やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。 作:佐世保の中年ライダー
雪乃のご両親からのお誘いで昼食を頂きに訪れたパオパオカフェに於いて、思いがけぬ邂逅を始めとするイベント事も一段落付き、俺達は花火の打ち上げ時刻までの時間を屋台の出店巡りを楽しもうと言う話になり、だが流石に大所帯になり過ぎてしまったものだから数人規模のパーティー編成を行った上で行動しようと言う事で、俺と行動をともにするメンバーは奉仕部の女子三人と戸塚とJrって事になったんだが。
「あっちゃ〜、皆と逸れちゃったねハッチン……ごめんねあたしが下駄に慣れてないから。」
結衣は不器用にカランコロンと下駄を鳴らしながら申し訳無さそうに俺に詫びるんだが、彼女が言う様にその動作から本当に慣れてないって事が覗える。
「いや謝る事は無いって、普段履き慣れてない物を履いてるんだからなしゃあ無しだよ、まぁ気にするな。」
本日の花火大会が開催される湾岸地区は新興の埋立地故建物の建っていない土地もまだまた多く残っており、そういった事情もあり俺が思っていた以上に屋台の出店の数も予想以上だった。
そしてこの街に繰り出して来ている人出もまた俺の予想を遥かに超えるものだった、基本人集りが苦手な俺はこの溢れかえる人の流れに辟易としもう家に帰りたいと訴えたんだが、それは多数派と言う名の集団の数の暴力の前に敢え無く却下されてしまった。
そして着替え終えた女性陣を前に俺達男衆はそれぞれに評価を求められたんだが、まぁ皆お世辞抜きに綺麗だし可愛いしでまぁありきたりな言葉しか出て来なかったんだが、やはりって言うか女性陣からはご不満の声があがったって事は皆の想像に難くないだろう。
おっと、それはそうと何故結衣が下駄を履いているのかと言うと、それは雪乃のお母さんことゆきのんのママが女性陣の為に人数分の浴衣と下駄を用意していてくれて(但し後から来たあーしさんと腐女子さんの分は無いが)それをパオパオカフェの更衣室をお借りして着替えたと言う次第だ。
因みに結衣が着ている浴衣は彼女が好きな桃色(ってか薄桃色ってのかな)の生地に何だかよく分からない花の柄の浴衣だ、はっきり言ってものすっごく結衣に良く似合っていると思う。
「うん、でもさあたしがもっとちゃんと歩けてたら皆と逸れなくて済んだんじゃないかなって思うとさ。」
結衣はそう言って少し俯くがアレは不可抗力だろう、パオパオカフェを出て横並びで歩いていた俺達だったが其処に駅からやってきたと思しき集団が一斉に俺たちがいた方へと流れて来たせいなんだから。
まぁ確かに結衣は雪乃やいろはと比較すると不器用だし物を覚えるのにも二人より時間が掛かる所もある、けどそれでも結衣は真面目に物事に取り組んで歩みは遅くとも少しずつ進歩していっているしな。
基本結衣は頑張り屋だからコツを掴めばきっと下駄だって普通に履いて歩ける様になる………筈だ。
「アレだ、ほら普段俺たちが履く靴だって新しいのはモノによっちゃ慣れるのに時間が掛かったりとか靴擦れができたりとかするだろう、そう考えりゃ下駄ってのは普段履かないんだから慣れるのに時間が掛かるのは当然だと思っときゃ良いんだよ、これはアレだ謂わば逆に考えるんだ慣れてないんだから歩き辛くて当然さとなbyジョースター卿の理論だ、否ちょっと違うか。」
「ぷっ、もうハッチンてばっ、そうやって直ぐに何かネタを入れなきゃ気がすまないんだから……でもありがと、えへへ。」
少し沈んでいた結衣が俺のネタ入り台詞にちょっと困り顔を見せつつもはにかみながら微笑んでくれた、ああやっぱり結衣は笑顔のほうが良いわ。
「しかし、何時までも此処に居ても埒が明かないしない人通りも多いし場所を移すか、あ〜っとな、ほれ。」
俺は結衣に自分の右手を差し出すと彼女は少し不思議そうな表情を見せて『ほえ!?』と気の抜けた声を洩らして俺の顔を見つめる。
「この状況だしな、俺と結衣まで離れ離れになっちまう可能性もあるし、それにお前下駄に慣れてないんだから歩き難いだろうから手繋いでた方がんじゃね。
まぁ、結衣が嫌だってんなら無理強いはしないけど。」
そんな彼女に対して俺は顔を横に反らし左手の人差し指で鼻の頭をカリカリと掻きながらそう提案をしてみた。
ヤベっ何か我ながら柄でも無くカッコ付けてしまった気がする、何か今の気分は『ねる○ん紅鯨団』の告白タイムで意中の女性に告ってる時の男性参加者ぽいな、願わくばちょっと待ったコールは無しの方向でオナシャス。
しかしマジで此れで断られたりなんかした日にはもう今晩は枕を刻の涙で濡す事間違い無しだ。
何とも言えない数秒間の緊張の時が流れて、そして『えいっ!』と声を発し勢いを付け結衣は俺の胸元へと飛び込んで来た。
「嫌な訳無いじゃん!」
そう言って結衣は俺の手を握るのでは無く、俺の腕に自身の腕を絡めその身を俺に預ける。
ってイヤイヤちょっと待ってって、ヤヴァイヤヴァイのが当たってる当たってる、当たってますよ結衣さん。
大きくて柔らかくていい匂いがしてそのうえとっても暖かな温もりを発する結衣ちゃんの結衣さんが俺の腕にモロに当たっておりますよ、それは非常に不味いですってヴァ八幡の
あっ、でもゴ○ディアンって言ったら闘士だし、俺たち格闘家も闘士なんだからこれはもしかして“無問題”なのか、って違うわ!問題アリアリだっての流石に若干前傾姿勢で歩く羽目になるとか恥ずいにも程ってものがあるでしょう。
「あっ、あのですね結衣さん……コレだと歩き難いと思うので御座いましてですね、なので普通に手を繋ぐ位に止めて欲しい所存で御座いまして候でありますの事よ。」
俺は思春期男子特有のこっ恥ずかしさを回避すべく切なる思いを込めて結衣に求めるが『……あたしとじゃ嫌かな』何てなセリフを上目遣いで言われた日には否とは言え無い、言った方が良いとは思うんだが言え無い。
落ち着け俺、クールに冷静に行くんだってクールも冷静も同じ様な意味じゃねぇかよ、ホントマジ落ち着け、そうだ何か考えて精神を落ち着かせるんだ。
そうこんな時に俺が出来る事と言えば数を、奇数を数えるんだ……えーっとだな1、3、5、7、9って意味ねぇ!
「いや……全然、ちっとも、嫌じゃ無いんだがってか寧ろ結衣みたいな可愛い娘となら、どえらいご褒美まで在りはするんだが……。」
畜生っ意志の弱い俺を笑わば笑え、華麗にスマートに女の子をエスコートできる程に思春期男子たる俺は格好良く出来てはいないんだ。
コォォーッこれだッ!腕から伝わる
「てか、結衣って小さい頃にゴム草履とか履いてなかったのか。」
素朴な疑問として草履の様に足の親指と人差し指で鼻緒を挟んで履く物を使い慣れてたら下駄くらい直ぐに履けるようになると思う訳で。
「あ〜、うんそう言やあたしって草履っぽいのあんま履かなかったかも、子供用のちっちゃいサンダルとかは履いてたって思うんだけど。
う〜ん、あっでも家族で海とか行った時はビーサンは履いてたかな。」
俺の右腕に左腕を絡め、空いている左手人差し指を下唇のちょい下に当て、結衣はつらつらと思い出しながら語る。
「やっぱりか、ヨシじゃあ結衣には俺が昔ジョーあんちゃんにもらった鍛錬用の鉄下駄をプレゼントしてやろう、それで足の指とか体幹とかを鍛えろよそうすりゃバランス感覚とか下半身の安定感も増すだろうからもう安心だ。
つかビーサンってのはビーチサンダルの略なんだろうけど、俺達オタクからするとペーパーサイズのB版が頭に浮かぶんだよな、因みにB3の版型は364mm×515mmで少年ジャ○プをはじめとするB5版サイズの週刊少年雑誌を縦横二冊ずつ計四冊並べた大きさだ、これマメな。」
「やあ、紙のサイズとか知ってんのは素直にへえ〜ってなるけど、鉄下駄とか要らないし!」
何てな事などを二人して喋りながらたまに屋台で足を止めてジャンクなフードを口にしてと、そんな時間を暫し楽しんでいると『あれ、結衣ちゃんじゃん』ととある屋台の側にいる誰かが結衣の名を口にし呼び掛けた。
その呼び声が掛かった方向に結衣と二人ほぼ同時に顔を向けると、其処には三人組の俺達と同世代の女子グループの姿が見て取れたってか三人共何処かで見た事がある様な気がするんだがはて。
「あれっ、さがみんだ、やっはろー久し振りだね。」
右手をヒラヒラと振りさがみんさんとやらに返礼しつつ、俺をグイグイと引っ張りつつ結衣は件のさがみんさんその他二名の元へと歩み寄る。
「おっ、おい結衣ちょっ…そんなに引っ張ったら危ないって!」
下駄は慣れて無いからあるき辛いって言っておいてこれかよ、その事に俺は抑える事も出来たんだかここは敢えて口に出して『ハァ……』と溜め息を付きつつも向かう先に居る三人をチラっと目に止めて見る、あっ、思い出したこのさがみんさんって女子は確か同じクラスの女子だったよな。
学校ではあんまり印象に無いんだが、ってか俺って特定の相手以外は殆ど他者に印象を抱く様な付き合いとかして無かったわ、ハハハっ……これは俺とした事がぬかったわ。
「遥ちゃんとゆっこちゃんも、やっはろー!」
てか結衣さんや、挨拶するのは構わないんだが俺の忠告も少しは聞いて、安全確認くらいしてください。
「うん、お久だね結衣ちゃん。」
「久し振りもしかしてデート中かな、結衣ちゃん。」
結衣の挨拶に返す二人の言葉には何やらニマニマとしたからかいの感情が混入している事が見て取れる、結衣が呼んだ二人の名前「遥ちゃんとゆっこちゃん」だったか、何方が遥ちゃんで何方がゆっこちゃんだか判らないけど恥ずかしいのでその手のお顔はお止め頂きたい。
しかし逆に結衣はそれに気を良くしたのか三人の側まで来ると足を止め徐に俺の右腕に今度は彼女の両方の腕とポヨンポヨンのフワッフワが押し付けられて俺の腕の形に変形してッ!?
「えっ、へへへえ〜分かる、実はそうなんだ!」
そんな状態で結衣は蕩けきった様なテレテレな声音でとんでも無い発言をかまし、それを聞いた遥ちゃんさんとゆっこちゃんさんはもう今にもキャーっとか言って囃し立てそうな喜色に溢る表情を浮かべていらっしゃる、そう言うの無しの方向で行ってもらえませんかね。
「何て言いたいけど本当はゆきのんやいろはちゃん達皆と一緒に来てたんだけど逸れちゃったんだ、えへへ。」
「何だもうそうだったの」と結衣のネタばらしを聞いた二人はそう言いながらも結衣を冷やかす様に囃し立て「えへへゴメン」と結衣も頭を掻きながら照れた様に謝罪、まぁどうでも良いけど「何だもうそうだったの」って「何だ妄想だったの」と変換すると何だかすごく哀しく感じられるよな。
そんな感じの女子四人だが、ふと俺はその女子トークに余り積極的に参加していない一人の女子、さがみんと結衣が呼んだ女子に俺は目だけを向けるとそのさがみんさんがまるでタイミングを測ったかの様に口を開いた。
「へえーそうなんだ、フフフッ残念だったね結衣ちゃん。」
そう言う彼女の口調と表情には少しばかりの嘲りの色が混じっていると感じ取れる、実際はどうだか解らないけど俺にはそう感じられる。
口の広角の上がり具合とか笑っている様には見えない眼光とか何よりも声音からも見下している感が伝わる。
彼女、さがみんさんとやらのそれは果たして何処から来るものだろうか、優越感かもしくは悪意とかか……まぁ会ったばかりだし今の所彼女のそれがどんな感情からの顕れなのかよく解らないしな、暫くは様子を見とくかな。
「うん……そうだね、でもね好きな人と一緒だしまっ良いかなって思うんだあたし!」
結衣もさがみんさんのソレを感じ取ったのか少し躊躇いながら声を出したが、チラリと俺の顔を見つめると直ぐにそれを改め力強く答えた。
「それにゆきのんやいろはちゃんだって大切な人だしね、舞さんやアンディさんだってそうだし。」
そしてもう一言を付け足す、その声音は常の彼女らしい純真で明るく優しさの成分が多分に含まれる物だった。
これは彼女の成長の証だろうな、うん結論由比ヶ浜結衣の成分は半分以上が優しさで出来ているまである、まさに鎮痛剤要らず。
「ふっ…、ふう〜ん、そっ、そうなんだね。」
おっ、さがみんさん今の結衣の一言にちょっとたじろいだな、どうやらこのさがみんさんは人に対してマウントを取りたがる
どうやら彼女の最初の反応はアレだったんだろうな、結衣と俺とが(特に俺を見て)連れ立っているのを見てこんな風に思ったんじゃないだろうか『プププっな〜に結衣ちゃんってばあんな目つきの悪い男を彼氏扱いしてるの趣味悪っ、どうせだったらもっとイイ男を彼氏にすれば良いのに、プ〜クスクスっ!』ってところだろうか。
だがしかし結衣はそんな蔑みをものともしなかった、まさにそれは『蚊に食われた程の痛痒も感じんわ!』的な心持ちだろう、今の精神的に成長した結衣には勝て無いですよさがみんさん。
人を嘲ったり見下したりする前に先ずは自分が成長する為の鍛錬を始める事をお勧めするね、まぁ他人事だから敢えて俺からは言わんけど。
しかしそろそろこの場からお暇した方が良いかも知れないな、このさがみんさんとの邂逅はあまり俺達にも彼女にもよろしく無いと思うからな。
俺がそう判断し結衣にその事を伝え様とした時、俺達の背後からガヤガヤとした複数人の話し声と足音、そして。
「あっ、居ましたよはちくんも結衣先輩も、もう二人共何やってるんですか探してたんですよ……て、あああっちょっと何やってるんですか結衣先輩ズルイですよ!」
再会早々姦しく捲し立てるのは皆さんご存知“あざと可愛い系後輩女子日本選手権高校生の部代表”足るの資質を充分以上に備えた、美しい亜麻色のサラサラな髪を持つ少女。
オレンジ色に近い黄色い浴衣を纏い、結衣よりも上手に赤い鼻緒の黒い下駄を履きこなす、もう一人の結衣と同様に俺が大切に想っている少女、一色いろは。
「もう、結衣先輩は十分にはちくんとの時間を堪能しましたよね、今度は私の番ですから早く代わってください!」
いろはは駆け出しながら言うが早いか俺の左腕を取る、そして結衣と同様に結衣よりも一周以上小さ……ゲフンゲフン魅惑のいろはちゃんのいろはさんを押し付けながら俺の腕にその手を絡める。
これにより俺はいろはに左腕を結衣に右腕を取られてしまい身動きが封じられてしまった、それは恰も左門○作の兄弟達に纏わり憑かれた星飛雄○の如しだ。
いや違うか、どちらかと言えば大岡越前守の前にて自分こそがこの子の母親だと主張する二人の女性に両腕を引っ張られてる的な……。
「え〜っ、良いじゃんいろはちゃん、あたしもう少しハッチンとこうして居たいし。」
そして始まってしまった二人の鞘当てだが、正直男としてはこんなシュチエーション満更でもないって気がしなくもないが、流石にこの人集りの中ではご遠慮願いたいと思い他の面子に助け舟を求めようと俺は皆の方へ視線を向けるが。
「がっ、頑張ってね八幡……。」
「ハッハァーッ、モテモテジャあネェかヨ、うらヤマしイゼッハチマン!」
「だべぇ、マジ羨ましいっしょ比企谷君。」
「ハハハ……大変だな比企谷も…。」
「怒ぅぅ、相棒よ貴様何時からオタクの風上にも置けぬ奴に成り下がりよったのだッ、我羨ましくなんか無いんだからねっ……ヌググ。」
「ヒッ〜ヒュ〜ッ!やるじゃん八兄、もってもてじゃん、ニシシシっ。」
誰も俺を救けちゃくれない様だわう〜んこの……男子連中の使えなさと来たらもう(但し戸塚は除くだって大天使だからね)特に材木座と北斗丸。
このドサクサに紛れて何が『小町っちゃんオイラ達もデートしようよ』だってのそんな事を俺が許す訳ゃ無ぇだろう。
てか美味そうだなその焼けた醤油の匂いも芳ばしい焼きモロコシ、俺も一つ食いたいな……って思わず現実逃避してしまったわ。
「やだっ、戸塚くんと葉山くんも一緒なの!?」
「わぁ〜っ、戸部君と何あの小っちゃい男の子もカワイイ!」
「…………っ。」
遥ちゃんさんとゆっこちゃんさんがイケメンにジャンル分けされる方の男連中に嬌声を上げるが、しかし意外に北斗丸の評価が高いのにオラビックリだぞ。
しかしその中に合ってさがみんさんだけは浮かない顔色をしてらっしゃるな、意外な面子の登場にどうやら呆気に取られてるっポイ感じか。
まぁ解るわその気持ち、俺だってもし目の前に予告も無しにサカザキ総帥やケン・マスターズさんとか現れたら感激して若干パニクる自信がある。
「駄目だよ比企谷君、戸塚君と戸部っちと隼人君と北斗丸君を差し置いて女の子とイチャイチャしてちゃ、そんなの私は期待して無いからね!」
「ヒキオ、修羅場ってんじゃん!超笑えるし、てか雪ノ下さんは行かなくて良いいん?。」
「ええ大丈夫よ三浦さん、知っているかしらこういう時真打ちというものは後から出て来るものだと相場は決まっているのよ、ねぇ八幡君後ほど貴方の紳士的なエスコートを期待しているわよ、フフフッ。」
更に女子陣が之またとんでも無い発言をぶっ込んで来るんだもんな、あーさんはまぁ兎も角として問題は腐女子さんとちょっとだげ雪乃もだよ。
何その不穏当な発言はさ、君達は何なんフランクリン・ビ○ン大尉かよmark2はエゥ○ゴに渡しても良いんですかねそうですか、バ○ク大佐この人達を窘めて下さいお願いします。
つかあーしさんは笑ってないで腐女子さんの手綱を握っていてくれませんかねと言いたい所だが、普段から暴走ってか妄想ってか妄言垂れ流しの腐女子さんの面倒ばかり見ているからあんまり強くは言えないか。
「雪乃さん、その発言メッチャ怖いからね八幡身の危険感じちゃう、つかあんまり後回しになるとお茶っ葉と同じで俺の精神が出涸らしになってるかもな。
それとあと腐女子さんは俺のSAN値を削るのやめて下さいませんかね。」
俺は心の底から二人に乞い願うが、雪乃は何とも不気……不敵とも取れそうな笑みを湛えて俺を見つめ、しばし後「そうね出涸らしになってしまっては私も楽しめないわね、その辺を考慮しなくてはいけないかしら」などと不安を煽る様な事を呟き、腐女子さんは己の世界に没入してしまい最早俺の言葉なんぞ聞いちゃいねぇし、怖過ぎだろコレは。
そんな状況に打ち拉がれそうな俺の前に、此処で救世主が華麗に登場してくだされた。
「まぁまぁ皆あんまり八っちゃんの事いじめないであげたね。」
紅色を基調とする華やかな浴衣を纏いしは結衣のそれよりも大きくてたわわな実りを宿し、雪乃のそれよりも深い濡れ羽色の美しい黒髪と、いろは以上に如才なき才覚を身に付けた妙齢の超絶美人な俺の姉貴分と。
「フフッああそうだよ皆、八幡はどうやら立派に結衣君の護衛を勤め上げたみたいだしね、からかうのはその位にしてあげよう。」
三十路を越えてもなお若々しく、しかも男ながらに得も言えぬ艶っぽさをも感じさせる驚異の美形、美しい金色の長髪をフワリと靡かせ藍色の甚平を纏い日本人以上に日本人らしく礼節を重んじる、俺の知る人達の中でも最上格の常識人で俺の兄貴分。
「わっ、すっごい綺麗な人、はぁ〜素敵……。」
「ふぁ〜っ、格好良い……本物の金髪外人さん……。」
「………。」
二人の登場に遥ちゃんさんとゆっこちゃんさんはときめく気持ちを感嘆の溜息とともに呟き、さがみんさんは言葉無く二人に視線が釘付けだ。
まぁ気持ちは痛い程解るよ、これ程の美男美女カップルに出会うなんて滅多にあるもんじゃないしな。
「ありがとう……俺の味方は舞姉ちゃんとアンディ兄ちゃんだけだよ。」
切々と俺は溢れそうな涙を堪えて二人に感謝の言葉を贈った。