた。

 

「こめっこ!?」

 

「あ、居ました」

 

 スズハが指差した方を見ると、いつの間にか炊き出しに並んでいるこめっこがいた。

 涎を垂らして今にもパンとスープを貰おうとしている。

 

「こめっこぉおおおっ!? すみません! この子の分は要りません」

 

「えー。ねーちゃんいじわるー」

 

「こめっこが受け取ったら本当に必要な人に渡らないでしょう! ほら行きますよ」

 

 こめっこの肩を掴んでこの場から離れようとする。

 もう面倒だから適当に菓子でも買い与えようか、と考えていると、誰かがめぐみんを呼んだ。

 

「めぐみんさ〜んっ!」

 

 呼ばれて、めぐみんが嫌そうに口元を歪めた。

 近づいてきたのは、シスター服と思われる美女。

 炊き出しの関係者だろうか、と思ったがすぐに違う事が判る。

 

「よかった〜。これでエリス教徒のお世話にならずに済みます! めぐみんさん! どうかご飯のお恵みをっ!」

 

「ごはんっ!?」

 

「いやですよ! それと抱きつかないでください暑苦しい!! こめっこも変に期待しない!!」

 

 どうやらめぐみんの知り合いではあるらしい。

 

「えっと……めぐみんさん。そちらの方は?」

 

「姉です!」

 

「ねーちゃん!?」

 

「違いますよ! どう見ても紅魔族じゃないでしょう! 彼女はセシリーさんです。里を出たばかりの頃にちょっとお世話になって。少し前にこの街に赴任してきたアクシズ教団の教会の責任者です!」

 

 スズハに、というより、こめっこに言い聞かせる感じに説明するめぐみん。

 そんな中で周囲からヒソヒソと会話が聞こえてくる。

 

「おいあの子、紅魔族────あっちは……」

 

 その会話に嫌な予感がして、早々に離れたかった。

 

「よく分かりませんが、どこかのお店に入ります? お代はわたしがだしますので」

 

「スズハ!?」

 

「本当ですか! あぁ。貴女に女神アクア様の祝福があらんことを」

 

 手を組んで女神アクアに祈りを捧げるセシリー。

 エリス教徒がやっている炊き出しの前で遠慮なく祈りを捧げるところがアクシズ教徒らしいと言うか。

 しかし、祈る神はともかく、その気持ちだけは頂く事にした。

 

 その場を離れるまで、冒険者くずれと思われる人達の視線が異様に気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は〜。ご馳走様でしたぁ」

 

「ごちそうさまでしたー!」

 

 お腹いっぱいになったらしいセシリーはスズハに感謝しつつ口元をナプキンで拭く。

 何故かこめっこも料理を頼んでいるが、それは予想通りなので気にしない。

 ちなみにスズハとめぐみんはクッキーとお茶のセットを頼んでいる。

 食べ終わるとめぐみんが小声で話しかけてくる。

 

(やっぱり、私も代金を出します。食べてるのは私の妹と知り合いですし)

 

(大丈夫ですよ。これくらいの出費なら微々たる物ですので)

 

 笑顔でそう返しながら紅茶を飲む。

 そこでセシリーがめぐみんに質問した。

 

「めぐみんさん。アクア様は今日ご一緒ではないのですか?」

 

「えぇまぁ……今度のお祭りの準備に忙しく動いてます」

 

 屋台を作ってますと正直に言えば、そのまま手伝おうと屋敷まで付いてくる可能性があるので、大事な部分をボカして説明する。

 それが成功したのかセシリーはなら、運が良ければ会えるかもしれませんね、と食後のお茶を飲む。

 

「でも、アクセルの街にアクシズ教団の教会があるなんて知りませんでした」

 

「えぇ! この街にアクア様が御降臨為さったと聞き、アルカンレティアから大急ぎで派遣されたのです! 今はまだ教徒が少ないですが、いずれはこの街の方々全員をエリス教徒から改宗させ、第二のアクシズ教の街としてアクア様にお仕えする所存です!」

 

 セシリーの言葉を聞いてスズハは首を傾げるとめぐみんと小声で話す。

 

(アルカンレティアの人達は、アクアさんのことに気付いて?)

 

 (その様です。大っぴらにしてないのは、アクアの今の生活を邪魔しない程度に手を貸すつもりかと)

 

(それは助かりますけど……)

 

(そもそもこの街のアクシズ教徒は極僅かですし。そう大きな行動には出られませんよ。警察のお世話になるだけです)

 

 それを聞いてホッと胸を撫で下ろす。

 アルカンレティアのアクシズ教徒達を見て、あのテンションが日夜自分達に訪れたらストレスで精神が壊れるかもしれない。

 

「今日はこのような施しを頂きありがとうございました。お礼と言ってはなんですが……」

 

 そう言って1枚の紙を渡してくる。

 それはもちろん、アクシズ教団への入信書だった。

 

「……結構です」

 

 笑顔を張り付かせたまま入信書を突っ返す。

 

「そう言わずに! 今アクシズ教団に入信すると、女神アクア様による様々な御加護がですね! 実際にアクシズ教団に入信して、宝くじが当たったなどの感想が────」

 

「本当に結構ですので。あんまりしつこいと、ここの代金を別々にしますよ?」

 

「う」

 

 割り勘にするぞ、と脅されて渋々と入信書をしまう。

 スズハとしてもアクシズ教徒にはこれくらい強気でも足りないのは経験済みなのだ。

 

「まぁ、今回は諦めます。後日、新しい人材が派遣される予定ですし……」

 

「アルカンレティアから?」

 

「はい。実はもうそろそろ、王都から来た貴族をアクシズ教団に改宗させることが出来るかもしれないんです!」

 

「貴族が、ですか?」

 

 この国は基本エリス教団に入信している物が大半である。

 信仰の重さはそれぞれとはいえ、貴族の殆どがエリス教徒の筈。

 それを改宗させるなんて余程酷い詰め方をされたのだろうか? 

 

(でもそれなら街を出れば良いだけだし)

 

 疑問に思っていると、セシリーが得意気に話始める。

 

「奴らはあろうことかアクア様が清めた聖水の販売に口を出してきたのです! 理由は知りませんが王命だけど、貴族としての権力を行使することを禁じられてるらしく、アクア様の聖水が如何に利益をもたらすか言ってきましたが、そんな物に屈する私達じゃありません」

 

「ん?」

 

 なんだろうか。

 何か物凄く聞き覚えのある事情である。

 

「私達は王都からの使者全員にアクシズ教団への改宗を求めました! 最初は頑なにアクシズ教団へ入信するのを拒んでいた彼女らですが、連日の我々の()()にそろそろ自らの教義を改める筈です。その際には、貴族からの寄付金や人材をこちらに回してくれると約束してくれました!」

 

「………………すみません。その使者の代表の名前をご存知ですか?」

 

 震える声で質問するスズハ。

 それにセシリーは快く答えてくれた。

 

「えぇはい。確かクレア、という名前だったと記憶してますが。あれ? どうしましたスズハさん?」

 

 その名前を聞いてスズハはテーブルに頭を伏した。

 前の王都の事件でスズハを誤認逮捕した貴族の女性だ。

 特にスズハを勝手に拷問まがいな取り調べや、呪われた王女アイリスを助けるつもりだったとはいえ、処刑しようとした事が問題となり、アルカンレティアに左遷されたのだ。

 スズハ自身もあの事件でされた事を忘れた訳ではなく、意識的に思い出さないように記憶に蓋をし、気にしないようにしていた。

 

(そういえば、少し前に送られてきたアイリス様の手紙に王都が人手不足でクレア様達を戻したいからそろそろ赦して欲しいと書かれていたような)

 

 他にもヒナの様子はどうとか、娘に関する質問が9割綴られていたので、すっかり忘れていた。

 もしかしたら貴族────かなり上の爵位の筈であるクレアをアクシズ教団へ改宗させるのはマズイ気がする。

 やられた事を忘れた訳ではないが、潮時というやつだ。

 

(帰ったらアクアさんに手紙を書いてもらって聖水の販売許可が下りるように後押ししてもおう)

 

 そう心に決めて、紅茶を飲み干す。

 

「それにしてもめぐみんさん酷いです! こんな可愛らしい少女2人を1度も教会に連れてきてくれないなんて!」

 

「連れて来ませんよ! なにされるか分からないじゃないですか! スズハがセシリーさんと鉢合わせないように色々と気を遣ってたくらいなんですから!」

 

「非道いです! ただ私はこの愛らしい美少女を愛でたりお姉ちゃんと呼ばせたいだけなのに!」

 

「それが不安なんですよぉ!! スズハやこめっこを変な道に引きずり込むなんて許しませんからね!」

 

 ダメ、絶対とめぐみんは両腕で✕の字を作った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。今日の見たか?」

 

 4人の男が酒場でコソコソと話している。

 彼らは数年前に冒険者登録をしたが、未だに新米の域を出ない最底辺の冒険者だった。

 弱いモンスター討伐その他の細々としたクエストを受け、宿に泊まる金も貯まらず、炊き出しなどで食い繋いでいる者達。

 冒険者登録をした時の夢や希望はとうに潰え、かと言って他の職にも就けず就かず。どうしたら危険を冒さず楽に稼げるかを考えている冒険者もどき。

 そんな彼らが辿ったのは。

 

「ありゃ紅魔族だろ。あのくらいのガキがこの街を彷徨いてなんて珍しいな」

 

「でも姉貴の方は、あの頭がおかしいので有名な爆裂娘だぞ。しょっちゅうキレるのでも有名だ」

 

「あ〜。あの毎日爆裂魔法ブッ放すアークウィザードか。毎日うるせぇったらねぇよ」

 

 男の1人がイラだって吸っていた煙草の火を踏んで消す。

 

「でも聞いた話だと、妹の方は食べ物に釣られてホイホイ誰にでもついてくるって噂だぜ? あの年齢ならまだ魔法は使えないだろうけど、紅魔族ならウィザードとしての資質は保証されてるようなもんだろ?」

 

 不穏な会話が続く。

 

「どっちにしろ、業者に渡せば足なんてつかねぇだろ。きっとこれまでより高く売れるんじゃね?」

 

 これまではそうだったと男の1人が囁く。

 仲間内で話を続ける内に、段々と上手くいくような気がしてきた。

 

「なら、あの紅魔族の嬢ちゃんを、次の商品にするか。祭りの最中なら機会はいくらでもあんだろ」

 

 踏んでいた煙草の火は完全に消えていた。

 

 




次回から祭りに入ります。

読者さんがこの作品で好きな話は?

  • 序盤
  • デストロイヤーから裁判まで。
  • アルカンレティア編
  • 紅魔の里編
  • 王都編
  • ウォルバク編
  • 番外で書かれた未来の話
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。