やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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やはり格闘家とは闘いの中で解り合えるのは間違っている?

 この場の雰囲気を何と言い表わせば良いのやら、Jrに強烈な一撃を叩き込んだ材木座だったが、春日野先生曰く叔父さんの影響を受け継いだ調子乗りな性格が災いし、立ち上がってきたJrからの逆襲の一撃を喰らいマットに叩きつけられてしまったんだが。

 そこに同情の余地は1ミリグラムも存在しないとこの光景を見つめる人達は心の底からその様に思っている事だろう。

 

 「さっき……中二先輩がJr君をふっ飛ばした時、私少しだけ中二先輩の事を見直したんですけど、やっぱり気の所為だったみたいですね。

 今の私は少しでもそう思った自分にビンタしたい気分ですよ………はぁ。」

 

 「あ〜、うんいろはちゃんだけじゃ無いと思うなそれ、あたしだってちょっとそう思っちゃったもん、流石にハッチンと一緒に練習しているだけあるなぁとかってさ……。」

 

 「いろはさん、結衣さん甚だ不本意なのだけれど私も貴女達と同じ事を思ってしまったわ、ねぇ八幡君これが貴方が良く口にする『認めたくは無い若さ故の過ちというもの』なのかしら。」

 

 それを如実に表わしているのが我が奉仕部の絢爛たる三輪の華達だろう、所構う事なく材木座の事をケッチョンケチョンに腐しているのがいい証拠って奴だ。

 しかも雪乃などはシャアの台詞までも引用して己の不明を恥じる始末だし、何か三人が段々と俺色に染まってきているみたいだな、まさに俺色パティシエールだ……ゴクッ、言ってて何だけどちょっとエチぃ言い回しだな俺色とかって。

 

 「いや、まぁ確かに対戦中に相手から気を外して調子に乗った材木座が悪いのは紛れも無い事実ってやつだが。」

 

 元来がチキンハートな材木座が春日野先生の言葉に発奮して、おそらくはアメリカの方ではもう何度も実戦を経験しているだろうJrを相手に、強烈なクリーンヒットを入れる事が出来たんだから気持ちが舞い上がるのも解らないじゃ無いんだよな。

 

 「うぐっ………っぅ…。」

 

 Jrの猛撃によりダウンを喫した材木座が痛みに呻きながら立ち上がろうとするが、果して大丈夫だろうか、今ので彼奴の弱気の虫が発動して戦意喪失とかって、何かメッチャあり得るんだが。

 

 「材木座君、どうだった?すっごく痛いでしょう、まだ終わってもいないのに気を緩めた君自身の招いた事だよ、これはね。」

 

 俺達がそんな事を話し合っている間に春日野先生がリングサイドの材木座の近くまで進み出て問い、そしてその自身の不明を突き付ける。

 

 「……せっ、先生……はい…。」

 

 その言葉に材木座は己の不甲斐無さを思いっ切り痛感したんだろうな、俯き膝をついたままの状態で返事をしながら右手をマットに叩き付けた。

 俺たちに対して背を向けているから春日野先生がどんな顔で材木座の事を見ているのかは解らないが、先生は一つ頷くと優しい声音で材木座に問い掛ける。

 

 「闘いって怖いよね、ほんの少しの気の緩みが思わぬ事態を招くんだからね、まあでもそれは人生に於いても同じ事が言えるんだけどね。

 それで材木座君、どうする?怖いからもう闘えないかな?」

 

 「……………わっ、俺は。」

 

 「怖くって闘えないなら辞めれば良いよ、でもね悔しいのなら、自分はまだ闘えるって思うのなら……選ぶのは君自身だよ材木座君!」

 

 先生の顔を縋るような表情で見据えていた材木座だったが、春日野先生のその問い掛けに次第に材木座の表情が変化していくのが解る。

 

 「ほぉうあの嬢ちゃん、さくらちゃんと言ったかの…うむ、あの()はええ指導者になりそうじゃわい。」

 

 材木座と春日野先生、二人の間に築かれている師弟としての絆の様なものを感じたのか十平衛先生が顎髭を毎度の如く撫で付けながら呻る。

 確かに俺も十平衛先生の言に賛成だ、材木座の奴に僅かな期間で波動拳を授けたうえにチキンの彼奴にリングに上がる勇気を出させたんだからな、それは大したものだと俺も思うわ。

 だがまぁそれは材木座にこれまで自身で鍛錬を積んできたって土台があった事も事実だが、切っ掛けを与えたのは間違い無く春日野先生だ。

 

 「俺は……やります!俺はまだ闘えます先生!」

 

 材木座は春日野先生へと宣言すると、立てた片膝に手を添えてグッと力を込めて立ち上がる。

 

 「うん、行っちゃえ材木座君!」

 

 サムズアップでもって春日野先生は材木座を激励し若干けしかける様な發言で発破を掛け、材木座も力強く頷くとJrの方へと向き直り。

 

 「あいや、待たせてすまなんだ異国からの来訪者よ、此処から仕切り直しとさせてもらおうか!」

 

 構えを取り直し闘志も顕に闘いの再開を要請した、そしてJrもまた立ち上がり闘志を見せた材木座に対して一瞬意外そうな表情を見せたが、それを直ぐに打ち消すと不敵さと獰猛さが入り混じった様な笑みを見せ。

 

 「ハッ!優しィマーマの言葉でファイティングスピリッツをとリモドシたか、此処はSiberianseabed(シベリアの海底)Sunkenship(沈没船)ジャぁ無ェんダゼ!」

 

 ジャパニメーションオタクの本領かネタ混じりの皮肉を口にして材木座を煽りやがった、てかさあJrさんいくら何でもその喩えは如何な物かと思うんだが。

 

 「一言言っておくぞ異人よ、我は確かに春日野先生を我が叔父御と父母と同じ位に尊敬しておる、であるから先生に対する無礼には我は容赦せぬぞ!

 しかし……ふむ、そのネタで行くに我はさながら白鳥星座の○河(キグナスの聖闘士)のポジションを頂けたと云う訳であるな、であればここは一つキグナスダンスを披露せねばならぬだろうか。」 

 

 なんてフザケた事を宣いやがった物だから、この発言に若干イラッとしてしまった俺はリングの上の材木座にクレームを入る事にした。

 

 「はぁ!?オイ材木座、謝れ!全国の白鳥星座の○河のファンのおねいさん達に謝れ、お前が氷○ポジなわけ無いだろうがっ!お前のポジは風魔○小次郎の劉○のポジだろうがどう見ても、何なら○田先生にお前の似顔絵描いてもらったとしたら絶対に○鵬の顔と体型に描かれるからなっ、もしくは夜○一族の黒獅○だし百歩譲って大熊○座の檄だ。」

 

 「ちょっ相棒よ近頃お主の我への扱いが酷くぞんざいな物になっていると思うんだが、気の所為じゃ無いよね!?」

 

 俺は華麗に材木座の問いかけをスルーする、何故ならば俺にはやらなければならない事があるからだ、それはこの作品を読んでいてくださる方達の中に聖闘○星矢ファンのおねいさんが居るとは思えないけど、材木座の代わりに俺が誤りますごめんなさい。」

 

 「プふッ…はーハッハッハッハッハァーッナイスなツッコミだぜハチマン、ロックが言ッテタ通りダナ!

 ネタを拾ってクレテThanksハチマン、ソレとアンタモナ、ケンゴー!

 オット、ちょいトバカリオシャベリが杉田○和さん、じゃぁ無ェ、オシャベリが過ぎタな、バトルの再開トイコウゼケンゴー!」

 

 俺たち三人が一頻りネタをぶつけ合うっていうグダグダな展開をカマしてしまい、周囲の皆はポカンと呆れたた顔をしている人、雪乃やアンディ兄ちゃんの様に額に手を当て頭痛いポーズを取る人、このやり取りの意味が解らずクエスチョンマークを浮かべている鶴見母娘、様々な表情が見て取れる。

 まぁだけどそんな表情も二人のバトルが再開されればまた違う物に自然となるだろうから、放っといても良いよな。

 あと材木座、俺のお前に対する扱いは以前からこんなものだったよ、だから気にするなって。

 しかし、それよりも何よりも何時の間にやらJrの材木座への呼び掛けがファットマンからケンゴーに変わっているんだが、コレはもしかして少年マンガのお約束の。

 

 「愚腐腐腐、良いねぇ〜むくつけき男子二人がぶつかり拳で語り合った末に友情で結ばれ、その友情がやがて恋へと発展してそして二人は、やがて第三の男比企谷君を交えてくんずほぐれつ、愚腐腐腐っ……ぷはぁーーキマシタワー!!」

 

 「わーっ姫菜擬態しろし、ってか鼻血鼻血出てるし!ほらティッシュ。」

 

 「うわっ!?腐女子さんとあーしさんじゃないか何で二人が此処に居るのんってか腐女子さんはマジで擬態しとけ。」

 

 いきなり予告も無しに登場したあーしさんと腐女子さんの登場とお約束な発言に驚きを禁じ得ない俺ガイル。

 まぁ、今日は花火大会の日だし同級生がこの近辺を出歩いても何らの不思議はないんだが、最近はこの二人との遭遇率高過ぎる気がするんだよな、それに今回は更にオマケが付いていた。

 

 「チーッス、おひさ〜比企谷君、俺と隼人君も居るっしょぉ、千葉村以来だけど元気してた!?」

 

 「やぁ、皆久しぶり、突然現れてすまないね、四人で花火大会に来て出店を回ってたんだけど、ちょっと店に入ってコーヒーでもと思って此処に来たんだけど皆の姿が見えたから挨拶をと……って、えっ陽乃さんも居るの!?」

 

 如何にも陽キャで如何にもチャラ男って感じのステレオタイプな戸部と総武高校で多分女子に一番人気の葉山だ。

 二人は俺達に挨拶に来てくれた様だがその中に雪乃の姉の陽乃さんが居る事に驚きの声を上げる、そう言えば葉山は雪乃達と幼馴染みな関係だったよな。

 

 「あれぇ、隼人は私がここに居ちゃ何か都合が悪いのかなぁ、その辺り後でじっくりお話しようか、ねぇ隼人。」

 

 「いや……そんな……事は無いよ陽乃さん……ははは……。」

 

 姉ノ下さんは何処ぞの愉悦大好き破戒僧ならぬ破壊神父の様な歪んだ笑みを湛えている、それはまるで葉山を威嚇でもしている様に思える、怖いよ後怖い。

 そして葉山の方は何だかそんな姉ノ下さんに言い訳がましく言われた事を否定しているが何か頬が引き攣っているみたいに思える、この二人もしかしてってかおそらくは葉山の方がだろうけど過去に何らかの経緯があって姉ノ下さんを恐れているんだろうか。

 

 「まぁ、他人事だからどうでも良いっちゃどうでもいいんだよな。」

 

 俺は頭を掻きながらそんな事を呟いて後は知らんと、再びリングの二人に視線を戻す。

 リング上の材木座とJrも新たな闖入者が現れた事に若干毒気を抜かれたみたいだったが、今は気持ちの切り替えも完了した様で試合再開のコールを待っている状態だ。

 あーしさんは舞姉ちゃんとアンディ兄ちゃんの姿を確認すると、腐女子さんを伴って素早くそちらへ向かって行き感激も露わに挨拶を、序に腐女子さんに気がある戸部もそちらに着いていったがな。

 憧れの舞姉ちゃんと再会出来、またアンディ兄ちゃんとも会えた事にあーしさんの声も弾んでいるようだ、そして途中からハイテンション此処に極まれりって感じの腐女子さんの『アン×ハチキタコレー』などと言うコトバは俺には聞こえないェ。

 

 

 「Hey Come on Let’GoFight ケンゴー!」

 

 「応よぉッ!行くぞJrよ!」

 

 そんなリング外のグダグダを他所にリングで対峙する二人はいち早く気持ちを切り替えて、闘いを再開する。

 

 「怒ぅッ…波動拳!」

 

 再開早々材木座は突進して来るJrに対して波動拳を繰り出しすもJrがそれをウィービングとサイドスウェーを以って回避する、しかし材木座はこの流れを読んでいたのか技の硬直が解けると直ぐにサイドステップでJrとの間合いを詰める。

 

 「フンッ…ガァーッ!」

 

 「何のぉッ!」

 

 そして始まる接近戦、Jrのジャブから打ち下ろす様な右をだがそれを的確に捌く材木座、捌ききった材木座も反撃のローキックを放つがそれをJrが咄嗟に同じくローを放つ事で相殺する。

 その衝撃に二人は互いに弾かれてしまい彼我の距離は開きバランスを崩してしまう。

 

 「チッ!Gattem(ガッテム)!」

 

 「ぬぉっ、まだまだァーっ!」

 

 二人はそれぞれに一声吠えると体勢を立て直して再度接近戦を挑むべく駆け出す、マットの上に重量級の重さを感じさせる様なズザッと響く靴音を響かせて。

 

 

 

 「のう八坊、あの娘達は優美子ちゃんと姫菜ちゃんじゃったかのう、ぬっふふぅ〜っいや写真も中々じゃったが本物もええのう、またらんのう!ぐっほほほほぉ〜っ……と言う訳でじゃワシはちと向うに行って来るぞい!」

 

 今まで珍しく真面目にリング上の対戦を観戦していた十平衛先生だったが、新たに来店した二人の女子高生の存在に持ち前の助平根性を抑える事が出来ず、脱兎の如く二人が居るアンディ兄ちゃんと舞姉ちゃんの側へと飛んで行った。

 まぁあの辺りには舞姉ちゃんとアンディ兄ちゃんに加えて、藤堂さんも居るし姉ノ下さんも居る事だしいくら十平衛先生とておいそれとはセクハラ行為に及べないだろう…………だよな!?

 てか御老体、たまには最後まで真面目モードでいてください。

 

 

 「……かっ、彼は確かE組の……材、材木君だったかな。」

 

 こちらの内情を知らない、何時の間にやらやって来ていた葉山グループの、そのリーダー葉山が何故か俺の隣で若干呆気に取られながらも気を取り直し空気を変えるべくだろうが、そんな事を俺に確認して来る葉山だが実際はそんな事に興味は無いんだろう。

 

 「ああ、まぁクラスは正解だが彼奴の名前は材木座だ、別に興味が無きゃ覚える必要も無いがな、雪乃なんかそれなりに会っているが未だに財津だの財前だのとまともに覚えちゃいないしな。」

 

 いと哀れなり材木座、名前を覚えてもらえない事に懸けてはもしかすると俺ん家の比企谷よりも上かも知れない。

 えっ、どんぐりの背比べは止めろってか……はいそうします。

 

 「そうか……だけど君といい彼といいうちの学校には格闘技に長けたものが多いんだな、優美子に聞いたけど川崎さんもかなりの腕前の格闘家らしいね、それに雪乃……下さんも藤堂先生に古武術を習っていたし。」

 

 葉山はそう言ってリングの上の二人を何だか眩しげに見ている、はて葉山の奴は一体どうしたってんだろうか。

 この間の千葉村での一件、ジョーあんちゃんと留美のシカト問題が絡んだ事から、俺が格闘技を学んでいるって事を皆に知られた訳だが、もしかしたらそれが葉山の中の何かを刺激したとか。

 

 「俺も……君達の様に……。」

 

 葉山が漏らした言葉はすごくか細く小さい物で、周りの歓声やリングの上の二人が発する打撃音やマットを蹴る音や吐息や叫びによりかき消されて、他の人の耳には届かなかっただろう。

 君達の様にか、もしかすると葉山は千葉村での件で何かしら思う事があったんだろうか、何て事をふと思い至ったんだが違うだろうか。

 

 千葉村での留美の件で葉山は自身の考え、皆仲良くだとか悪い子なんて居ないとか話せば解り合える何て思想が通用しないって事をある意味突き付けられた様な格好になった訳だよな。

 漫画やアニメ、小説などの媒体でも語られる事のあるちょっとした切っ掛けでそれまでの思想や志向がガラリと変わってしまう登場人物、例えばあの件で葉山があの時まで抱いていた思いが崩れ去ってしまって、己の主張を通すには力が必要だと考える様になってしまったとか。

 

 「……まぁ、いいか。」

 

 葉山が何を思っているのかなんて、それを俺がアレコレと考える必要なんてありゃしないんだからな。

 

 

 「ダッ!セイッ!断空脚!」

 

 互いの攻撃を回避や防御をしながらもスキを突いては打撃を繰り出す近接戦、そこに生じたJrの僅かな防御の綻びを見て取り材木座は膝蹴りから始まる三連撃をJrに浴びせる。

 

 「ウッ……。」

 

 その威力の前に呻き声を洩らしながらJrがマットに両手と両膝を着いてしまう、先の我道拳の時は残心を解き調子に乗り相手の状態を確認せずに挑発行為に及んだ材木座だったが、流石に痛い思いをして勉強した為か今は構えを解かず確りと倒れたJrを見据えている。

 

 「凄いな………。」

 

 Jrからダウンを奪った材木座の快挙に、快挙と言っても良いよな実戦のキャリアはJrの方が上だから謂わばJrは材木座よりも格上って事になるし。

 まぁ、そんな訳だが葉山はそんな事情は知らないだろうが、学校内に於いてあまり目立つ事の無く何方かと言えば陰キャに分類される材木座が、リング上でこれだけの力を示したんだから葉山もその辺りを素直に感心しての言葉だったんだろう。

 

 「ウッ、ハァハァ……まだ、ダゼっI can still fightI (俺はまだ闘える)ハァハァ、ダッゼ!!」

 

 「ふぅはぁ、ふぅはぁ、応っ!来いJrよッ!」

 

 凄いな二人共、攻撃を決めた材木座も食らってしまったJrもかなりの体力を消耗している様で、息も乱れているが二人共その闘志の炎はまだまだ燃え盛っていて消えちゃいない。

 そんな二人の熱い闘志に俺は敬意を抱かずには居られない、異国の地に闘いを求め単身乗り込んできたJrの度胸も、初めての闘いにヘマも見せてしまったが先生の教えを受けて立ち上がった材木座も。

 

 「ああ、確かにな……けどそれは春日野先生もだな。」

 

 「えっ、春日野先生ってうちの高校の女子の体育の先生だよね。」

 

 俺の言に葉山が疑問を呈す、なので俺はざっくりとだが俺と材木座と春日野先生との関係とこの二人の闘いの経緯を話してやる、それに依って葉山はまた何やら複雑な表情を顕にしおし黙ってしまった。

 葉山の事は置いといて先のの春日野先生だが、調子こいた材木座に注意を促すしたタイミングが今にして見ると絶妙だったんじゃないかと俺は思っている。

 多分たけど、あの時の調子に乗っていた材木座に直ぐにそれを諌める様に言ったとしても果たして材木座がそれを素直に聞いていただろうか。

 俺にはどうにもそうとは思え無い、なので春日野先生は敢えて材木座に痛い思いをさせて、その身を以て教訓とさせる様に仕向けたんじゃなかろうかと思い至った訳なんだが、まぁその真意は春日野先生に直に聞かにゃ解らんし、それは後でもいいだろう。

 

 「そりゃ、せいやっ!」

 

 ダウンから起き上がり材木座へと突進するJrを迎撃すべく、材木座はその巨体に似合わぬ素早さで身を屈めて脚払いのマットスレスレの水面蹴りを放ち、ソレを読んでいたかのようにJrは前方へショートジャンプで躱すと空中から材木座に対してパンチを放つ。

 

 「Shooーーッ!」

 

 リンかけのハリケーンボルトの様に落下による加速度を加えたパンチが、しゃがみ込んだ状態での回転蹴りの途中段階にあった材木座の頬を高速で掠める。

 

 「うおっ!?」

 

 咄嗟に驚きの声を漏らす材木座だが、中途半場な体勢でその攻撃を受けたものだからその後の回避もままならず、Jrの着地からの屈んだ姿勢からのパンチの三連打を喰らい、そして追い打ちの。

 

 「ダブーゥコーーングッ!!」

 

 必殺の連続ブローが材木座を捉え、強かにマットへと叩き付ける。

 

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